縦ノリタコナナ ネルソンズ、バーミンガム市響 ショスタコーヴィチ「レニングラード」   

21.8.2012 @royal albert hall

glinka: ruslan and lyudmila, overture
emily howard: calculus of the nervous system
shostakovich: symphony no. 7

andirs nelsons / city of birmingham symphony orchestra


うふ〜〜♡今日と明後日はタコなんです♬タコ7とタコ10の2連チャン。なんて楽しみなんでしょう。そして、今日はネルソンズさんとバーミンガム市シンフォニー、明日はペトレンコさんとリヴァプール・フィル。指揮者は若手実力派でめきめきと頭角を現している人ですね。そして、オーケストラは実は、どちらもまだ聴いたことがなかったんです。ますます楽しみではないですか。

ネルソンズさんは、フィルハーモニアに客演したときに聴いているし、最近はわたしは聴きそびれたけど、ロイヤル・オペラで「サロメ」を振って好評を博していました。わたしもネルソンズさん、若くてハキハキしてるし大好きです。
ネルソンズさんって曲を始める前、独特の構えをしますね。ヨーイドンを待つランナーのような、ちょっと前傾姿勢で、ここから一気にエネルギーを爆発させるような感じ。バネが弾けるように音楽が飛び出します。超快速演奏ではないし、勢いに任せて荒さが目立つという演奏でもなく、勢いの上にもしっかりと丁寧に演奏されます。ここでもう心を掴まれました。このオーケストラ上手い!

2曲目は、エミリー・ホワードさんの「神経系の解析」なんていうサイエンティフィックなタイトルの音楽。わたしも神経学者の端くれとして(ウソだけど)、神経系って何やねん、と突然大阪弁で悪態をついちゃったり。作曲者のホワードさんは、プログラムによると、何故かチェスのチャンピオンとの紹介が目に付くほど、作曲よりチェスで有名なのかしら。
超イントロクイズをしたら「涅槃交響曲」!!と応えちゃうような音のクラスターで始まりました。同じひとつの音を楽器を変えながら静かに繰り返して、ときどきはっとする違う音を混ぜたり、また同じ音が来るのかなと思うと違った音が来たりして、頭にくっついて頭の中で鳴ってるひとつの音と、聞こえてくる音とのずれや同期が、なんだか、記憶を刺激しているみたいで、わたしは、この曲は神経回路というより、記憶の固定の現象みたいで、確かに神経系、とおもしろかったです。そしてとても良く、緻密に構成されていてステキな音楽でした。聞こえてくる音と頭の中に生まれた音の間の協奏曲。この曲好き♡

最後はいよいよタコ7。ロンドンで何回か聴く機会はあったんだけど、わたしの好みの曲ではないのでロンドンで聴くのは初めて。タコ好きなのに、タコ7は何だか、間違って勢いで書いちゃったなーーって感じがして、それに長いし、苦手なのよね(好きな人ごめんなさい)。
わたしのイメジでは、(前に聴いたテルミカーノフさんの演奏がそうだったので)、最初どっこいしょと老人が昔語りを始めるように始まる音楽だと思っていたんです。ところが、ネルソンズさんの演奏は違った!前置きなしに最初っから本文、勢い全開、全速力、戦場にいます。びっくり。速い速い。昔語りではない、今この場の戦争、音楽。今まで行進曲のところから戦争が始まるんだと思ってたんだけど、そうではない、最初っから戦場なんですね。こんなやり方あり?びっくりしたけどすごく納得しました。これならこの音楽退屈じゃないし。ネルソンズさんの演奏で目を開かれた感じです。
ネルソンズさんの演奏は、とっても切れがあります。リズムが弛緩しないので、ロックの打ち込みを聴くような爽快感。実際あのボレロのような行進曲の部分は首を振りたくなるくらいな縦ノリ。実際、アリーナに首をぴょんぴょん振ってるおばあさんやおじさんが。分かるよ分かるー。そんな音楽だもの。わたしだってちっちゃく首振ってたし。
それにしてもこんなにもざくざくと切れ味良く演ってもらうと、この曲好きになっちゃうじゃない。速い部分と、ゆったりと叙情的な部分のメリハリをしっかり付けて構成的に、物語ではなく交響曲として演奏された音楽だと思います。表題性を除いたゆえに、反対に音楽が説得力を持って響いてくる結果に。後半の楽章の、ゆっくりとした音楽からだんだん速度を増して盛り上がってくるところから、最後のクライマックスまでの音楽の運び方がとっても良くて、最後は圧倒的なカタルシス。これが勝利の雄叫びなのか、黒い何かを背負ったものかなんてどうでも良くて、音楽の力強さを感じたのでした。結局、ショスタコーヴィチは音楽のポジティヴな力をこの時は信じていたに違いないと思いました。そして演奏した誰もがみなも。音楽は血になってわたしの体を駆けめぐり、熱いエネルギーになる、そんな体験です。ネルソンズさんとバーミンガム市のオーケストラは、緊張感に満ちた弛緩のない音楽でわたしの裡にエネルギーを満たしてくれました。
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by zerbinetta | 2012-08-21 03:40 | イギリスのオーケストラ | Comments(0)

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