鐘かね〜、ロシアの鐘が鳴り渡る〜 ユロフスキ、ロンドン・フィル「鐘」   

29.9.2012 @royal festival hall

shchedrin: concerto for orchestra no. 2 (the chimes)
miaskovsky: silentium
denisov: bells in fog
rachmaninoff: the bell

tatiana monogarova (sp), sergei skorokhodov (ten),
vladimir chernov (br)
vladimir jurowski / lpc, lsc, lpo


ユロフスキさんとロンドン・フィル、今日は鐘シーズ。と、プログラムを見て気がつきました。近現代のロシアの作品を集めて、またまた挑発的なプログラミング。受けて立たなきゃ。聴く方も真剣。

始めはシチェドリンのオーケストラのための協奏曲第2番「鐘」。わたし、CD持ってたのにすっかり忘れてました。オケコンはジャズの語法で書かれた第1番の方がインパクトが強いので。なので、音楽を思い出すこともなかったんだけど、そういう意味ではうぶな気持ちで聴けましたよ。低音の静かに大きな波が重層して底から揺れる向こうから、突然鐘が鳴り出して音楽が動き出す。まさに鐘の登場にふさわしい音楽。決して分かりやすい音楽ではないけれども、というかどちらかというと暗くて苦渋に満ちている、交響的な作品。協奏曲と名前がついてるような派手さやアクロバティックな感じはなくて瞑想的。重なる低音がほどけて、鐘のしたにロシアの聖歌のような音の流を生み出すのもステキ。ユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏は、この曲を初めて聴くようなもののわたしには比べるすべもないのだけど、とてもステキな音楽だと思ったので、聴き所を突いた良い演奏だったのだと思います。不満を感じませんでした。

2つ目のミャスコフスキー。彼の作品は前に同じユロフスキさんとロンドン・フィルで交響曲を聴いたことがあります。が、滅多に聴けない作曲家ですよね。今日は「シレンティウム」という作品。鐘特集なのに「沈黙」というタイトル。silenを何故かsirenに勘違いして(典型的な日本人!)、ああこれは、きれいな歌声で男たちを溺れさせるセイレーンの物語ね、と、勘違いにはすぐに気がついたのだけど、気づかないふりして、海の音楽っぽいなぁと勝手に想像していたのでした。だって、暗く低くうねるような音楽は海を想像させたんですもの。ミャスコフスキーを前に聴いたときも思ったんだけど、この作曲家、あんまり演奏されないのがもったいないくらいステキ。ユロフスキさんにはこれからもときどき採り上げてもらいたい音楽家です。

休憩のあとはデニソフの「霧の中の鐘」。今度は正真正銘、鐘の音楽。でも、今までの音楽とは対照的に、高音がきんきんと鳴る曲です。小さなチャイムの音楽。作曲家のデニソフは、名前がエジソン。親が発明王のエジソンの名前にちなんで付けたと、プログラムには説明があったけど、物理化学の道に進んで欲しかったようです。ということが、関係あるのかないのか分からないけど、音楽はちゅーんちゅーんというSFの機械のような響き。人工的なノイズのようで(耳に不快なものではないけど)、でもそういう不純物を含まない数式のような響きがとってもきれい。デニソフの音楽、初めて聴くけど好きかも。

最後はラフマニノフの大作、ずばり、「鐘」。これは前に、ビシュコフさんとBBCシンフォニーのステキな演奏を耳に記憶してるんだけど、今日のユロフスキさんとロンドン・フィルの演奏もそれに負けず劣らずの良い演奏。まず、ロンドン・フィルハーモニックとロンドン・シンフォニーの大きな混成(間違いではありません)合唱が、迫力があって素晴らしかった。独唱は、ビシュコフさんのときには少し及ばないと感じたものの、でも十分。ユロフスキさんがぐいぐい引っ張っていく音楽もステキで、勢いがある演奏は聴いていてすかっと気持ちが良いものです。叙情性は少し後退するものの、がしがしと骨太の交響的表現は何にもましてかっこいいです。

ユロフスキさん、ロシアの近現代のあまり知られていない作品を紹介するのに使命感のようなものを持っているみたいですね。毎シーズン意欲的に作品を採り上げて、記憶に残る音楽を聴かせてくれます。演奏から自信が溢れていて、作品を絶対に信頼してそれに応える素晴らしい演奏をこれからも期待したいです。
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by zerbinetta | 2012-09-29 00:11 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

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