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日本の皆さんどうでしたか? ヤノウスキー、キッシュ「白鳥の湖」   

23.10.2012 @royal opera house

tchaikovsky: swan lake

zenaida yanowsky (odette/odile)
nehemiah kish (siegfried)
gary avis (rothbart)
alastair marriott (the tutor)
helen crawford, yuhui choe, alexander campbell (pas de trois)
meghan grace hinkis, elizabeth harrod, emma maguire, sabina westcombe (cygnets)
hikaru kobayashi, itziar mendizabal (two swans), etc.

anthony dowell (production),
marius petipa, lev ivanov (choreography),
boris gruzin / orchestra of the roh
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ロイヤル・バレエもこれで見納め。しつこいと思われつつも、やっぱり観ておきたい「白鳥の湖」です。今日の回はゼナイダさんとキッシュさんのペア。長身ペアです。そして今日は、ライヴ・シネマ。ヴィデオ・カメラが入って、イギリス国内はもとより、ヨーロッパそして日本の映画館にも(さすがに日本は時差があるので、生中継ではなく時間差ライヴですが)配信されます。ロイヤル・オペラ・ハウスの世界戦略。というわけで、わたしも世界にデビュウするため頭を盛って文金高島田に。って張り切ってたんだけど、ちっとも治らない風邪に断念(もう1週間も薬飲み続けてるのに〜)。よれよれごほごほで出かけていきました。ってか、いつものように隅っこの席なのでカメラに映らないし。

ロイヤル・バレエの「白鳥の湖」が始まったとき、この繰り返し上演される名作古典の舞台に、いつまで酔っぱらいを出して笑いをとるのか、みたいな評が出たけど、わたしは(もう何年も観ているわけではないけど(でも10回は観た))その酔っぱらいがとっても大好きで、これを観て、ああ「白鳥」に帰ってきたんだ〜って思っちゃうんです。酔っぱらいはふたり出てくるのだけど、王子の家庭教師のマリオットさんの酔っぱらいが大好き♡子供たちとの絡みもいいし、ふらふらと踊るユーモアが好き(「くるみ」に出てくるおじいさんとかも!)。この役はもう絶対、マリオットさんなの。味があって上手い!

もうひとりの酔っぱらいは、王子の友達のひとり。今シーズンは今日も含めて平野さんのをたくさん観てる。平野さんの酔っぱらいは、表情が日本の漫画チックで、異国に住んでる日本人のわたしは、分かるぅ〜〜って共感しちゃうのよね。日本人の演技って、ユーモアのあるシーンでは特に、うんうんこれってピタリと来るのよね。日本のドラマや漫画のようで。「マノン」のユフィさんとひかるさんの娼婦の喧嘩とか、ユフィさんのシンデレラやリーズとか、平野さんの「夢」とか。漫画チックの表情は、こっちの人にはどう映るか分からないけど、いいんじゃない。反対に、日本でやったらくどいと思うかも。いつも観ている感じだからね。

そして今日はなんと!3人目の酔っぱらい登場。第1幕で村娘(お城に仕えてる女の人?)のひとり、わたし注目のオリヴィアさんがワインの一気飲み。酔っぱらっていました。初めて観るよ、あんな演技。さすがオリヴィアさん。いつもなにげに楽しいことしてくれます。だからロイヤル・バレエは後ろの人ひとりひとりに目が離せません。
今日は、そのオリヴィアさんを始め、みんなノリノリで踊っていた感じ。カメラが入って世界に中継されるからかなぁ。得した感じ。
パ・ド・トロワは初日と同じ、ユフィさん、クロウフォードさん、キャンベルさん、ナポリ・ダンスもモレラさんとセルヴェラさんの最強ペア、王妃はマクゴリアンさんとファースト・キャストです。盤石。

さて、今日は陰の主役、もとい、もうひとりの主役のことを書かざるや。と、力んじゃうけど、ギャリーさん、本当にこの人の存在感が凄い。完全に舞台を仕切っちゃう。ロイヤル・バレエの宝。ステージの上にいるだけで、どこにいても視線を奪っちゃうんです。悪魔のフクロウの姿もいいけど、やっぱりわたしは、第3幕のロットバルト。舞台の真ん中に立つ訳じゃないけど、完璧に舞台をコントロールしている姿はあの場のロットバルトそのもの。小姓に指示を出したり、お后にワインを勧めて懐柔したり、オディールに耳打ちしたり、オデットが外に現れるやいなや全員に魔法をかけて眠らせたり、それはみんな振り付けされていることだけど、ギャリーさんが演じると現世の世界になっちゃう。ちょっとした目の動き、手の動き、身体の動きから滲み出てくる表現力の大きさ、細やかさったら。この人、いつも完璧に役になりきってるというか役そのもの。やっぱり最高のロットバルトだわ〜。友達によると、ギャリーさんってほんとはとってもジェントルマンの良い人なんだそうですよ〜〜。エスコートされたいっ♡

やっと主役のおふたり。キッシュさんは、わたしの好きなダンサーのひとり。素のキッシュさんめちゃかっこいいし。踊ったときのシルエットがとってもきれい。まだ発展途上だけど、ロイヤル・バレエには珍しい背の高い正統派王子系男性ダンサー。そう、今日は長身ペアです。
キッシュさんは丁寧に踊る一方、冒険が足りないというかドキリとする瞬間があまりないのがいつもちょっと物足りない。もうちょっとやんちゃでもいいんじゃないかな。でも、やっぱり王子はステキ。ゼナイダさんをしっかりサポートしているのもポイント高し。加えて自己主張してがんがん踊るようになったら凄く良くなるんじゃないかしら。
ゼナイダさんは、文句なしに素晴らしかった。怪我で休んでいた時期も長くて、わたし、ゼナイダさんをきちんと観てなくて、「アリス」のハートの女王のはっちゃけたコミカルな演技の印象が強くて、悲しい踊り踊れるのかしら?なんて思ってたんだけど、夏に観た「田園のひと月」の柔らかな踊りでぱっと印象が変わって、「白鳥」はどうかなって楽しみにしていたんです。それがとっても良くって。うっとり。背が高いからとっても踊りが大きくてきれいなんです。しかもとっても繊細。いわゆるロシアの「白鳥」のイメジにピッタリなのは、ゼナイダさんがロシアのバレリーナと同じような体つきだからかしら。ゼナイダさんのオディール、とってもいい。
オディールの方は、意外にも魔性の印象が薄く、良い人のように見えました。オディール自身も王子が好きで、下心なく愛しているみたい。にやっと含み笑いするのもかわいらしかったり。

ゼナイダさんとキッシュさんの「白鳥」はハッピー・エンドなんだろうな。例え、死ぬことになっても結ばれる方が大きいんだな、悲しみよりも愛の強さが勝って、涙のあとは不思議とにこやかになれる「白鳥」でした。

今回、5組の「白鳥」を観てそれぞれとってもステキで、欲張って観に行った甲斐ありました。実はこれでロイヤル・バレエ見納めになります。ものすごく寂し〜。でも、短い間だったけど本当に幸せな時をロイヤル・バレエと過ごせました。わたしは地元第一主義なので、きっと行く先で新しい喜びを発見すると思うけど、ロイヤル・バレエは元地元ということでこれからもしっかり応援していこうと思います。せっかく名前を覚えた若い人が育っていくのも楽しみに見続けたいしね。
毎回、わたしを幸せでいっぱいにしてくれたロイヤル・バレエの皆さんにありがとうを百万遍言いたい。love
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にこやかなゼナイダさん
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今回の「白鳥」ではこの4人で踊ることの多い4羽の白鳥
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メンディザバルさんとひかるさん
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やっぱり凄味のあるギャリーさん。お約束のブーを盛大に浴びて喜んでます
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ゼナイダさんとキッシュさん、ゼナイダさんずうっと柔らかな笑顔
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by zerbinetta | 2012-10-23 16:41 | バレエ

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