なぜにエルガー交響曲第2番なのか小1時間問いただしてみたい 東京楽友協会交響楽団   

2013年4月7日 @すみだトリフォニーホール

ウェーバー:オペロン序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
エルガー:交響曲第2番

イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
橘直貴/東京楽友協会交響楽団


爆弾低気圧が去って雨は止んだもののまだ時折強い風が吹く日曜日の午後。でも真っ青なお天気で、20度を超える気温は、たまにしかないロンドンの夏のよう。清々しくて気持ちのいい空気の中、音楽会に行ってきました。アマチュアの東京楽友協会交響楽団。聴きたかったピアニストのメジューエワさんが弾くのでやって来ました。トリフォニーホールは2回目。
少し早めに会場に着いたかなと思ったら、えええ!長蛇の列。プロのオーケストラでもこんなことないのに。で、列に並んでるのは普通のオーケストラの音楽会とはちょっと違った客層。お孫さんを連れたおじいさんとおばあさん率高し。出演者の家族関係かしら。メジューエワさんを聴きに来られた人たち(わたしも)ではなさそうですね。

舞台の上で音出しするのを聴いてると、みんななかなか良い音を出してる。このオーケストラは期待できる。定期演奏会も今日のが95回目だし、老舗なのね。アマチュアではトップクラスなのかな。丁寧に音合わせして(シティ・フィルの音合わせも丁寧だったな)さあ!
にこやかで駆け足のように指揮者の橘さん登場。始まりはオベロン序曲。うんうん、弱音では音が枯れちゃってる面があるけど,音楽はきちんとまとまっていてとってもステキ。プロやプロの卵のレヴェルではないけど、みんながひとつの音楽を作っている感じがするのはいいなって思う。練習の中で意思の統一をはかってる感じ。わたし的には好感度高い。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、大好き。メジューエワさんのピアノってどうなんだろう、わくわく。真っ赤なビロードのような柔らかい肌触りのドレスで,ほっそりと華奢でアニメの世界から出てきた美少女みたい。指も細くて長い。そうそう、楽譜を見ながら弾くんですね。自作ふうの譜面を持っていました。
始まりのピアノのソロを聴いた瞬間から彼女のピアノに引き込まれました。たーん。たたたたらたたたらたたたんたん。の音がとっても鮮明に粒だって聞こえるの。極端に言うと打楽器みたいな感じに。スタインウェイのピアノだったけど、響きが膨らみすぎるのを押さえて、弦の音がちゃんと聞こえるわたし好みの音。
彼女の独奏は、彼女が先に立ってぐいぐいオーケストラをリードしていくというより、オーケストラにのっかって一緒に泳ぐ感じ。音楽は楽譜に書いてあるので、彼女が引っ張らなくても、みんなが楽譜通りに弾いたらちゃんと作曲家の音になることを信じてるみたい。でも、ちゃんと彼女の音楽はオーケストラを巻き込んでいました。
ベートーヴェンだからって気負うことなく自然体の音楽。特別のことは何もしてないのに、すうっと心に通る特別な音楽。第2楽章のオーケストラとの対話も、敢えて対立することなく、静かに語りかける感じ。この人は将来、ピレシュさんのようなピアノ弾きになるのかしら。なればいいな。
アンコールはベートーヴェンのポルカのような楽しい音楽。エコセーズ?気の置けない感じで粋でした。

休憩の後は、エルガーの交響曲第2番。えっ?!実は今日は、メジューエワさんがピアノを弾くことしか知らなくて,他に何の曲をするのか会場でプログラムを見るまで知らなかったんだけど、エルガーとは。しかもエニグマや交響曲第1番じゃなくて第2番。本場ロンドンでも1度も聴いたことのない曲。誰が選曲したんですかーーー?こんなマニアックな曲。大曲だけど,よく分からない感じだし、クラヲタさん向けマイナーな曲なら他にも良い曲があるでしょう。シマノフスキとかシュニトケの合奏協奏曲とか、スクリャービンの交響曲第3番とか(モロわたしの好み)、チャイコフスキーやドヴォルジャークの初期交響曲とかブルックナーの交響曲第4番の第3稿とか、よく知られているように見えてほとんど演奏されないのとか,いろいろあると思うのね。それなのにエルガーの交響曲、第1番じゃなくて第2番。よっぽど好きな人いたのかな。どんな話し合いがなされたのか聞いてみたい。どうして交響曲第2番なのか小1時間問いただしたい。

エルガーの曲、かっこはいいけど、行き当たりばったりな感じで,とっつきにくいんです。始まりのリズムのずれ、というか後打ちが上手く合わなかった感じでちょっとどきりとしたけど、ううむ、手堅くまとめてきた。併走するいろんな音たちをあるがままに演奏して、でも、もちょっと整理してメロディを浮かび上がらせた方が分かりやすくなるって思ったけど、吠えるところはとても良い感じ。反面弱音はやっぱり響かないかな。弦楽器がもうちょっとヴィブラートをかけて豊かに弾いてくれれば、そうよ、エルガーってもっとロマンティックなんだから。イギリス人だって頑固者で感情控えめだけど,ロマンティストなのよ。でも、なんかしっぽりくるのよね〜この演奏。なぜ?あっ!そうか、このヴィブラート控えめ感は、古楽?図らずも古楽っぽい響きになったので、エルガーの朴訥とした頑固者の雰囲気が良く出てる感じ。下の方で大きな音をぼっぼっと出してる,コントラファゴット?チューバ?が田舎のオルガンのバスみたいでとっても雰囲気ある。わざとやってるのかなぁ。でも、なかなかいいぞ。このオーケストラ、ロマンティックな作品より、ハイドンとかベートーヴェンとか,ブラームスとかが似合うんじゃないかな。
指揮の橘さんは、とっても上手くオーケストラの良さを引き出していたように思います。なかなかやるじゃんと思ったら,前にブザンソンのコンクールでファイナリストになっているのですね。プロよりもアマチュア・オーケストラの指揮者として活躍してるのかなぁ。今まで考えたことなかったけど、アマチュア・オーケストラの指揮者はプロオケの指揮者とは違った才能を求められそうだし、アマチュア・オーケストラの指揮者というジャンルの仕事があってもいいかもね。修行ではなくて、きちんとした職種として。

(予想してたら)本当にアンコールは威風堂々だった。ロンドンのダイヤモンド・ジュビリーの音楽会よりもジュビリー的。何で日本に来てまでロンドン。ロンドンで過ごしたことがいろいろ思い出されてしまって、泣いてしまった。良いことも悪いこともあったからなぁ〜。
でも良い音楽会でした。これからは、アマチュア・オーケストラもたくさん聴いてみようっと。
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by zerbinetta | 2013-04-07 22:50 | アマチュア | Comments(0)

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