私の周りで友達が狂っていく〜 明朗なロットと鬱屈したマーラー   

神経を研ぎ澄ます芸術家だから変わった人が多いのは当然と言えば当然と言えるのかも知れないけど、突き抜けて精神を病んで亡くなった作曲家って意外(?)と少ないの(少ないと言って良いのか分からないけど)。有名なのはライン川に入水自殺を図ったシューマン。それは上手く行かずに亡くなったのは精神病院。もうふたり、精神を患って亡くなった作曲家、フーゴ・ウォルフとハンス・ロット(ロットの直接の死因は結核ですが)。19世紀末ウィーンの作曲家(とその卵)。そしておふたりともマーラーと友達(だった時期がある)。マーラーをはさんでふたりの若い作曲家が精神を病んで亡くなるとは。。。(もちろん、マーラーのせいではないんですが。ウォルフ(とシューマン)は梅毒による精神障害だったらしい) 弟まで自殺で亡くして、マーラーはどんな気持ちだったでしょう。彼の音楽に死の影がつきまとうのは、こんな境遇が影響してるのかも知れませんね。まわりで人が亡くなっていくのに自分だけがぴんぴんと元気。

同じウィーンの音楽院で学んだ、ロットとマーラー。ロットの交響曲(20歳の作!)を聴いた人は、マーラーのような音楽がときどき聞こえてびっくりする体験をしたはず。才能を高く評価していた早世した友人へのオマージュとして彼の書いた旋律を引用したという説もあるくらい。実際にマーラーがロットの交響曲を知っていたかどうかは、今後の研究によると思うんだけど、これだけ似てると、マーラーは知っていたと思うのが自然かも知れませんね。

ハンス・ロットの交響曲とマーラーが同じ年齢の頃書いた「嘆きの歌」を聴き比べると、でも、全く違った印象を持ちます。マーラーの音楽の方が、なんだか屈折してて、思うように書けてないような上に向かおうとする焦燥感のようなものを感じるのに対して、ロットの方は、第4楽章の始めのような部分的な例外はあるけど、全体的には明朗で、とってもまとまっていてやり遂げた感が感じられるの。音楽の始まりなんかは、爽やかすぎて、みんなに大声で「おはよう!」と声をかけてしまいそう。マーラーのはまだ未完成というか、閉じてない感じなのに、ロットはきっかりと作品として閉じている。それは決してこぢんまりとまとまっているということではないのだけど、音楽にブルックナーやブラームスのエコーを強く感じてしまうんです。それに対して、マーラーは多分自身よく分かってないと思うけど、マーラー。ウェーバーの影をはるかに感じたとしてもマーラー以外ではなさ過ぎる。

それにしても、こんなに明るい音楽を書いてた人が、精神を病んで死んでしまうのに、鬱々としてた人が、襲い来る困難や敵をなぎ倒して精力的に生きてしまうなんて。人間って分からない。
マーラーが交響曲第2番や3番、5番、7番で引用した(?)ロットの音楽(Banks, The Musical Times 125: 493-495, 1984)は、マーラーに憑いたロットの霊が書かせたのかしら。それとも実は死んだのはマーラーでロットが成り代わっちゃった?

次の機会にはロットについて調べてみたことと、彼の悲劇についてわたしの突拍子もない仮設について書いてみますね。ルイーズ〜〜♡
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by zerbinetta | 2013-06-12 23:47 | 随想 | Comments(2)

Commented by cyclisttak at 2013-06-20 17:28 x
ハンス・ロットの交響曲って名前はよく聞くんだけど一度も聴いたことありません。良い曲ですか?
Commented by zerbinetta at 2013-06-20 23:23
若書きだけど良い曲です(キッパリ)

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