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目の覚める回転系 米沢唯、福岡雄大「ドン・キホーテ」初日   

2013年6月22日 @新国立劇場

ドン・キホーテ
レオン・ミンコス(音楽)
マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー(振り付け)
アレクセイ・ファジェーチェフ(改訂振り付け)

米沢唯(キトリ)、福岡雄大(バジル)
山本隆之(ドン・キホーテ)、吉本泰久(サンチョ・パンサ)
マイレン・トレウバエフ(エスパーダ)、寺田亜沙子(街の踊り子)
本島美和(メルセデス)、西川貴子(カスタネットの踊り)、厚木三杏(森の女王)
竹田仁美(キューピッド)、湯川麻美子、厚地康雄(ボレロ)、他

アレクセイ・バクラン/東京フィルハーモニー交響楽団


ブラヴォーと叫びます!素晴らしかった!今日の公演。

新国立劇場バレエ団、ちょっとずつ観に行くことにしています。今日はドン・キホーテ。実はわたし、この演目それほど好きではないんですよ。物語の底は浅いし、音楽もつまらないから。と、嫌な奴ですね〜わたし。でもすっかり楽しみました。あっけらかんと踊り楽しめば楽しいもん。わたしも成長。
今回のドンキホーテは4キャスト。公演はたったの4回。つまり、ひとキャスト1回ずつなんです。ほんとは全部観たかったんですけど、なかなかそうもいかないので、初日の唯さん、雄大さんペアを観に来ました。新国立バレエ、女子では、プリンシパルの絢子さんとファースト・ソリストの唯さんを中心に据えてるみたいですね。来シーズンのキャストを見てそう思いました。なので、まずはおふたりを観なきゃデス。

唯さんを観るのは2回目(コンテンポラリーな作品では他にもいくつか観てますが)。前回はジゼルでした。唯さんはほんわかおっとり系と勝手に思ってたので、キトリ、似合わないんじゃないかって思ったんですが、ごめんなさい、わたしが悪うございました、むちゃテクニシャンじゃないですか。キレイキレイ、踊りがきれい。軸ぶれないし、決めるところはきちんと瞬間瞬間静止するし、炭酸水のように爽やか。ねっとりとした情熱はないけど、日本人の町娘らしい軽やかさはこの物語に合ってる。軽くぱあっとやるのがいいのよ。第1幕では、テクニシャンぶりをしっかり見せるものの、抑えた感じでとても丁寧な踊り。それでも、パートナーの雄大さんと絡むところは、スパークしてお互いの良さを引き出しあってたドキドキ感。対照的に第3幕では、ダイナミックに弾けた踊りを魅せてくれて、インタヴュウでオシポワさんが好きっておっしゃってたのこういうことかと納得。ここに華やかなクライマックスを持ってきて、痛快。イケイケ唯ちゃん。ずれない回転系がめちゃ上手いですね。

唯さんのお相手は、雄大さん。ちゃんと観るのは初めてかな(まだみんなの名前と顔を覚えてないので)。こちらも爽やか系バジル。コミカルなところが重くならないので良いですね。なんか、伸びやかに踊ってらして、片手リフトとかパートナーリングも危なげなく、とても良かった。このおふたりは、質量感はないけど、切れとスピードで魅せる感じかなぁ。なので、雄大さんには、唯さんをぱっと凌駕する速さの回転を身につけて欲しいです。唯さんの回転に目を奪われたあと、さらに驚きを見せられるように。でもふたりのペア、ステキなので、どんどん磨きをかけて成熟していって欲しいです。
第1幕での丁寧な入りが、始めからクライマックスを築くように、はっちゃけた踊りになって、第3幕でそれを超える驚きが出てくるともっと良くなるような気がしました。とてもステキだったんだけど、まだまだ伸びしろがあるようで(細かいところでもここはこうした方がって箇所がいくつかありました。偉そうですけど)、本当はこれ1回切りじゃなくて、もっとやって欲しかったし、もっと観たかったです。

爽やかカップルと対照的に、スペインっぽいこってりとした体臭を感じさせたのが、エスパーダのマイレンさんとカスタネットの踊りを踊った貴子さん。マレインさん、出てくると濃ゆくて、や、さすが西洋人。かなり目立ってました。貴子さんは、リズム感がとっても良くて、舞台上で打楽器奏者のように音楽的にぴったり合わせてカスタネットを踊りながら叩いていたのが凄かったです。質量を感じされる存在感も良かったです。何もしてないときは溶け込んじゃう唯さんとは対照的でした(キトリは町娘だからいいのかな?)。

他の人たちも、まだ顔と名前が一致してなくて、誰がとは言えないんですけど、皆さんとっても良かったし、コールドが相変わらずきちんと揃ってて、舞台の全体的な印象がとっても良い感じ。この全体的な統一感は、新国立劇場バレエ団の特徴としてしっかりと育んで欲しいです。ひとりひとりがぴったりと揃う中、さっとソロになるとはち切れるというのがわたしの理想。まだ発展途上だと思うんだけど(歴史もまだ浅いでしょ)、ほんと、このバレエ団ひとりひとりの意識が高くてこうレヴェルなんですから。

オーケストラは、ロイヤル・バレエのへなちょこ演奏に慣れた耳からすると、安心して聴いてられる。最初の頃、クラリネットがよれってたのと3幕の金管楽器のリズムに切れがなかったのがちょっと残念だったけど、華やかなバレエを共に作っていた感じです。

今日も唯さん、たくさんのブラヴォーをもらっていました。おじさんたちに混じって今日は黄色い声もたくさん♡客席の雰囲気があたたかく感じるのもいいですね。お昼の公演だし、楽しい演目なので、もう少し子供たちが来てても良いかな。幕間や終わったあと、子供たちが真似してピョンピョンしてたりくるくるしてるの見るのかわいいもの。今日は完全にくるくる系だけどね。

あ〜あ、明日も観に行きたいな。やっぱ、バレエ楽しいし、こんなもの見せられると嬉しくなります。ますます、このバレエ団が好きになりました。地元のバレエ団としてしっかり応援していきましょう。まずは顔を覚えなきゃ。コールドのひとりひとりまで。

by zerbinetta | 2013-06-22 10:38 | バレエ

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