豊かな時に熟成された音楽 新田ユリ/習志野フィル「悲愴」   

2013年7月7日 @習志野文化ホール

プロコフィエフ:古典交響曲
リャードフ:8つのロシア民謡
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

新田ユリ/習志野フィルハーモニー管弦楽団


津田沼というところに来てしまいました。初めて〜。
新田ユリさんが指揮するのを聴きたかったので、習志野フィルハーモニー管弦楽団の音楽会に来てみました。新田さんは日本でのシベリウスのスペシャリストなんです。とはいえ、今日はシベリウスはなしですが。
習志野フィルは千葉では2番目にできた老舗アマチュアオーケストラだそうです。わたしが生まれる前にできていて、今日は83回目の音楽会。千葉で一番の老舗はどこなんでしょう?今度聴いてみたい。

習志野フィル、学生オケOBOGが母体の市民オケではなく、由緒ある(?)市民オケなので、団員の年齢層は高いのです。会社で言うと部長クラス(よく分からないけど)の人たちの集まり。家族も子供もある人だったり、リタイアした人だったり、そんな感じなので、若い人みたいに力に任せて練習する勢いがある感じではありません。なので、実力にちょっと不安を覚えたのですが。。。確かに、上手いとは言えない(でも、ものすごく下手ではない)オーケストラだけど、ずうっと長年音楽をやり続けてきた(これって凄いことですよね)音楽に対する愛はものすごく感じました。レパートリーもオーソドックスなクラシックを採り上げてきているようで、とても安定的。ソロがよれったり、速い音符の指が回らずにアンサンブルが乱れたり、欲しいところで音量が足りなかったりはあったけど(たいていのアマチュア・オケでは付きものですけど)、それでも、ところどころに本物の音楽を感じました。

新田さんの指揮は、難しいところを上手く揃えるような練習ばかりして音楽を整えるというよりも、オーケストラが持っている音楽性を重視してそれを引き出すように演奏していたと思います。要所要所で、例えば「悲愴」の出だしとか、どこに出しても恥ずかしくない雰囲気を持った演奏になっていたと思います。それに、ときどきほんとに良い音が鳴ってたんですよ。ホルンのソロとかクラリネットとか、ファゴットとかトロンボーンとか。でも、それがいつもじゃないところが、面白いところです。新田さんは、本当に音楽ばかり感じさせる指揮者で、アマチュア・オケといえども楽譜を演奏してるんだっていう音がなかったのがステキです。インテンポで押した第3楽章は、オーケストラの音色に乏しいのでちょっと退屈しちゃったけど、第4楽章はとっても感動しました。新田さんも音楽に打たれているように見えて、わたしも音楽の力にのめされました。若い人にはできない、なんだか長い時の中で琥珀色に熟成された音がしたような気がします。わたしも、わたしは聴くしかできないけど、こんな風に自分の中で音楽を熟成させていきたいです。こういう終わり方したんだからアンコールはなしにして欲しかったです。新田さんはぜひ、もっと聴いてみたい指揮者です。プロのオーケストラでも演奏しないかしら。

アンコールというか、「悲愴」が終わったあと、昨年の末に亡くなった、オーケストラの創立メンバーでフルートの方を偲んで、ニムロットが演奏されました。この曲涙腺刺激系でマズイと思ったんだけど、どういうわけかあまり心に来ませんでした。オーケストラが力不足というか淡々と演奏しているように聞こえて。それから本当のアンコールで、「くるみ割り人形」の「葦笛の踊り」。こちらはとても良かったんだけど、やっぱり、今日の音楽会は「悲愴」で終わって欲しかったな。
[PR]

by zerbinetta | 2013-07-07 00:20 | アマチュア | Comments(0)

<< あまりに雑文 芸術への援助 アンケート または意見のブラッ... >>