だよってなんだよ オーケストラ・ダヴァーイ第7回演奏会   

2013年8月11日 @みなとみらいホール

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」より「だったん人の踊り」
カリンニコフ:交響曲第1番
ラフマニノフ:交響的舞曲

森口真司/オーケストラ・ダヴァーイ


オーケストラ・ダヴァーイはロシア音楽専門のアマチュア・オーケストラのひとつです。この間、もうひとつのロシア専門オーケストラ、アウローラ管弦楽団の音楽会を聴いて、専門性のあるアマチュア・オーケストラってステキ!ってトキメいたので、喜び勇んで聴きに行ったのです。チケットもプログラムもタイトルはロシア語併記だし、ロシア大使館の後援だし、ロシアっぷり満載。アウローラ管弦楽団のときは、プログラムの解説からもう、俺たちロシア好きっていう勢いがあったので、今日も期待してプログラムを読み始めたら普通だったので、ちょっとがっかりしたら、「その傍の作曲だよ」って。だよってなんだよ。そこからは坂を転げるように、「会ったことはアーリマセン」とか「センターは総選挙で決めるわよ!」とかおよそ曲目解説とはほど遠い言葉が並ぶ、粋な曲目解説。ロシア愛への本気を見た。ちなみに、このオーケストラのウェブ・サイトはロシア音楽愛に充ち満ちています。
オーケストラのメンバーは、20代くらいから30代を中心にして50代、60代(?)くらいまでいらっしゃる感じ。さすが、老舗的ロシアン・オーケストラ。年齢層が広いのは、地域オーケストラじゃない場合、上手に長く続いている様子がして期待持てる。そして、コントラバスに日本では珍しい、フランス式で弓を持ってる人がいてにこり。

実は指揮者の森口さんには深く謝らなければならないの。わたしにとって森口というと、iPS芸人の森口さんがまず最初に頭に浮かんだまま、脳みそを占拠しちゃうので、勝手にとっても印象が悪いんです(ごめんなさい、全国の森口さん)。そして、ステージに出てきた彼は、小柄な、普通のおじさん。見た目からは音楽家オーラはちっとも感じないし。。。大丈夫かしら、なんて失礼なこと思った。人は名前や見た目で判断したらダメよね。当たり前だけど。

最初の「だったん人の踊り」は、指揮者とオーケストラの実力と特徴をひと耳で示してくれました。まず、音量が素晴らしい。上手いオーケストラって音量があるのよね。アマチュアの苦手な弱音もそりゃプロにはかなわないけどまずまず。そして、オーケストラとしてのバランスというかしっかりとしたオーケストラとしてのバランスのとれた音を持っていることがいい。熟成したオーケストラって感じがするの。第1ヴァイオリンと第2ヴァイオリンを固定してるのも好印象。先日のアウローラが、若いフレッシュな勢いと荒さのある演奏だったのに対して、ダヴァーイは、成熟した潤いのある演奏。前者がムソルグスキーやボロディンとすると(えっ!)、後者はチャイコフスキーやリムスキー=コルサコフという感じ。各個人のレヴェルがものすごく高いというわけではないのだけど、まとまりがあるからとても音楽的に聞こえるの。(バス)トロンボーンと打楽器、イングリッシュ・ホルンはとても上手かったけどね。コンサートマスターの女の人のソロも上手かったです(あっこれは後の曲)。奇しくも、ほぼ同じ曲となった「だったん人の踊り」は、今日のダヴァーイの方が上手かったけど、わたし的にはより好きなものに踏み込んだアウローラの方が好みかな。完全に好みの問題。

2曲目はカリンニコフの交響曲第1番。10年くらい前に、ブームになった曲。「いまや道ゆく人の8割は心の中であの甘美なメロディーを唄っているであろうこの曲」を聴くのはわたしは初めて。わたしも流行に後れを取るまじとカリンニコフ管弦楽曲集のCDを買ったんだけど、間抜けなことに交響曲第2番は入ってるけど、この第1番が抜けているという抜け作。第2番の方はそれほど惹かれるものはなく。。。
確かに、交響曲第1番は甘い旋律に満ちていました。ひねりがなくストレイトにメロディを出しちゃうのは若さの特権ですね。真っ直ぐで素直。演奏は、そんな音楽の魅力をきちんと伝えてくれるものでした。甘さに溺れることなく、べたべたしないのは上品なマシュマロみたい。オーケストラの音がプロのオーケストラのようにグラマラスじゃないのも良い方に作用していたと思います。もちろん指揮者が能くコントロールしていたからというのが一番大きいんですけど。

休憩のあとに、ラフマニノフの交響的舞曲。これがとっても良かった。リズムがばしばしと切れていて、重くならないし、ねっとりとするところは糸を引くようにねっとりとしてメリハリがしっかり付いて。このリズムの切れは、昔、アラン・ギルバートさんがナショナル・シンフォニーを指揮して演奏したこの曲を思い出させてくれました。あのときの演奏もばしばしとリズムが切れていたんです。それから何回かこの曲を聴いているのに、思い出したのはその演奏だったのが面白い。
それに加えて、森口さんの演奏は、特に第2曲のワルツに顕著だったんだけど、糸を引くような微妙なテンポの動き。とってもセクシィ。後半は正直、分かりづらい音楽なんだけれども、さばさばとリズムで音楽を作っていたので楽しめました。怒りの日をもっと前面に出しても良かったかも(直接的には聞こえないようになってるけど)。最後は弓を上げたまま、音楽(銅鑼)の消えるのを待たなくても普通にすれば良かったかもなんて思いました。本当に素晴らしい演奏でした。「ロシア音楽の迷宮」に迷い込まずとても整理されて理路整然とした、でも熱い演奏でした。

アンコールには、「くるみ割り人形」からパ・ド・ドゥのアダージョ。そしてもう1曲、「白鳥の湖」から「スパニッシュ・ダンス」。この2曲もとっても良かった、というか、バレエのシーンを思い出しちゃって泣きそうになったよ。というか、「スパニッシュ・ダンス」では、ギャリーさんのロットバルトが目に浮かびすぎ。

このオーケストラはとってもいい。音楽会は年に1度ずつだそうで、来年の夏までお預け。来年は7年目の記念として、森口さんが曲を選ぶということで、どんな曲が選ばれるのかいまから楽しみ。わたし的には、プロコフィエフの「ロミオとジュリエット」全曲か、チャイコフスキーの「ロミオとジュリエット」、ムソルグスキーの「禿げ山の一夜」(オリジナル)、シェチェドリンの「カルメン」のプログラムがいいなぁ。あっスクリャービンの交響曲第3番もいい。
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by zerbinetta | 2013-08-11 00:51 | アマチュア | Comments(1)

Commented at 2013-08-15 21:05 x
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