ツクツクボウシ?もしくは季節外れのクリスマス お茶の水OBオーケストラ第35回演奏会   

2013年8月18日 @文京シビックホール

ブラームス:ピアノ協奏曲第1番
チャイコフスキー:「くるみ割り人形」より序曲、第2幕全曲

中尾純(ピアノ)
今井治人/お茶の水OBオーケストラ

不思議なプログラムの音楽会です。前半がブラームスのピアノ協奏曲の第1番、後半がチャイコフスキーの「くるみ割り人形」の第2幕なんです。どうしてこんな組み合わせになったのでしょう?正座して問いただしたい。なんてね、好きな組み合わせでいいんです。でも、ブラームスの協奏曲は重いのでメインになってもいい曲。メイン・ディッシュが2つある音楽会。あっ!フルコースだ。
でも、もひとつ言わせてもらえば、何と言う季節感。「くるみ割り人形」はクリスマス・イヴの日の物語だから、クリスマスの定番。そして、ブラームスは、秋を感じさせる音楽。この夏の盛りに。ちょうど数日前に、ツクツクボウシを聞いたから、秋が忍び寄ってるのかな。ブラームスも秋の気配を運んでくれるでしょう。

お茶の水OBオーケストラは、お茶の水オーケストラのOBによって結成された団体、って名前のままじゃん。お茶の水オーケストラは、お茶の水女子大学と東京医科歯科大学の学生によるオーケストラですね。OBのオーケストラは見たところ20代30代中心。ところどころお年のひとが混じっているのは、賛助出演と書いてある、もしかして大学の先生方?大学オーケストラ母体の社会人オーケストラでも、母体となった大学を離れて広くメンバーを受け入れる団体もあるので、こちらは、大学の絆が深いのですね。

ブラームスって演奏するのとても難しいと思うんですよ。アマチュア・オーケストラが採り上げるのは挑戦でもあると思うんです。ピアノ協奏曲といえどもオーケストラは交響曲のように書かれているので、どうなるのかドキドキ。
ピアノは中尾さん。若いプロの方です。スクリャービン関係で賞を取ってらっしゃるので、スクリャービンがお得意なのかしら。指揮者の今井さんと一緒に出てこられたとき、どちらも真ん中分けで燕尾服なので、兄弟だと言われても信じちゃったでしょう。似てないと言われたら、ううんと思うけど、なんか同じニオイを感じました。

ティンパニがバーンと出て、始まった感想は、オーケストラ自体に音量はないけど(だからティンパニが際立った)、まとまりはあって上手いなぁと。特に木管楽器がきれいでした。ただ、これは指揮者のせいかも知れないけど、リズムが悪いところがあったり(リズム感がないということではなくて、フレーズの終わりの短い音符たちをもう少し溜めるべきとこを不用意につるりと弾いちゃったり)、フレーズをまだ十分に歌い切れていない、息は関係ない弦楽器だけど、息切れして聞こえるところがありました。ピアノのフォルテを受け止め切れていないところもあって、もう少し音量が欲しいなって思いました。
ピアノの中尾さんは上手かったです。ミスタッチもなく技術的に危ういところも全くありませんでした。きらりと硬質で明るい音でなんだか、シューマンを弾いているような感じに聞こえました。ブラームスの重さ、つや消し感がない代わりに、爽やかな秋風のような音楽。もったいをつけない速めのテンポもいい感じ。クリアで、右手の内声の聞かせ方に特徴があったかな。
アマチュアのオーケストラでここまで聴けるとは思っていなかったので嬉しいびっくりです。
ピアノのアンコールは、同じブラームスの間奏曲。静かな美しい曲でした。水の面に映る木漏れ日みたい。でも、水の奥に沈む内省的な音の方がわたしの好みかな。

「くるみ割り人形」は、もうバレエが大好きなので、バレエのシーンを思い浮かべながら聴いていました。序曲を除く第1幕がないのでクララはほとんど出てこないけど、お菓子の国のたのしい歓迎会。このオーケストラとてもまとまりが良くて、とっても楽しめました。ロイヤル・バレエでたくさん観たけど、バレエのときのオペラ・ハウスのオーケストラは(これがオペラと同じオーケストラ?と信じられないほど)やる気のない下手くそなことが多くて、いつも怒っていたので、彼らにアマチュア・オーケストラの爪の垢を煎じて無理やり飲ませたいって思ったほどでした。チェロとか弦楽器にもっと出てきて欲しいと思うようなところはあったけど(コントラバスは大きな音でした)、小さいながらも良くまとまっていたので聴いていて気持ちが良かったです。

それにしても暑い日。くるみ割り人形と言うよりスイカ割り人形がふさわしいと思った午後の音楽会でした。スイカ食べたい。
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by zerbinetta | 2013-08-18 22:29 | アマチュア | Comments(0)

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