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苦行 田代美恵子、ボグニア ベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会   

2013年8月24日 @ルーテル市ヶ谷センターホール

ベートーヴェン:ヴァイオリンソナタ第2番、3番、4番、5番

田代美恵子(ヴァイオリン)、スタニスラフ・ボグニア(ピアノ)


田代恵美子さんのベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会、チケットをいただいたので恐る恐る聴きに行きました。
ベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタ全10曲は、おそろしくステキな曲たちだけど、この10曲を1日の音楽会で全部聴くというのは、演奏する方も聴く方も大変、というか行のようなものじゃないのか、むしろ苦行のようなものじゃないかと思うんです。音楽会のテーマは、全曲を順番に演奏することで見えてくるものもある、ということだけど、何日かに分けた(時間的には3回)方がいいような気がするし、1番から順番に聴いていって何かを得るというのは、音楽会で、というより自分のペースでCDで聴いた方がいいような気もするんですね。最後まで、集中力持つかしら、なんて心配だし。そう言えば、大晦日にベートーヴェンの交響曲全曲演奏音楽会があるみたいだし、日本人ってこういうの好きなのかしら。あっちなみに、バッハの無伴奏なら、1日の音楽会(2回)で聴いたことあります。これもヴァイオリニストにとっては、精神的、肉体的なチャレンジ。

と言いつつ、今日はもうひとつの音楽会からのはしごだったので、最初の第1番は聴きそびれてしまいました。わたしの参加は第2番から。
ヴァイオリンは、田代さんという初老の方。プロフィールによると、音楽の喜ぶと尊さを分かち合うことをライフワークとし、ソロ、室内楽の分野で幅広く活躍、とのこと。ベートーヴェンの他にバッハの無伴奏とか、ヴィヴァルディの「調和の霊感」とかブラームスのソナタとかの全曲演奏もやってるみたい。全曲フェチ?
でも、プロフィールからちょっと不安だったのよね。音楽の喜ぶと尊さを分かち合うことをライフワークってなんか違う。。。

その予感は残念ながら的中。正直言って技術的にベートーヴェンのソナタを入場料を取って人前で弾くプロのレヴェルに達してない。致命的なのは右手(弓)の不安定さ。弱音で弦の振動に跳ね返されて変なヴィブラートというかトレモロ状になったり、フレージングがいい加減だったり、音が汚かったり。確かに楽譜の音は弾いてはいるんだけど、とてもいい加減で、アーティキュレイションも行き当たりばったりな感じだし、リズムも甘いし(シンコペイションがあぁぁ)、不用意なポルタメントみたいなのがかかったり、ちょっと困った。全曲演奏会を開くよりも、数曲に集中してまずは演奏をちゃんとすることをしなくちゃいけないんじゃないかなぁ。お客さんに失礼だもの。技術を超える何かがあれば良いのかも知れないけど、でも、まずは書かれた音楽をきちんと演奏できなければ何かも何もないでしょう。その人の物語を売るのなら別ですけど。
ピアノのボグニアさんは普通に上手いと思ったけど、こんな音楽会なので何とも評価できません。どんな思いでピアノを弾いてらしたのか聞いてみたいようなみたくないような(田代さんとはよく一緒に演奏しています)。

前のベートーヴェン、ヴァイオリン・ソナタ全曲演奏会は「信じ難い大事業」「心の奥までの感動」(音楽旬報他)と称賛されているらしいけど、ほんと?ちゃんと聴いたのかしら?それとも昔は凄かった??

全10曲聴くまでもなく、もちろん何も見えてくるものはなく、これも何かの修行なのかと思うこともなく、第5番を聴き終えた長めの休憩を待たずに会場をあとにしました。(チケットは頂き物なのが幸いです)

by zerbinetta | 2013-08-24 23:51 | 室内楽・リサイタル

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