田舎に帰ってむちゃくちゃ小躍り 「田園」オーケストラ・セレーナ第4回演奏会   

2013年8月25日 @杉並公会堂

メンデルスゾーン:序曲「フィンガルの洞窟」
ドヴォルジャーク:チェロ協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」

花崎薫(チェロ)
中田延亮/オーケストラ・セレーナ


昨日の傷心を少し引き摺りながら音楽会に行ってきました。30度を切るとかで涼しくなって、って30度で涼しいなんていったい?長袖にしようかとも思っちゃったよ、と身体はすっかり日本の夏仕様。

オーケストラ・セレーナはよく分からないんだけど、指揮者の中田延亮さんの元に集まったメンバーで結成されたオーケストラ。20代30代が中心?出身母体はあるのかな?プロフィールには詳しく書いてないので分かりません。夏に1回の音楽会を開いているようで、今回が4度目。新しめのオーケストラ。採り上げる曲はわりとオーソドックスなもの。という自信。

始まりの「フィンガルの洞窟(イギリスではヘブリディーズ諸島の方が通りが良いですね)」を聴いてびっくりしました。上手い。もちろん、ロンドン・シンフォニーとか、日本でも読響とか日フィルとか(ありゃりゃ、まだあまり聴いてないなぁ)もっともっと上手いオーケストラはたくさんあるよ。でも、音楽の風景作りがとっても良くできていて、行ったことないけど、スコットランドの海の洞窟の雰囲気がとても良く出てるように聞こえる音楽。じっくりと真摯に音楽に向かってる。
中田さんの指揮は、なんかカチカチしててロボットみたい。でもそこから柔らかい音楽が紡ぎ出されてくるのですね。

ドヴォルジャークのチェロ協奏曲も盤石。チェロの花崎さんは、わたし的にはもっと踏み外したところが欲しかったけど、安定した大船に乗ったような演奏で、音楽の中に無理なく浸れたと思います。浸りすぎて、ぼんやりうとうとしてしまいました。昼間の音楽会はだめねぇ。オーケストラもソロをしっかりサポート。オーケストラがソリストに対して敬愛の念を抱いているのがよく分かりました。
花崎さんのアンコールはバッハの無伴奏から第1番のプレリュード。紅茶色の適度な渋みのある演奏で、この曲はこういうふうに弾くの買ってお手本のようなステキな演奏でした。

休憩のあと、最後は「田園」。ベートーヴェンの交響曲の中では一番演奏するのが難しそう。でも大丈夫。ベルリン・フィルのあのとんでもない弱音の美しさにはかなわないけど、弦楽器は芯のある弱音で健闘してました。管楽器はちょっとよれってたところもあったけど(ソロを意識して固くなった?)プロでもこけることあるからね〜。全体像がいいのでそれほど疵にならず。
中田さんの演奏は、速めのテンポ。オーケストラも一所懸命に付いていって、第1楽章はちょっとせかせかするように聞こえることもあったけど、交響曲全体に喜びに満ちたテンポ設定は成功していたと思います。セレーナは穏やかな晴天という意味らしいのだけど、青々とした晴天のような田園。そしてその中でうきうきと喜びまくってる。大声で歌いながら走り回るみたいに。でも、それだけじゃない、第1楽章の第2主題での音量を抑えた表現は、すーっと風が吹くようにそこに開けた風景を呼び込んできたし、第2楽章の表情の付け方も見事。小川のせせらぎってずっとヴィオラが担当してるんですね。しかも漸次、音型を変えて。さすがベートーヴェン(って今頃気づくわたし)。最初の方でちょっと流れが淀んじゃったけど、だんだんとさらさら流れていきました。その上にのっかるヴァイオリンの歌にも喜びはじけていてるのも良かったです。
ここで、音合わせの間を取ったのは、最初から仕組まれてたことでしょうか。それとも、この楽章ちょっと浮き足立ってたようなところがあったので、わざと間を取ったのでしょうか。これは良かったですね。
わっしょいわっしょいと踊る第3楽章、ピッコロにもちょっとだけ凶暴さが欲しかった(完全にわたしの独りよがりの好み)第4楽章、嵐が去って晴れ晴れしさが戻ってきて嬉しくてたまらないフィナーレ。わたし説では(いつかちゃんと説明しますね)、カラオケになるところでメロディを喚起させる力がもう少し欲しかったけど、ものすごく心を動かされた「田園」でした。オーケストラの人たちもわたしと同じように心を打たれながら弾いているように見えました。途中から涙ぐんでたり。名演のひとつですね。

良い指揮者と良い関係の良いオーケストラとステキな名曲のヨロコビ。1年に1度しか音楽会がないのが残念だけど、来年の夏をぜひ楽しみにします!
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by zerbinetta | 2013-08-25 01:35 | アマチュア | Comments(0)

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