モヒートを飲みながらメキシコの酒場気分 オーケストラ・ディマンシュ 第37回演奏会   

2013年9月1日 @すみだトリフォニー

ドヴォルジャーク:交響曲第9番「新世界から」
コープランド:エル・サロン・メヒコ
バーンスタイン:交響曲第1番「エレミア」

鈴置満里代(メゾソプラノ)
金山隆夫/オーケストラ・ディマンシュ


これとても楽しみにしてたんです。「メヒコ」は思い出の曲だし、「エレミア」も大大大好きな曲だから。こんな曲がアマチュアのオーケストラでかかるんですね。プロのオーケストラでも聴いたのはたったの1回。ドゥダメルさんとロサンジェルス・フィルの演奏でした。

オーケストラ・ディマンシュはフランス語のオーケストラ。ディマンシュは日曜日の意味。休日のためのオーケストラ。フランスの田舎町の日曜日は街のお店も全部閉まって独り者にはとてもつまらない日なんですがね。
30代40代が中心かしら。いい感じ。そして、溜飲を下げたのは、奏者たちが三々五々とステージに出てくること。それから、弦楽器もコンサートマスターではなくてオーボエの音で音合わせすること。まっ、どうでもいいことなんだけど、どのオーケストラも判で押したように、揃ってステージに出てきて、あとから登場するコンサートマスターが指示して音合わせ、弦楽器はオーボエから音をもらったコンサートマスターに合わせて音合わせをするというが、決まりでもあるかしら、なんて不憫に思っていたので。指揮者の金山さんが自分でヴィデオ・カメラのセットをしていたのもなんだか可笑しかった。
もうひとつ、オーケストラ・ディマンシュの特徴は、子供の来場に積極的であること。今回から乳児はホールには入れなくなったみたいですが、未就学児可です。プログラムにも子供用の解説があったり、静かに聴いててねって子供向けにアナウンスがあったり。アマチュア・オーケストラの音楽会って身内の家族連れが多くて、子供もよく見かけるんだけど、わたしが聴いた限りでは、みんな静かに聴いていますね。カチャカチャうるさいのは大人だったり。。。

音楽会は「新世界から」から。後半のメインになりそうな曲なのに、前半。一応作曲年代順?演奏が簡単順?「新世界から」って、オーケストラが最初に弾く交響曲って勝手なイメジがあるので(技術的に弾きやすい?)盤石だろうなって思ったら、さにあらず。最初の弦楽器の弱音ってちゃんと音にするのは難しいんですね。期待してただけにちょっとがっかり。弦楽器の音程も悪くて、和音が美しく響かないのは残念だな。ひとりひとりは音楽を知っている感じの人多いのだけど、技術がついて行ってないみたいな。トロンボーンはすかっとした吹き方だったけど、ちょっと荒いなぁ。でも一番印象に残ったのはトロンボーンとトライアングルでした。「新世界から」というと、1回しか出番がないシンバルで有名だけど、シンバル聞き逃さないかなと心配してたら結構思いっきり叩いてた、というか、1回しかないシンバルの欲求不満を解消するように第3楽章のトライアングル(掛け持ち)を叩きまくってて、刻みのリズムがいやに性格だったです(あれトリルじゃないんだって思いました)。あと、有名なイングリッシュ・ホルンのソロも上手かったですが、フレーズで全然音色が違ったのでふたりで吹いてるのかなって思っちゃいました。金山さんの演奏は、ゲネラル・パウゼを一瞬長く取ったり、第4楽章でさりげなく大胆なリタルダンドをかけたりしたところが面白かったです。でも、全体的には練習不足かなぁ。

休憩のあとに「エル・サロン・メヒコ」。高校の思い出深い曲です。吹奏楽部の友達が練習していて、楽譜を見ながらリズムのこととかいろいろ教えてもらいました。「メヒコ」を語り合った夏に思い出す曲です。夏らしいしね。
というようにとても難しいリズム。曲は酒場の雰囲気ですから親しみやすいんですけどね。で、リズムところどころ崩壊してました。打楽器は健闘してたんだけど、小クラリネットはもちょっと酔っ払った感じで吹いた方が雰囲気合っていたのでは。五線譜に書いてあるとみんな真面目に音にしちゃう感じ。コンサートマスターのソロももう少し色気が欲しかったな。やっぱり、弦楽器の弱音に響きを失うところがあるので音量をもう少しだけ出した方がいいんじゃないかなぁと外野は思うのです。それでも、コントラファゴットとかコントラバスとか、ホンキートンクふうの感じが良く出ているところもあって、わたしは好きな演奏でした。でもやっぱり、弾けてない人は練習不足だなぁ。

一番良かったのは最後の「エレミア」。これを一番練習したのでしょう。ということが如実に分かる感じ(間違っていたらごめんなさい)。「メヒコ」のおかげで好きになったんですよ、アメリカ系音楽。バーンスタインの交響曲もよく聴きました。大学生のとき、「エレミア」のスコアを持っていた友達にコピーさせてもらって、わたしも自分が持ってた「チチェスター詩編」のスコアをコピーさせてあげました。というようなことがなぜか頭によぎって。
始まりの不安の中で何かが起こりそうな緊迫した雰囲気が良く出ていて、音楽の中に一気に引き込まれました。ゆったりとした音符をフォルテで弾くときはいい音出しますね。トゥッティでがしんとリズムの楔を打ち込むところも思い切りがあってステキ。第2楽章は、変拍子でリズムが難しいと思うんだけど、がんばってました。叙情的な旋律が出てくるところをもう少し歌うと対比ができて奥行きが出てきたのに、余裕がなかったなかぁ。金山さんは、縦の線をトゥッティで揃えるところをきちんと揃えるように練習したのかしら。第2ヴァイオリンなんかが、細かい速い音符で弾くのはばらばらだったけど、そこは目をつぶって拍の頭のリズムの楔を合わせることで、破綻を目立たなくしていたように思えました。
第3楽章が始まるとき、これから起こることに涙が出てしまいました。メゾソプラノの鈴置さんの歌がとっても良くて、真っ正面で聴いたせいもあるけど、豊かな音量で完全に世界を一身に背負っていました。ほんと素晴らしい。彼女の歌を聴けただけでも今日は良かったですと言えるくらい良かった。久しぶりに涙ぼろぼろ。この音楽、バーンスタインにとってとっても大事な人だった「ナタリー・クーセヴィツキーの思い出に」というピアノの小品にも転用されている旋律。深い悲しみを湛えた音楽が心に染みこみます。鈴置さんの歌が全てを引き取って今日の演奏を忘れがたきものにしたと思います。

アンコールは、「ウェスト・サイド・ストーリー」をやるのかなと思ったら、外れて、コープランドの歌曲(多分「エミリー・ディキンソンの12の詩」の1曲?)。鈴置さんの歌がもうひとつ聴けてラッキーでした。それから、バーンスタインの「キャンディード」の終曲「わたしたちの畑を育てよう」でした。
うっかり帰ってきてからベランダで育てたミントを摘んでモヒート飲んじゃったよ。メキシコの酒場に思いを馳せながら。
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by zerbinetta | 2013-09-01 23:54 | アマチュア | Comments(2)

Commented at 2013-10-05 00:06 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by zerbinetta at 2013-10-05 14:10
aaaさんもアマチュア・オーケストラを聴いてらっしゃるのですね。千葉の方ですか?どこが下劣なコメントなんでしょう?もちろん削除はしませんよ。

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