夫婦別れ?、いえ〜らぶらぶですぅ ゴーティエ&ユジャ リサイタル   

2013年12月15日 @トッパンホール

シューマン:幻想小曲集
ショスタコーヴィチ:チェロ・ソナタ
ラフマニノフ:チェロ・ソナタ

ゴーティエ・カピュソン(チェロ)、ユジャ・ワン(ピアノ)


美男美女です!わたしも観に行きましたよ♡ミーハーですから。カピュソン兄弟は、ヴァイオリニストのお兄さんはオーケストラとの共演で何回か見たことあるんだけど、わたし的にはイケメン推しの弟ゴーティエさんは、一度だけ後ろから見ただけなので(チェロって損よね。後ろからだと座ってる後ろ姿ばかり)しっかり観たかったんです。一方のユジャもヴィジュアル系(ミニスカート!)だけど、わたし的にはピアニストとしてのプチ追っかけなので、このおふたりの共演は願ってもない機会。一粒で2度おいしい♡♡

プログラムは全部大好きな曲。っていうか、チェロとピアノの音楽って全部大好きかも。元々歌う楽器チェロが大好きだしね。あの声のトーン、ステキな男の人の声のようで心をくすぐるのね。
ゴーティエさんのチェロはとっても歌に溢れていました。あのお顔で、あんな音で歌われたら、あああうっとり。乙女の目線で見つめちゃう。一方の、ユジャはアスリート系。キラキラと硬質のクリアな音で明晰な音楽をテキパキと弾いていきます。柔のゴーティエさん、剛のユジャ。夢見る系のゴーティエさん、現実主義のユジャ。音楽性の違う水と油のようなふたりだけど、、、果たして水と油なの?
アンサンブルって不思議なもので、同じ音楽性のふたりが弾いてても上手く行かないこともある。しラベック姉妹のように正反対の性格のふたりが素晴らしい音楽を聴かせてくれることもある。ユジャとゴーティエさんは後者。お互いにソロイスティックにばらばらなことをやりながらできたものはピッタリと音楽になる。出てくる音楽は正反対なのに、実は深くにある音楽の泉が同じなんじゃないかって思う。ラベック姉妹だったら血、ユジャとゴーティエさんは何だろう?

シューマンの幻想小曲集は、今日のプログラムの中で一番の正統派ロマンティック音楽。元々、クラリネットのための音楽だっただけに、チェロのパートは歌う歌う。ユジャのピアノはわりと控え目で、ゴーティエさんに付けている感じ。ユジャのシューマンは聴いたことないけど、ひとりだったらどんなシューマンを聴かせてくれるんだろう?しっとり系かな、さばさば系かな。後者のような気がするけど、ゴーティエさんのチェロは、美しい、これを聴いただけで惚れてしまう男性の声のような音のしっとり系。目立ってはいなかったけど、ふたりの微妙な音楽のずれが、というかユジャが自分を抑えている気がしたのが気になりました。出てくる音楽はとてもステキだったんですけどね。

2曲目のタコのソナタも同じ路線。始まりからはっとびっくりするようなチェロのロマンティックな歌い出しに、タコってこんな素直なあっけらかんだったっけ?と思って調べてみたら、まだタコが屈折する前の若い、20代での作品なんですね。確かに第1楽章なんかはとても叙情的で愛に満ちている感じですけど、第3楽章の静謐感はマーラーの最後のアダージョのお終いの部分を聴いているような生を浄化するような気持ちにさせられるし、と思ったら、フィナーレで、全てがひっくり返されるなんちゃって感はタコならでは。ピアノ5重奏曲もこんな感じでしたね。
ゴーティエさんのチェロは相変わらず歌いまくりだけど、第3楽章の息を殺して吸い込まれるような音楽は凄かったです。崖の縁に立って下を見下ろすように立ちすくんじゃう。そして、第4楽章でチェロの歌い出しで音をひとつ飛ばして、一瞬音楽が止まっちゃうんじゃないって心臓が飛び出しそうに驚いて(これはハプニング)。
ユジャも、この曲の方が彼女の音に合っていて、でも、やっぱりまだ何か抑えてるなと思いながらも、ぐいぐいと引き込まれる素晴らしい演奏でした。
でも、曲が終わったときのゴーティエさんの普通のお辞儀とユジャの相変わらずのバネ仕掛けのような深い撥ねるようなお辞儀のちぐはぐさ、何か言葉を交わしてるのが(音楽の)夫婦喧嘩をしているみたいでドキドキ。なんかお互いに譲れないところあるのかなぁ、このまま喧嘩別れしないかなって勝手に妄想。かくしてこのコンビは今日の演奏会を最後に別れることになりました、なんちって。わたしの脳内では彼らはそうしゃべっていたのですよ。

そんな夫婦別れしたカップルが奏でるラフマニノフ。どんな風になっちゃうんでしょう。って思ったら、らぶらぶになってるじゃん。休憩時間に楽屋でどんな話したんだろう?(もちろん、仲違いなんてわたしの勝手な妄想で、そんなことしてないんだと思うんですけど)
この曲かっこよくて大好きなんですけど、生で聴くのは初めて。これを聴きたいからチケット取ったくらい。それがステキなのなんの。♡ハートマーク全開でうっとり。最高!ユジャも吹っ切れたように、ゴーティエさんに対等に絡んでくるし、ラフマニノフは弾き慣れてる感じかなぁ。ゴーティエさんが第4楽章の叙情的な主題をぐんと腰を入れて、テンポを落として弾いたのもびっくりしたけどステキすぎ。なんか、熱くて歌いまくって、疾走する情熱って感じ。青春だ。

そして、アンコール。ピアソラのル・グラン・タンゴ。これがまた、予想外に素晴らしかったの。ゴーティエさんは暗譜。ユジャはタブレットの譜面。ユジャの強靱な左手がどろりとしたピアソラ特有の半音階を奏でて、ユジャとピアソラの相性の良さを発見できて嬉しかった。まだ、ユジャには大人の女のセクシーさが足りないと思うけど(ってわたしが言うなよ!)、ミニスカートでもあまりに健康的な足はアスリートっぽいものね、これから、不健康なことも覚えていけば凄いものが生まれる予感をびしびし感じました。

凄く大満足。いいもの聴いた。ほんと、素晴らしいデュオ。お互いにソリストとしてものすごく忙しいと思うけど、共演を重ねてぜひぜひ、もっともっと熟れまくった音楽を聴かせて欲しいです。ああ、将来のヨロコビを確信して若いワインを飲んだ幸せ。饒舌にほろ酔い。体も心もぽかぽかです。
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by zerbinetta | 2013-12-15 23:56 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

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