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女性指揮者 都民交響楽団2013年特別演奏会   

2013年12月23日 @東京文化会館 大ホール

ビゼー:「アルルの女」第1、第2組曲
ラヴェル:スペイン狂詩曲、ラ・ヴァルス

松尾葉子/都民交響楽団


女性指揮者シリーズ。松尾葉子さん。有名な話ですが、彼女は、1982年のブザンソン指揮者コンクールで、女性として初めて、日本人としては小澤さんに継ぐ二人目の優勝者なんです。でも、どういう訳か今の彼女の立ち位置ってビミョーですよね(と思ってるのはわたしだけ?)。どこのオーケストラも任されていないという意味で。今どうしてるんだろう?って興味もあって聴きに来ました。都民交響楽団も好きですしね。特別演奏会なので、往復はがきで抽選ではなく、チケットを買いました。幻ではなく誰でもチケットを買いさえすれば聴くことができます。

松尾さんは小柄で颯爽としていてチャキチャキしている感じ。いい意味で中性的。指揮者だからってことさら男性女性を言うのは意味のないことになりつつありますね。無理して男装の麗人ぶることもないし、自然体でいい。ふつうにかっこいいもん。

でも、「アルルの女」にちょっとあれれ。このオーケストラとても上手いハズなんだけど、聴いていていどこかしっくり来ないの。リズムが甘いような気がするし、管楽器と弦楽器でリズムをとる感覚がずれてるみたい。どうしたのでしょう?弾きやすそうな曲なので油断したかな。松尾さんの指揮も縦の線をびしびし合わせる感じではなかった。もしかして松尾さんってわたしの苦手なタイプの演奏をする人かしら。リズムが切れ切れな演奏が好きなので。

そんな具合で、ちょっとテンションが下がってしまった音楽会、休憩のあとのラヴェルは打って変わって良かったの。「スペイン狂詩曲」は、多分初めて聴くけど(ついうっかりラロのスペイン交響曲を思い浮かべてた)、きちんとしたリズムで、そうそうこういう演奏が聴きたかったのよとなったし、「ラ・ヴァルス」は、スピード感のあるポルタメント多用でアグレッシヴな感じですかっとする演奏。リズムにも切れがあったし、なによりもやることが積極的で気持ちがいいの。松尾さんこういう曲が得意なのかな。松尾さんの指揮は流石って感じで、オーケストラをしっかり引っ張って、にょろにょろと猥雑なこの曲を整理してとても明快に聴かせてくれました。もしかするとこの人、得手不得手の差が大きいのかも知れませんね。もっと聴いてみないと分かりませんが。でも、もっと活躍してもいい指揮者のような気がします。女性指揮者の草分け的存在のひとりなので、男性社会の指揮者界、しかも保守的な日本で難しかったのでしょうか。同じく女性指揮者の草分け的なマリン・オルソップさん(松尾さんより数歳年下)も、USのメジャー・オーケストラ(ボルチモア交響楽団)の音楽監督になるときに一悶着ありましたからね。今は少しずつ女性で活躍する指揮者さんが出てきてるけど、まだまだ。女性が肩を怒らせなくても普通にして男性と同じ土俵に立てるようになって欲しいです。今までいなかった女性指揮者が加わることによって音楽の世界はより豊かになるに違いないから。松尾さんは、その良き道しるべになるに違いありません。

アンコールは、速めのテンポでこの曲が舞曲であることを思い出させてくれた「亡き王女のためのパヴァーヌ」と打って変わって賑やかに華やいだ「カルメン」から「闘牛士の歌」でした。た〜ら〜ららんらん♪と鼻歌うたいながら上野の坂を下りていって岡埜栄泉で好物の豆大福を買って帰りました。mgmg

ついしん:
プログラムに「ラ・ヴァルス」、英語にすると the waltz となってちょっと偉そう(意訳)、the 曲のジャンルというタイトルは他には見ない(バレエの the kabuki)くらいと書いてあったけど、リストの「les préludes」もそうじゃない?the 前奏曲。

by zerbinetta | 2013-12-23 01:28 | アマチュア

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