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来て欲しいときに来ないもどかしさ FAF管弦楽団第46回定期演奏会   

2014年2月22日 @すみだトリフォニーホール

バルトーク:ハンガリーの風景
ブラームス:運命の歌
シベリウス:交響曲第1番

曽我大介/一音入魂合唱団、FAF管弦楽団


バレエのあとは、電車に乗って錦糸町へ。FAF管弦楽団の音楽会です。FAF(ドイツ語読みでエフ・アー・エフだそうです)は、自由に、しかし楽しくの(ドイツ語での)頭文字から来ているとのこと。ブラームスの交響曲第3番の始まりの3つの音でもあるそうです。ということは、ウェブ・サイトで知りました。プログラムの方は、ちょっとわかりにくい表現というか、何かの頭文字らしいということしか書かれていなくて、ちょっとあれれ?でした。

実は、バレエとはいえプロのオーケストラの演奏を聴いたすぐあとだったので、アマチュアの演奏、聴いて大丈夫?っても心配してました。でもその心配は、バルトークの音が聞こえたとたん霧散しました。プロとは違うアマチュアの聴き方に慣れたからではありません(わたし自身は、アマチュアを聴くとき、多分プロに求めるようには聴かないけれど、手を抜いたり要求を妥協して聴くつもりはありません)。上手かった。このオーケストラは、特に弦楽器の音程が良いと感じました。

バルトークの「ハンガリーの風景」はいわゆる難しいバルトークではなく、フォークソングを素直に取り入れた親しみやすい音楽。草の香りのする音楽。懐かしい感じのアット・ホームな演奏だったんですが、わたし、ハンガリーには行ったことがないので、何言ってるか、ですよね。

2曲目は合唱が入ってブラームスの「運命の歌」。この曲、わたし知ってる曲のハズなんだけど、あれれ、知らない曲かしらと戸惑ってしましました。とてもきれいに優しく演奏されたのが、わたしの知ってる、緊迫感に満ちた厳しい演奏とだいぶ雰囲気が違ったからです。さっきのバルトークと同様、とても聴きやすい、慰められる演奏だったのだけど、わたしには物足りなく感じました。音楽が暖かな風のようにさあっと流れていってしまって、ひとりその場に残されてしまった感じがしたからです。でもきっとそれが曽我さんと合唱団、オーケストラがやりたかったブラームスなんでしょうね。コンサートマスターの人が、後ろを振り返ったりしながらアンサンブルしてたのも印象的(ブラームス(アンコールを含む)でしかやってなかった)。

休憩のあとは、シベリウスの交響曲第1番。旋律の息が普通に長いので後期の曲よりは弾きやすいと思うんだけどどうでしょう。今までの曲よりも大きな編成。というのが、弱点になってしまったように思えます。というのは、指揮者が来て欲しいというところで、オーケストラの音量が不足して、来ないというように聞こえたところがいくつかあったからです。クライマックスを期待したのに外されちゃったもどかしさ。これって、オーケストラの力(音量)不足かな。それとも指揮者の力不足?曽我さんは、大きな身振りも交えてオーケストラを煽るのだけど、もしかするとちょっと空回りしていたのかも知れない。曽我さんは、オーケストラに妥協なく自分のやりたいことを伝えようとしているのは分かるし、彼の音楽はステキだと思うけど、オーケストラに魔法をかけるまでには至っていなかったように思えます。でも、全体的には、フレッシュで溌剌とした好感の持てる音楽でした。

そして、アンコールがかっこよかった。最初、何の曲か分からなかったら、耳慣れた旋律が聞こえてきて、ブラームスの「大学祝典序曲」の途中からだったんですね。溌剌としたブラームス。これが、今の指揮者とオーケストラに一番合ってるような気がします。最後の方で、オルガン席に合唱の人たちが入ってきて、学生歌を高らかに歌う演出にすかっとしました。曽我さんとはずうっと一緒にやっているのではないみたいですけど、このコンビで今度は、ブラームスの交響曲の第1番か2番を聴いてみたいと思いました。

by zerbinetta | 2014-02-22 23:32 | アマチュア

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