プロのコンサートマスターの実力 新交響楽団第225回演奏会   

2014年4月6日 @東京芸術劇場

ハチャトリアン:バレエ「ガイーヌ」から
サンサーンス:ヴァイオリン協奏曲第3番
リムスキー=コルサコフ:交響組曲「シュエラザード」

大谷康子(ヴァイオリン)
曽我大介/新交響楽団


首都圏のというよりまず間違いなく日本のアマチュア・オーケストラの中で5本の指に入る実力を持つと思われるオーケストラ、ヘタなプロより上手い新交響楽団の音楽会に行ってきました。場所は池袋ウェストゲートパークの前にある芸術劇場。わたし、どうも芸術劇場って苦手です。音が客席まで上手く飛んでこないような気がするんです。ステージ上で音が鳴っていて、それがもわもわと雲のように客席に広がってくる感じ。1枚のシースルーカーテンを挟んでオーケストラを見ているようです。それはともかく。

「ガイーヌ」は、「剣の舞」「アイシェの目覚めと踊り」「山岳民族の踊り」「子守歌」「レズギンカ」の5曲。「剣の舞」以外は第1組曲から選択されているけど、バレエ音楽の中から選りすぐって選曲した感じですね。
いきなり「剣の舞」だけど、伊福部さんチックの曲だし、こういう音楽がこのオーケストラの根っこかなと思ったら違った。かなりの快速テンポで、裏打ちが表になるんじゃないかと思うドキドキ感。このオーケストラ、こういう曲を勢いで弾くより、しっとりとじっくり聴かせる音楽の方に適正があるような気がする。結構生真面目でお行儀がいい感じがするのよね。でも、面白いほど上手いんだけど。「ガイーヌ」は、録音では聴いたことがあるけど、生で聴くのは初めて。2番目の曲だったかな、フルートの音域のソロをピッコロの低音で吹いているオーケストレイションが新鮮でした。良い曲多いから、バレエで全曲聴いてみたいけど、物語は残念、つまらなそうね。

2曲目のサンサーンスのヴァイオリン協奏曲第3番も初めて。ソリストは東京交響楽団のコンサートマスターの大谷さん。なんと情けないことに、ぼんやりしながら聴いてしまいました。第1楽章の途中でもう2楽章になった(単一楽章の曲かな〜って)と勘違いするほどの体たらく。
初めて聴く大谷さんは永遠のかわいい系の人。仕草もかわいらしくておしゃべりで楽しそうな感じ。そして、コンサートマスターをしているらしい、気配り目配りでソロを弾いてらっしゃいました。特に第2楽章の始まりのオーケストラとの対話は、優れたインタヴュウアのように相手(オーケストラ)の言葉を上手に引き出してステキでした。強い自己主張やキラキラした派手やかさはないけれども、気の置けない仲間との合奏を楽しんでいる感じが伝わってきて良かったです。大谷さんが人気があるのが少し分かった気がしました。ヨーヨー・マさんとかランランさんとか音楽や表情から人柄が伝わってくる人っているんだけど、大谷さんもそのひとりだわ。

休憩後の「シュエラザード」は、黒のドレスに着替えた大谷さんが(客演)コンサートマスターに。プロのコンサートマスター(大谷さんって日本を代表するコンサートマスターのおひとりですよね)の実力に瞠目。こんなにすごいことになるとは、鳥肌立てながら聴いてました。
大谷さん、今度はものすごく攻めてくる。最初のソロから、えっと思うところで弱音で弾いて、オーケストラ全員と会場のお客さんの耳を大谷さんに釘付けに。そのあとも至る所でドキリとする挑発を連発する大谷さん。そしてその挑発に応えるオーケストラのソロの上手さ。ソリストたちの競演。こうなると面白くないはずがない。4つの楽章のソロをそれぞれに違う表情で弾き分けるところも流石。曽我さんの音楽に全面的に賛成するわけではないけれども(テンポとか動かし方とか)、演奏者が自発的に音楽のやりとりをする演奏は大好き。正直、これは曽我さんの音楽と言うよりも大谷さんのシュエラザードでしょう。トゥッティのところも大谷さんが入って芯ができたというか、幅広い音やテキパキと駆けるパッセージ、歌わせ方、一緒に弾いてる人たちもきっと楽しいでしょうね。わたしだってワクワクのしっぱなし。凄いもの聴いたと思ったよ。

アンコールのとき管楽器のメンバーが大幅入れ替え。曽我さんのキューで太鼓がビートを刻んで、「レズギンカ」再び。曽我さんは、ふてくされるように指揮台にこっちを向いて座ってたり、楽しそうにキューを出したり、楽しい指向。オーケストラも太鼓のビートにのっかってノリノリな感じだし、この調子で最初の「ガイーヌ」聴きたかったかも。
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by zerbinetta | 2014-04-06 00:29 | アマチュア | Comments(0)

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