オーケストラは1日にして鳴らず オーケストラconsono第5回定期演奏会   

2014年4月19日 @第一生命ホール

メンデルスゾーン:「真夏の夜の夢」序曲
シューマン:ピアノ協奏曲
ブラームス:交響曲第3番

小川典子(ピアノ)
三石精一/オーケストラconsono


一流のオーケストラの上手さって、ひとりひとりの奏者がどれだけ音楽を知ってるかだと思うんです。技術的にとっても上手で上手く弾けていても、オーケストラの人があまり曲のことを分かっていない、指揮者がどう表現しようとしているのか理解していない、と感じることはプロのオーケストラでもたまにあるし、残念です。本当に上手いオーケストラってみんながちゃんと音楽のことを分かってる。

オーケストラconsono(コンソノって読むのかな。正式名称がラテン文字なのでそのままにしてます)は、オーケストラの理念に、全てのプレイヤーが音楽の常識を理解していること、楽譜に書かれた音符の意味を理解していること、と明確に示しているので、コンセプト重視のわたしとしては興味を持って当然。そして音楽会の入場料が100円という不思議な金額なのにも興味を持ちました(プラス、演奏を聴いて自由な金額をオーケストラの活動の援助として集める)。かなり期待して出かけました。

2年前に設立された新しいオーケストラです。音楽監督(指揮者)は、ヴァイオリン教師の柏木真樹さん。プログラムを読むと独特の理論を持ってヴァイオリンを指導されているようです。それは、オーケストラにも生かされていて、平均律ではない古典調律でのチューニング(実際にはラとドで音合わせ)、ピリオド奏法ではないけどヴィブラートを使わない、などユニークな面がいろいろ。
そして今日は第5回、2年目の区切りと言うことで、柏木さんはコンサートマスターとして座って、指揮者に初めて外から三石さんを(オーケストラ設立時からのプランどおり)迎えたのでした。ソリストにはロンドンと日本で活躍するピアニストの小川さん(ロンドンで聴いたことがあります。小川さんを聴けるのも今日来た理由)。

三石さんは、長年東大オケを振っている大ヴェテラン。小学校のときの校長先生に雰囲気が似てると思っちゃいました。「真夏の夜の夢」が鳴り始めた瞬間、少し疑問符が。管楽器の発音が悪くて、それから、弦楽器は速い音符を弾けているのだけど(結構速いテンポ)、音の響きが弱いんです。楽器が完全には鳴っていないみたいな。それは、たっぷり大きく弾くところでも同じで、それが柏木さんのやり方なのかな、まだ完全に彼の方法を習得していないのか、やり方が間違っているのか(アマチュアでやるには要求が高すぎるとか)それはわたしには分からないんだけど、疑問を感じてしまいました。管楽器の発声は、どの音もアタックが強すぎて、空気の流れを感じながらそれに乗って音を出すような柔らかい発声になっていませんでした。もしかすると、管楽器に良いトレーナーがいないのかもしれませんね。

シューマンのピアノ協奏曲は、小川さんの音ばかりを耳で追っていました(わたし、協奏曲のときはソリストばかり聴いています)。小川さんのシューマンは病的なところのちっともない、明るくキラキラして爽やかな健康そのもののシューマン。いわゆるシューマンじゃないけど、こんな明るくて透明なのもいいな。小川さんはずいぶんと久しぶりにシューマンを弾いたそうだけど、手垢が付いてなくて新鮮な感じで好感度大。小川さんのまっ赤な薔薇を立体的にあしらったドレスもかわいくてステキ。小川さんって可愛らしさがパンフレットとかに載ってる写真と全く一緒でそれもなんだか微笑ましかったです。アンコールにはリストの「乙女の祈り」。これちょっと弾けるよ〜って嬉しくなっちゃいました(弾けるのは前奏だけw)。

休憩の後は、ブラームスの交響曲第3番。耳が慣れてきたせいか最初のときほど違和感がなかったんだけど(席も後ろの方に移った)、弦楽器の音の不足はいかんともしがたいなぁ。第1ヴァイオリンが8人というのは、腕利き揃いでもブラームスには少なすぎると思う。指揮者の三石さんは、がんばっていたと思うんです。わりと容赦なくオーケストラを攻めて立てていましたから。

プログラムの曲目解説も柏木さんと三石さんが書かれたものがとても充実していて読み応えもあるんだけど、まだ頭でっかちかな。音楽の読みや理念の方が、現実の遙か彼方に立っちゃってオーケストラの方がそれについて行けてない感じ。まだ2年。オーケストラは1日にして鳴らずデスね。でも、このオーケストラが成長して柏木さんの高い理想に近づいていけば、良い音楽が聴かれるかも知れません。今回、19世紀後期のブラームスまでレパートリーを広げたけれども、ノンヴィブラートのオーケストラ、基礎体力を養うためにシューベルトやメンデルスゾーンあたりまでをじっくりと取り組むのがいいのかも。これからが楽しみではあります。
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by zerbinetta | 2014-04-19 01:03 | アマチュア | Comments(0)

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