まだまだ続くよ熊さんダンス エステルハージ室内管弦楽団第5回演奏会   

2014年4月26日 @セシオン杉並ホール

ベートーヴェン:「プロメテウスの創造物」序曲
ハイドン:交響曲第82番「熊」
ベートーヴェン:交響曲第1番

松元宏康/エステルハージ室内管弦楽団


実は、去年、このオーケストラの音楽会のチラシを見たときから気になってたの。月を見上げる女の子(OLさん?)の絵がとってもかわいくて。でも去年は他用があって聴けず、今年は同じ日バレエを観るから聴けずと思ったけど、もしかしてバレエが終わってからとことこ歩いて行けば間に合うんじゃないかと思って、聴きに行く仲良しに来いと命令されたので聴きに来ました。大正解。新国から高円寺のホールまで結構距離あったなぁ。電車は都心から放射状(横)に伸びているので、初台からだと上(北)に向かう位置関係だと電車は行きづらいのね。でも歩いたせいでこの辺ラーメン屋さんが多いな、って発見。札幌で有名なお店もホールのすぐ近所にある。あっでも有名だけどわたしは普通のラーメン屋さんと思った。

エステルハージ室内管弦楽団は、その名の通り(エステルハージと言ったらハイドンでしょ。とはいえ、今日演奏される交響曲第82番は彼がエステルハージ家の楽長を辞めたあとの作品。他にもたくさんの作曲家を支援していたみたい)古典作品をレパートリーに据えた2管編成の小さなオーケストラ(ヴァイオリンが5人ずつ。コントラバスはひとり)。ただし、ピリオド楽器のオーケストラではありません(ティンパニは小さめのを叩いていましたが)。メンバーは若い人が多め。仲良しはチェロのすらっとした女の人を目敏く見つけていましたが(何しに来てるんだ)、男の人もイケメン多め、でユニークな髪型の人がぽつりぽつり(何を見てるんだわたし)。

始まりは、ベートーヴェンの序曲「プロメテウスの創造物」。あっ「英雄」の音楽ねって喜んでたら出てこなかった。「英雄」は後ろの方の曲でした。序曲じゃなかった。ちなみにあまり演奏されないけど、劇付随音楽の「プロメテウスの創造物」大好きです。演奏は、オーケストラの音がいいのにびっくりしました。人数少ないのに弦楽器はたっぷり響いてるし、意外(ごめんなさい。それほど期待していませんでした)に上手い。始まりのゆっくりした部分は、わたしの気持ち的には遅すぎてだれた感じがしたけど、速くなって溌剌としてきて良かったです。そう、今日の音楽会のキーワードは溌剌の愉悦。

わたし、オーケストラの上手さの基準は、ハイドンやモーツァルトをきちんと演奏できるかで測ってるんですね。流行のマーラーなんかは、技術的にできていればわりときちんと聞こえるように書かれてると思うけど、ハイドンやモーツァルトって楽譜どおりに演奏できてもちっとも面白くない、というか音楽にすらならない。楽譜に書かれていない音符の行間を読むことで初めて音楽が生まれる。だから、音楽をよく知らない人が演奏しても上手くいかないんだけど、それはプロでも一緒。シンプルゆえにすごい難しいんだと思う。それに、ハイドンやモーツァルトって日本で言ったら江戸時代の作品。今のわたしたちが同じ日本人なのに江戸時代のものを読むのは難しいように、黙っていても理解できる音楽ではないと思うの。音楽は時代も国境も越えるって言うけどそれは真実を含むと思うけど、わたしたちの江戸時代のイメジがテレビの暴れん坊将軍であるように(!)誤解も含んでる。古典を甘く見たらダメ。自戒を含めて。

ハイドンの80番台の交響曲は傑作の森。交響曲の世界を確立して自信に満ちた勢いが迸ってる。第82番の通称「熊」も全曲が舞曲のような活発な音楽。そして演奏は、ハイドンの愉しさを溢れるばかりに浴びせてくれるよう。音も豊かで厚さと勢いがあるし、みんな笑顔で楽しそうで、そしたらこっちまで楽しくならなきゃ損。みんなハイドン好きだよね。こんなハイドン聞かされたら誰でもハイドン好きになるよ。フィナーレの熊さんダンス、「熊」のタイトルの由来になった小さな音符付きの低音弦楽器の唸るような音もぶわーんぶわーんと思い切りよく推進力があって音楽をリードしてる。全力で踊ったフォークダンスのノリで(フォークダンスを全力で疾走するように踊るとまるで違ったようになって面白いのよ。やってみ)、スカッと気持ちいい。終わったように見せかけて終わらないハイドンのウィットも愉しくて、笑顔が止まらない音楽の演奏。いいねいいね。フェイスブックだったらいいねを100回押しちゃう。
そういえば話違うけど第1楽章の提示部の終わりにカッコウ鳴くよね?

ベートーヴェンの交響曲第1番は、ハイドンふうの演奏。というか、ベートーヴェンの最初の交響曲、まだベートーヴェンらしいはちゃめちゃなティンパニの使われ方してないんですね。芽は見られるけどまだ。疾走感のある明るい演奏で、さっきのハイドンの愉しい勢いがプラスに作用して若々しいベートーヴェン。これ好き。指揮者の松元さんは小柄で音符のまわりを快活に走り回って音楽を作っていくさまは羊の群れを追う牧羊犬のよう。指揮者と音楽とオーケストラの一体感がとっても気持ちいい。いつも一緒に練習してるのかしら(アマチュア・オーケストラではゲネプロと本番だけどプロの指揮者に振ってもらうことが多いそうなので)。お互いをよく知っているように聞こえました。松元さん体はちっちゃいけれど音楽は偉大。小っちゃい指揮者と言ったらネゼッチ(ネゼ=セガンさん)だけど、松元さんを入れてちびっ子デュオ。ん?ハーディングさんも入れて若手ちびっ子トリオかな。もちろんわたし的有望指揮者の。松元さんのエネルギッシュな音楽もっと聴いてみたくなりました。エステルハージ室内管弦楽団は、4年前の創設以来ずっと共演しているそうなので、これからもこの良い関係を続けていって、ステキな古典を聞かせて欲しいです。エステルハージ室内管弦楽団は、古典をきちんと演奏できるステキなオーケストラに認定です。正直アマチュアでここまでできるとは思っていませんでした。次回も聴きに行きます!

アンコールは、第1回の演奏会でも採り上げたという団にとっても大切な、「フィガロの結婚」序曲。これまた溌剌と快速テンポでこれから始まるスザンナのおきゃんぶりが楽しみになるような演奏でした。楽しい楽しい。

とても残念だったのはこんなにステキな演奏、音楽会だったのに、お客さんがすごく少なかったこと。もったいなすぎ。もっと宣伝しなきゃ。
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by zerbinetta | 2014-04-26 23:57 | アマチュア | Comments(0)

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