伝える力 横浜市立大学管弦楽団 spring concert   

2014年5月18日 @サントリーホール

サンサーンス:ピアノ協奏曲第5番「エジプト風」
ドヴォルジャーク:交響曲第8番

萩原麻未(ピアノ)
山田和樹、沖澤のどか/横浜市立大学管弦楽団


夜の音楽会は、横浜市立大学のオーケストラ。だってこの間聴いて、ヤマカズさんに大感銘だったんですもの。もちろん、ヤマカズさんお目当て(それに応える学生のオーケストラも♡)なんだけど、実は今日は、沖澤さんをちゃんと聴いてみたいと思ってたんです。前回はがんばれーーって思ったので。それに今日は沖澤さんがメインを振ります。

ヤマカズさんが振るのは前半、サンサーンスのピアノ協奏曲です。ピアニストは萩原さん。だったのに〜〜ぃ、座った席が悪くてピアノの音がよく聞こえませんでした。わたしの好みの席ってピアノが聴きづらい席なのは分かっていましたが、ここまで聞こえなかったのは初めてです。ホールのせいなのか、ピアノのせいなのか。ちょっと残念。
ピアノの萩原さんの手元を見つめながら聴いていたのですけど、柔らかな音色でさらりと弾いていたのが、この曲の何だか紀行番組「世界の情景ーナイル河紀行」の音楽みたいな雰囲気には合ってたかも。座った席での聞こえ方によると思うのですが、静かな叙情的な部分に魅力を感じました。情景的な音楽に感じられたのは、(席のせいで)強音が上手く聞こえなかったからかも知れません。第3楽章には速弾きの部分があって、やっぱサンサーンスってピアノの速弾きが好きなのかも、とも。
ヤマカズさんのオーケストラは、ピアノとの会話を楽しむように上手くつけていたと思います。ヤマカズさん主体じゃないけど、それでもやはり、ヤマカズさんの才能はきらりと感じることができました。ほんとに気持ちよく音楽を演奏させるのはステキ。弾いていたら夢のように時間が過ぎていったのに違いがありません。木管楽器がとってもきれいに響いて、サントリーホールって木管楽器が柔らかく響くホールなんですね。

萩原さんのアンコールは「亜麻色の髪の乙女」。これが不思議な演奏でした。普通の「亜麻色の髪の乙女」を期待したらちょっと違った感じを受けるだろうな。柔らかで叙情的ではなく、かといってつっけんどんと機械的でもなく、ドビュッシーの音楽からは少し距離がある感じで、でもひんやりした風がすっと抜けるような、甘みを抑えた薄いミント水のような。でも乙女は幻。透明な緑色の奥に映る仄かな灯火。

休憩のあとはいよいよ、沖澤さんのドヴォルジャーク。ふくよかに歌うような音楽が始まったとたん少し違和感が。チェロとホルンの間でテンポ感の微妙なずれ。ふたつ振りで大きく降っている沖澤さんのテンポが正確に伝わっていないみたい。音楽が動き出してからは、そんなずれは目立たなくなったんだけど、それでも指揮者の腕が虚しく空を切って沖澤さんの音楽がオーケストラに上手く伝わっていない感じはこの間も感じた。ちゃんと指揮してるんだけど、指揮棒の先からオーラが出ていない。体全体はよく動いているけど音楽が表現し切れていない。きっと彼女は素晴らしい音楽を持っているんだと思うんだけど(メリハリを付けた分かりやすい音楽作りの中にもステキな音楽を感じる瞬間はあったから)、それが伝わらない歯がゆさ。自分の音楽をオーケストラと共鳴させられることが、ヤマカズさんにはあって沖澤さんにはまだない部分。沖澤さんと言うより多くの指揮者だけど。沖澤さんはまだ若いので(20代?)経験によるところも大きいでしょう。でも、ひとつ感じたのは、沖澤さんあまり顔に表情を表さない感じなの。口をむっつりつむって、もちろん指揮者は音を出してはいけない(そうでもないけど、一応ね)唯一のパートだけど、歌ってもいいんじゃないかって思った。声楽もやってるみたいなので自然に歌えると思うし(モンテヴェルディのアンサンブルは指揮だけかな?)。ラトルさんを見習って眉毛で指揮するのもいいし、ヤマカズさんという偉大な指揮者がそばにいるのでフォースの出し方を盗んで、裡にあるものを全部オーケストラに伝えられるようになって欲しいなって思います。

横浜市大のオーケストラは、指揮者について音楽をやろうという意気込みに満ちていました。楽譜を見ないで、指揮者見てる率がうんと高いの。これはいい。この間の音楽会で、アンコールのとき譜面を閉じてまわったヤマカズさんの薫陶かしら。欲を言えば、指揮者を見つめるばかりじゃなくて、周りを見るようにもなったらいいな。音楽ってみんなで作るものだから。みんなで合わせる自発的なアンサンブルってとっても大事だし、きっととっても楽しいよ。コンサートマスターの隣(次席)に座っていた人が、コンサートマスターが短いソロを弾いたり、ちょっと休みがあるときに、彼女の方ににっこりと満面の笑みで微笑みかけてたのがステキ(ふたりとも女性です)。音楽ってやっぱりコミュニケイション。ここからアンサンブルが始まるもの。

アンコールは「眠れる森の美女」からワルツ。バレエの音楽ってシーンが思い出されてワクワクする。指揮者もオーケストラもリラックスした風で、良く鳴ってて良かった〜。緊張しながらリラックスすることも大事よね。


♪♪
横浜市立大学管弦楽団の次の音楽会は、第45回定期演奏会が12月24日、みなとみらいホールです。角田鋼亮さんの指揮で曲目は未定。
[PR]

by zerbinetta | 2014-05-18 23:50 | アマチュア | Comments(0)

<< 原点回帰とロシア音楽の原点 ア... 音楽の家族 テオフィルス室内管... >>