原点回帰とロシア音楽の原点 アウローラ管弦楽団第11回定期演奏会   

2014年5月24日 @第一生命ホール

リャードフ:8つのロシア民謡
チャイコフスキー:ピアノ協奏曲第1番
ルビンシテイン:交響曲第2番「大洋」

赤松林太郎(ピアノ)
米津俊広/アウローラ管弦楽団


アウローラ管弦楽団は、わたしにアマチュア・オーケストラのおもしろさを教えてくれた大切なオーケストラです。良い意味でも悪い意味でも、わたしの思うアマチュア的、というか、弱点もひっくるめて面白いんですよね。そのオーケストラが、第10回の記念演奏会(凄まじい法悦)の次に歩み出したのは、原点に還って小さなサイズ、2管編成のオーケストラで小さめのホールでの音楽会。チャイコフスキーの有名曲、ピアノ協奏曲第1番に、やっぱりそう来るかと珍しい、ルビンシテイン(カタカナ表記はプログラムによる)の交響曲「大洋」。ほとんど演奏されませんよね。わたしがプログラムで見たのは初めてです。今ひとたび、始まりに戻って新しい歩みを踏み出すのに、ロシアの交響曲の隠された原点と言うべき「大洋」を持ってくるあたり、ロシア・オーケストラとしての矜恃を感じますね。

最初はリャードフのかわいらしい小さな「8つのロシア民謡」。リャードフは音で絵を描くのが上手い人だと思うとおり、民謡を通してしっとりとときにはコミカルに素朴な情景を描いていました。オーケストラの各パートがしっかりと歌っているのでとても良く聞こえたのですが、特に眼帯をしたチェロのソロが深みのある幅の広い音でステキでした。ソロに導かれて出てくるチェロのパートソロも良かったです。目の方はお大事に。

2曲目はピアノ協奏曲。この間の轍を踏まないように、今日は少し後ろの方に座ってみました。ピアノはばっちり。
赤松さんのピアノは、フレーズにドキリとするような小さなためを付けたり、音の出し入れに独特のものがあって面白かったです。特に弱音で抜くところにはっとなりました。
聴き慣れた名曲(主にCDで。音楽会では10回も聴いてません)なので、ちょっと辛いんですけど、オーケストラはがんばっていたものの、欲を言えば、柔軟性が欲しかったです。練習どおりに弾いたみたいな感じで、即興的なピアニストとの対話がなかったように感じました。特に、第1楽章の後半でピアノとオーケストラが同じフレーズで会話を交わしながら盛り上がっていくところで、ピアノがけしかけているのだけど、オーケストラはそれには反応せず自分たちがやって来たことをそのままやってしまって、いつまでも音楽が交わらないように聞こえてしまったのが残念です。本番の演奏って練習の成果を見せるのではなく、そのときにしかない音楽的な対話、丁々発止のやりとりを聴きたいんです。それがあまりなく、ピアニストとオーケストラの音楽が交わることなく硬直して存在していたように聞こえたのが、物足りない部分です。これは指揮者の責任によるところも大きいのかも知れませんが。それにしても、ティンパニの打ち込みは凄かったな。わたしにんまり。
ピアニストのアンコールは、スクリャービンの練習曲から。キラキラと言うより柔らかなタッチで弾かれて、ショパンっぽさを残すような感じ。赤松さんのピアノで、スクリャービンのソナタを順番に聴いてみたくなりました。どんな風に変えていくだろうって思って。

「大洋」は、改訂を重ねて、最終的には7楽章になったそう(そしてそれはチャイコフスキーにいささか凡長すぎると批判された)だけど、今日はオリジナルの4楽章版。それでも40分くらいある壮大な交響曲。プログラムには、メンデルスゾーンなどを思い起こさせると書いてあったけど、わたし的にはチャイコフスキーを思い出させるというか、チャイコフスキーの根っこを感じました。チャイコフスキーの師匠なので当たり前だけど。でも、いくら西欧の影響を受けているロシアのクラシック音楽の黎明期のひとりとはいえ、ロシアの血は流れてると思いました。ブルジョワ的なのが(ロシア5人組の作曲家に)嫌われてのかな。メンデルスゾーンぽかったのは、最後のコラールかな。
聴き応えのある曲だけど、やっぱり長いかな。歴史的には、ロシアで最初の交響曲という重要なポジションにあるんだけど、ただの音楽聴き的立場で言えば、チャイコフスキーがあればいいかな(いつも聴きたくなる音楽ではなかった)。
演奏については、初めて聴く曲なので細かいことは分からないけど、今回、西欧的なまるみのあるロシア音楽を聴く限り、オーケストラの(音色的な)荒さが目立ちました。なので今のこのオーケストラには、荒っぽさがあまり欠点にならないごつごつした裸のロシア音楽の方が合っているように感じました。ムソルグスキーとかボロディンとか。ロシア音楽への愛に溢れた(これから愛する人も)オーケストラ、ぜひぜひ、長く続けて、広大なロシア音楽の神髄を究めていって欲しいと思います。知られざるロシアの名曲、まだまだ教えて欲しいです。

アンコールは「くるみ割り人形」から「トレパック」で賑やかに音楽会は終わったのでした。


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アウローラ管弦楽団の次の音楽会は、第12回定期演奏会が来年の1月10日、すみだトリフォニーホールです。ラフマニノフの交響曲第2番、他。
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by zerbinetta | 2014-05-24 00:36 | アマチュア | Comments(0)

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