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やってもやっても切りがなーい ハーディング/新日フィル リハーサル   

2014年6月27日 @すみだトリフォニー

ブラームス:交響曲第1番

ダニエル・ハーディング/新日本フィルハーモニー管弦楽団


(今回も文句ばっかりです)
トリフォニーホールのウェブ会員(無料)の再登録をしたら新日フィルのリハーサルに招待されたので、午前中にかかわらずのこのこ出かけてきました。リハーサル大好き。

ハーディングさんと新日フィルは、わたし的にはダメダメだし、ハーディングさんのブラームスの交響曲第1番は前にロンドン・シンフォニーとのを聴いたとき納得がいかなかったので、本番には行きません(というか安い席(といっても高い)売り切れてた)。本番の音楽会では、この曲の他にピアノ協奏曲第1番もやるのだけど、午前のリハーサルは交響曲のみ。協奏曲のリハーサルは午後に入っているようです。

私服の団員さんたちがステージで音出し。遅刻してくる人、いないのね(ロンドン・シンフォニーは遅刻者いた)。
ハーディングさんは、冒頭からやり始めたんだけど。。。あのティンパニの連打が。。。打ち進むごとに緊張感がなくなってぼんやりしていくのって、なぜ?1回止めて2度目はまだ良くなったけど、ちょっとあんまりじゃない。ティンパニはオーケストラの楔なのに。ハーディングさんは細かく、分奏したりして、リハーサルを進めていくんだけど、50分弱の曲に正味2時間半程度のリハーサルじゃ全然追いつかない。4楽章なんかは最初の部分をちょっと弾いただけ(せっかく来たトロンボーンの人たちにアリバイを残すように)。もちろん、今日が初めてのリハーサルじゃないだろうし、リハーサルの時間はたいていこんなものだから、というより、1日のプログラムを午前と午後に分けてやるので長いと思う、でも、これじゃ練習時間がいくらあっても足りない。ハーディングさんはかなり基礎的なところも練習させてました。もちろんプロだから弾けてなくはないんだけど、音楽ができてないの。オーケストラの基礎ができていないからかしら。

新日フィルのことばかり悪く言ってるけど、首都圏のオーケストラって、それぞれのオーケストラの芯というか形(音)を作ることがおろそかになっているような気がするのです。脱線すると、例えばホールの問題。どこのオーケストラもひとつのホールに定期演奏会を固定しないで、いくつかのホールで定期演奏会をしてる(東響のように地方都市にもフランチャイズを持っているというのはいいんです)。オーケストラの音はホールが作るのに、いろんなところで弾くから音の芯が作れない。前に、ニューヨーク・フィルがエイヴリ・フィッシャー・ホールを離れて音響の良いカーネギー・ホールに本拠を移す議論があったとき、ニューヨーク・フィルの音が失われるからダメだみたいな意見があって、(実際には他にもいろいろ要因があったのだけれども)ボツになったことがあるの。わたしもあの輝かしい金管の音は、音の悪いエイヴリ・フィッシャー・ホールでこそできたもので、カーネギーに移ったらほわほわになるなって思って心の中で反対していたので、計画がおじゃんになったと知って嬉しかった。脱線しちゃったけど、首都圏のオーケストラって本拠となるホールとの関係が希薄すぎると思うの。新日フィルもここトリフォニーが本拠だけれども定期公演はサントリーホールでもやるし、例えば今回のブラームス・サイクルの3回の公演のうちトリフォニーは1回(同じプログラムを2回という方が正確かな)だけ。新日フィル、トリフォニーで聴くよりサントリーで聴いた方が良いという人もいたりして。だめじゃん。

それともうひとつ、というか今回こちらが言いたかったのだけど、指揮者の役割が曖昧でどのオーケストラも実質的な責任指揮者がいないと思うの。これはいつかちゃんと書こうと思ってるんだけど、オーケストラの音を作っていく核になるひとりの指揮者、英語だと principal conductor とか chief conductor とか music director と呼ばれている職分、がいないのね。日本のオーケストラの指揮者の職分の名称ってもうこんがらがっちゃってて何が何だかさっぱり分からないんだけど、新日フィルの場合は、メッツマッハーさんが conductor in residence(日本語では何と言うのだろう?)と music partner of NJP(これも意味不明の職分だわ)のハーディングさんが責任指揮者と言うことになるのかしら?あら、music adviser なんて方もいるぞ。故人だけど。。。アドヴァイザーの方は霊界からオーケストラを導くのかしら、なんて冗談はともかく、メッツマッハーさんとハーディングさんがそれぞれシーズン定期の1/4ずつの公演を振るそうです。では、新日フィルの音を作る責任指揮者は誰でしょう?
例えば、ベルリンフィルと言えばカラヤン(ちょっと古い?)と言うようにカラヤンがベルリンフィルの音を作ってきたし(今はラトルさん。カラヤン時代、アバド時代とは随分音が変わってきてるでしょ)、オーマンディーとフィラデルフィアとか、必ず主席指揮者とオーケストラの音は結びついてる。今はひとりの指揮者がそこまで強烈にオーケストラに君臨することは少なくなったけど、でも、マリインスキーと言ったらゲルギーだし、フィラデルフィアはネゼッチが現在音作り中(まだ就任2年目)。
わたしは、メッツマッハーさんもハーディングさんもとてもやりづらいと思うのね。だって、どちらが新日フィルの音に責任を持っているか分からないじゃない。ウィーン・フィルのように(N響もそうかな?)主席指揮者を置かずに客演だけでやっているところもあるけど、あそこは余暇のオーケストラだからねぇ(彼ら(ウィーン)の本業はオペラのピット)。外国人だから(時間的に)難しいなんて言い訳しないで、ひとりの指揮者にきちんとオーケストラを育ててもらった方がいいんじゃないかと思うんです。できたら、ドホナーニさんとかみたいに徹底的に厳しい人に。
今の新日フィルの力では、ハーディングさんのやりたいこと、以前のもっと基礎的なところで躓いているようにわたしには思える。2兎を追わずに、メッツマッハーさんかハーディングさんかどちらかひとりに決めて(もうひとりは首席客演指揮者に)オーケストラを任せてしまったらいいのにと強く思います。そうしたら、ハーディングさんももっとできると思うのに。

もちろん練習と本番は違います。本番では化けたのでしょうか?

by zerbinetta | 2014-06-27 01:00 | 日本のオーケストラ

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