トランクイロの音楽 葛飾フィルハーモニー管弦楽団第47回定期演奏会   

2014年7月6日 @かつしかシンフォニーヒルズ モーツァルトホール

ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」
ドビュッシー:小組曲
ベルリオーズ:幻想交響曲

石崎真弥奈/葛飾フィルハーモニー管弦楽団


葛飾フィルハーモニー女性指揮者シリーズ(勝手に命名してます)。前回、田中祐子さんがこのオーケストラを振ったのを聴いて、指揮者もオーケストラも良かったので、今回のチケットを取ったんです。指揮者は田中さんと2012年の東京国際音楽コンクールで1〜3位なし入賞を分け合った(+聴衆賞の)石崎真弥奈さん。まだ20代の指揮者です。このコンクール、入賞者には結構今活躍されている方おられるんですね。コバケンさんや井上ミッチーさん、最近では川瀬さんや下野さんなどなど。田中さんや石崎さんにもこれからぜひ活躍して欲しいですね。

葛飾フィルハーモニーはとても恵まれたオーケストラ。区の支援を受けて、練習場所に困らないし、トレーナーもたくさん。これは良い演奏をしなくちゃデスね。

まずは、「ローマの謝肉祭」序曲。石崎さんはいろんなメロディが賑やかに駆け巡る音楽を手際よく捌いていくけど、これはしょうがないとは言え、フォルテの速いパッセージで弦楽器の音量が落ちてしまうのは、おしいなぁ。華やかに盛り上がる部分だもんね。

2曲目の小組曲は、印象派の絵のような音楽だと思うのだけど、例えば、第1曲目の「小舟にて」は、わたし的にはモネの池の絵の上に舟を浮かべたイメジなんだけど、今日の演奏は、もう少し強い日差しのゆったりとした波のうねりを感じました。ターナーの絵かな。強奏でも決して音を割らない、柔らかな色彩の音にまとめているのは良かったです。

でも、指揮者の特徴が出たのは、やっぱり「幻想」。大好きな、というかどういう訳か、最近ますます好きになっていく曲。この曲を聴くと思うとつい嬉しくなってにんまりしちゃうんです。今日はどういう演奏になるんだろう。
石崎さんの指揮は、丁寧だけど最初少し物足りなくも感じました。オーケストラをしっかりつかまえてはいるんだけど、安全運転というか。もう少し大胆に仕掛けていっても良いのでは、と感じました。仕掛けられる曲ですしね。とはいうものの、後半、第4楽章からは、オーケストラの音を解放して、ばんばん吹かせていたのがとっても良かったです。金管楽器も打楽器も大張り切り。5楽章の鐘はステージの外に置いて、そちらに指示を出すのも忙しく、チューバには思い切りアクセントを付けて、表情付けが表現主義的でわたし大喜び。最後をもっと追い込むようにするともっとわたし好みなんだけど、それはそうとして、じんわりと涙。この指揮者上手いなって思った。でもね、多分、一見、石崎さんの特徴は、最後の方で見せた、オーケストラの音を解放する力と言われるかもしれないけど、わたしは、彼女の大きな美点は、前半でときどき聴かせてくれた、絶対的なトランクイロ(日本語にはしにくいんだけど敢えて言えば静寂)の表現じゃないかと思いました。音楽の起伏の中でフォルテがあって相対的に決められるのではなくて、最初から何ものにも影響されないトランクイロ。ヒースの荒野にひとり立ったような孤独な静寂。こんな風な音楽を発見したのは、随分前に聴いたエッシェンバッハさんのリハーサルのとき(マーラーの交響曲第6番)で、同じような音楽をすごく久しぶりに石崎さんに見つけて、ぅわ〜と思ったんです。これって、とってもユニークな美質だと思うので、ぜひ、育てていって欲しいです。石崎さん、まだまだまだこれからだと思うけど、良い指揮者になって欲しいな。

アンコールはラヴェルの「マ・メール・ロア」から終曲(「妖精の園」)。アンコールって、曲名を言ってから演奏される場合もあるけど、何が聞こえてくるかわくわくと構えるのも好き。静かに始まって、だんだん音楽の形が整えられてきて、あっ、この曲知ってる!ってなったときの嬉しさ。「マ・メール・ロア」はイントロクイズで当てられるほど知らないからね。
お客さんも地元の人多そうだし、定点を持って地元でしっかり活動している(団員は他所から来ている方も多いのでしょうが)のはとってもステキですね。わたしは地元、ではないけど、今の家からは一番行きやすいホールのひとつなので応援してます。


♪♪
葛飾フィルハーモニー管弦楽団の次の音楽会は、第48回定期演奏会が12月7日、かつしかシンフォニーヒルズです。珍しい、ニールセンの交響曲第3番だって♪
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by zerbinetta | 2014-07-06 00:35 | アマチュア | Comments(0)

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