これは恋です 瀧村依里+orchestra failte第3回演奏会   

2014年7月27日 @習志野文化会館

ベルリオーズ:「ローマの謝肉祭」序曲
メンデルスゾーン:ヴァイオリン協奏曲
シベリウス:交響曲第2番

瀧村依里(ヴァイオリン)
村本寛太郎/orchestra failte


恋って天啓のように突然やってきます。そして好きになるのはみんなが認めるイケメンくんとは限らず、何と言うこともない人になぜか恋することもあります。自分でも分からない不思議な感覚。それが恋。な〜〜んて恋愛が苦手種目のわたしがとくとく言うことじゃありませんね〜〜。
音楽家さんとの出逢いも同じようなことがありますね。わたし一押しのプチ追っかけをしてるアリーナのときもそうでしたし、今日、ヴァイオリンを聴きに来た瀧村依里さんもそうなんです。大雪の降った日、上野でこれもアマチュア・オーケストラとベートーヴェンの協奏曲を弾いたのを聴いて淡い恋に落ちました。依里さんは、ウィーンから帰ってきて去年の暮れから、読売日本交響楽団の第2ヴァイオリン、トップの契約団員として活躍されている若手ヴァイオリニストさんです。日本音楽コンクールで優勝したり華々しい履歴を持った方ですが、ソリストとして活躍されるより、オーケストラや室内楽奏者としての活動に重きを置いてらっしゃるみたいですね。

orchestra failte(オーケストラ・フォルチェ)は、結成2年目の若いオーケストラです。団員さんも若い方が多いです。村本寛太郎さんが常任指揮者で年に1度ずつ、アンサンブルとオーケストラの演奏会をしているようです。オーケストラの演奏会、今日のが第3回です。習志野文化会館に来るときはとても暑いというイメジがありますが、今日も熱烈暑かった。
音楽会が始まる前、ロビー・コンサートがありました。珍しい、ファゴットのソロと2重奏、トロンボーンのアンサンブル。ロビー・コンサートは、おちゃらけというかむにゅむにゅ。ファゴットの曲は、ファゴットらしくてとぼけて面白かったです。ファゴットだけの曲を書く作曲家いたんですね。

始まりは「ローマの謝肉祭」、昨日も聴いた。さすがにプロのオーケストラとはひとりひとりの技量が全く違うので比べようもないのだけど、丁寧な音作りは好感度高いです。つかみOK。

お待ちかねの依里さんがソロを弾くメンデルスゾーンの協奏曲は、期待通りの演奏。依里さんの音楽って、控え目で、尖った主張は聞かれないのだけど(もしかするとそこが物足りないと思う人はいるかと思う)、とても丁寧で、寛いだ感じの空気感が音楽を微笑みを持って聴かせてくれるんです。美しいメロディに溢れてるメンデルスゾーンの協奏曲はそんな依里さんの美質に合っていて、ふわりと青空に浮かぶような感覚もあって良かったです。とても上手い人だと思うんだけど、決してひけらかさないんでね。メンデルスゾーンの協奏曲として、誰が聴いてもああこれだと思わせる模範的な、それでいて正しいのではなく、ステキな演奏でした。依里さんへのひと耳惚れは正解だったみたい。恋の確信。オーケストラの仕事が多くて、リサイタルや室内楽がどのくらいできるのか分からないけど、なるべく(プチですから)追っかけていきたいとほんわかと思いました。モーツァルトの協奏曲とか聴きたいな。
アンコールにはオーケストラ伴奏を付けてエルガーの「愛の挨拶」。これ、ほんとはピアノの伴奏で軽やかな音楽だと思うのだけど、オーケストラのもったりとした伴奏に依里さん自身のちょっと重たい演奏が、朝の行ってらっしゃいの軽いキスが、本格的な大人のキスのようになっちゃって、これはちょっとわたし的にはどうかと思いました。kiss & rideはワシントンDCの地下鉄の駅に書いてあって、みんなチュッとして出かけていくんだなと微笑ましく思っていたんだけど、ロンドンではkiss & ride禁止の無粋な看板があったりして、ディープなキスが渋滞を引き起こすからなんだろうけど、ってそんな「愛の挨拶」を思い出してしまいました。
休憩後のシベリウスにも依里さん、着替えて、第2ヴァイオリンの片隅で弾いてらっしゃってたのが好感度大大。この前もそうだったけど、オーケストラで弾くのが本当に好きなんでしょうね。今日のオーケストラは、依里さんと同世代の人が多そうなので和気藹々な感じも良かったです。

最後のシベリウスの交響曲第2番は、難解というか一筋縄ではいかないシベリウスの交響曲の中では、一番普通っぽい曲。シベリウスって日本では人気だけど、分かってるってかかると実は分かってなくて足を掬われちゃう怖さがあると思うんですね。今日の演奏は、技術的な限界はあるけど、とてもよく練習してしっかり準備された満足できる演奏だったと思います。このオーケストラならでは、というのはこれから見つけていく課題だと思うけど、この若いオーケストラのこれからの成長が楽しみに思える一里塚になったように思えます。指揮の村本さんは、彼の個性を発揮するには少し物足りなかったけど、オーケストラを上手にコントロールしてオーケストラから積極性のある音を引き出していたのはステキでした。常任指揮者ということなので、これから関係が深くなってオーケストラと共にやりたい音楽をより高い次元で作れるようになるのを期待して聴いていきたいと思っています。

アンコールは、シベリウスの「アンダンテ・フェスティーヴォ」。弦が少し弱いのでどうかなと思って聴き始めましたが、清冷な響きでちょっとじんときちゃいました。とっても良かった。


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orchestra failteの次の公演は、第4回定期演奏会が来年1月25日、新宿文化センターです。ブラームスプログラム。
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by zerbinetta | 2014-07-27 00:56 | アマチュア | Comments(0)

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