数寄者 オーケストラ《エクセルシス》第5回演奏会   

2014年9月23日 @杉並公会堂大ホール

テオドール・デュボワ:アドニス ー3部からなる交響詩
フィリップ・ゴーベール:海の歌 ー3つの交響的絵画
アルベリク・マニャール:交響曲第4番

大浦智弘/オーケストラ《エクセルシス》


こんな作曲家いたのか、こんな曲あったのかというマニアックなクラヲタ心をくすぐる曲ばかりを演奏してるオーケストラ《エクセルシス》の音楽会を聴いてきました。
アマチュア・オーケストラの利点のひとつは、お客さんのことをあまり考えずに好きな曲を選曲できるということでしょう。よっぽどのマニアじゃないと知らないけれども、実は良い曲だったり、たまには聴いてもいいんじゃないっていうような曲を遠慮なく音楽会にかけられる。プロのオーケストラだと定期演奏会に、ブラームスに紛れ込ませたり、ましてやメインに聴いたことのない作曲家のだと、文句を言ってくるお客さんがいるそうだから大変。悲しいというか情けないことだけど。
アマチュアのオーケストラの中には敢えて、そんなマイナーな音楽ばかりを採り上げたり、ロシアものとかショスティー専門とか、日本の作曲家とか、今度フランス専門のができるみたいですけど、小さなニッチェを攻めていくユニークなオーケストラが結構あります(あっ!プロだったらバッハ中心のBCJがありますねっ)。初めて聴く(去年は聴きたかったけど他に予定があって泣く泣くあきらめた)エクセルシスは、国や地域に囚われず広くマイナーな作曲家の作品を発掘してくれるオーケストラ。今日はフランスもの。わたしの知ってる、聴いたことのある作曲家は、マニャールだけ。

前半の2曲は、どちらも日本初演、詩にインスパイアされた交響詩(的)な作品。なので、音楽に先だってその詩がフランス語で読まれました(わたしたちは訳をプログラムで)。どちらの曲も絵画的だけど、内容は対照的で、ギリシア神話のアドニスの物語に想を得たドゥ・リールの詩に作曲された「アドニス」は、いきなり激しい悲しい音楽、フォールの「海のバラード」に作曲された「海の歌」は大らかな海の情景に始まる曲。のんきな「海の歌より」、アドニスの死と(春の)再生を音楽にした「アドニス」の方が好きだったかな。ただ、どちらもドビュッシーの影にあって、音楽会で頻繁に演奏されるという曲ではなさそうです。自分だけの秘密の佳曲としてCD棚の隅っこにあるのをときどき取り出してふふふふふと聴くのがちょうど良い愛で方のような気持ちです。

後半のマニャールの交響曲4が気合いの入った好演。お客さんが少なかったのがもったいない。
それにしてもマニャールの曲は複雑でどこに連れて行かれるか分からないアドヴェンチャー。最後唐突にアーメン終止になったり、突然ヴァイオリンがソロ弾き始めたり、無理やりフーガにしてみたり。力業。演奏する方も大変だったに違いない。果敢に挑戦するオーケストラもオーケストラだな。指揮者の大浦さんも数年前、この曲の日本初演をした人。そして、ここから始まった、知られざる音楽を演奏する旅。

知られざる曲を聴くのは、一期一会。もしそれが、良くない演奏だったら、曲が悪いのではなく演奏が悪かったのに、その曲をまた聴きたいフォルダーにしまわず、ゴミ箱にドロップしてしまうと思うんですね。新作もそうですけど、地域初演を含めて初めて音になる曲を演奏する人は、それなりの責任感を持ってきちんと演奏しないといけないと思うんです。それって、アマチュアには荷が重いと思うんです、って最初に書いたことと矛盾してるんですが。でも、今日の《エクセルシス》は、初めましての曲をきちんと提示してくれました。もちろん、演奏はプロには敵わないです。でも、下手なプロ以上にひとりひとりが音楽にきちんと向き合った演奏をしていたと思います。少なくともわたしには、みんなが曲をきちんと理解して弾いてるのが分かりましたし、音楽の姿が伝わってきました。

知られざる音楽を演奏するのは大変だと思います。楽譜の準備もあるし、録音もないような曲だと、どう演奏していいのか想像つかなかったりもするでしょう。様式に慣れないこともあるかもしれません。ウィキペディアにも出てなさそうなので、プログラムの解説を書くのも大変。でも、大浦さんとオーケストラは、演奏も解説もほんと良い仕事をしてると思いました、音楽愛好家として。いえ、音楽好事家として。愛すべき数寄者たち。わたしも仲間に加えてもらいたいくらい。

ダンディ「旅の画集」より「緑の湖」。ダンディって「フランスの山人の歌による交響曲」くらいしか知ってる曲ないけど、こんな曲書いてるんですね。ゆるやかな舞曲のような爽やかな午後のピクニック。
今日はひとつとして知ってる曲なかったけど、面白かった〜。視野が少し広がったみたい。


♪♪
オーケストラ《エクセルシス》の次の公演は、第6回定期演奏会が来年の9月22日、杉並公会堂です。映画音楽作曲家の純音楽プログラムですって。どんな知らない曲が聴けるか、楽しみです。
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by zerbinetta | 2014-09-23 01:21 | アマチュア | Comments(0)

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