時代遅れな昭和の香り オーケストラ・ニッポニカ第26回演奏会   

2014年11月9日 @紀尾井ホール

安部幸明:オーケストラのためのセレナーデ
     弦楽のためのピッコラシンフォオニア
     オーケストラのための交響的スケルツォ
     交響曲第2番

鈴木秀美/オーケストラ・ニッポニカ


近・現代日本のオーケストラ曲(とその周辺の外国作品)を専門にしているオーケストラ・ニッポニカになんと、古楽(チェロ)の専門家、はいどん楽遊会の楽長、鈴木秀美さんが指揮者として登場!秀美さんは自身の古楽器オーケストラ、リベラ・クラシカや名古屋や山形などいろんなオーケストラで指揮されてるけど、レパートリーは古典派からロマン派初期がメイン。現代音楽を振ることなんてめったにないんじゃないかしら。今日はその稀なチャンス。安部幸明の作品集。安部がチェロを弾く人だから?それにしても全く名前を存じ上げない作曲家。マーラーが亡くなった明治44年生まれ(平成18年没)。

安部さんの音楽は非常に平明。ヨーロッパの音楽で言ったら新古典派くらいな感じ。メロディアスなヒンデミットみたいな。そして、大きな特徴は、和を感じさせないところ(解説には日本的な要素で書かれていると書いてあったけど、わたしはそれをほとんど感じませんでした)。安易に日本的な旋律や和声、リズムを用いないところが潔い。民謡を単に西洋楽器に弾かせただけの音楽なんてウンザリですから。(今日演奏されなかった「シンフォニエッタ」には和を感じさせるところはありますね)
それでいて、音楽からなぜか記憶の中の日本の情景を呼び覚まされる感覚もあって、それは昭和。明るい昭和。住宅街(もちろん昭和の家)の坂道を下ると向こうに海が見えるとか、デパートの大食堂の心象風景とか、心の奥に焼き付いていた記憶がひらひらとはがれて浮かんでくる。そう考えるとやっぱり日本人の作品なんだ〜。

全ての曲が初耳なので(それはそうか。作曲家の名前も初めて知るんだもん)、どの曲がどうというほど個々の曲に記憶はないのだけど、どの曲も職人的によく書けていると思うし、楽しいし、センスの良い面白さはあるんだけど、知られざる佳曲という感じかな。メインストリームには来ない。CDがあったらクラヲタ的むふふコレクションとして持っていてもいいかなくらいな。偉そうにw

演奏は、やっぱりニッポニカの皆さん上手い。ただちょっと気になったのは、秀美さんの指揮のせいかリズムに甘いところが時折見られたこと。いや、秀美さんの指揮の仕方とかじゃなくて、リズムの複雑なこういう曲にちょっと慣れてないんじゃないかって思ったので。それとも敢えて目をつむって横の流れを重視したのかな。

プログラムはいつものように超充実。もしかして、このオーケストラの演奏会のライヴ・レコーディング(今日のも将来CD化されるのかな)とプログラム冊子さえあれば、貴重な日本のクラシック音楽の百科事典ができるんじゃないかな。今後もどしどし、めったに演奏されないのも含めてありとあらゆる日本のオーケストラ作品を演奏してライブラリーに加えて下さい。プロよりプロフェッショナルな仕事をするオーケストラだわ。


♪♪
オーケストラ・ニッポニカの次の公演は、第27回演奏会が5月17日、紀尾井ホールです。1958年の作品達。「エローラ交響曲」楽しみ〜〜。
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by zerbinetta | 2014-11-09 13:20 | アマチュア | Comments(0)

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