わりともやもや感 大野和士/都響   

2014年12月8日 @東京文化会館

バルトーク:弦楽器、打楽器、チェレスタのための音楽
シュミット:交響曲第4番

大野和士/東京都交響楽団


来シーズンから都響の音楽監督になる大野さんのプレお披露目?曲目で選んじゃいましたよ。弦打チェと滅多に演奏されない(初めて聴きます)シュミットの交響曲なんだもん。聴かずにはおれないでしょう。

弦打チェレスタのための音楽は、上の方の席で聴きました。大野さんの演奏は、バルトーク特有の灰汁が少なくて都会的。ハンガリーの言葉の持つ訛りのようなものがなくスマートな普遍的な音楽になっていました。全員が日本人で演奏するのですから、そしてお客さんもほとんどが日本人、そういうアプローチは必然でしょう。速い楽章でのフォーク・ソングっぽさが希薄で、わたしは今日の演奏は遅い楽章(1楽章と3楽章)の表現の方が好きだったんだけど、スッキリとしたさらりと透明な感じの音楽でした。中学生の頃、ゲンダイ音楽だと思っていた曲も、今こうして聴くとつるりと美しい音楽。ただちょっと疑問に思ったのが、(特に速い楽章で)アンサンブルに乱れがあったと感じたこと。あと音楽を丁寧に作りすぎて、勢いが余り感じられなかったことでした。上の遠くで聴いていたせいもあるかもしれないけど、音楽があまり届いてきませんでした。そうだとすると、日本のオーケストラも世界の一流レヴェルに肩を並べられるくらいって思ってたけど、実はまだまだなんですね。残念だけど。一流のオーケストラはどのホールのどこでも響かせる上手さをもっていますから。でも、日本を代表するオーケストラのひとつ。大野さんとの新時代でステップアップしていって欲しいです。

休憩のあとは、下に降りてわりとかぶりつきで聴きました(結構空いてた)。シュミットの交響曲は大好きなのでとっても楽しみにしていました。この機会を逃すと、もう聴く機会はこなささそうと思うくらい滅多に演奏されないので、耳に神経を集中させて、力んで聴いてしまいました。それがきっと間違いのもと。シュミットの曲って鋭く聴く音楽じゃないです。何と言うか、不健康で、馥郁として熟れきってる、というか食べたらお腹壊すかもというくらい熟成の進んだ、言葉を換えると腐りかかった音楽だと思うんですね。特にこの4番は。始まりとお終いの孤独のトランペットのソロだって、ぴーんと張り詰めた鋭い孤独感ではなくて、霧の中の曖昧な諦めに近い孤独の感情だと思うんです。今日の演奏では、(ソロは確かに難しいし緊張するんですけど)空気が凍っていた感じがしました。もう少し柔らかく吹いてくれたならば、って思いました。でも、トランペットだけではなく、全体に、多分大野さんの表現もそうだと思うのですが、遅れてきたロマンティシズムというか取り残されたロマン派というより、20世紀の初めに芽生えた進歩的な雰囲気の方に振れていたと思います。そういう意味で、模糊とした音楽を思い描いていたわたしには、ちょっと違うと感じられたのでした。もちろん、そうではない、クリアカットでさらさらした音楽として捉えることもできるのかもしれません。バルトークとの流れの中でこの曲をプログラミングした意図がそこにあるのかもしれませんから。大野さんと都響のはそういう演奏です。だからこそ、今日の演奏を高く評価する人もいるに違いありません。でも、わたしには、なんかもやもやが残る演奏会でした。心に残ってるものを洗って詰め替えたいみたいな。

でも、大野さんと都響の新しい時代には期待が持てそうです。大野さん都響をびしびし鍛えてくれそうだし。新しい都響、楽しみにしましょう。
[PR]

by zerbinetta | 2014-12-08 13:12 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

<< ふふふ♥少女まんがの世界 新国... スルメと若者 第5回音楽大学オ... >>