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ふふふ♥少女まんがの世界 新国バレエ「シンデレラ」   

2014年12月14日 @新国立劇場

シンデレラ

セルゲイ・プロコフィエフ(音楽)
フレデリック・アシュトン(振付)

小野絢子(シンデレラ)、福岡雄大(王子)
山本隆之、野崎哲也(義姉)
本島美和(仙女)、八幡顕光(道化)
丸尾孝子、堀口純、奥田花純、寺田亜沙子(四季の精)
新国立劇場バレエ団

マーティン・イェーツ/東京フィルハーモニー交響楽団


実を言うとプロコフィエフの「シンデレラ」はあまり好きではありません。というのは、童話のお話の軽さに対してプロコフィエフ独特の腹黒さが釣り合ってないと感じるからです。なんか、裏のあるような、表面は明るく振る舞ってるのにお腹の底では陰謀が渦巻いてるみたいな。でもバレエはコミカルで楽しい。そのギャップがね〜〜。と言いつつ、なぜかチケットが2枚。やっぱり好きなのかな?

アシュトンの振付は、本場のロイヤル・バレエでも観ています(この作品は確かロイヤル・バレエのために振り付けられてます)。わたし的には定番。安心して観てられます。さて、新国ではどうでしょう?

ぱっと閃いた印象では少女漫画から飛び出してきたイメジ(良い意味で)。とても日本人的。ちょっとした仕草とか顔の表情がまんがっぽいんですね。ロンドンでコミカルなシーンを日本人がやったとき(例えば、「マノン」の娼婦の小競り合いbyヒカルさんとユフィさん)、ふふふ漫画チックって思って、感覚がなんかピタリと合って嬉しかったんだけど、それが全体に広がってる感じ。こんなとこにも日本の文化なんだわ。日本の文化というと大袈裟に侘び寂とか禅とか構えちゃうけど、もっといろんなものが自然に浸みて身についてるのね。お醤油染みみたいに。もともと西洋の芸術であるバレエにもこうして知らず知らずのうちに日本の風味がついてて楽しめるのってステキなことじゃない?

絢子さんのタイトルロールはほんとに素晴らしかったけど、特に1幕の薄幸の少女の表情が豊かでかわいらしかったです。2幕ではとたんに舞踏会の主役に躍りでて肉食系。演出のせいだけどリアリズムの面からいえば(ってリアルな世界じゃないのにね)ちょっと疑問。だって、ずっと日陰者にされてた少女がいきなり宮殿の舞踏会に行ったら壁の花になるのがせいぜいじゃない。わたしだったら、絶対ダメ、おろおろする。っていうくらいの変わりようなんですよ。絢子さんがむちゃくちゃ上手に演じ分けてるってことなんですけど。あと、髪の毛の色が変わったのもいいのかなって。舞踏会にはカツラを付けるのかもしれないけど。
福岡さんの王子、はもうちょっと王子キャラがあるといいのだけど、あっわたしの王子キャラってキラキラ軽薄だ、絢子さんとのパートナーリングは安定していて良かったです。

一番目立つ、意地悪義姉のおふたりのコミカルな演技は、もっとはっちゃけても良かったかな。やり過ぎくらいでちょうど良いので。
仙女の本島さんは、わたし、本島さんのファンになっちゃってるんだけど、もう少し強さがあるといいなって思います。きれいすぎるんだもん。(なんかいつもアクの強いフェアリー・ゴッド・マザーばかり観てきたからかな?)
四季の精では、夏の堀口さんと冬の精の寺田さんが良かったな。

でも、やっぱり、みんな良かったんですよ〜。楽しめました。というか、こういうのは楽しまなくちゃデスね。それだけのものを提供して下さってると思うんですよ〜。

by zerbinetta | 2014-12-14 10:10 | バレエ

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