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クリスマスはやっぱりくるみ スターダンサーズバレエ団   

2014年12月20日 @テアトロ・ジーリオ・ショウワ

くるみ割り人形

チャイコフスキー(音楽)
鈴木稔(演出/振付)
ディック・バード(美術、衣装)

林ゆりえ(クララ)、吉瀬智弘(王子)
鴻巣明史(ドロッセルマイヤー)、その他
スターダンサーズ・バレエ団

田中良和/ゆりがおか児童合唱団、テアトロ・ジーリオ・ショウワ・オーケストラ


ああ、困った。この記事を書き始めて、キャスト表を見てるんだけど、肝腎の演出/振付が誰なのか分からない。オーケストラがどこなのかも分からない。うろ覚えで、総監督の小山久美さんの版だったと記憶してたんだけど。。。新国立バレエ団もそうだから、バレエの公演で無料で貰えるキャスト表に一番大切な(とも言える)誰の版の作品が記載されないのは、日本のバレエの悪癖なんだろうか?だって、バレエ観に行く人は振付が誰なのかは大事よね。同じ作品でも全然違ってくるもの。バレエに限らず、演劇でもそうだと思うんだけど。特に、この公演を紹介するとき、真っ先に書きたいのはユニークでとても良かった演出だもの。もしわたしの思いが伝われば、スターダンサーズさんも新国さんもぜひキャスト表には舞台に関わった人の名前を敬意を表して記載して欲しいです。お願いします。
で、なんとかウェブサイトを探して(ちょっと見つかりにくいところにあった)、振付不明にならないで済んだ。。。

クリスマスが近づいてきて、あああ「くるみ」が観た〜いと思ってて、DVDを観て我慢してたんだけど、スターダンサーズさんの公演を見つけてどうかなぁと迷っていたら親切にもとてもいいよと背中を押してくれる方がいて、ほんとに良かった。「くるみ」の世界がひとつ広がりました。

くるみ割り人形は、今までオーソドックスな演出のを観てきたので、今日の鈴木版は新鮮。お話を大きく逸脱したものではないので、オーソドックスが好きな人、慣れた人にも楽しめるのもいい。舞台の設定を、お金持ちの一家のクリスマス・パーティーから、クリスマス市を訪れた普通の家族にして親しみやすくしてる。広場で上演されていた人形劇からクララが不思議の世界に入って、人形と一緒にネズミを倒してお菓子の国に行くのはほぼ物語り通り。最後後ろ髪を引かれつつも現実世界に戻ってお終い。
野暮と分かっていながら、演出のことについて少しだけ小言を言うと、群衆、ソーセージ屋さんとか町の人とかひとりひとりの性格付けがちょっと足りない。微に入り細に穿って舞台に出てくるひとりひとりに徹底的に人物像を与えるロイヤル・バレエに親しんでいたからか、ひとりひとりの人を群衆で片付けちゃうのは物足りないしもったいないと思いました。それから、舞台上で見せる人形劇がちまちまして観づらかった。これは、人形に扮するダンサーでできなかったのかな。そのシーンで子供たちが劇を観ているんだけど、周りの人たちが何だか舞台上で手持ち無沙汰で立っている感じに見えたのも残念。ひとりひとりを際立たせてさらに舞台全体をまとめ上げるような踊りにはできなかったのかな。それから、最後の場面で、人形の世界から現実に戻る逡巡をしているクララが、残り僅かな音楽で現実に戻れるか心配しちゃった。ところが、ここで物語に合わせて音楽を足したのは、ちょっとがっかり。だって、チャイコフスキーのこの音楽は、もう最高の出来映えで、何も引かず何も足さないのが一番だと思うんだもの。確かにこの場面は子供からちょっぴり大人になる大事な場面だけど、どうにか、チャイコフスキーの書いた音楽だけど上手く現実世界に戻ることはできなかったのかと思いました。

と、小言は書いたけど、それでもとってもステキな舞台だと思います。1幕の終わりのキラキラとした雪のシーンとかステキな場面もいくつもあるし。できれば、少しずつ改良して完成度を高めながら長く定番の舞台になればいいな。心からそう思う。

初めてのテアトロ・ジーリオ・ショウワは、とても観やすい劇場でした。上の階の後ろの方だったけど、劇場自体がそんなに大きくないし舞台からも遠すぎないです。そして、ジーリオ・ショウワのオーケストラ。若い(昭和音大の卒業生のキャリア支援のためでもあるんですね)オーケストラが、変に擦れることなくフレッシュで真剣な演奏をしてるんですね。今まで聴いた(バレエの)「くるみ」の演奏で一番良かったかも。いや、かもじゃない、良かった。てきとーに演奏してるプロよりよっぽどいい。

ダンサーさんは、初めて観る人たちなので、よく分からないのだけど、不満は全然ありませんでした。ドロッセルマイヤーをもっと活躍させろーって思ったくらい。あっこれ、ダンサーじゃなくて役柄でした。主役のおふたりは、いろんな演目でおふたりで主役を務めている看板ダンサーなんですね。舞台を引っ張る踊りをしていたと思います。さすがです。他の演目でも観てみたいかな。

やっぱり、「くるみ」の音楽を聴いてバレエを観ると幸せな気持ちになりますね〜。クリスマスには、毎年「くるみ」が観たくなる体になっちゃってるんだな〜。

by zerbinetta | 2014-12-20 01:10 | バレエ

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