くやしーーーベリオめーードローン 井原和子&ハイメ・ゴンザレス デュオリサイタル   

2015年8月23日 @近江楽堂

C.P.E.バッハ:トリオ・ソナタ ニ短調
H.デネリン:フルフトリニエン
G.シェルシ:いきなりのぞく 1楽章
W.F.バッハ:デュエット 変ホ長調
A.ヒナステラ:デュオ フルート、オーボエのための
L.ベリオ:セクエンツァ
G.シェルシ:いきなりのぞく 2楽章
J.S.バッハ:トリオ・ソナタ ト短調

井原和子(フルート)、ハイメ・ゴンザレス(オーボエ)
脇田英里子(チェンバロ)


フルートとオーボエのデュオ。普段ならこんな音楽会、気になっても行か(け)ない(だって、聴きたい音楽会ってものすごくたくさんあるのに身体はひとつ、お財布は軽い)んだけど、チケットをいただいたので(!)聴きに行ってきました。良かったーー。
こんな、と書いたので気を悪くした方ゴメンナサイ。だって、フルートとオーボエの組み合わせにびっくりだったんですもの。同じ楽器のデュオじゃない、木管楽器どおしのデュオ。わたしが知らないだけかもしれないけど、そんなレパートリーあんまりないよね。どんな感じになるのか想像できないのでワクワク。
今日の音楽会の主催はフルートの井原さんで、オーボエのゴンザレスさんは、井原さんのドイツ留学時代、語学学校の校舎で知り合ったそうです。井原さんは、シュトゥックハウゼンがお得意、ゴンザレスさんは、ハインツ・ホリガーさんのお弟子さん。ホリガーさん、今日本にいらしてるはずだから、来ていないかなと見回したけどいませんでした。

会場は、オペラシティの近江楽堂(実は今日まで近衞楽堂だとばかり思ってた)という石造りの教会というかシナゴーグみたいな小さな会場。お隣のタケミツメモリアルと同じように天井が高くて上から採光されています。

始まりは、バッハ・ファミリーのひとりカール・フィリップ・エマヌエルのトリオ・ソナタ。チェンバロ入りです。フルートが(音域が上なので)主役の音楽かと思っていたら、この曲は、オーボエの方が主役で、フルートの方が脇にまわってる感じ。オーボエの方が音色が強いんですね。フルートの優しさは陰で支える感じ(もちろんメロディもたくさん吹くんだけど)。でもそれだけではなくて、井原さんが、一歩下がってゴンザレスさんをたてるように控え目に吹いていたせいもあるのかもしれません。もっと前に出れば、と思いつつ。

2曲目は今日のための新作。フルートのソロです。譜面が長いので譜面台5台置き。多分わたしの見た最高記録。初めて聴く曲なので、感じたことしか言えないけど、高原の露天風呂の側を流れる小川のイメジ。木々を揺らす風の音。実際フルートには息だけの音とか空気が聞こえるような表現も。特殊奏法は出てくるけど控え目で、難しいけど、無理のない演奏して気持ちの良い音楽ではないかしら。最後の方に出てきたキーを叩いて打楽器的というかピチカート的な音が印象的(現代のフルートの奏法としてはよくあるのかもしれませんが、初めて聴いたので)。井原さんの演奏は、流石、現代音楽を吹き慣れてらっしゃるふう。技術的にとても安定していて曖昧なところはないし、何よりも音楽のイマジネイションを共有できたと感じられたのが良かったです。
そういえば、会場に着いたとき、後ろの席にかっこいい若い外国の人が座ってるなって気になっていたら、作曲者の人でした。この人、作曲家として大成していくといいな。かっこいいから。

続いて、ピッコロとオーボエの二重奏。シェルシの「いきなりのぞく」から第1楽章。なぜか数曲はさんで後半に第2楽章もあります。プログラムの前半と後半がシェルシを挟んで緩く対応しているのかな?シェルシという作曲家は、気になっていたのですが、初めて聴きます。いわゆるゲンダイ音楽(かなり変な曲を書いてたみたいなので)と思ったら、拍子抜け。性格の異なるふたつの楽器がおしゃべりするとてもかわいらしい曲。何だか鳥が囀り合うよう。メシアンのヤマナカカデンツァを思い出しちゃった(実際になんかメシアンを彷彿させたので)。後半の2楽章の方は、少しゆったりした感じの曲。歌えるメロディはないけれども、なんか優しい音楽。初シェルシでしたけど、好きになりそう。
ところで、シェルシって佐村河内事件で注目されたゴースト作曲家の大物なんですね。彼もゴースト作曲家を雇っていてシェルシの名前で作品を発表していました。佐村河内さんと違ってシェルシが今でも高く評価されているのは、きっと、彼自身、優れた作曲家であったことや彼の音楽(アイディア)が後の音楽に大きな影響を与えたからではないでしょうか。佐村河内さんと新垣さんは、様式模倣ばかりで創造性がちっともなかったから。シェルシについてはわたしは、まだまだ知らないことばかりなんだけど、秋にも彼の作品を聴く予定なので、それまでに少しでも理解を深められればいいな。

前半の最後は、バッハ・ファミリーの(人だよね?それとも他人?)ひとり、W.F.のデュエット。おっかけっこのような音楽が、ふたつの楽器の音色の違いで際だって、良い感じ。原曲は2本のフルートのデュオかな。でも、こっちの方がいいかも。

後半は、ヒナステラの曲から。この曲もフルートとオーボエのための。ヒナステラは、エスタンシアとかハープ協奏曲を偏愛してるんだけど、このデュエットもヒナステラらしい溌剌と楽しい曲。フルートとオーボエ2本だけで、こんなに世界が広がるんですね。おふたりの演奏も楽しそうでした。

オーボエ独奏のベリオの「セクエンツァ」は。。。鋭いアタックの始まりの音が聞こえた瞬間から、同じ音の持続音が。ちゃんとした音程の音楽的な音だから、あれれ、オーボエソロなのに、まさか持続音を同時に出すテクニック?なんてトンチンカンなことを思ったり。でも曲が進むにつれて、ずうっと続いているその音、機械的な音が、だんだん耳障りになってきて。誰かの携帯とか機械?それともホールの空調か何かの音。早く止めて。ゴンザレスさん頭にきて演奏止めちゃわないかな。なんて心配までして。曲は、オーボエの超絶技巧を使ったもので、それを見事に吹いていたゴンザレスさんが良かったんだけど、音が気になって音楽が頭に入りませんでした。何かの嫌がらせ?4分33秒の対偶?その音は、ゴンザレスさんが最後の音を吹き放ったとき(始まりと同じ音)にピタリと止んで。ステージの後ろから、機械(チューナーのような)を持った脇田さんが現れて種明かし。この曲もともと、ドローン(背景に流れる持続音)が伴うんですね。かーーー完全にしてやられたわ。そしてその音のせいで音楽が楽しめなかったわたし。やられた。次に聴くときはちゃんと聴きたい。(でも、言い訳すると、ドローンは機械音ではなくて楽器の音がいいなぁ。機械の倍音のない単純な音って耳障りなんだもん)

最後は、チェンバロも加わってバッハのトリオ・ソナタ。もともとはヴィオラ・ダ・ガンバのためのソナタだったのかな、それをフルートとオーボエに編曲したのだと思うけど、それを少しも感じさせない3つの楽器にピッタリはまった音楽。チェンバロはちょっと控え目だけど、フルートとオーボエの音色の違いが音楽に彩りを添えてステキなの。井原さんとゴンザレスさんが、音楽の旅を経て、対等に語り合っているのもステキ。

アンコールには、デュエットから「ジーグ」。すみません作曲者分かりません(バッハだったっけ?)。
たまたま伺った音楽会だけどとってもステキで幸せな気持ちにさせられました。会場にはお友達(楽器の生徒さん関係?)の方が多かったけど、いろんな人に聴いて欲しい音楽会でした。
それにしても、井原さんの笑顔ステキでした。かわいらしくって。
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by zerbinetta | 2015-08-23 16:06 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

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