オペラチック! OB交響楽団第187回定期演奏会   

2015年7月4日 @ティアラこうとう

ワーグナー:「パルシファル」から前奏曲、聖金曜日のための音楽
マーラー:交響曲第4番

松尾香世子(ソプラノ)
松岡究/OB交響楽団


OB交響楽団は、創業1937年の東京の社会人アマチュア・オーケストラの一番の老舗。創業元徳元年のくるみ餅屋さんとか、老舗が大好きなわたしにとってそれだけで好きになっちゃうオーケストラなのです。内々のことは分からないし興味もないのだけど、多くのアマチュア・オーケストラが生まれたり消えたりしていく中で、長く続けてきたことにはご苦労もたくさんあったし今も色々あるのだろうけど、こうしてまた音楽会ができるのってほんとに素晴らしいですね。平均年齢高めのオーケストラからは、酸いも甘いもかみ分けた大人の余裕と雰囲気が。ギラギラ尖って輝いているのも好きだけど、こういうしみじみとしたいぶし銀的な色合いもステキ。

音楽は、ワーグナーの「パルジファル」から有名な前奏曲と聖金曜日のための音楽。ゆっくり目のテンポで雰囲気を出しながらなかなか聴かせてくれる演奏でした。音の粘りとか響きの豊かさとか、アマチュアゆえの不足もあるんだけど、トロンボーンなんかは良い音出してたり、松岡さんとオーケストラの求めている音楽の響きが頭の中で聞こえてくるようで良かったです。脳内変換で理想の音を勝手に想像して聴いているんじゃなくて、音は不足してるけど、どんな音楽を求めているのかが明快に伝わってくるので音が自然に聞こえるんです。そういう意味ではとても良い演奏。

後半のマーラーの交響曲第4番は、わたしに変なこだわりがあるのでなかなか上手に聴けない曲。この曲の話題が出るときはいつも言ってるんだけど、この曲って、表面上は軽くて楽しげな音楽なんだけど、マーラーの交響曲の中で、一番実験的で新規性に富んでると思うんですね。ちゃんと演奏するのもとても難しいんじゃないかってね(特に出し入れの激しい対位法的なところ)。でね、OB交響楽団の演奏は、もちろん演奏技術的にはプロには遠く及ばないけど、いろんなパートがちゃんと絡んで聞こえてきて、いいなって思ったんです。松岡さんの指揮も音楽の流れをとても上手くまとめていて、でも適当なところでこぢんまりとまとめてるふうではなくて、音楽の輪郭をオーケストラの能力の先にはっきりと示しつつ、聴かせてくれたのがいいなって思ったんです。
そして、第3楽章の最後の部分、弦楽器が(譜面が)チョウチョのようなアルペジオを奏でる中ティンパニが大きく叩かれるところ、わたし的には天国の扉が開くイメジなんだけど、今日のはまさにそうでした。ステージドアが開いてお人形のようなソプラノさんが現れました。オペラチック。松尾さんの歌もかわいらしく演劇的で、表情豊かな仕草が(少し一本調子なところはあったけど)視覚的にも魅力的で、ああ、こういう解釈もいいなって思いました。ありそうでなかった感じ。

アンコールには、シュトラウスの4つの最後の歌から「夕映え」。シュトラウスに関しては、歌もオーケストラももっと艶やかなグラマラスな音を出して欲しいなと感じました。
そして最後は、「ローエングリン」第3幕への前奏曲で華々しく音楽会はお開きになったのでした。


♪♪
OB交響楽団の次の演奏会は、第188回定期演奏会が10月12日、杉並公会堂です。シベリウスのヴァイオリン協奏曲をOB交響楽団のコンサートマスターの方が弾きます。
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by zerbinetta | 2015-07-04 23:22 | アマチュア | Comments(0)

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