今年も凄い 音楽大学オーケストラフェスティバル 2日目   

2015年11月15日 @東京芸術劇場

ファンファーレ
藤川大晃(東京藝術大学):界・響

ストラヴィンスキー:管楽器のためのシンフォニーズ
ペルト:カントゥスーベンジャミン・ブリテンの思い出に
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム

下野竜也/上野学園大学管弦楽団

ファンファーレ
三浦良明(上野学園大学):群青

シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」

山下一史/東京藝大シンフォニーオーケストラ


まずは、ファンファーレ対決。何でも対決させたいポケモン世代のわたし(なんのこっちゃ。ポケモンなんて知らないくせに)。まずは、東京藝大の藤川さんの。ちなみに、この間のファンファーレのタイトルは、2つとも英語で付いていたんだけど、今日は2つとも日本語のタイトル。で、藤川さんのは和。神社で使うような鈴が鳴るのが楽器的特徴。華々しいファンファーレではなくて、音楽会への入場がケからハレへの転換であることを神社に参拝するときの俗から聖域への堺になぞらえて、宗教的なというか、内に向かうファンファーレがユニーク。メシアンみたいな響きなのかな、と思ったんですけど、上野学園のストラヴィンスキーを聴いたら、こちらを参照してるのかな。旋法的な上昇音階や効果的なグリッサンドでなかなか凝った作り。お終いの方で、ツァラトゥストラのドソドの動機が出てきて、うん、今日の特別なファンファーレでした。この学校だけ、オルガン席で吹奏されて(他の大学はステージの前の方)、ステージ上の指揮者付き。作曲者と指揮者の人なんか兄弟みたいでした。

上野学園の三浦さんの「群青」は、沖縄の青い海や空をイメジしたファンファーレ。左右、真ん中と3つに振り分けられたトランペットとユーフォニウムを含んでるのが楽器編成の特徴。細かい音が揺れる波のような感じで、さりげなく使われる沖縄音階と相まって、確かに濃い青を思い浮かべました。というかいろんな青のグラディエイションがカラフルなファンファーレでした。

下野さんと上野学園は、去年もステキな演奏をしていたので、今年もとっても期待。正直に言って、上野学園は、技術的には他の音大よりも劣るんですけど、下野さんマジックで音楽がステキなんです。去年は小さな編成だったので、学生が少ないのかなと思ったら、今年は大編成。最初は、管楽器だけでストラヴィンスキー、次に弦楽器と鐘でベルト、そして続けてブリテンつながりでフル・オーケストラの「シンフォニア・ダ・レクイエム」。ペルトのブリテンのための追悼曲とブリテンの作品を続けて演奏するのは、ときどきあるみたいよね。前に「4つの海の間奏曲」と続けて演奏されたのを聴いたことがあるけど、今日の「シンフォニア・ダ・レクイエム」の方がふさわしい。下野さんの凝ったプログラミング。
管楽器のためのシンフォニーズは、音の発声の仕方が丁寧になるあまり揃わなくて、ちょっと残念。みんなが同じように発声するようアンサンブルに磨きを掛ける練習が足りなかったのかな。指揮者なしでもパート練習でもっと合わせて欲しかったです。
弦楽器の「カントゥス」は、弦の響きがちょっと薄いけど、さらさらと流れる感じで、その分、叙情的な感情移入からは遠くなってるのでそこは好みの分かれるところ。下野さんが細かく指揮を振ってらっしゃるのが、聞こえてくる音楽と違う感じがして、でも重なり合っていく楽器群を正確に入れるのにはしょうがなかったのかなと思ってみたり。
ここまでは、去年の下野マジックは感じられなかったんです。これまでかな、と思った矢先、続けて演奏された「シンフォニア・ダ・レクイエム」で爆発。これは素晴らしい!胸を空くようなティンパニの打ち込み!ティンパニストには最大のブラヴォーを捧げたい。オーケストラも熱演。感情の迸る一期一会の演奏でした。やっぱり今年もものすごくいいもの聴けた。下野さんと上野学園恐るべし。それにしても皇紀2600年のお祝いにこんな曲を書き送ったブリテンも凄いな。ところで、中程で出てきたサックスの旋律って「パゴダの王子」にも引用されてる?皇帝つながりで?

山下さんと藝大。うーんやっぱり、藝大さんは飛び抜けて上手いです。もうプロと言ってもいいようなレヴェル(一昔前のプロ並み)というかプロ予備軍だもんね。山下さんの音楽は、濃いというか熱いんだけど、あっさりと軽く後を引かない不思議な感覚。「ツァラトゥストラ」を巧妙な手綱さばきで、オーケストラを歌わせながらさくさくと進めていきます。学生は、なんか魔法にかかったように(薬を飲まされたようにって表現はやばいかな)、ハイになってメーター振り切れで音楽の渦に呑まれている状態。最後は、マラソンを全力疾走してゴールテープを切ったような達成感。山下さんは、前に聴いた新交響楽団との演奏でも感じたのですが、ほんと、オーケストラを気持ち良くのせるのが上手いですね。リミッターを外して学生の持ってるポテンシャルを最大限にというかそれ以上に引きだしていました。オーケストラが良く鳴る演奏は、シュトラウスを聴く醍醐味でもありますね。ヴァイオリンのソロを弾いたコンサートマスターの女の子(若いから女の子でいいですよね)もピチピチと魚が跳ねるような弓使いでステキでした。
さて、山下さん。小さなニューフィル千葉の指揮者への就任が決まってるんですけど、千葉ではどんな音楽を作るのかしら。ワクワクと同時に千葉と合うのかしらと勝手に心配。(むしろシティフィルさんと合いそう)
[PR]

by zerbinetta | 2015-11-15 11:57 | アマチュア | Comments(0)

<< コンクールにはあまり興味がない... 鳥獣戯画版「トリスタンとイゾル... >>