今が旬 江東シティオーケストラ第43回定期演奏会   

2015年11月22日 @ティアラこうとう

ボロディン:歌劇「イーゴリ公」序曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲、交響曲第4番

上里はな子(ヴァイオリン)
和田一樹/江東シティオーケストラ


江東区の市民オーケストラのひとつ、江東シティオーケストラを聴きました。初めましてです。そんなに混んではいないだろうと高をくくってのんきに出かけたら開場前から長い行列。びっくりりん。周りの人の話によるといつもはこんなに混んでないみたい。あら。ソリスト人気?それとも、最近、国際コンクールで入賞した指揮者人気?結局、ホールは満員になったようです。すごい。

初めて聴く江東シティオーケストラは、いい仲間といい音楽を作ろうを合い言葉に、オーケストラの活動に対していろんな考え方、関わり方をする人たちに開かれたサークル活動的な団体だけに、すごく上手いとは手放しに褒められないけど、でも、みんながひとつの音楽を大事にしている感じがして、好感度高め。わたしが、音楽(の演奏)が好きで、でも、下手の横好きで究極の高みを目指すオーケストラにはレヴェルが高すぎて入れない、でも、ちゃんと音楽やりたいなぁと考えたら入ってみたい感じのオーケストラ(下手すぎて入れてもらえるかは別だけど、ね)。

ということをつらつら考えているうちに最初の「イーゴリ公」は終わってしまいました。
チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲は、上里はな子さんの独奏。経歴から推察すると30代後半の中堅どころの方。国際コンクールでも良い成績を収めているんですね。CDも出されているようです。かわいらしい方で、妊婦さんでした。裸足。ピアノのアリス・サラさんとかヴァイオリンのコパチンスカヤさんとか、最近裸足が流行りだしたんですかね。
上里さんのヴァイオリンに耳を澄ませて聴いていたんだけど、時折にっこりと笑顔で楽しそうに弾く彼女のヴァイオリンは、肩の力の抜けた大人の音楽。チャイコフスキーの協奏曲ならもっと派手に自己主張してもいいかも、とも感じる人もいるかも知れないけど、わたしも若い人やヴェテランでも尖った演奏が好きで、そういう演奏をする人ばかりを聴いてきたけど(特に女性では)、棘の取れた時のゆとりを感じされる音楽もいいなって素直に思えます。息の長い(でも決して窒息しない)歌の線は、とてもステキで、お腹の子供に聞かせているような優しい歌に溢れていて、じんわりと浸みてくる、出汁の浸みたおでんのような滋味深い音楽でステキでした。
ほぼかぶりつきで聴いていたので、実際に彼女の音がホールにどう響いたのかは分からないんですけど、わたしのところに聞こえてくる音(直接音多め)は、しっとりと潤いのある弦の音でした。

最後のチャイコフスキーの交響曲は、とても良かった。オーケストラの力からいって指揮者の音楽は出ないかな、と思っていたけど、しっかり聴くと(そしてそうしてしまう演奏でした)、和田さん、やりたいことはやってる。オーケストラもそれに応えて熱演。管楽器のソロは、大丈夫かな〜って(フルートは安定していました)ちょっと心配したけど、皆さんうんと練習していてばっちり。特に良かったのは、強奏でばしばし決めるところ。打楽器の打ち込みの思い切りの良さ。最後の大太鼓のトレモロは、床から地響きがしたもの。
和田さんの音楽作りは、抑えてバランスを取ったりしないで、まず音を開放的に出してみて、気持ち良く音楽をするところからスタート。オーケストラを萎縮させないで普段以上の力を出すのに成功していたと思います。さっと流すところは思い切ってさっと流して(そうでないと練習時間がいくらあっても足りないし)、その上で、大切なところは、丁寧に作り込んでいて、聴かせどころのツボを押さえている効率の良さ。意外と緩急を大きく付けていて、特に第1楽章のお終いの方、コーダに入る手前で楽章を統一する主要動機が静かに変容されるとき、はっとするほどテンポを落として耳をそば立てせさせたり、一転、コーダに入って急加速(リピートのあともさらに加速したのもかっこいい)、テンポを落として大見得を切って、最後はちゃめちゃに駆けだして第4楽章を予感させたり、とわたしの感線を刺激しまくり。ある意味賑やかで大ざっぱな音楽の第4楽章にも旋律が繰り返されるごとに細かな表情付けがなされていて、勢いだけじゃない丁寧な音楽作り。何よりも、和田さんの指揮棒の先には魔法があるのがステキでした。コンクールで入賞したばかりの旬がそこにある。アマチュア・オーケストラを中心に指揮されているみたいだけど、和田さんの音楽、ぜひ、プロのオーケストラでも聴いてみたいです。どこかで呼んでくれないかしら。日本でも外国でもいいから地方のマイナーなオーケストラからでも責任指揮者に招聘してくれないかな。今が育て時だと思うんですよ。

アンコールは、チャイコフスキーの「白鳥の湖」から「スペインの踊り」。花束を受けて、大きな花束を抱えたまま指揮した人、初めて見たよ。チャイコフスキーの交響曲第4番ってやっぱりいい曲だわって改めて思った今日の音楽会でした。
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by zerbinetta | 2015-11-22 23:29 | アマチュア | Comments(0)

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