楷書体でロマンティシズム 都民交響楽団第120回定期演奏会   

2015年9月20日 @すみだトリフォニー

シューマン:交響曲第4番
シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

末廣誠/都民交響楽団

アマチュア・オーケストラの中で、演奏レヴェルも高く最も充実しているののひとつ都民交響楽団。何年かに1度ずつ、団内オーディションを行ってレヴェルを保ってる厳しい団体。でもそこから生まれる真摯な音楽が大好きで通ってます。都内では、新交響楽団と共にコンサートゴーアーさんにオススメできるアマチュアのオーケストラです(もうひとつ、マニアックだけどニッポニカ)。いつもは上野の文化会館での音楽会なんですけど、今年は(改装のためかしら?)、すみだトリフォニーでの音楽会です。指揮はこのオーケストラと関係の深い末廣さん。

前半のシューマンの交響曲が、今日はとても良かったです。最初の音を聴いたとたん、おおっと思ったもの。前回は指揮者がーーーだったけど、今日はいつもの安定の、というより絶好調。ヴァイオリンのヴォリューム感はこの間のニューシティ管より良かったくらい。やっぱり長くこのオーケストラを指揮されてきた末廣さんとの相性は特別なんですね。お互いに手の内を分かって信頼している感じです。末廣さんの音楽も堅実で、ゾクッとくるような特別な瞬間はないんですけど、音楽のフォルムは整っていて隙のない感じ。職人タイプの指揮者なのかしら。シューマンの持つ壊れる寸前のロマンティックさはあまり感じられないけど(この交響曲はもともと堅固な形式感があるからかしら)、立派な演奏で(と書くとわたしこの言葉をときどきシューマンの演奏をネガティヴに評するとき使ってるんですが、今回は言葉通りに)、古典主義的な演奏もいいな、と思えました。わたしの聴く幅が広がったかな。

後半は、「英雄の生涯」。これもさくさくと古典的、といっても小さくまとまってる訳ではないのですが、この曲には、世紀末の熟れきった香りがわたしは欲しいな。結果、青年シュトラウスの真っ直ぐな一面が図らずも見えてくるのだけど、でも、同時にこの曲って(浪漫主義的な意味で)死を彷彿させる音楽でもあるし、若いシュトラウスの遺書でもあると思うんですね。事実、シュトラウスはこの曲を最後に交響詩の分野から引退して(交響詩的な作品はその後、交響曲の名前に)、本格のオペラ作曲家へと転身してるし、そういう意味で、馥郁とした死(ロマン派の人にとって死は憧れに似た情景を思い出させますね)を感じたいのです。でも、一方で、若者の意思を感じさせるストレイトな演奏、純粋にオーケストラの勢いを感じさせる演奏には好感を持ちました。内助の功というより、シュトラウスを支える妻、というかオーケストラを支えリードするヴァイオリンのソロも魅力的でした。ひとつ、残念に思ったのは、オフステージのトランペット(戦闘の合図)をオンステージで吹いていたこと。普通は、オーケストラの中の人がいったんステージを降りて吹奏するのだけど、会場がいつものところじゃないので勝手が違っていたのかなぁ。それともそれほど音楽的に重要ではないと判断したのかしら。でも、いきなりステージから直接音がしたのでは、その後の展開への道筋が直線的すぎて、わたし的には疑問でした。でも、それを含めて、がしがしと進む勢いのある演奏だったのですけどね。

がっしりしたフォルムでまとめた2つの演奏、オーケストラの力量も相まって、聴き応えのある演奏でした。ブラームスとかなんならブルックナーとかも聴いてみたいです。


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都民交響楽団の次の演奏会は、2015年特別演奏会(有料)が12月23日、すみだトリフォニーです。去年に引き続いて年末第九。





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by zerbinetta | 2015-09-20 11:51 | アマチュア | Comments(0)

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