サントリーホール宇宙船になる 下野/読響「ハーモニレーレ   

2015年10月13日 @サントリーホール

ベートーヴェン:「コリオラン」序曲
ヒンデミット:「白鳥を焼く男」
アダムズ:「ハーモニレーレ」

鈴木康浩(ヴィオラ)
下野竜也/読売日本交響楽団

なんかちょっとぼんやりしててね〜。開演直前にホールにふらふらと向かっていたら、当日学生券の方に誘導されてしまった。大人なのに。く や し い

気を取り直して。いつかプロのオーケストラで聴いてみたいと思っていた、下野さん。読響さんで実現です。
まずは、「コリオラン」。厚い弦楽器の音は読響さんらしい充実。ただ、弱音で柔らかな旋律を弾くところで、音量と共に力も抜けてしまったのが残念でした。緊張感を抜いて音をふわりとさせて慰めを意図した演奏だと思うのだけど、力の抜けてしまった音は、膝かっくんされたときみたいに地面に落ちちゃったのよね。弱音でも強い音が出せるようになればもっともっと表現の幅も広がるしいいんだけどなぁ。

初めて聴く、「白鳥を焼く男」は、ヒンデミット特有の無機質感があるかと思えばそうではなく、民謡から採った題材で作曲されてて、とても聴きやすい曲でした。「白鳥を焼く男」から「パルジファル」を連想したんだけど、ちっともそうではなくて、タイトルの元になった最終楽章は、楽しげな俗謡。「子供の魔法の角笛」のようなシニカルな童謡の世界観なのかな。ヴィオラは、読響ソロヴィオラの鈴木さん。ソロとオーケストラとの掛け合いも気が置けない感じでとても楽しい。ステキな曲だし、ステキな演奏でした。良い曲に良い演奏で出逢う、幸せなときですね。

最後は「白鳥」つながり(?)(作品についてアダムズさんは「パルジファル」に言及しています)で「ハーモニレーレ(和声学)」。この曲が日本で演奏されるのは30年ぶり、まだ2回目だそうですけど、でも、アダムズさんは、存命の作曲家なのに、人気があって音楽会でもよく演奏される現代作曲家ですね。大オーケストラを使ったミニマリズムの作曲家と紹介されることもあるけど、確か本人もおっしゃっているとおり、わたし的にもミニマリズムには分類したくない作風だと思います。
「ハーモニレーレ」は、あれ?アダムズさんってこんな感じだっけ?と感じるところもあって、わたしの知ってるアダムズさんとは少し違うと思ったら、初期の頃の作品なんですね。わたしが聴いてきたアダムズさんは、新しめのものが多かったみたい。でも、大オーケストラで奏でられる色彩的で音がレーザー光線みたいに放射される音楽は、巨大宇宙船がカラフルな光を放ちながら宇宙を巡航するようなSFチックな感じ。リズムのずれと重なりに、オーケストラの音色の重なりや配合のずれが加わって、巨大な銀河の渦を現せる様はアダムズさんの面目躍如。読響さんもこういう曲得意よね(とは言え、中の人は数えるのに必死だったかも)という感じで、読響さんのカラフルな音色にピッタリ。サントリーホールがついに地上を離れ、東京の、地球の夜景を外に見ながら宇宙空間に旅立って行く。わたしたちは音の光りを浴びながら宇宙を遊泳して気持ちがいい。途中で、マーラーの交響曲第10番の象徴的なトランペットの叫びが聞こえたとき、びっくりしたけど、あとで読んだプログラムによるとマーラーの書かれなかった交響曲へのオマージュでもあるのですね(アルフォンタスの方はよく分かりませんでした)。

下野さんは、どの曲も的確な指揮でやっぱりステキでした。これからどんどん活躍していくんでしょうね。って、最初にプロのオーケストラでいつか聴いてみたいって思っていた下野さん、と書いて、最後に今思い出しました。この間都響さんと聴いたのでした。うーうーうー、わたしの記憶力の悪さに。。。あああ、情けない。でも下野さんは良い指揮者ですよん。




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by zerbinetta | 2015-10-13 14:29 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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