コンクールにはあまり興味がないの フェドセーエフ/N響   

2015年11月21日 @NHKホール

ショパン:ピアノ協奏曲第1番
グラズノフ:バレエ「四季」より「秋」
ハチャトリアン:バレエ組曲「ガイーヌ」抜粋
チャイコフスキー:序曲「1812年」

チョ・ソンジン(ピアノ)
ウラディーミル・フェドセーエフ/NHK交響楽団

フェドセーエフさんの「レズギンカ」がサイコーという噂を聞いて取ったチケット。今年のショパン・コンクールの優勝者のお披露目というおまけ付き(あとで気がついた)。世間的には、ショパン・コンクールの方が主役なのかも知れないけど。。。わたし、コンクールにはあまり興味がないので。。。

プログラムの前半が、コンクールの覇者、チョ・ソンジンさんを迎えてのショパンの協奏曲。ピアノのことなど何も知らないわたしの印象は、ソンジンさんとても上手いというか、とても整ってる。聴いていて欠点が見当たらないのよね。減点法の採点をするとマイナス部分が見つからずに満点になっちゃうみたいな。ところが、反対に言うと整いすぎていてつまらないというか、心に来ないんだよね。何か引っかかる部分、心を乱す部分があると魅力的なのに、つるりとして、すり抜けていっちゃう。ショパン・コンクールで、減点なし、だから優勝した、なんて低レヴェルなものじゃないとは思うのだけど、ある意味コンクール向きのピアニストなのかも知れない、現時点では。
アンコールで弾いた「英雄ポロネーズ」は、乱れたところがほんのちょっぴりあったけど、むしろ表現意欲が感じられていて良かったです。この人はまだ、オーケストラを従えてっていうことにまだ慣れていないのかも知れません。ひとりで自由に弾いたときの方が、格段に良かったもの。コンクールに優勝したてで、これからの活躍が期待される人だけど、コンクールの栄誉はとりあえず忘れて、音楽の深みにはまっていって欲しいな。スターになんかならなくていいから、自分と音楽の戦いを地道に続けていって欲しいです。

後半は、打って変わってロシア、前半のお付き合いのうっぷんを晴らすような(ってほんとか?)フェドセーエフさんの真骨頂。凄く良かった。耳障りの良い(わたしのお節介な辞書によると誤用だそうです)だけのグラズノフは置いといて(でも、N響ならではの繊細な音作りは良かったです)、「ガイーヌ」。いきなり有名な「剣の舞」からはっちゃけて始まるのに楽しさマックス。これはノるよね。勢いが凄くあるんだけど、勢いに吞まれることなくちゃんと音楽的なさじ加減は、フェドセーエフさんのなせる業かな。「ばらの少女たちの踊り」「子守歌」に続いて、真打ち「レズギンカ舞曲」。リムショットやアドリブを混ぜた小太鼓バンザイ。これが噂のフェドセーエフさんの「レズギンカ」か。ティンパニも何気にめちゃ正確に叩いてた木琴も打楽器の皆さん素晴らしい。一緒になって首振っちゃったよ。本当はこういう音楽、オールスタンディングでヘドバンしながら聴きたい。血が沸騰する音楽だよね。フェドセーエフさんの面目躍如。何なら、拍手に応えていきなり小太鼓が叩き出してアンコールをしても良かったくらい。ああ、そうして欲しかった。

お祭りのあとは、「1812年」。先日、フランスでテロがあって、その痛みを表明するために、フランスの国歌にちなんだ音楽をと、うっかり選んでしまった「1812年」。ナポレオンのフランスがロシアに木っ端微塵に撃退される音楽なのにね。という冗談も浮かんでしまううっかりタイムリー。あっ、もちろん曲目なんてずいぶん前に決まっていてテロには何の関係もなく、なんだけどさ。でも、今この時期に敢えて聴くのはちょっぴりフクザツだったり。
最初のヴィオラとチェロの室内アンサンブルから耳を惹きつけられる。フェドセーエフさんの演奏は、少し速めであっさりしているかと思うと、さりげなく歌わせて叙情的。このさじ加減がいいのよね。実は、「1812年」ぽとんと涙を落とすくらい好きなんだけど、フェドセーエフさんの演奏、とってもとってもステキ。ロシアものは俺の音楽だとばかりの自信というか、自然にあふれ出てくる音楽。前半のショパンがちょっとお客さんぽかった(協奏曲の伴奏でもあるし。しかもショパンの)のに、後半は完全に音楽の主人。最後の教会の鐘や、大きな大太鼓の大砲、バンダの金管楽器の祝典はしかし、盛大だったけど、さらさらと少しだけ抑え気味でエネルギーを溜めて、打楽器のトレモロを長〜く伸ばしてエネルギーを解放する見事な手綱さばき。チャイコフスキーはかくあるべしと音で示して彼の音楽を聴かせてくれたのでした。フェドセーエフさんで、オール・ロシアのプログラム聴きたい。ボロディンとか、ボロディンとか、ムソルグスキーとかハチャトリアンとか。やってよいつか。





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by zerbinetta | 2015-11-21 09:03 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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