笑いながら泣く 音楽大学オーケストラフェスティバル 4日目   

2015年12月6日 @ミューザ川崎

ファンファーレ
紺野鷹生(国立音楽大学):fanfare

シベリウス:交響曲第2番

田中良和/東邦音楽大学管弦楽団

ファンファーレ
福角祐里子(東邦音楽大学):le ciel limpide

ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

現田茂夫/東京音楽大学シンフォニーオーケストラ

ファンファーレ
熊谷陽太(東京音楽大学):to the bright

ラフマニノフ:交響曲第2番

尾高忠明/国立音楽大学オーケストラ

音大オーケストラバトル、とうとう最終日。今日は3つ。しかも普通の音楽会では、メイン・プログラムになる曲が3曲。長丁場デス。シベリウスと「展覧会の絵」は、すでに2校が演奏していて、今年はちょっぴり対決色(?)。で、まずは恒例のファンファーレ対決(いえ、対決してませんって)。今日の3つのファンファーレは、それぞれみんなコンパクトでシンプルでファンファーレらしい感じ。
紺野さんのタイトル自体がfanfareというシンプルな作品は、ファンファーレっぽい部分と真ん中の叙情的な部分が対比されるんだけど、そのつなぎがもう少しスムーズにいったら(演奏のせいもあるかも)もっと良かったのになって思いました。
福角さんのle ciel limpide(澄んだ空)は、澄んだ青と暖かい淡い黄色をイメジした対比の音楽。わたしは色をイメジするには至らなかったけど、求めていることは分かりました。金管楽器だけど(ユーフォニアムを含んでる)音色のパレットがもっと広がるといいな。
熊谷さんのto the brightは、トランペットとトロンボーンとパーカッションの編成で、シンプルに音が動いていく様が面白かったです。

さて、演奏が始まる前に、音大バトル(だからバトルじゃないって)のもうひとつの楽しみは、プログラム・ノートの曲目解説。各音楽大学の先生(学生さんが書いてるところがひとつ)が書いているんだけど、これがもう少し面白くなればなって。せっかくだから、先生じゃなくて学生さんが、思い入れのあるユニークな文章を書いたら良いのにって思います。そろそろ通り一遍の楽曲解説から足を洗っても良いんじゃないかな。ここにもバトルを期待したいところ。デスよね?

東邦音大は、田中さんの指揮でシベリウスの交響曲第2番。田中さんが出てこられて、あら、この人調子悪いのかしらって思ってしまいました。わたし的には、あまりのれないシベリウス。楽譜をべったりと音にしているような気がして、特に第2楽章は、田中さんののっぺりとした音楽作りが退屈すぎて眠気を誘いました。でも、学生さんたちは、懸命に音楽に没入していて、のびのびとした音はとっても気持ちいい。新茶のような演奏。多幸感のシベリウスですね。

東京音大の「展覧会の絵」は、現田さんの指揮。最近どこかでちょこちょこお名前を見かける人(ニューシティ管だったかな)、だけど聴くのは初めて。左耳にピアスしててびっくり。ピアスしてる男の指揮者見るの初めてかも(そもそも指揮者ってあんまり光り物身につけないでしょ)。現田さんは、暗譜。絵のようにというか、交響詩のようにひとつひとつの音楽を描き分けるのがとても上手いの。全体よりもひとつひとつの個性を大事にして、ああこの曲はひとつながりに演奏されるけど組曲だったんだと思い起こさせてくれる演奏。秋山さんの老練な音楽に対して、まだストレイトな感じだけど、伸びやかで良かったです。オーケストラもおおおっと思うほど上手くて、各ソロもばっちり。指揮者も若いし、若い学生らしい演奏でした。友達の追悼展覧会を観たと言うより、ステキな絵の展覧会を観て活力が沸いてきた感じ。

最後は、尾高さんと国立音大。学生さんの中に頭関係が年長っぽい人が混じっていたのは先生かな(若〇〇な人もいるから判断できないけど)。それにしても、3校がメインプログラムを演奏する長い音楽会のトリによりによってラフマニノフの交響曲とは。いや、メランコリックな美しい旋律の超ロマンティックな名曲だとは思うのよ。ただ、わたしには退屈で。。。長いし。。。寝ちゃうかなと思ったら、それがとんでもない。刮目して聴いてしまいました。素晴らしい演奏。流石大トリ。流石尾高さん(暗譜!)。何が素晴らしいって音楽。演奏がって言うことを全く感じさせない音楽そのもの。どの瞬間を切り取っても音楽しかない。こうなると、学生が演奏しているとか誰が演奏しているかなんて関係ないんです。音楽に身を委ねるだけ。尾高さんの演奏は、少し速めのテンポで(特に第3楽章)、過度な甘さを排したさらさらと流れるような見通しの良い演奏。でも、暗いうねりや叙情性も十分で、カオールのような純化されたロマンティシズムを感じさせるの。うねうねする4つの音だけで組み立てられた長大な交響曲を、4つの音を自在に組み合わせて再現していく尾高さんの手腕に脱帽。それを音にする学生たちに脱帽。
最後、ステージに残った学生さんが笑いながら泣いているのを見て、音楽の幸せを思い出して、わたしまで泣いちゃった。

今年も9校の音楽大学の演奏を全部聴いたんだけど、ちょっと残酷に思えたのは、演奏の印象は指揮者によると言うこと。指揮者の実力が如実に演奏に出ていました。それだけ高いレヴェルで学生さんたちが音楽していたということの表れなんですけど。でも、声を大にしていいたい。アマチュアだから、まだ学生だから、なんて敬遠している人がいたらもったいない。ぜひ、自分の耳で聴いて感じてみて欲しい。まだ、原石ではあるけれども、燦めく宝石の光りが見つけられるんだから。





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by zerbinetta | 2015-12-06 12:34 | アマチュア | Comments(0)

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