はみでろっ!! ザンデルリンク/都響   

2015年12月10日 @東京文化会館

ショスタコーヴィチ:チェロ協奏曲第1番
チャイコフスキー:交響曲第1番「冬の日の幻想」

アレクセイ・スタドレル(チェロ)
ミヒャエル・ザンデルリンク/東京都交響楽団

日本人がいいお酒を造るとき、吟醸とか大吟醸とかお米を徹底的に精米して半分以上も米粒を削って捨てちゃうよね。それで雑味がなくなった純粋な味で、上善水のごとし、とか言っちゃって、上等なお酒は水のようだと。ということ外国人に説明したら、えっ?っと目を丸くして、何で水なの?おいしくないじゃん、と言われて、良いものは水のように純粋とかなんとか説明したけど、きっと分かってもらえてない。一方、フランスのワインは、最高級のものでもわざと、ブドウの種や茎を入れて雑味を出したり、本質的に違うのよね。音楽だってそう。日本のオーケストラって、雑味を削って水のような味わいを求めているような気がする。都響もそう。削りに削って純粋で切れ味の鋭いシャープな音を求めているように思うの。それが良い悪いかは別にして。

今日の音楽会でもそういうのを強く感じました。
ショスティのチェロ協奏曲は確か、献呈されたチェリストの誕生記念に書かれたのにめっちゃ暗い曲になっちゃったのよね、しかも誕生日に間に合わなかったし、と思って聴き始めたら、明るい音楽でびっくり。違う曲でした。チェロじゃなくてヴァイオリンだしーー。いつものわたしの勘違い。
今日のおふたり、ザンデルリンクさんとチェロのスタドレルさん、イケメン。眼福。って言っても遠目だし、目が悪いのでよく見えないんだけど。若いスタドレルさんのチェロは、今も上手いけど将来への伸びも感じさせる音。曲が明るいのでリラックスして弾いてた感じです。もともと腕利きのチェリストだったザンデルリンクさんの伴奏もチェロをサポートするようにとても上手く付けていて、ソロとオーケストラが一体となった音楽を作っていました。凄くまとまりのある演奏でした。音楽的主役はむしろザンデルリンクさんだったのかな。
スタドレルさんが弾いたアンコールは、バッハの無伴奏組曲第2番(短調のやつ)からサラバンド。あれ?こんな曲だったっけって思ったのは、旋律の作り方がわたしの思ってたのと違ったからかしら?ちょっと不思議な感じでした。

「冬の日の幻想」は、都響の研ぎ澄まされた音ゆえに幻想的ではなくてリアリスティック。カミソリの刃のように鋭い雪が降ってきます(北国では本当に冷たさが刃物のように痛い雪が降ることあるんですよ)。この冷たさは、あっそうだ、ムラヴィンスキーのレニングラード・フィルに似ているような気がする。切れ切れの鋭いアンサンブル、銀色の怜悧な音色。レニングラード・フィルは、ミスしたらシベリア送りという噂がまことしやかに囁かれていたけど(ほんとかなぁ)、都響の場合は自然にそうなっているところがなんか凄い。ある意味とても日本人的なオーケストラという感じもしますね。わたし的にはこの曲にはもっと柔らかな明るい雪が似合うと思うのですが。それに都響さんにはもっとやんちゃやって欲しいし。枠からはみ出して。
だから、ザンデルリンクさんと都響って根っこの部分で相性がいいというか同じ方向を向いているような感じがしました。都響の音も特に木管楽器にいつになく潤いがあって、これから一緒に仕事をしていけばとても良いマリアージュになるんだなと思う、と同時に、都響には変化が必要と思うので違う指揮者の方がいいんだろうな、とか思ったりして。でも、ときどき客演して欲しいなと思うザンデルリンクさんでした。





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by zerbinetta | 2015-12-10 22:38 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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