やっと聴けた 三ツ橋敬子/シティフィル   

2015年10月17日 @ティアラこうとう

プッチーニ:弦楽四重奏曲「菊」(弦楽合奏版)
ヴェルディ/ヘルマン:弦楽四重奏曲(弦楽合奏版)
プッチーニ:グローリア・ミサ

与儀巧(テノール)、与那城敬(バリトン)
三ツ橋敬子/東京シティ・フィル・コーア、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団


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もう9年くらい前かな。わたしがフランスにいたとき、近所のブザンソンで音楽祭をやっていたので観に行った、指揮者コンクール。小澤征爾さんで有名な(でもその後も何人か日本人の優勝者が出ています。この次の回ではヤマカズさんも!)ブザンソンの指揮者コンクール。受付でもうチケットはありません、入れませんと無下にことわられつつも、会場係の人(掃除の人?)にこっちこっちと言われてただで入れてもらった(フランス・クオリティ)のが、セミファイナル。その中に今日の三ツ橋さんが残っていたのです。コンクールってリハーサルを静かに聴いて点数を付けると思いきや、審査員の人たちが、あーしろこうしろと指揮者をいじるいじる。恐〜い。残念ながら、三ツ橋さんはファイナルの3人には残れなかったんだけど、いつか聴いてみたいと思っていました。しばらくイタリアで活動していて最近は日本のオーケストラも振っているのかな。何回かチャンスを逃して今日やっと聴けました。

三ツ橋さんのプログラムは、挑戦的。オペラ作曲家のほぼ知られていない、オーケストラ作品(とは言え2曲は弦楽四重奏曲を弦楽合奏に編曲したもの)。グローリアは、有名なプーランクのだと勘違いしていて、演奏が始まったら全然知らないプッチーニのだったのでびっくり。そんなびっくりプログラムだったけど、会場はいつものようにわりと埋まっていました。シティフィルのティアラこうとう、定期会員が多いのかな。良いですね。

稀代のイタリア・オペラ作家、ヴェルディとプッチーニの弦楽四重奏の元曲はなぜかCDを持っているので知っていました。歌の人らしく、地味だけど(楽曲の編成がそうだからかな)、メロディアスでオペラの間奏曲を聴いている感じ。弦楽四重奏だと線が細くてシャープな感じになるところが、厚みを持った弦楽合奏なのでファジーなところが出てきてよりロマンティックに聞こえます。シティ・フィルの温かみを持った演奏もステキですね。三ツ橋さんも流れに逆らわずさらさらと歌わせるような指揮で、オーケストラを大きくリードしていきます。そんな感じがイタリアン?

プッチーニの「グローリア」は、わたしが勘違いしちゃってたプーランクのとは違って(当たり前!)、オペラの人の本領発揮。恋歌かと思うほど、甘いメロディ満載。まだ、オペラ作家になる前の若い時分の作曲だけど、後の彼の成功を予感させる力作。プーランクの名曲があるとはいえ、全然演奏されないのはもったいないなぁ。クラヲタさん的には隠れた名曲になるんだけど、その中でも小さなニッチェですしねぇ。(隠れた名曲ファンって北欧とかロシアものマニアさんが多いイメジだよね)。でも、聴けて良かった。
シティ・フィル・コーアさんの合唱がなかなか良くて、歌う音楽の本領発揮。反面、男声のソロの役割はあまり大きくないのだけど、ふたりの歌手には、アリアを歌うようにもう少しかっこつけて歌って欲しかったかな。宗教曲の抑制が気持ちの中にあったのかもしれないけど、むしろ素直な歌の音楽だもん。教会の中で恋しちゃうとかもオペラの世界じゃ日常茶飯事だものね。
三ツ橋さんは、大きな身振りでオーケストラをリードしていたけれども、まだ、彼女の棒を完全にオーケストラに伝え切れていないというもどかしさも感じました。もう少し強引にオーケストラを引っ張っていければもっと彼女の音楽を前面に出せるのにと思います。指揮者としてはまだ若造。どこか、小さなオーケストラででも責任指揮者になってオーケストラと一緒に成長していって欲しいな。でも、日本でそういうことは出来ないのよね。イタリアでも他のヨーロッパの国でも、小さな地方のオーケストラからこつこつと始められれば最高なのに。と、いつものように日本人の指揮者のキャリア・パスについて嘆くのでした。次に聴くときは、きっとひとまわりもふたまわりも大きく深くなった音楽を聴かせて下さいね。日本で泥に埋まってしまいませんように。
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by zerbinetta | 2015-10-17 09:58 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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