もっと人を 村中/オーケストラ・アフィア let’s dance!   

2015年9月18日 @紀尾井ホール

プロコフィエフ:交響曲第1番
ラヴェル:クープランの墓
ベートーヴェン:交響曲第7番

村中大祐/オーケストラ・アフィア


オーケストラ・アフィアという初めて名前を聞くオーケストラの音楽会に行ってきました。プロのオーケストラです。東京には日本オーケストラ連盟に入ってるフルサイズのオーケストラの他にも有名、無名のオーケストラがあるのですね。有名なのは室内オーケストラの紀尾井シンフォニエッタとか、古楽のリベラクラシカとか。さて、どのようなオーケストラなのでしょう?紹介を読むと、横浜開港150周年記念事業の際に結成された、横浜OMPオーケストラのメンバーを中心に指揮者の村中さんが結成したオーケストラ。村中さんのオーケストラと言っていいのでしょうね。メンバーは、プロのオーケストラのメンバーやソリスト、フリーで活躍しているプロの音楽家(プログラムには全員の簡単なプロフィールが載っていました)。年に3回(?)の定期演奏会ごとに集まるのでしょう。メンバーの多くは固定されてるみたいだけど、常設のオーケストラではないみたい。

会場に入ってみてびっくり。お客さんが少ないの。全く有名なオーケストラじゃないし、チケット代も高めの設定だからなのかな。小さめのホールの音楽会の弱点かな、安い席を設定できないかもなの。最安値の席って室内楽の音楽会の方が大きなオーケストラの音楽会より高いのが常だものね。チケットの値段はオーケストラの価値でもあるから、簡単には下げられないとは思うけど、チケットの値段を幅のある設定にして安い席も作る工夫できないかしら。まずはたくさんの人に聴いてもらわなきゃもったいない。あとは宣伝かな。わたしもこんなオーケストラがあるなんてちっとも知らなかったし。

始まる前に、村中さんによるトークがあって、この音楽会の収益を先の関東の水害に寄付するとのアナウンスがあり、この音楽会のコンセプトが語られました。「自然と音楽」シリーズの中の「舞曲vs舞極」と題した音楽会。ちょっとダンスというのが、無理やりみたいな感じもしました(というか、音楽ってもともとダンスというか体を動かす力があるよね)。「自然と音楽」「舞曲」とせっかくタイトルを付けたのに、タイトルから曲をあまり思い起こせないのもどうかなぁって。
このオーケストラの特徴というか、村中さんのパーソナリティから来るものだと思うんだけど、熱い。音楽会の前に、絶対法則という冊子がチケットを持ってる人向けにメイルで送られてくるんですけど、実は長い解説みたいでちゃんとは読んでいないんだけど(ごみんなさい)、ゲネプロやその前の段階のリハーサルを有料で公開したり、いろいろ工夫は凝らしているのに、なんかちょっとずれているように感じるのはわたしだけ?リハーサルは高いし、絶対法則もチケット購入者のみの特典なのかなぁという疑問はありました(解説よりもここでしか知られない秘密みたいな魅力が欲しいです)。

前置きが長くなっちゃいましたが、演奏は、流石に若い腕利きのプロを集めたオーケストラだけに特別とは行かないまでも普通に上手いです。
プロコフィエフの「古典交響曲」は、溌剌として少人数オーケストラの機動性を感じさせました。演奏によってはおどろおどろしく聞こえる部分(古典と言いながらプロコフィエフはそういうのを何気に挟んできます)も重心が高いのでさらりとしていたし、尖った表現もあまりなくて、古典的な整ったフォーム。これを良しとするかしないかはお好みですね。わたしはプロコフィエフはひねくれ系が好きです。ダンスといえば、この曲の第3楽章は、ほぼそのままバレエの「ロミオとジュリエット」のパーティーの終わりのシーンに転用されているのだけど、バレエのときのような登場人物たちのいろんな感情がどろどろと交じり合った皮肉さはなく、素直。確かにそういう音楽なんですけどね。

「クープランの墓」は、戦死した友達の思い出を懐かしむ静かな感情を湛えた舞曲集。木管楽器の木漏れ日の光りのような柔らかな明るい色のソロがとてもきれい。小編成のオーケストラの淡い光りはパステルカラーで踊っているよう。今日は、この曲がオーケストラの特徴を一番出しているようで一番良かったです。村中さんの思い入れのある曲みたいで、それが感じられたのも良いし、丁寧に演奏されていたのもステキでした。

リズムの祭典とワーグナーを言わしめたベートーヴェンの交響曲は、ううむ、室内オーケストラの弱点が出てしまったかな。何しろ、第2ヴァイオリンが6人、第1が7人で、フォルテのトゥッティでヴァイオリンの音が消えてしまうのが残念。特に内声になる第2ヴァイオリンが消えるので厚みが失われちゃうんですね。第7番ってコンパクトで雄大なので、音の薄さはダイレクトに欠点に。フィナーレは、音楽も指揮者もオーケストラもみんな煽って推進力のある演奏なのに、消えてしまう第2ヴァイオリンが力強さを削いでしまうところがあってちょっと残念。単純に人数の問題なのでもったいなすぎ。倍ぐらい人数がいれば(それで小さめの普通のサイズ)、もっともっと良くなったでしょう。あっ第2楽章のヴィオラとチェロの丁寧なイントネイション付けは指揮者のこだわりかしら。これは凄く良かった。

アンコールには、愛のダンス、ってわたしは違うと思うけど!、マーラーの交響曲第5番からアダージエット。ああ、でもこれは確かに弦楽合奏の音楽だけど、大オーケストラの交響曲の中の曲であって、室内オーケストラでやると全く違ったものになっちゃうな〜。音楽の持つ豊潤で甘美な香りが失われちゃって薄めたお茶のように(アメリカンのコーヒーと言った方が良いのかな。コーヒー飲まないので分からないけど)、味気なかったです。心を静かに終わるデザートならシューベルトの「ロザムンデ」の間奏曲とかいいのあるのにな。

こういうコンセプトのオーケストラを聴いたのが初めてなので、このオーケストラがこれからどんな風になっていくのか分からないんですけど(ヤマカズさんとTOMATOフィルハーモニー改め横浜シンフォニエッタのような感じなのかしら)、村中さんとオーケストラ、ウィンウィンで成長していって欲しいです。口で言うのは簡単だけど、現実はかなり厳しい(大きな老舗のオーケストラだって苦しんでる)ことは分かっているんだけど。
そうそう、後ろから見る村中さんは、指揮しているとき頭、振り振りしててかわいかったです。
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by zerbinetta | 2015-09-18 13:06 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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