カオスのエロス 大友/群響 トゥランガリーラ   

2016年3月20日 @すみだトリフォニー

ドビュッシー:牧神の午後への前奏曲
メシアン:トゥランガリーラ交響曲

児玉桃(ピアノ)、原田節(オンド・マルトノ)
大友直人/群馬交響楽団


群馬交響楽団、しばしば練馬交響楽団と間違えるんだけど、前に一度聴いたし(しっかりした地方オーケストラの印象。地方のレヴェルもすごく上がっていますね)、わたしには縁のない土地だし(わたしは地元優先主義)、今年はいいか~と思って、チケット割引のお知らせを放っておいてたのだけど、トゥランガリーラをやると聞いて俄然興奮。悔しいかな割引のお知らせは捨てちゃったので、定価でチケットを買って聴いてきました。群馬交響楽団、年に2回東京公演を行ってるみたいですね。

「牧神の午後への前奏曲」は、柔らかな白昼夢の中にいるような演奏。刺々しいドビュッシーの批評集を読むと、彼の新しい音楽がそんな音楽を指向していないことは明らかだと思うのだけど、時代は変わって、時を経て多様な聴き方ができるようになった古典。大友さんの、分かりやすい、クラシック音楽に馴染みがない人の耳にもすうっと入ってくる音楽は、クラシック音楽の裾野を広げるのに、とっても価値のあることだと思います。オーケストラも曇りのない明るい音でゆらゆらと白昼夢。

メシアンの大作「トゥランガリーラ」は、オーケストラがここまでやれるぞ、とアピールするような選曲かも。で、実際なかなかやるなって思ったんですけど。演奏するには確かに複雑で、難しい曲ではあると思うんだけど、Jポップだってポリリズムやら、複雑な踊りやら、やたらと難しくなってる昨今、「トゥランガリーラ」もビートに乗って演奏できるんですね。結構ポップなノリのリズム感で、すいすいと危なげない。それに、何だか、もはや現代音楽には聴かせない、みたいな感じで、おおお、「トゥランガリーラ」ってこんなにも分かりやすい、きれいな音楽かって思えました。ここにも大友さんらしさが出ていたんじゃないかしら。幅広くいろんな音楽を分け隔てなく演奏している大友さんならではのポップな音の饗宴を楽しむ「トゥランガリーラ」になっていました。今の人には絶対、ベートーヴェンやブラームスより近づきやすいし、感覚的にストンと腑に落ちるんじゃないかしら。一方で、音が混じってヴィヴィッドな色合いよりも中間色的なふんわり感が(それこそが大友さんの特徴なのかな)出てしまったのが、尖った音楽好きのわたしにはちょっと物足りませんでした。
原田さんのオンド・マルトノ音は、わたしの席からはあまり聞こえなかったです(指向性のあるスピーカーを通しちゃうのでどうしても席によって聞こえ方が違っちゃう)。もしかすると、大友さんの意図がオンド・マルトノもオーケストラの楽器の一部として全体の音色を作る方にあったのかもしれませんが。
超素晴らしかったのは、ピアノの桃さん。がんがんと確信を持って弾く引きっぷりが良かったし、「愛と眠りの園」の機械仕掛けの鳥の囀りを微妙にルバート(アドリブ)かけて弾いていたのが、わたし的には完全にツボ。桃さんメシアン弾きですよね。もっと聴きたい。

あと全然関係ないけど、時事的に、大太鼓のマレットのフェルトがふんわりとゆるんでて風になびくトランプさんのカツラ(?)のようで、ずっと可笑しかったです。

愛をしっかり充填してきたんだけど、メシアンのエロス、どんな愛だったんだろう。「トゥランガリーラ」を聴きながらことに及んだらどんなすんごいxxxドラッグ系?アクロバティック?野獣?性の喜びの解き放たれたカオス。


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by zerbinetta | 2016-03-20 09:39 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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