なぜかイギリス インキネン/日フィル   

2016年4月23日 @サントリーホール

ブリテン:ヴァイオリン協奏曲
ホルスト:組曲「惑星」

庄司紗矢香(ヴァイオリン)
東京音楽大学(女声合唱)
ピエタリ・インキネン/日本フィルハーモニー交響楽団


インキネンさん、寂しいことに日フィルの首席客演指揮者として最後の音楽会。若くてステキ、イケメン指揮者なのに~。なんてね。だって来シーズンからは、日フィルの主席指揮者としての嬉しい登場となるんですもの。客演指揮者から主席指揮者への流れは、信頼関係が培われてきた証でオーケストラとしても幸せな結果。次のシーズンからますます楽しみになりそう。そして、インキネンさんは、ご自身のキャリアのために日フィルでは、初めて振る新しい音楽を積極的に採り上げてる風なのもなんかステキ。今日は、イギリスもの。レパートリー的には傍流系?インキネンさん、確かニュージーランドのオーケストラでも仕事しているからそこでイギリスつながり?

ブリテンのヴァイオリン協奏曲は初めて聴きます。本場ロンドンでも聴いたことなかったよ~。いろんな国の音楽がまんべんなく演奏されちゃう東京ならでは。ただ、山椒をちょっぴり効かせるとしたら、自国やアジア(系)の音楽に対してはわりと冷たいね。
音楽は、短いシンプルな音型のオスティナートの上に、ちょっとブリテンらしからぬ(ってブリテンをよく知っているわけでもありませんが)、叙情的な旋律が独奏ヴァイオリンで奏でられて始まって、おや、良い曲って思いました。こんな曲が知らないでまだ残っていたとは。中間部分では激しく盛り上がりつつも旋律は明快で叙情的な気分は保ったまま。紗矢香さんの演奏は、叙情的な旋律をキチンと弾いていくのが良かったんですけど、ちょっとヴィブラートのかけ方が気になりました。もう少し控え目の方が良かったんじゃないかなぁ。技巧的なスケルツォは、見事な余裕。もともとテクニシャンのイメジが紗矢香さんにあったので面目躍如。そのままカデンツァを経てパッサカリアのフィナーレはショスティの鏡像みたい(作曲はブリテンが先)。紗矢香さんのヴァイオリンは、とても集中力が高いものだったけど、前に感じた息の詰まるような感じがなくて、音楽に柔らかさが出てきていたと感じました。ミドリさんと似たタイプかなと思ってたけど、この部分で変わっていくのだろうな。

後半は「惑星」。よく知ってる曲なので、素直に楽しもっ。インキネンさんの演奏も、つべこべ余計なことを考えないで、大仰ではないさらさらとした筆遣いで過不足のない音の絵を描いていく感じ。作曲家が想を得た占星術的なうさんくささはなくて、クリアな音楽。ホルストの音楽も個々の惑星の占星術からイメジされる雰囲気をただ音に描いただけで、それ以上ではなさそうだしね。インキネンさんのアプローチは、浄水がさらさら流れるような金星や水星にアフィニティが高かった反面、土星や天王星に澱みが欲しかったです。戦争の火星は、戦車でもスターウォーズでもなく、サイバー戦争のようなものをなぜか感じてしまいました。破壊的ではない(でも迫力はあった)演奏がヴァーチャル感を煽ったのでしょうか。
最後の海王星も、宇宙の果てに光りの粒が流れていくように仄かに蛍光を発してキラキラと。神秘性というより探査衛星の漂流を思い浮かべたのは、理知的な科学の時代の音楽だから?最後の女声合唱がホールP席の後ろの廊下で歌って、ドアを閉じることで音量を下げていったということらしいんですけど(わたしの席からは見えないのであとから教えてもらいました)、あれ?PA使ってるのかな?と思ったほどホールに声が漂ってきて、サントリーホールってなかなか良いホールだなって、再認識。宇宙船のゆりかごで太陽系の外への果てることのない旅を、地球外生命が見つけてくれることを祈りつつフェイドアウト。


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by zerbinetta | 2016-04-23 01:38 | 日本のオーケストラ | Comments(0)

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