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新年最初はバレエから。こいつは春から縁起がいいかも 洗足学園音楽大学バレエコース・グローバルクラス   

2017年1月7日 @洗足学園 前田ホール


白鳥の湖


チャイコフスキー(音楽)

安達悦子(芸術監督)

石田種生(再振付)、プティバ、イワノフ(原振付)


中森理恵(オデット/オディール)、黄凱(ジークフリード)


洗足学園音楽大学バレエコース・グローバルクラス、東京シティ・バレエ団


井田勝大/洗足学園ニューフィルハーモニック管弦楽団


今年の音楽会初めデス。ほんとは今日は行く予定がなかったんだけど、わたし一押しのバレエ指揮者の井田さんの指揮だし、黄凱さん近くで観たかったんです。で、あとから気がついたんですけど、シティ・バレエと一緒の舞台だったらあの素晴らしい「白鳥の湖」が観られるかも!と狂喜。そう、今日はちょっと変わった、洗足学園音楽大学のバレエ・コースの本公演。バレエ・コースは3つのクラスに分かれていて、今日のグローバル・クラスは、シティ・バレエ団の方が指導しているんです。自由席で3000円の良心的値段。自由席だからあいてたら好きなところに座れちゃう。と言うことで普段は絶対座れない前の方に座りました。ばっちし。チラシには主役のお二人(今日はシティ・バレエの中森さんと黄凱さん♡)の名前しか出ていなかったので、コールドは学生さんたちかな、コールドは温かい目で観て主役に集中しようと思ったら、なんと、学生さんは第1幕と3幕だけ出演でであとはシティ・バレエの皆さん。むちゃお得だわ~。


学校公演だからまず若い学生さん(バレエ・コースができてまだ2年なので、1年生と2年生です)のことから。学生さんは、1幕のパ・ド・トロワや王子の友達、3幕の道化や花嫁候補、各国の踊りをプロに混じって踊ったのだけど、みんなきちんと踊っていたけど、プロと一緒に踊るとやっぱりプロは凄いというか、違いをまざまざと見せつけられる結果になりました。体つきからして違うものね。大学のバレエ・コースって将来のバレエ・ダンサーを養成するのか、指導者や舞台関係者を育てるのか、わたしにはよく分からないところがあるんだけど、後者もあればいいなって思います。だって、日本でバレエと言ったらお教室文化真っ盛りだけど、確かにバレエの裾野を広げている利点があるのかもしれないけど、ダンサーをきちんと育てるという点では、きちんと教えられる人が少ないのが問題だと思うんですね。例えば、ロイヤル・バレエではバレエ・スクールの先生になるのには、そのためのコースを履修しなければいけないし、ロシアやフランスではバレエ教師には国家資格がいると聞いています。システマティックにバレエを教えられる教師を育てることが日本のバレエの発展に必要じゃないかしらと思うのです。その先駆的な礎になればいいなと勝手に願ってます(学校の教育方針はどうなんでしょうか?)。


シティ・バレエは、王子の黄凱さんが、ナイーヴな王子と言うよりも少し大人な感じがにじみ出て、若者の心の無邪気さ不安定さよりも、踊りの余裕というか安定さを見せられた感じ。ある意味、王子になったと言うよりも、踊りの隅々まで意識的に目を配ってものすごくきちんと丁寧に、学生のお手本になるような踊り方をしていたように感じました。学校公演ゆえのように思ったのですが、もしかすると黄凱さんのスタイルなのかも知れません。ただそれに不満があると言われればそうではなく、黄凱さんを近くで観られてうっとり。

オデット/オディールの中森さんは、少し前掛かりになっていてこせこせしているように感じられてしまったのが、特にオデットで、ちょっと残念でした。句読点を打つように、もう少し、大らかにゆったりとした表現ができればもっと良いのにと思いました。オディールは、ハキハキとした役作りで、悪巧みで誘惑する人というより、王子を好きになったもうひとりの女性。オデットもオディールも優等生的というのは、ちょっと残念で、掘り下げて対比をつけられればもっと良いのにな、って思いました。


今日の舞台で面白かったのは、黒鳥のパートで、一瞬現れる白鳥(オデット)が、普通は、ステージの高いところの窓越しなんですけど(シティ・バレエの本公演でもそうだったと思います)、舞台装置の制約ゆえか、ステージ上に踊り手が直に現れるので、ちょっとなまめかしいというか体温ありすぎみたいな気持ちがして、それを隠そうとするロットバルトがいつも以上に焦ってる感じなのがね、くすりと。


そしてやっぱり、第4幕。しっかりと愛の瓦解と再生の物語が語られていて、いつも「白鳥の湖」のラストに曖昧な思いを抱いていたわたしは、初めてこの演出で観たとき感動したんだけど、そのときの気持ちが戻ってきて観に来て良かったと心から思いました。図らずも裏切られたオデットと騙されてしまった王子が、一度失われた愛を取り戻す過程が(と言っても短いものだけど)確かに語られていて、その試練により真の愛が生まれる、第2幕の愛と第4幕の愛とでは真実度が違ってるという、発展の物語を際立たせるところがわたし的には唯一納得できる最高の演出なのです。あと、最後舞台が一瞬暗転して、白鳥が人間に戻るハッピーエンドもステキ。チャイコフスキーの音楽も最後は、恥ずかしいくらい力こぶを入れて長調で終わってるんだけど、来世、またはあの世で結ばれるよりも現実で結ばれる方がわたしは、音楽に合ってると思うし、物語にも無理がないと思うんですね。


井田さんの指揮は、やっぱりお見事。ダンサーをさりげなくサポートする音楽付け。バレエ指揮者としての井田さん、初めて聴いたときから、わたし一目置いてるんです。まだ若い方だけど、日本を代表するバレエ指揮者になるんじゃないかしら。洗足学園ニューフィルハーモニックって、学生さんのオーケストラと思いきや、教えてらっしゃるプロの方も混じってる(それとも外から?)のかな?最初は固いところもあったけど、だんだんこなれてきてとても良い演奏を聴かせてくれました。ソロとかかなり上手かったです。


初詣に行って大吉引いたみたいで、今年は何だか良いことありそう。やっぱりバレエが好きだな~。





by zerbinetta | 2017-01-07 08:08 | バレエ

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