カテゴリ:アマチュア( 108 )   

独特の香りを放つ音楽 金山隆夫/シンフォニア・ズブロッカ   

2013年7月13日 @すみだトリフォニー・ホール

ヴェルディ:「運命の力」序曲
ラヴェル:マ・メール・ロア
プロコフィエフ:交響曲第5番

金山隆夫/シンフォニア・ズブロッカ


家ではクーラー使ってません。暑くてへろへろになってるわたしです。体が重くて(食べ過ぎ?)今日の音楽会は止しにしようかと悪魔が囁いたんですけど、招待券もらってるし欠席するのは、人道にもとるのでよれよれと行ってきました。そしてスキップで帰ってきました。

ステージに出てきた人たちを見たとき、若いな。大学のオーケストラを卒業したばかりでしょうか、20代の奏者が多いなって思いました。オーケストラ自体は特定の出身母体を持たないみたいなので、大学にとらわれず気の合うメンバーを集めたのかしら。音合わせをしているのを聴いて、ああ、ほどほどのレヴェルのオーケストラかなぁって失礼なことを思いました。

でも、最初の「運命の力」を聴いたとたん、あれ!っと。なんかプロのオーケストラみたいなんです。と言ったら、ちょっと言いすぎかもなんだけど、でもアンサンブルの作り方に隙がないんです。今までいくつかのアマチュア・オーケストラを聴いてきて、ああ、これはアマチュアだなぁと思うところは、例えば、和音をつけるところで、下の人のバランスが悪いとか、弱音で音に力がなくなってかすれちゃうとか、内側の音に音楽をする緩さを感じちゃうところだったんですけど、それが全然ないんです。確かに管楽器のソロを始めとしてコンサート・マスター(オーケストラはコンサート・ミストレスという言葉を使ってましたが、わたし頑なにヘンな英語のコンサート・ミストレス追放推進友の会の会長でただひとりの会員なので)も抜群に上手いわけではなく(もっと上手なオーケストラはあります)、とちることはあまりなかったけど、ぎりぎりで上手く吹いてる、みたいな感じなのに、全体としてオーケストラから出てくる音は、素晴らしいんです。細かい音まで意思の疎通がなされているし、弦楽合奏のピアノもきれいだし、びっくりしました。よっぽどパート練習で鍛えてるんでしょうか。

「マ・メール・ロア」もここの楽器の色気が足りないものの、全体の雰囲気は音楽に合ってとってもいい。物語の見えるような演奏でした。適応力の良さと言うより、長い時間を掛けて練習してるような気がします。しかもひとりひとりが表現したいことを分かってる。

指揮者の金山さんってプロフィールを見て思いだしたんだけど、ナショナル・シンフォニーでスラトキンさんの下、副指揮者をしていたんですね。ちょうどわたしが、DCの近所にいた頃で、そう言えば、1度か2度、彼が指揮してるのを聴いたのです。

プロコフィエフの交響曲第5番は、鳴り始めたとたん、あれれ?さっきまでの上手さはどこ行っちゃったの?ってびっくりしました。なんかばらばらに分解された感じ。出だしは確かに管楽器のソロが絡むけどそんなに難しそうじゃないのに。プロコフィエフって一筋縄ではいかないのかなぁ。なんかちょっと方向性を失って無重力を彷徨っちゃったみたい。金山さんがどんな音楽をやりたいのかが見えてきたのは少ししてから。わたし、この曲、ほんわか系だと思ってたのよ。日曜日の午後、ビールを飲んでぷはあとするとか、お風呂でのんびり浮かんでいるとか、そんなイメジ。ところが、金山さんの音楽って、戦争前夜みたいな、暗くて、ざらざらしていて、溶けたアスファルトのような、ねっとりと黒い。わたしそんなプロコフィエフは交響曲なら第3番で終わったと思ってた。でも、ここで聴くのは、第2番のような製鉄所の溶けた鉄のような重い液体の音楽。のたりくねる音。ああ確かに、地面を這うトランペットの低音。最後には怪獣まで登場して。
ああそうか。金山さん、ナショナル・シンフォニーの時代に、ロストロポーヴィチの演奏聴いているのかもね。久しぶりに前監督のロストロポーヴィチが帰ってきてこの曲を演奏してる。そのときのことを思い出したら、もちろん金山さんは、徹底して遅めのテンポで重々しく鳴らしてるんだけど、音を重ねるように詰め込んで、整理をせずに全部聴かせちゃうやり方は、ロストロポーヴィチに似てる。そういうことが分かってくると俄然楽しめる。

第2楽章も全然軽快感なくて、心が躍るような感じじゃなくて、空虚な移ろい。乾いた笑い。多分、想像だけど、金山さん、オーケストラに、この曲は戦争中に書かれたとか、作品番号100番の記念碑的な作品だとか、いっぱい説明したのでしょう。そして、オーケストラがそれをしっかり音にするところが凄い。
一番いいと思ったのが第3楽章。オネゲルの交響曲第3番の中間楽章と直結するような重い足取りと音色で、この曲の核心のようでした。
そして最終楽章。遅いテンポで決してはっちゃけない重さ。ヨロコビなんて簡単にはやれないぞ、って感じ。かなり異形の演奏だと思うけど、ずうっと聴いてきてすとんと納得。このテンポだと、第2主題が第1楽章と直接結びつくのがよく分かります。最後くらいは、絶望的にはっちゃけるかなと思ったけど、煽ってたけどちょっとおとなしかったかな。ここで爆発させられると、凄いんだけど。でも、それでも素晴らしい演奏だったことには間違いありません。

金山さんも、的確な指揮で、ときにはオーケストラに任せたり、ステキな音楽を作っていました。オーケストラと共にもっと聴いてみたいです。アンコールはシュトラウスの「南国の薔薇」をねちっと優雅に。最後まで、しっかりと音楽を作っていた良いオーケストラです。ほんと、アマチュア離れしたところがあってびっくりしました。確かに、オーケストラのコンセプトのように独特の香りを放つステキな音楽でした。

ちなみにわたしズブロッカは苦手です。草は好きなんだけど、ポーランド人の友達に勧められて酔っ払いました。でも音楽に酩酊するのは良いな。
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by zerbinetta | 2013-07-13 10:56 | アマチュア | Comments(0)

豊かな時に熟成された音楽 新田ユリ/習志野フィル「悲愴」   

2013年7月7日 @習志野文化ホール

プロコフィエフ:古典交響曲
リャードフ:8つのロシア民謡
チャイコフスキー:交響曲第6番「悲愴」

新田ユリ/習志野フィルハーモニー管弦楽団


津田沼というところに来てしまいました。初めて〜。
新田ユリさんが指揮するのを聴きたかったので、習志野フィルハーモニー管弦楽団の音楽会に来てみました。新田さんは日本でのシベリウスのスペシャリストなんです。とはいえ、今日はシベリウスはなしですが。
習志野フィルは千葉では2番目にできた老舗アマチュアオーケストラだそうです。わたしが生まれる前にできていて、今日は83回目の音楽会。千葉で一番の老舗はどこなんでしょう?今度聴いてみたい。

習志野フィル、学生オケOBOGが母体の市民オケではなく、由緒ある(?)市民オケなので、団員の年齢層は高いのです。会社で言うと部長クラス(よく分からないけど)の人たちの集まり。家族も子供もある人だったり、リタイアした人だったり、そんな感じなので、若い人みたいに力に任せて練習する勢いがある感じではありません。なので、実力にちょっと不安を覚えたのですが。。。確かに、上手いとは言えない(でも、ものすごく下手ではない)オーケストラだけど、ずうっと長年音楽をやり続けてきた(これって凄いことですよね)音楽に対する愛はものすごく感じました。レパートリーもオーソドックスなクラシックを採り上げてきているようで、とても安定的。ソロがよれったり、速い音符の指が回らずにアンサンブルが乱れたり、欲しいところで音量が足りなかったりはあったけど(たいていのアマチュア・オケでは付きものですけど)、それでも、ところどころに本物の音楽を感じました。

新田さんの指揮は、難しいところを上手く揃えるような練習ばかりして音楽を整えるというよりも、オーケストラが持っている音楽性を重視してそれを引き出すように演奏していたと思います。要所要所で、例えば「悲愴」の出だしとか、どこに出しても恥ずかしくない雰囲気を持った演奏になっていたと思います。それに、ときどきほんとに良い音が鳴ってたんですよ。ホルンのソロとかクラリネットとか、ファゴットとかトロンボーンとか。でも、それがいつもじゃないところが、面白いところです。新田さんは、本当に音楽ばかり感じさせる指揮者で、アマチュア・オケといえども楽譜を演奏してるんだっていう音がなかったのがステキです。インテンポで押した第3楽章は、オーケストラの音色に乏しいのでちょっと退屈しちゃったけど、第4楽章はとっても感動しました。新田さんも音楽に打たれているように見えて、わたしも音楽の力にのめされました。若い人にはできない、なんだか長い時の中で琥珀色に熟成された音がしたような気がします。わたしも、わたしは聴くしかできないけど、こんな風に自分の中で音楽を熟成させていきたいです。こういう終わり方したんだからアンコールはなしにして欲しかったです。新田さんはぜひ、もっと聴いてみたい指揮者です。プロのオーケストラでも演奏しないかしら。

アンコールというか、「悲愴」が終わったあと、昨年の末に亡くなった、オーケストラの創立メンバーでフルートの方を偲んで、ニムロットが演奏されました。この曲涙腺刺激系でマズイと思ったんだけど、どういうわけかあまり心に来ませんでした。オーケストラが力不足というか淡々と演奏しているように聞こえて。それから本当のアンコールで、「くるみ割り人形」の「葦笛の踊り」。こちらはとても良かったんだけど、やっぱり、今日の音楽会は「悲愴」で終わって欲しかったな。
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by zerbinetta | 2013-07-07 00:20 | アマチュア | Comments(0)

わたしが指揮されちゃった 小笠原吉秀/東京大学フィロムジカ交響楽団、マーラー5   

2013年6月23日 @文京シビックホール 大ホール

シュトラウスII:「こうもり」序曲
フォーレ:組曲「ペレアスとメリザンド」
マーラー:交響曲第5番

小笠原吉秀/東京大学フィロムジカ交響楽団


東京のクラヲタさんたちは、多くがハーディングさんと新日フィルのマーラーを聴きに行ってるさなか(えっ?)、わたしは文京シビックホールというところに別のマーラーを聴きに行ってきました。東京大学フィロムジカ交響楽団の音楽会。大学のオーケストラはずいぶんと久しぶり。東京大学はわたしのなんちゃって母校なのに、こんなカタカナのオーケストラあったっけ?って見たら、新しめのオーケストラだったんですね(わたしのいた頃にはできてたようだけど)。今はいくつか学内オーケストラあるみたいだし。それにしても、大学オケって若いなぁ。4分の1くらいはこの間まで高校生だったんだもんね。この際若いエキスをタップリ吸わなきゃ。
ずいぶんと人数の大きいオーケストラ。プログラムによると160人くらい?アマチュアゆえの音量のなさを人数でカヴァー?シモンボリバルとかGBナショナル・ユースもそんな感じだったな。でも、音楽の仲間がたくさんいるのはいいよね。

文京シビックホールには初めて来ました。お客さんがずいぶん並んでいたのにびっくり(ただだから?)。ホールはほぼ満員。いつの間にかできてたんですね、こんなきれいなホール。1階は傾斜がゆるくて少し見づらいかもとも思ったけど、ここも明るくて良いホールだなぁ。東京には良いホールがいっぱい。ただ舞台が箱状になってるので、音が舞台にこもってから聞こえてくるみたい。上手なオーケストラだと上手く音を飛ばしてくるのかな。

「こうもり」はなかなか楽しい演奏。すらっとして田舎くさいウィーン訛りがなくて、ラ・ヴァルスのようなワルツ。わざわざへたくそな東京人の大阪弁みたいにぎこちない方言でやるより、そういうのはウィーンの人たちに任せて、スマートにやっちゃうのもいい。演奏は正直とても上手いとは言えないけど、みんなができる精一杯のことをやっていて、弦楽器の後ろの方でムニャムニャと適当にごまかしたり落ちたりする人もいなくて、好感度大。指揮者の小笠原さんは、とても良くオーケストラをコントロールしていて学生と共に音楽を上手に作っていました。大変なことはやらせないけど、音楽のポイントは掴んで自分の音楽を出していたと思います。

「ペレアスとメリザンド」は、小編成で。こうなるとオーケストラの実力が出ちゃうのね。最初のノンヴィブラートの音は、あら、大丈夫かしらと思いました。でも、音楽が動いてきてヴィブラートもかけるようになるといいかな、と。こういう音楽の方が個人の力量がもろに出ちゃうし、実は、この曲、あまりこのオーケストラに向いてないんじゃないかと思いました。

さて、マーラーです。マーラーは、勢いでなんとかなりそうって思っていたのですが。。。始まりのトランペットのソロを聴いて難しいかなぁ、と。ちゃんと吹ける人だと思うんですけど、緊張や音色に注意して丁寧に行こうとするあまり、萎縮しちゃったかな。まあプロでも緊張するでしょうし、聴いてるわたしも緊張するんですけど、すかんと行った方が良かったかもね。第1楽章、第2楽章は速めのテンポでスマートに進みます。オーケストラが、レガートでたっぷり歌うというのには力不足だったので、このスタイルは上手くいってたと思います。
小笠原さんは、エキセントリックなことはしないけど、とても細やかにフレーズを作って、アクセントをしっかり付けたり、並走する旋律群を上手く絡めたり、音楽と一体となって分かりやすい身振りでオーケストラを導いていきます。こんな風に全霊を込めて指揮されたら、オーケストラはついて行っちゃいますね〜。ステキ。小笠原さんとフィロムジカ交響楽団は長く関係を続けている(今年5年目)ので、指揮者とオーケストラの間に良い信頼関係があるのですね。オーケストラの実力は、例えば、トランペットがオーケストラの全奏にかき消されてメロディが消えちゃったり、チェロとかももう少し音量が欲しいところで来なかったり、ピアニッシモが甘かったり、確かに聞こえてくる音は、プロのオーケストラで聴かれるような音ではありません。でも、オーケストラの真剣さや音楽感の統一度、指揮者の指揮ぶりから、彼らが演奏しようとしている音楽が頭の中にしっかり聞こえてきて良かったのです。小笠原さんの指揮で、わたしの中で彼らの音楽が鳴っていた。トロンボーンとティンパニを筆頭に打楽器は上手かったですよ。ティンパニの音楽を引っ張る叩き方かっこよかったし。マレットを表情に合わせて変える工夫をすればもっともっと良くなるでしょう。

正直、聴く前と聴き始めは、このオーケストラにマーラーは難しいんじゃないかなって思いました。このオーケストラがマーラーを採り上げるのは初めてみたいだし、それなら交響曲なら第1番が先じゃないかしらって。それに、新入生が入ってすぐの夏の音楽会じゃなくて、オーケストラの音ができる冬の音楽会でじっくり採り上げた方がいいのかなって。オーケストラのみんなが議論して第5をやろうって指揮者に報告したとき、えええっ!ってびっくりしたんじゃないかしら(内心無理だろーっ、どうしようって)。でも、出された結果はとてもステキでした。第3楽章のスケルツォがよく作り込まれてとても良かったです。そして、第4楽章の清楚な美しさ。このふたつが一番の収穫です。小笠原さんは、音楽をただ進めるだけじゃなく、しっかり自分の音楽を作っていたこともステキでした♡

マーラーはこの演奏を聴いたらどう思ったでしょう。下手くそって思うのかな。それとも、演奏は下手だけど、彼の音楽を愛してできるだけのことをしようと全霊で挑んでくるのを良しとするか。マーラーの当時は、マーラーが指揮していたオーケストラはこのオーケストラより上手いでしょう(プロだし)。でも、彼の反対者がオーケストラの中にもたくさんいて、嫌がらせをしたり、まさに前衛と言える彼の音楽への無理解を考えると、アマチュア好きのマーラーのこと、今日の学生オーケストラの、彼の音楽を理解し、必死に表現しようとする意欲を取ったんじゃないかなって勝手に思います。少なくともわたしにはマーラーの音楽が聞こえました。

と、マーラーを褒めた舌の根が乾かぬうちに、一番良かったのはアンコールの「雷鳴と稲妻」。指揮者もオーケストラものびの〜び弾いてましたね。絶対こういう曲、向いてる。このコンビでニュウ・イヤー・コンサートみたいなのも聴いてみたいなぁ。
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by zerbinetta | 2013-06-23 23:13 | アマチュア | Comments(3)

専門家はステキっ♡♡ オール(?)ボロディン 米津俊広、アウローラ管弦楽団、他   

2013年6月16日 @ミューザ川崎シンフォニーホール

ボロディン:交響曲第2番、歌劇「イーゴリ公」より

菅又美玲(ヤロスラヴナ)、菅井寛太(イーゴリ公)、折田真樹(コンチャク汗)
米津俊広/柏フィルハーモニー合唱団、混声合唱団コール・ミレニアム、オーソドックス合唱団、アウローラ管弦楽団


素晴らしかった!

ミューザ川崎に行くのは初めてです。というか、川崎の駅に降りるのも初めて。川崎というと工場の町という、勘違いの印象を持っていたけどJRの駅を降りた先はお洒落な商業施設。ミューザ川崎も駅からすぐで、屋根が付いている歩道があるので雨が降っても傘なしで行けるんですね。便利。

ホールは、サントリー・ホールと同じような形。でも、客席の入り口が1階2階3階と分かれているのでとても分かりづらい。わたしは近くで聴くのが好きなので最初1階に座ってみたんだけど、今日は合唱も入るから2階に移動。歩いてみた感じだと1階と2階はステージに近いけど3階(4階?)以上は少し遠い感じ。でも、聞こえてくる音はどこも良さそう。ここをホームにしている東京交響楽団は鼻高々でしょう。地震のとき壊れて最近、修復再オープンしたそう。今日の、アウローラ管弦楽団の音楽会のプログラムも、本来は地震のすぐあと演る予定だったのができなくて今日になったとのことです。

ボロディンの交響曲なんてこれを逃したら一生聴く機会がなさそうなので、ワクワクしながら聴きに来ました。この曲自体は中学生か高校生の頃聴いたことがあるので知っているんですけど。そして、アウローラ管弦楽団は、都内で5番目のロシア音楽系のアマチュア・オーケストラだそうです。ロシアに特化したアマチュア・オーケストラなんて珍しそうって思っていたら、東京には5つもあるんですか。何とマニアックな!

交響曲第2番(「勇士」ってタイトルなんですか。知らなかったーー)が始まったとたん、にやり。いい。凄くいい。オーケストラは下手ではないけど、今まで聴いたアマチュア・オーケストラの中で上手いとは言えない。金管楽器なんて結構汚い音出してるし、木管楽器もひょろろ〜と延びたスパゲティのようになっちゃう部分もある。でも、これは、本物のボロディンの音。ロシアものに特化してるだけあって、真がそこにある。ひとりひとりが音楽を分かって演奏しているのがとてもいいんです。ヴァイオリンなんかは本当に良い音出してたし、金管楽器もリスクを負って果敢に攻めてくる。こうでなくちゃ。絶対みんな、うちでロシア・オケのCDばかり聴いてるに違いない。いろんな曲を演奏するアマチュア・オーケストラやプロのオーケストラでさえ、できないことです(だってオーケストラ60人くらいいたら、ボロディンなんて〜って思う人もひとりやふたり(いやボロディンならそれ以上)いるハズ。超一流のオーケストラならいざ知らず、ボロディンのこと分かってない奏者が混じってるもの)。もうわたしは嬉しくって、勇士と一緒にコザック・ダンスを踊りたくなる勢い。 <--一番ボロディンのこと分かっていない奴。

休憩後は、オペラ「イーゴリ公」からの音楽。ボロディンの構想を下に(ボロディン自身は楽譜にしなかった)グラズノフが書いた序曲に始まり、アリアや合唱の入った曲、有名な韃靼人の娘たちの踊りや、韃靼人の踊り。プログラムの解説も、もうロシアものが大好きという感じで好感度大だし、今日は、合唱(3つの合唱団を使った割に人数少なかった)も3人の独唱者もオーケストラも、指揮者もみんな好きな音楽に全霊で奉仕してたし、一天の曇りなく音楽に埋没できたまれに見る、じゃないまれに聴く公演。全員が等しく一体になっていたように思えました。指揮の米津さんは、テンポを落とすところでもたついちゃうところがあったけど、オーケストラを尊重してとても上手く音楽を引き出していました。「イーゴリ公」の途中で、外で言葉汚く叫んでた女の人がいたけど(何なんだろう?)、全く気にせず音楽に集中できました。こういう演奏を聴くと、本当に音楽って技術以上に心だなとあらためて確信できます(もちろん心を表現できる位の技術は必要ですが)。次回もぜひ、聴きに行きたいオーケストラです。このオーケストラにはぜひ、いつか、ムソルグスキー特集をやってほしいです。原点版の荒々しい「はげ山の一夜」やラヴェル編曲でない「展覧会の絵」、「死の歌と踊り」なんかを聴きたいです。それから、カラマーノフの交響曲。プロじゃなかなか演ってくれないものね。

それにしても、都内にロシア・オケが5つかぁ。確かシベリウスに特化しているオーケストラやマーラーの名前の付いたオーケストラもあるし、そういう専門性の高いアマチュア・オーケストラは聴きに行く価値大ありかも知れませんね。日本とかアジアの作品ばかりやるアジア系オーケストラとかないのかしら。あとはポーランド系を希望♪
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by zerbinetta | 2013-06-16 23:01 | アマチュア | Comments(0)

楽譜と音楽のはざま 佐藤宏充、江東シティオーケストラ   

2013年6月8日 @ティアラこうとう 大ホール

メンデルスゾーン:交響曲第5番
ブラームス:交響曲第2番

佐藤宏充/江東シティオーケストラ


ティアラなんて貧乏でいつもださださな格好をしているわたしには一生関わりないと思っていたのに、今日はティアラこうとうに行ってきました(って全然話がかみあわないじゃん)。ティアラこうとうでただで聴ける太っ腹の音楽会があったんです。ただで聴ける音楽会はなるべく行こうかな、と(セコイ?)。
ティアラこうとうってお洒落っぽい(ほんとにお洒落かは別にして)名前が付いてるけど、区の公会堂の一種なんですね。区民センター?そう言えば、葛飾のシンフォニー・ヒルズも同じ仲間ですかね。

江東区(という区分で良いのでしょうか?)には、アマチュアの市民オーケストラが2つあるみたいです。今日はそのうちのひとつ、江東シティオーケストラ。メンデルスゾーンの「宗教改革」とブラームスの交響曲第2番という、ロマン派超正統派交響曲2曲ということで、腕に自信があるのかなって期待しました。誤魔化しきかないし、ブラームスなんかはかなり弾くの難しそうですし。

残念ながら、やっぱり、オーケストラの技術的な疵が演奏には出てしまいました。勢いで弾き飛ばせる音楽ではないので、ちょっとムズカシイ。例えば音を膨らますクレッシェンド、デクレッシェンドや楽器間のバランス、後ろに回ったときの弾き方、ときに音程など、そういう細かなところにまだまだ理解の足りないところが聞こえました。
楽譜は結構きちんと弾けているんです。弦楽器のセクションを見ても、後ろの人までちゃんと弾いてるし(いぢわるなとこみてるわたし。食器棚の隅の方に指を滑らせてお掃除が、なんて言う義母みたい)、そういう意味ではひとりひとりの技量は悪くないのです。ヴァイオリンもときどき澄み切った青空のようないい音を出していたし。でも、そこから一歩、音楽に近づいていないのです。楽譜通りにならしただけでは、ただの音で、音楽になりません。それがおしい。もったいない。

指揮者の佐藤さんとは、長く共演を続けてるみたいだけど、コミュニケイションが上手くいってないように思えました。倦怠期の夫婦みたい。佐藤さんは、淡々と振ってるだけで、音楽の馭者の座を放棄したみたいに感じました。ブラームスの最後では、上手く盛り上がりを作ったけど、例えば旋律の裏に回った静かな細かいヴァイオリンの音型には注意を払わず、そこだけ現代音楽のように聞こえてきたり。正面から見たわけではないので、確かなことは言えないけど、あまりアイ・コンタクトもなさそうだったし、オーラみたいなものも感じられません。表情にはあまり出さないタイプの指揮者なのかも知れませんが、オーケストラをもっと積極的にコントロールしても良いんでは、って思いました。ただ、指揮者だけの問題かというとそうではなく、オーケストラの方も楽譜を追うことばかりに気を遣っていて、指揮者や周りを見る余裕がなかったように見えます。上手いオーケストラってじいっと観察してると、ものすごくたくさんコミュニケイションしてるんです。指揮者を見たりコンサートマスターを見たり、パートリーダーを見たり、隣を見たり。ヨーロッパの大陸の方のオーケストラは、さらに身体を揺らしてオーケストラの中で室内楽を演奏するように演奏してる。そんな様子が、江東シティオーケストラからは見られませんでした。力はあるオーケストラなので、もう一皮剥ければ、ものすごく良くなるって思いました。

1回では分からないので、機会があったらもう1度聴きに行ってみようと思います。がんばれ〜〜。
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by zerbinetta | 2013-06-08 13:59 | アマチュア | Comments(4)

軽やかな気分で海に行く プロースト交響楽団   

2013年6月2日 @すみだトリフォニー・ホール

シューベルト:交響曲第6番
イベール:交響組曲「寄港地」
ドビュッシー:交響詩「海」

大井剛史/プロースト交響楽団

ふんふんふわわんと鼻歌うたいながら足取り軽く、梅雨の晴れ間の心地よいお天気の中、海に出かけてきました。そんな感じです。

今日は、またアマチュア・オーケストラの音楽会。東京ってほんと、アマチュア・オーケストラ多いですね。わたしが、わりと日本にフィットしてるから情報が得られやすいのかも知れないけど、ロンドンなんかよりもよっぽど多そう。学生オーケストラの巣である大学の数も圧倒的に多いですしね。
団体によっては、無料であったり、無料のチケットをもらえたりするので貧乏なわたしはちょくちょく出かけてます。といより、生音好きだし、何より、アマチュアの演奏も独特の熱があって大好きなんです。
今日はプロースト交響楽団というところ。首都圏の大学オーケストラ出身の人たちが中心になって2003年に作られたオーケストラです。舞台を見ると若い人が多いなという印象です。

音楽会の始まりは、シューベルトの交響曲第6番から。じんわりと嬉しいプログラム。この曲、生で聴くの初めてです。ゆっくりした序奏があって、、、あれれ、オーケストラはとても良い音出してるんですけど、フレーズごとにおしまいのテンポがなんだかもったりしちゃって、丁寧に弾きすぎてるのかしら。それとも指揮の大井さんの癖?アレグロに入ってからはうきうきと軽やかないい演奏で、今日の空のように明るい、気持ちが華やぎます。小さなオーケストラで、このオーケストラは弦楽器の音色が柔らかでステキですね。プログラムに載せられていたシューベルトについての文章もシューベルトの音楽への愛情がこもっていて嬉しかったです。

2つめのイベールの「寄港地」もなかなか演奏されない曲です。吹奏楽の編曲版は聴いたことがあるのに、オリジナルのオーケストラのは初めて。いい曲なのに。大きなオーケストラだけど、木管楽器のエキゾティックなソロが大活躍。最後のバレンシアはカスタネットやたくさんの打楽器も入って盛り上がって終了。随所にきらきらときらめく音があって良い雰囲気。今日の中ではこの曲が一番良かったかな。

最後の「海」は、全体的には良かったけど、ところどころの小さな綻び、和音のバランスとか、音色感とか、音の出入りとか、が少し気になりました。精密に書かれた絵を観ているような音楽なので、そういう細かなところの積み重ねが気になっちゃうんですね。でも、最後はちゃんと盛り上がって(やっぱり、盛り上がる曲はちゃんと盛り上がって欲しいでしょ)、大団円。
アンコールには、フォーレの「ドリー」から静かな1曲。カスタードクリームのようなデザート。

プロースト交響楽団は、とても良い音のオーケストラだと思いました。ひとりひとりがしっかり音楽を知っている(たまに飛び出しちゃうけど)のも良いし、はまったときにはとても良いのです。ただ、少しむらがあって、ひとつの曲の中で良いときと悪いときがあるのがちょっと残念です。大井さんの指揮はとても分かりやすくて、音楽にメリハリを付けて(特にテンポで)、音楽の構造が掴みやすいように聴かせてくれます。シューベルトの交響曲なんかはソナタ形式が音でよく分かる演奏でした。奏者に無理させず、きちんと拍を振っていたのも良い感じ。プロのオーケストラでどんなふうに音楽を作るのか聴いてみたいです。千葉のオーケストラの常任指揮者なんですね。聴きに行かなきゃ。

ところで、トリフォニー・ホールでオーケストラ聴くの2度目なんですけど(どちらもアマオケ)、1階のわりと前の方で聴いてたんだけど、コントラファゴットの音がビーンと薄紙を唇で振るわせるように響いてきません?あれ、ホール独特の音だと思うんだけど。
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by zerbinetta | 2013-06-02 23:45 | アマチュア | Comments(0)

がんばってエア・アルプス登山   

2013年5月19日 @サントリー・ホール

ワグナー:ジークフリート牧歌
ワグナー:ニュルンベルクのマイスタージンガーより 第1幕前奏曲と冒頭の合唱~第3幕フィナーレ
ワグナー:ローエングリンより 第3幕の前奏曲~結婚行進曲~第2幕エルザの大聖堂への入場からフィナーレ
シュトラウス:アルプス交響曲

曽我大介/アマデウス・ソサイエティ管弦楽団


オーケストラの中の人に招待券をいただいたので喜んで聴きに行ってきました♡
失礼なことに今これを書き始めたときまで,アマティー・オーケストラだと思ってました。アマデウス・ソサイエティ・オーケストラなんですね。プロフィールを読むとワグネル・ソサィエティ・オーケストラの出身者で作られた社会人オーケストラだそうです。ソサイエティのイの字の大きさの違いはなぜ?ワグネルの方は確かどこかの大学のオーケストラですね。慶應でしたっけ?

小編成のジークフリート牧歌から。小編成の室内楽的な音楽を持ってくるなんて,自信があるのね。でも、上手かったですよ。とても良い雰囲気出してました。こんなふうに朝聞かされたら、うるうるとうっとりしちゃうじゃない。そりゃ、プロのオーケストラやもっとうまいアマチュア・オーケストラと比べたら言いたいこといっぱいあるけど,雰囲気の表出という意味ではとても良かったし。あらを探すために音楽聴いているのではないので、わたしにはとっても良かったです。後ろで親子が小さな声でお話ししてたのも気にならなかったし。コジマもただ黙って聴いていたのでしょうか。外では小鳥が鳴いていたでしょうし、乳母と時折音楽について言葉を交わしていたかも知れません。そんな音楽だと思うのよ、これは。

一転大きなオーケストラ、オルガン、合唱、大人数のバンダも入ってワグナーのオペラからふたつ。前奏曲とかならよくオーケストラ・ピースとして単独で演奏されるけど,オペラの部分をちょっぴり切り取ってるのは嬉しい。マイスタージンガーは有名な序曲とすぐ続く,教会の外でエファをスニーキングしているヴァルターのシーンと最後に合唱を伴って前奏曲が回帰してくるフィナーレ。もうひとつは、ローエングリンから華々しい第3幕への前奏曲と続く結婚行進曲、でいきなり大聖堂からエルザが出てきて、大団円のうちにハッピーエンドのフィナーレ。あれれ。
やっぱり大きなアンサンブルだと安定してるんだけど、薄くなったときに音に力がなくなるのはどうしてなんだろう?決して個々の技量が悪いということではないのに、強奏から弱音になるとふにゃりと息が抜けたようになっちゃうのはなぜ?あと、ハーモニーの中の中声部にちょっと心許ないところがありました。全体の中の立ち位置を見失ってる感じだったので指揮者の責任かしら。でも指揮の曽我さんは手堅く上手に音楽をまとめている感じでしたね。ぐいぐい引っ張るのではなく、行けーー!と弾く感じ。どちらも華やかに開放的に終わったのでスッキリ。

最後は、いよいよアルプス登山。ステージの後ろの方にあるサンダーマシンとウィンドマシンがワクワク。わたしもおべんと持って山登りのかっこして、って訳ないよね、ゆったり椅子に座ってエア登山を楽しみます。曽我さんとアマデウス・ソサイエティの演奏は、この曲の背後にある宗教的な主題を音にするというより,登山の情景をそのまま描き出す感じでした。だからわたしもすっかり山登り気分。途中、道に迷って羊の群れに追われるんじゃなかったっけと思ったら,後から考えたらそれドンキホーテ?オーケストラ(弦楽器)の音が軽めなので軽快な登山。アルプス的には日本アルプス?登ったことないけど。本格アルプスは,プロというか登山家といわれる人じゃなきゃ登れない山ですものね。シュトラウスの登ったアルプスはもちろんそんなアルプスじゃなくてわたしも登れるアルプスだからいいの。でも、こんな「オーケストラのために」書かれた音楽を聴いてると、ほんとオーケストラで演奏するヨロコビに溢れていて、わたしもエア登山じゃなくて,向こう側に行って一緒に山に登ってみたいと思いました。もちろん、わたしに楽器など弾けないので、一番簡単そうな(失礼)トライアングル。トライアングル専門なら、ティンパニの人もトライアングルに持ち替えることないし、いいでしょ。それかウィンドマシン専門。そう言えば,今か今かと待っていたサンダーマシンは、最後にほんのちょっとだけ鳴るのね。もっと派手に鳴らせばいいのに、今日はオーケストラの強奏に隠れてあまり聞こえませんでした。前にBBCシンフォニーで聴いたときみたいにほんとに雷落ちても良かったのに(事故でサンダーマシンが枠から外れて落ちました)。この大曲を最後までしっかりと演奏してくれたオーケストラはさすがだな。特にトランペットのトップの人が良かった。あと、オーボエとコールアングレ。コンサート・マスターのソロもいい音でした。

日曜のお昼間を日常とは違うハレの空間で過ごせたことは幸せでした。なんだか別世界にいた感じです。やっぱり音楽会はいいなぁ。いつか、マイ・トライアングルを買って激しく練習して,ソロトライアングル奏者としてわたしもステージにいたいな。
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by zerbinetta | 2013-05-19 00:38 | アマチュア | Comments(0)

なぜにエルガー交響曲第2番なのか小1時間問いただしてみたい 東京楽友協会交響楽団   

2013年4月7日 @すみだトリフォニーホール

ウェーバー:オペロン序曲
ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番
エルガー:交響曲第2番

イリーナ・メジューエワ(ピアノ)
橘直貴/東京楽友協会交響楽団


爆弾低気圧が去って雨は止んだもののまだ時折強い風が吹く日曜日の午後。でも真っ青なお天気で、20度を超える気温は、たまにしかないロンドンの夏のよう。清々しくて気持ちのいい空気の中、音楽会に行ってきました。アマチュアの東京楽友協会交響楽団。聴きたかったピアニストのメジューエワさんが弾くのでやって来ました。トリフォニーホールは2回目。
少し早めに会場に着いたかなと思ったら、えええ!長蛇の列。プロのオーケストラでもこんなことないのに。で、列に並んでるのは普通のオーケストラの音楽会とはちょっと違った客層。お孫さんを連れたおじいさんとおばあさん率高し。出演者の家族関係かしら。メジューエワさんを聴きに来られた人たち(わたしも)ではなさそうですね。

舞台の上で音出しするのを聴いてると、みんななかなか良い音を出してる。このオーケストラは期待できる。定期演奏会も今日のが95回目だし、老舗なのね。アマチュアではトップクラスなのかな。丁寧に音合わせして(シティ・フィルの音合わせも丁寧だったな)さあ!
にこやかで駆け足のように指揮者の橘さん登場。始まりはオベロン序曲。うんうん、弱音では音が枯れちゃってる面があるけど,音楽はきちんとまとまっていてとってもステキ。プロやプロの卵のレヴェルではないけど、みんながひとつの音楽を作っている感じがするのはいいなって思う。練習の中で意思の統一をはかってる感じ。わたし的には好感度高い。

ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番、大好き。メジューエワさんのピアノってどうなんだろう、わくわく。真っ赤なビロードのような柔らかい肌触りのドレスで,ほっそりと華奢でアニメの世界から出てきた美少女みたい。指も細くて長い。そうそう、楽譜を見ながら弾くんですね。自作ふうの譜面を持っていました。
始まりのピアノのソロを聴いた瞬間から彼女のピアノに引き込まれました。たーん。たたたたらたたたらたたたんたん。の音がとっても鮮明に粒だって聞こえるの。極端に言うと打楽器みたいな感じに。スタインウェイのピアノだったけど、響きが膨らみすぎるのを押さえて、弦の音がちゃんと聞こえるわたし好みの音。
彼女の独奏は、彼女が先に立ってぐいぐいオーケストラをリードしていくというより、オーケストラにのっかって一緒に泳ぐ感じ。音楽は楽譜に書いてあるので、彼女が引っ張らなくても、みんなが楽譜通りに弾いたらちゃんと作曲家の音になることを信じてるみたい。でも、ちゃんと彼女の音楽はオーケストラを巻き込んでいました。
ベートーヴェンだからって気負うことなく自然体の音楽。特別のことは何もしてないのに、すうっと心に通る特別な音楽。第2楽章のオーケストラとの対話も、敢えて対立することなく、静かに語りかける感じ。この人は将来、ピレシュさんのようなピアノ弾きになるのかしら。なればいいな。
アンコールはベートーヴェンのポルカのような楽しい音楽。エコセーズ?気の置けない感じで粋でした。

休憩の後は、エルガーの交響曲第2番。えっ?!実は今日は、メジューエワさんがピアノを弾くことしか知らなくて,他に何の曲をするのか会場でプログラムを見るまで知らなかったんだけど、エルガーとは。しかもエニグマや交響曲第1番じゃなくて第2番。本場ロンドンでも1度も聴いたことのない曲。誰が選曲したんですかーーー?こんなマニアックな曲。大曲だけど,よく分からない感じだし、クラヲタさん向けマイナーな曲なら他にも良い曲があるでしょう。シマノフスキとかシュニトケの合奏協奏曲とか、スクリャービンの交響曲第3番とか(モロわたしの好み)、チャイコフスキーやドヴォルジャークの初期交響曲とかブルックナーの交響曲第4番の第3稿とか、よく知られているように見えてほとんど演奏されないのとか,いろいろあると思うのね。それなのにエルガーの交響曲、第1番じゃなくて第2番。よっぽど好きな人いたのかな。どんな話し合いがなされたのか聞いてみたい。どうして交響曲第2番なのか小1時間問いただしたい。

エルガーの曲、かっこはいいけど、行き当たりばったりな感じで,とっつきにくいんです。始まりのリズムのずれ、というか後打ちが上手く合わなかった感じでちょっとどきりとしたけど、ううむ、手堅くまとめてきた。併走するいろんな音たちをあるがままに演奏して、でも、もちょっと整理してメロディを浮かび上がらせた方が分かりやすくなるって思ったけど、吠えるところはとても良い感じ。反面弱音はやっぱり響かないかな。弦楽器がもうちょっとヴィブラートをかけて豊かに弾いてくれれば、そうよ、エルガーってもっとロマンティックなんだから。イギリス人だって頑固者で感情控えめだけど,ロマンティストなのよ。でも、なんかしっぽりくるのよね〜この演奏。なぜ?あっ!そうか、このヴィブラート控えめ感は、古楽?図らずも古楽っぽい響きになったので、エルガーの朴訥とした頑固者の雰囲気が良く出てる感じ。下の方で大きな音をぼっぼっと出してる,コントラファゴット?チューバ?が田舎のオルガンのバスみたいでとっても雰囲気ある。わざとやってるのかなぁ。でも、なかなかいいぞ。このオーケストラ、ロマンティックな作品より、ハイドンとかベートーヴェンとか,ブラームスとかが似合うんじゃないかな。
指揮の橘さんは、とっても上手くオーケストラの良さを引き出していたように思います。なかなかやるじゃんと思ったら,前にブザンソンのコンクールでファイナリストになっているのですね。プロよりもアマチュア・オーケストラの指揮者として活躍してるのかなぁ。今まで考えたことなかったけど、アマチュア・オーケストラの指揮者はプロオケの指揮者とは違った才能を求められそうだし、アマチュア・オーケストラの指揮者というジャンルの仕事があってもいいかもね。修行ではなくて、きちんとした職種として。

(予想してたら)本当にアンコールは威風堂々だった。ロンドンのダイヤモンド・ジュビリーの音楽会よりもジュビリー的。何で日本に来てまでロンドン。ロンドンで過ごしたことがいろいろ思い出されてしまって、泣いてしまった。良いことも悪いこともあったからなぁ〜。
でも良い音楽会でした。これからは、アマチュア・オーケストラもたくさん聴いてみようっと。
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by zerbinetta | 2013-04-07 22:50 | アマチュア | Comments(0)