カテゴリ:アマチュア( 108 )   

楷書体でロマンティシズム 都民交響楽団第120回定期演奏会   

2015年9月20日 @すみだトリフォニー

シューマン:交響曲第4番
シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

末廣誠/都民交響楽団

アマチュア・オーケストラの中で、演奏レヴェルも高く最も充実しているののひとつ都民交響楽団。何年かに1度ずつ、団内オーディションを行ってレヴェルを保ってる厳しい団体。でもそこから生まれる真摯な音楽が大好きで通ってます。都内では、新交響楽団と共にコンサートゴーアーさんにオススメできるアマチュアのオーケストラです(もうひとつ、マニアックだけどニッポニカ)。いつもは上野の文化会館での音楽会なんですけど、今年は(改装のためかしら?)、すみだトリフォニーでの音楽会です。指揮はこのオーケストラと関係の深い末廣さん。

前半のシューマンの交響曲が、今日はとても良かったです。最初の音を聴いたとたん、おおっと思ったもの。前回は指揮者がーーーだったけど、今日はいつもの安定の、というより絶好調。ヴァイオリンのヴォリューム感はこの間のニューシティ管より良かったくらい。やっぱり長くこのオーケストラを指揮されてきた末廣さんとの相性は特別なんですね。お互いに手の内を分かって信頼している感じです。末廣さんの音楽も堅実で、ゾクッとくるような特別な瞬間はないんですけど、音楽のフォルムは整っていて隙のない感じ。職人タイプの指揮者なのかしら。シューマンの持つ壊れる寸前のロマンティックさはあまり感じられないけど(この交響曲はもともと堅固な形式感があるからかしら)、立派な演奏で(と書くとわたしこの言葉をときどきシューマンの演奏をネガティヴに評するとき使ってるんですが、今回は言葉通りに)、古典主義的な演奏もいいな、と思えました。わたしの聴く幅が広がったかな。

後半は、「英雄の生涯」。これもさくさくと古典的、といっても小さくまとまってる訳ではないのですが、この曲には、世紀末の熟れきった香りがわたしは欲しいな。結果、青年シュトラウスの真っ直ぐな一面が図らずも見えてくるのだけど、でも、同時にこの曲って(浪漫主義的な意味で)死を彷彿させる音楽でもあるし、若いシュトラウスの遺書でもあると思うんですね。事実、シュトラウスはこの曲を最後に交響詩の分野から引退して(交響詩的な作品はその後、交響曲の名前に)、本格のオペラ作曲家へと転身してるし、そういう意味で、馥郁とした死(ロマン派の人にとって死は憧れに似た情景を思い出させますね)を感じたいのです。でも、一方で、若者の意思を感じさせるストレイトな演奏、純粋にオーケストラの勢いを感じさせる演奏には好感を持ちました。内助の功というより、シュトラウスを支える妻、というかオーケストラを支えリードするヴァイオリンのソロも魅力的でした。ひとつ、残念に思ったのは、オフステージのトランペット(戦闘の合図)をオンステージで吹いていたこと。普通は、オーケストラの中の人がいったんステージを降りて吹奏するのだけど、会場がいつものところじゃないので勝手が違っていたのかなぁ。それともそれほど音楽的に重要ではないと判断したのかしら。でも、いきなりステージから直接音がしたのでは、その後の展開への道筋が直線的すぎて、わたし的には疑問でした。でも、それを含めて、がしがしと進む勢いのある演奏だったのですけどね。

がっしりしたフォルムでまとめた2つの演奏、オーケストラの力量も相まって、聴き応えのある演奏でした。ブラームスとかなんならブルックナーとかも聴いてみたいです。


♪♪
都民交響楽団の次の演奏会は、2015年特別演奏会(有料)が12月23日、すみだトリフォニーです。去年に引き続いて年末第九。





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by zerbinetta | 2015-09-20 11:51 | アマチュア | Comments(0)

最近好調 新交響楽団第230回演奏会   

2015年7月26日 @東京芸術劇場

ラヴェル:古風なメヌエット
ラヴェル:「ダフニスとクロエ」第2組曲
マーラー:交響曲第4番

コロンえりか(ソプラノ)
矢崎彦太郎/新交響楽団


アマチュア・オーケストラの雄、新交響楽団さんの音楽会。先日OB交響楽団の音楽会で聴いたマーラーの交響曲第4番がかぶってます。聴き比べーー。

プログラムの前半は、ラヴェル。「古風なメヌエット」は、題名通り、古典的な色合いのメヌエットをラヴェルのカラフルな色彩で飾った佳曲。繰り返しスタンプのように押されるティンパニを含んだ終止音型が好き。この曲を聴き始めたとたん、やっぱりこのオーケストラ上手いと思いました。ちょっと最近好調な感じ。

2曲目の夜明けはゆっくりときめ細やかな響きで音楽が始まりました。ここの音色の色彩がステンドガラスを通した光のようにキラキラと交差する音楽。そりゃあ、上手いプロのオーケストラと比べちゃうと個々の音色の際立ちに不足を感じるかも知れないけど、でもこれは素晴らしい。矢崎さんは、鳥のさえずりや朝のざわめきの背後に持続して流れる明確な音を作っていてそれがもうほんとにステキで、こんな演奏はプロでもなかなか聴けるものではないよ。底に静かに間断なく満ちている音は、なにか根源的な羊水の意識のようなものを感じさせます。最後もしっかり盛り上がってカタルシス。

マーラーの交響曲第4番は、先日もアマチュア・オーケストラで聴いたばかり。易しい曲のように見えて、精巧な仕掛けがこれでもかと思うほど仕込まれていて、わたし的に満足する演奏に出逢うのは難しい感じだけど、今日の新交響楽団さんもとても良い演奏をしてくれたと思います。もちろん、ソロも多いし、それは流石にプロのオーケストラには及ばないんだけど、音楽のまとまり方がとても良くて、安心して聴いていられるのがいいの。矢崎さんの演奏には洒脱な明るさがあって、しゃんしゃんと楽しげなこの曲の雰囲気も良く出ていました。不純物のない透きとおった感じは、マーラーの交響曲の全体からは、少しはみ出してるかもだけど、そういうアプローチも逆にこの曲の魅力を引き出しますね。途中大太鼓の強打で楽器がひっくり返りそうに見えてドキリとしたところもふふふポイント。もったいないことと言えば、コロンえりかさんの歌がちょっと弱かったかな。もう少し主張があって目立っても良かったかも。いたずら者の子供のように。
アンコールをしないのも音楽の余韻が残って嬉しかったです。
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by zerbinetta | 2015-07-26 13:15 | アマチュア | Comments(0)

オペラチック! OB交響楽団第187回定期演奏会   

2015年7月4日 @ティアラこうとう

ワーグナー:「パルシファル」から前奏曲、聖金曜日のための音楽
マーラー:交響曲第4番

松尾香世子(ソプラノ)
松岡究/OB交響楽団


OB交響楽団は、創業1937年の東京の社会人アマチュア・オーケストラの一番の老舗。創業元徳元年のくるみ餅屋さんとか、老舗が大好きなわたしにとってそれだけで好きになっちゃうオーケストラなのです。内々のことは分からないし興味もないのだけど、多くのアマチュア・オーケストラが生まれたり消えたりしていく中で、長く続けてきたことにはご苦労もたくさんあったし今も色々あるのだろうけど、こうしてまた音楽会ができるのってほんとに素晴らしいですね。平均年齢高めのオーケストラからは、酸いも甘いもかみ分けた大人の余裕と雰囲気が。ギラギラ尖って輝いているのも好きだけど、こういうしみじみとしたいぶし銀的な色合いもステキ。

音楽は、ワーグナーの「パルジファル」から有名な前奏曲と聖金曜日のための音楽。ゆっくり目のテンポで雰囲気を出しながらなかなか聴かせてくれる演奏でした。音の粘りとか響きの豊かさとか、アマチュアゆえの不足もあるんだけど、トロンボーンなんかは良い音出してたり、松岡さんとオーケストラの求めている音楽の響きが頭の中で聞こえてくるようで良かったです。脳内変換で理想の音を勝手に想像して聴いているんじゃなくて、音は不足してるけど、どんな音楽を求めているのかが明快に伝わってくるので音が自然に聞こえるんです。そういう意味ではとても良い演奏。

後半のマーラーの交響曲第4番は、わたしに変なこだわりがあるのでなかなか上手に聴けない曲。この曲の話題が出るときはいつも言ってるんだけど、この曲って、表面上は軽くて楽しげな音楽なんだけど、マーラーの交響曲の中で、一番実験的で新規性に富んでると思うんですね。ちゃんと演奏するのもとても難しいんじゃないかってね(特に出し入れの激しい対位法的なところ)。でね、OB交響楽団の演奏は、もちろん演奏技術的にはプロには遠く及ばないけど、いろんなパートがちゃんと絡んで聞こえてきて、いいなって思ったんです。松岡さんの指揮も音楽の流れをとても上手くまとめていて、でも適当なところでこぢんまりとまとめてるふうではなくて、音楽の輪郭をオーケストラの能力の先にはっきりと示しつつ、聴かせてくれたのがいいなって思ったんです。
そして、第3楽章の最後の部分、弦楽器が(譜面が)チョウチョのようなアルペジオを奏でる中ティンパニが大きく叩かれるところ、わたし的には天国の扉が開くイメジなんだけど、今日のはまさにそうでした。ステージドアが開いてお人形のようなソプラノさんが現れました。オペラチック。松尾さんの歌もかわいらしく演劇的で、表情豊かな仕草が(少し一本調子なところはあったけど)視覚的にも魅力的で、ああ、こういう解釈もいいなって思いました。ありそうでなかった感じ。

アンコールには、シュトラウスの4つの最後の歌から「夕映え」。シュトラウスに関しては、歌もオーケストラももっと艶やかなグラマラスな音を出して欲しいなと感じました。
そして最後は、「ローエングリン」第3幕への前奏曲で華々しく音楽会はお開きになったのでした。


♪♪
OB交響楽団の次の演奏会は、第188回定期演奏会が10月12日、杉並公会堂です。シベリウスのヴァイオリン協奏曲をOB交響楽団のコンサートマスターの方が弾きます。
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by zerbinetta | 2015-07-04 23:22 | アマチュア | Comments(0)

理想に向かってワクワクしよう フィルハーモニア・エテルナ夏季演奏会2015   

2015年6月6日 @ティアラこうとう

ベートーヴェン:交響曲第7番
シベリウス:交響詩「エン・サガ」、交響詩「レンミンカイネンの帰郷」

飯田隆/フィルハーモニア・エテルナ


わたしの好きなタイプ、コンセプトのはっきりしているアマチュア・オーケストラです。20年目のオーケストラ。聴くのは初めて。オーケストラの名前は永遠の音楽家たちという意味だそう。「アマチュア最高の音楽を創造することを通じて、聴衆と団員双方に最高のステージ提供することを目標とし(オーケストラのウェブサイトから)」ているとのこと。そのために、いろいろ意識的にプログラムを組んでいるみたいです。どんな音楽が聴けるのか楽しみでしょう。今日の指揮者は、飯田さん。エテルナには創立のときから関わってきたとのこと(トレーナー?)ですが、このオーケストラを指揮するのは今日が初めてだそうです。

始まりからずどーーんとベートーヴェンの交響曲第7番。オーケストラの基礎体力を付けるのにふさわしい曲ですね。お手並み拝見。いや拝聴。
最初のトゥッティがばっと出て、音楽が始まってすぐ、ちょっとした違和感。指揮者のテンポとオーケストラのテンポにほんのちょっぴりのずれが感じられたんです。もしかして、練習でやって来たときと違うテンポで始まっちゃった?そんな感じの。もちろんそれはすぐに修正されたんだけど、飯田さん少し緊張していたのでしょうか。この曲を聴くとオーケストラの力が手に取るように分かっちゃいますね。上手いんだけどまだまだ伸びる。せっかく高い理想を掲げているので、トップレヴェルのアマチュア・オーケストラとして君臨する日を期待してます。

後半はシベリウス。今年生誕150年でしたっけ?交響詩がふたつ。レンミンカイネンは組曲全部やればいいのにと思ったり。シベリウスの音楽は、日本人に合うのか、とてもよく演奏されるし(シベリウスの音楽がこんなに演奏されるのは、多分、本国の他ではイギリスと日本くらいじゃないでしょうか)、演奏する方も感性が合うので演奏しやすい、いいえ技術的に難しいところもあるから、と言うより雰囲気を作りやすいんじゃないでしょうか。アマチュア・オーケストラのヴィブラート控え目の弦楽器は、透明な響きになるので自然とシベリウスな感じになるし。というわけで、雰囲気のあるとてもステキな演奏でした。金管楽器、特にトロンボーンも良かったし。

これで終わるはずないよね。アンコールにはきっとあの曲だわ、と思っていたら、大当たり、アンコールには「フィンランディア」が演奏されました。中間部はわりとあっさり系でした。でも、今日はシベリウスだったわ〜〜。


♪♪
フィルハーモニア・エテルナの次の演奏会は、創立20周年記念演奏会が11月7日、ミューザ川崎です。なんとヴァイオリン独奏にレーピンさん!レーピンさんでショスティ1番です。
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by zerbinetta | 2015-06-06 00:56 | アマチュア | Comments(0)

音楽の家族再び テオフィルス室内管弦楽団第54回定期演奏会   

2015年5月23日 @かつしかシンフォニーヒルズ アイリスホール

モーツァルト:セレナーデ第7番「ハフナーセレナーデ」から 交響曲版
ルーセル:プチ・オーケストラのためのコンチェルト
サンサーンス:交響曲イ長調

高畠浩/テオフィルス室内管弦楽団


モーツァルトの洗礼名(アマデウス=テオフィルス)を楽団名に持つ室内合奏団。なぜかご招待のはがきが送られてきたので(去年聴きに行ったから?)いそいそと聴きに行ってきました。東京藝大のヴァイオリンの先生(客員かな?)、高畠さんのオーケストラ。高畠さん、結構幅広くアマチュアの指導をしています。
前回聴いたとき思ったのは、ものすごく上手いと言うわけではないけれども、ほんのりと家族的なアットホームな感じのオーケストラ。室内オーケストラの室内は、サイズだけじゃなく、室内楽的な気の置けない雰囲気も表しているのかもデスね。

モーツァルトにあやかっていると言うとおり、音楽会には必ずモーツァルトの作品を入れるそう。しかも面白い選曲。今回は、有名じゃない方の「ハフナーセレナーデ」というか、有名な交響曲になった方の「ハフナー」ではなくて、セレナーデ第7番。そしてそこから5つの楽章が、モーツァルトの手によって抜粋編曲されて交響曲になっているの(昔の交響曲全集には入っていない)。今日のはこれ。そうそう、このオーケストラ、音楽会の選曲がなぜかマニアックで(オーケストラの雰囲気にはそんなマニアックな感じはしないのですが)、今日も、モーツァルトの他は、ルーセルとサンサーンスの交響曲イ長調という、「オルガン付き」のでもなければ番号すら付いていない若い頃の作品。って15歳!なんか、近所の仲の良い気さくな雰囲気のご家庭に「今日カレーパーティーするから来て」と誘われて行ったら、本格のインドカレーが出てみんな手で食べてた、みたいな意外性。

モーツァルトは、若い頃の作品のゆえか、もともとセレナードを抜粋して交響曲にしたせいか、軽い感じの、でもステキな曲。演奏も、凄く上手とは言えないけど、きちんとしていて音楽を聴くのには十分。楽しく音楽してるのが伝わってきますしね。がむしゃらに上を目指した演奏ではなく、ちゃんと音楽することを楽しんでる感じかな。大人。しっかりツボは押さえてるし。

ルーセルのプチオケコンは、かな〜り難しそうで大丈夫かなぁと心配したけれども、大丈夫でした。管楽器やるなって思ったら、トラなのかしら、プロの人も混じってるのね。ルーセルらしい(といってもあまり知らないんだけど)ざらざらした抽象画のような感じの音楽で、ルーセルを生で聴くのは多分初めてだし、珍しい曲が聴けてラッキー。それにしても、こんな難しそうな曲で演奏が崩れなかったのは、やっぱりなにげに上手いんだ。

次のサンサーンスの交響曲も大変珍しい曲だけど(こんな曲があるなんて知らなかった。交響曲は3番まであるので3曲あるのは予想できたけど、その前に番号なしのがあったなんて)、聴いてみると、たしかに未熟な部分(まだ、サンサーンスになってないモーツァルトやメンデルスゾーンなんかをなぞった感じの)は、あるけれども澄みやかさはやっぱりサンサーンスだしもっと聴かれてもよい曲だと思いました。

アンコールには、これまたサンサーンスの組曲ニ長調から「プレリュード」。なかなかにくい選曲ではないですか。
テオフィルス室内管、プログラムに意外性があって楽しかったです(記憶をたどってみると去年も意外な曲をやってました)。珍しい曲が、お試し価格(今回は招待はがきだったので無料)で聴けちゃうのもアマチュア・オーケストラを聴きに行く楽しみですね。次のも聴きに行ってみたいと思いました。


♪♪
テオフィルス室内管弦楽団の次の演奏会は、第55回定期演奏会が、11月1日、トッパンホールの予定です。
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by zerbinetta | 2015-05-23 22:46 | アマチュア | Comments(0)

トランペット吹きの休日出勤 アウローラ管弦楽団第13回定期演奏会   

2015年5月2日 @すみだトリフォニー

リムスキー・コルサコフ:序曲「ロシアの復活祭」
グラズノフ:交響詩「ステンカ・ラージン」
リムスキー・コルサコフ:墓前にて 〜ベリャーエフ追悼のための前奏曲〜
ムソルグスキー/ラヴェル:組曲「展覧会の絵」

米津俊広/アウローラ管弦楽団


ちょっと気持ちがさえないので、アウローラさん今回はパスかなと思っていたんですが、「展覧会の絵」もそれほど好きではないし、はっ!でも、「展覧会の絵」と言ったら最初のトランペット!もしかしてあの人が吹くの?と思ったらいてもたってもいられなくなって出かけました。わたしにはあまり関係ないけど、ゴールデンウィークのぽかぽか陽気のステキな日。そう、アウローラさんのトランペットの人、アマチュア・オーケストラの中でも屈指の奏者のひとりだと思うんですね。聴かなくちゃ。

最初は「ロシアの復活祭」。いかしたメロディもないし、ほぼ2つの主題がしつこく繰り返されるような音楽なのであまり魅力を感じなかった曲なんだけど、おっと、勢いがある。こんな風に勢いよく演奏されたらこの曲が生きますね。そういえば思い出した。アウローラさんって最初に聴いたとき(「イーゴリ公」とボロディンの交響曲)勢いのある演奏をするオーケストラだなって思ったのでした。打楽器が特にステキでびしびしと音楽に核を与えてくれました。それに、ホルンのトップだけでなく下を吹いてる人たちがこのオーケストラとても良いです。痒いところに手が届くようなバランスでハーモニーを付けていて、パート練習とかしっかりやってるのかしら。アウローラさん、こういう(勢いのある)曲が得意なんですね。しつこく繰り返される「たんたたたんたた」のロシアのリズムつながりで「ルスランとルドミュラ」もやってくれないかしら。

そして、「ステンカ・ラージン」。ボルガの舟歌が高校のときの友達のテーマ・ソングだったという超私的な理由で思い出して可笑しくなっちゃう曲。交響詩の叙景的というよりは、ザッハリヒな感じの演奏で、盛り上がる部分ではオーケストラの勢いが良さとなって表れていました。反面、ペルシアの姫を表す優しい部分は少しさっぱり気味で音楽の流れの中に埋められてしまった感じがしました。木管楽器のソロがグラズノフの厚いオーケストレイションに隠れ気味だったのがちょっと残念でした。前半はここまで。

後半、いよいよトランペットが聴けるとワクワクして身構えてたら、じゃーーん、と。えっ?あれ?一瞬、ディティユーの「メタボール」が聞こえたかと焦ってしまいましたが、まだ1曲あったんですね。リムスキー・コルサコフの短い曲。ちょっとドビュッシー風の印象主義的な音もする音楽なんだけど、コテコテ系感のあるリムスキー・コルサコフがこんな曲を書いてるなんて、と驚きでした。こういう滅多に聴くことのできない音楽を聴くことができるのも楽しみです。

そして、いよいよ「展覧会の絵」。やっぱりトランペットが上手かった〜。少し重い感じの音はロシアの音色。それにしてもこの曲、トランペットが苛酷だわ。ソロもあるし、なんか難しそうな高い音で細かく吹くのもあるし、最後までばてずに盛り上げなければいけないし。でも、しっかりと聞かせてくれましたよ〜。米津さんの指揮もオーケストラを上手くコントロールしながら音楽を分かりやすく聞かせてくれたし、パスしないで聴きに来て良かった〜と思いました。

プログラムの団長さんのご挨拶によると、このオーケストラも7年目に入って、団員さんの人生の転機とかで難しい時期を迎えているそうです。でも、新しい団員さんを入れたり、新陳代謝をしながらも続けていって欲しいと思っています。ロシア専門オーケストラとして7年も続けてきた、ユニークなオーケストラの色やスタイルがあるし、これが失われるのはもったいないですから。アマチュア・オーケストラの運営ってとっても難しいと思うのだけど、乗り越えて、息の長い伝統のあるオーケストラになって欲しいです。仕事や家庭の事情で一時的にオーケストラを離れなければならない人にとっても帰る家があることは、とっても心強いことだと思うので。このオーケストラを何回か聴いてきて心からそう思います。

蛇足
全然関係ないけど、ウェブ・サイトのプロフィールのペイジのアウローラの演奏してきた曲の中で、ハチャトリアンがロシア・ソヴィエト以外の音楽に分類されてるのが腑に落ちないです。わたしの誤解かな?


♪♪
アウローラ管弦楽団の次の演奏会は、第14回定期演奏会が、来年1月10日、ミューザ川崎の予定です。
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by zerbinetta | 2015-05-02 17:10 | アマチュア | Comments(0)

水を得たハイドン エステルハージ室内管弦楽団第6回演奏会   

2015年4月29日 @セシオン杉並

ロッシーニ:歌劇「セビリアの理髪師」序曲
モーツァルト:交響曲第38番「プラハ」
ベートーヴェン:交響曲第2番

松元宏康/エステルハージ室内管弦楽団


前回、エステルハージ室内管弦楽団を聴きに行ったとき、ハイドンの「熊」がそれはもうステキな演奏で耳について離れずにいたんですが、会場のセシオン杉並の近所(東高円寺)に美味しそうなラーメン屋さんが多いなって感じたんです。今度来ることがあったらぜひラーメン食べたいって。1年ぶりのエステルハージ室内管弦楽団、うう、長いからエステ室内管と略そう、の音楽会、またまたセシオン。それもお昼時。というわけでラーメン食べに行ってきました。あれ?違

エステルハージというのでハイドンのイメジが強かったんだけど(もちろんエステルハージ家が支援していた音楽家はハイドンだけではありません)、今日はハイドンなし。ちょっぴり残念。
で、音楽会は「セビリアの理髪師」の序曲から。愉しい音楽。指揮の松元さんは音楽を楽しく聴かせることに長けてると思っているので、この曲はお似合いかな、と思ってたんだけど、うむちょっとまだオーケストラにエンジンがかからない感じ。というか、アンサンブル重視で、細かい音符の縦の線を揃えようと音を小節線の上に置きに行っちゃうところがちょっと残念。ロッシーニのオペラのように、出てくる人が勝手にてんでバラバラに動き回って、でも結果としてなぜか全体が調和してる、みたいな自由さが欲しかったです。それから、第1ヴァイオリンが一所懸命強い音で余裕なく叫んでる感じがして、もっと柔らかい音って思ったんだけど、後の曲を聴いて分かった。このオーケストラ、人数が少ないので、がんばらなきゃ音量的にバランスがとれないのね。後の曲では、この点、あまり気にならなかったんだけど、ロッシーニは少し時代が下って、オーケストラも大きくなってるから、その音をイメジして書かれた、活躍する管楽器とのバランスをとるために弦楽器の人数がもう少し欲しいと思ったの。みんなが楽しそうに弾いていたのがとても良かったんですけどね。でも、今回が、初めてのロマン派の作品の演奏だったのですね。いよいよ新しい世界へ。これからを期待しましょう。このオーケストラだったら、メンデルスゾーンとかシューベルト?

2曲目はモーツァルトの「プラハ」。わたし、バカだからモーツァルトの交響曲第38番と聞いてどの曲か思い出せないんだけど、聴いたらああこの曲か〜って。でもその曲が、新鮮に響いた今日の演奏でした。という生やさしいものではない、びっくりしました。第1楽章がこの曲の、というか今日の音楽会の白眉だったと思うんだけど、複雑な対位法の音楽をそれぞれの旋律線をしっかりと明快に聞かせてくれる演奏にびっくり。それが音の勢いを伴ってカスケードが分かれたりくっついたりを繰り返しながら迸っていくの。これって「ジュピター」のフィナーレより凄くない?(「ジュピター」のは緊密で整ってる(整いすぎてる))
こういう音楽って初めて分かった。それに、さっと陰りの出るファゴットの2重奏とかのニュアンスの付け方。ステキです。第2楽章からもとても良い感じで、モーツァルトをちゃんと聴かせてくれる演奏だったと思います。テンポが速いというわけではないんだけど、スピード感があって枯れたところのない、大仰じゃない若々しいピチピチモーツァルト。

休憩後は、ベートーヴェン。地味な交響曲第2番なんだけど、わたしは、ひそかにとても好んでるベートーヴェンです。やんちゃぶりというかはっちゃけぶりが凄くて。ベートーヴェンの交響曲って1作ごとに革新があるんだけど、第2番はまさしくベートーヴェンがベートーヴェンになった曲。疾風怒濤。
さっき、今日の音楽会の白眉はモーツァルトの1楽章と書いたんだけど、全体的な音楽の充実は、ベートーヴェン。オーケストラにまだ不足を感じることはあったけど、若い音楽は、指揮者にもオーケストラにも合ってて、充実してました。それにティンパニの活躍。ちゃんと、小型の昔のティンパニで、このオーケストラ古楽器オーケストラではないんだけど、金管楽器とかピリオド楽器にするのは、難しいと思うけど、いっそ思い切って、ピリオド的なニュアンスを演奏に付けちゃったらどうだろう。似合うと思うんだけどな。とてもよく練習されてて、チェロのトップの人が中心でまとまるアンサンブルなのかな、でも皆さんが自発的で、ひとりひとりがちゃんと音楽に関わってる(少人数だからごまかせないし)のがうんとステキです。まだ、新しいオーケストラなので、これからの成長が楽しみです。古典を演奏するオーケストラというのもステキ。

ハイドンがないと思ったら、アンコールにハイドンの「月の世界」の序曲。珍しい曲だけど、一昨年の音楽会で採り上げているのですね(わたしは聴きに行けなかった)。さっきは、ベートーヴェンが今日の音楽会で一番充実と書いたけど、これが、一番のクライマックスでした。2回目の本番での演奏とあって、余裕のようなものを感じたし、初めて聴く曲だけど、なんかオペラのいいとこ取りみたいなステキな音楽でした。やっぱ、このオーケストラにはハイドンもいつもやって欲しい。
アマチュアのオーケストラでは難しいけど、同じ曲を何回かステージにあげて演奏できたらなっても思いました。

それにしても、ラーメンおいしかったな(またそっちか)。エステルハージさん、また今度も高円寺でやってくれないかしら。そしたらまたラーメン食べに行ける〜〜。夏なら冷やし中華〜〜〜。


♪♪
エステルハージ室内管弦楽団の次の演奏会は、11月22日の予定です(場所未定)。
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by zerbinetta | 2015-04-29 01:07 | アマチュア | Comments(0)

自然に湧き出たブラヴォー 新交響楽団第229回演奏会   

2015年4月19日 @東京芸術劇場

ショスタコーヴィチ:祝典序曲
橋本國彦:交響曲2番
ショスタコーヴィチ:交響曲第10番

湯浅卓雄/新交響楽団


池袋の東京芸術劇場のエントランスにはなぜかたくさんのインド人。ウェストゲートパークで何かイヴェントがあったのでしょうか。雨が降ってきたので雨宿り?
そのたくさんのインド人の間をすり抜けて、音楽会は新交響楽団。ショスティの10番。ショスティの交響曲の中では第5番に次いで人気よね。カラヤンも演奏してたし。そして今日のもうひとつのお楽しみは、ショスティと同年代の日本の作曲家、橋本國彦。っていっても名前さえ初めて聴くんだけどね。

まずは、ショスティの祝典序曲。吹奏楽で聴いたことがあるので、クラリネット活躍するし、吹奏楽版がオリジナルと勘違いしてましたが、オーケストラがオリジナルなんですね。こういう、スポーツカーでハイウェイを疾走するような曲と演奏は、高性能オーケストラにぴったりですね。軽々とさすがでした。スカッと。

2曲目は橋本國彦の交響曲2番。初めて聴く人。1904年生まれ49年没で、戦前から戦後にかけて、アカデミズムでも大衆音楽の分野でも活躍した人みたいです。お弟子に、矢代秋雄や芥川也寸志、黛敏郎らがいるんですね。戦前、戦中は、軍歌とか皇紀2600年奉祝曲として交響曲第1番を書いて時流に乗った活動をしています。その(戦争)責任を自ら取って大学を辞めたみたいですけど、今日の交響曲第2番は、新憲法制定を記念して書かれた音楽。というのは知らなくても全然オッケー。
びっくりしたんですけど、弟子にアヴァンギャルドな黛とかいるのに、それに反してなんて平明な曲。頭をからにして素直に楽しむのが吉な音楽。聴いててニコニコしてくるような明るくて、だれが聴いても楽しめる、クラシック音楽は聴いてみたいけど難しそうって敬遠している人に聴いてもらいたい音楽なんです。あからさまな5音階とか和風なところは、ほとんど聞こえない西洋音楽(ロマン派風のシュトラウスを加味したドヴォルザークに近い感じでしょうか)。それでも、日本人と思わせるのは、底に流れるある種の血かな。前に、USにいた頃、ラジオからインストゥルメントのポップスの音楽が流れてきたの。知らない曲だったけど、なんとなく親近感を覚えたら日本の曲だった。完全に西洋音楽なのに。という経験があるので、わたしにはまだ説明できない日本人の血、みたいなのが日本人の作る純西洋音楽にもあるんだと思う。橋本の交響曲にもそれを感じました。
それにしても青い空を思い浮かべるような音楽だなぁ。そして、ホルンに出てくる旋律がわたしの涙腺を直接刺激する。まずいよまずい。泣いちゃうぢゃないか。それに、1楽章の真ん中の盛り上がりもなんか涙腺わしづかみにするのよね。第2楽章も明るく楽しいマーチで始まってそれがいろいろ変奏されて、作曲家の腕の良さを感じるの。構成感といいきちんと計算されている感じ。こんな音楽が日本で書かれていたのね。前に聴いた、安部幸明のときも思ったけど、日本人の敢えて純西洋音楽って知らないだけで意外と名曲あるんだわ。和風ばかり(あと武満)が日本の音楽じゃない。
演奏は、ステキでした。だって、過不足なくこの音楽の魅力を伝えてくれたから。こういう音楽に目を開かせてくれたのも嬉しい。発掘していろいろ聴かなきゃ。わたし、日本人なのに日本のクラシック音楽のこと全然知らない。これじゃダメ。

休憩後はショスティの交響曲。暗くうねうねした始まりからショスティの世界に引き込まれていく。湯浅さんの指揮も真摯にこの音楽に向き合って、音ではない音楽を伝えていたし、それに応えてるオーケストラもすごい。木管楽器のソロも、それぞれめちゃ上手いし、参りました。もうここまで来るとアマチュアだのプロだのと言ってられない。そして、超高速で疾走する暴れ馬のような第2楽章。モーツァルトが疾走する哀しみだとするとショスティは疾走する狂気。これが暴走にならなくて、びしびしと決まるからスリリングで、息を飲んで一緒に走ってゴールを切ったときは、ぷはーっと爽快感。思わずひとりのお客さんからブラヴォーが出たけど、分かるよ分かる。ここではブラヴォーこそ自然。そういう演奏だもの。
続く、ちょっとおどけたような、でも途中で痛烈に孤独になる、緩徐楽章のようなスケルツォのような楽章。ここでちょっと疵が。前の楽章をパーフェクトに乗り切った安堵感か、疲れからか、アンサンブルが乱れたり、音程がずれたり。だんだん修正してきて小さな疵でしかなかったんだけど、せっかくブラヴォーが出て間がちょっとあいたんだから、音合わせをして音楽をリセットする余裕があっても良かったかなと思いました。これでもかこれでもかと現れるショスティ自身とホルンのソロの愛人さんのシグニチュア音型の諧謔と孤独感といったら。ずんと身につまされる思いでした。絶望が音楽になってる。
一転、フィナーレでは孤独の後に妙に浮かれ出して、楽しげに終わる支離滅裂さ。これが20世紀の人間だよね。いろいろ引き裂かれてしまった自我。演奏の方は、全てを出し尽くした感じ。オーケストラの上手さももちろんだけど、それ以上に、ショスティの音楽をいろいろ考えさせられたのが良かったのです。会心の演奏だったと思います。大好きなショスティに新発見の橋本。わたしも満足感でいっぱい。


♪♪
新交響楽団の第230回演奏会は、7月26日、東京芸術劇場です。
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by zerbinetta | 2015-04-19 22:52 | アマチュア | Comments(0)

W150年Wティンパニ 東京楽友協会交響楽団第98回定期演奏会   

2015年4月5日 @すみだトリフォニーホール

ステーンハンマル:交響的序曲「エクセルシオール!」
シベリウス:交響曲第6番
ニールセン:交響曲第4番「消しがたきもの」

中田延亮/東京楽友協会管弦楽団


アマチュア・オーケストラの中で好きな団体のひとつ、東京楽友協会交響楽団(これどう短縮すればいいのですかね?楽友?東楽?楽友管?)。ニールセンをやるというので聴きに行きました。あとの曲目は知らなかったんだけど、会場に行ったらシベリウスをやるというので喜んだり(交響曲第6番大好きなんです)。ニールセンとシベリウス、どちらも生誕150年なんですね。ニールセンとシベリウスが同い年というのは知りませんでした。シベリウスは記念年に結構たくさん演奏されるみたいなのに、ニールセンは地味だなぁ。この際、めちゃくちゃ宣伝すればいいのに。

まずはステーンハンマルの「エクセルシオール!」びっくりマーク付き!作曲家初期の作品。シュトラウスやワーグナーの影響が目立って聴き取れる曲だけど、北欧テイストのところもあって、聴きやすい佳曲。プログラム・ノートによると、作曲家はその後、友達(だったかな)のアドヴァイスによってシュトラウスを離れ北欧の音楽の特徴を示す作風に変わっていったそうなんだけど、ううむ、余計なアドヴァイス。ワーグナーのリングみたいな北欧関係のリタレチャーの音楽をこの路線で作って、北のワーグナーとか言われて欲しかったな。初めて聴く曲(というかステーンハンマルの曲も初めてだ、きっと)をちゃんと良い曲だと思うに十分な演奏をしてくれたオーケストラも立派です。楽友協会、決して最高に上手いアマチュア奏者を集めているわけではないけど、どこのパートも穴がなくてバランスがとれていて安定しているんですね。安心して聴けます。

2曲目はシベリウス。この曲って細かい音符を合わせるのが難しいと思うんですよ。というかシベリウスはわざと合わないように書いている(この曲に対しての言葉かどうかは分からないけど、シベリウス自身がそう言ってる)。きちきちに合わせたら音楽の本質が失われちゃうけど、ばらばらでもダメという微妙なさじ加減。さあどうなるでしょう?
始まりの弦楽器のアンサンブルやところどころ指揮者の要求するピアニッシモに応えようとして音に力がなくなっちゃったり(でも、指揮者にそれを要求させたところはさすが)、合わせづらいところを合わせにいって逆に音楽が飛んで音符になっちゃったりしたところはあったけど、十分すぎる演奏でした。何だか、カラヤンの指揮した演奏に似ていたんですけど、中田さんカラヤンのを聴いて参考にしたのかしら?わたしの好きなタイプの演奏だったのでうっとり。

休憩のあとは、ニールセン。聴く前は、ニールセンなら交響曲第5番よね、なんて中二病的ナマ言ってたんだけど、聴き終えたら4番かっけーーー!!になった。なんてエクサイティングな演奏。熱いよ熱い。この曲本来が熱いものね〜。のっけから火花が散るんだけど、前に聴いたサー・コリンさんのオーケストラを振り落とさんばかりの快速テンポではなくて(そういうテンポが最近の流行りだって聞いた)、わたし好みの堂々としたテンポ。音が迸るような始まりと対照的に静寂が訪れる木管楽器のかわいらしい音楽。この曲、ティンパニも凄いけど木管楽器も大活躍よね。すっきとした涼しげな音で木管楽器のアンサンブルとても良かった。静と動の強烈な対比。全てをなぎ倒さんばかりの暗い力。そして未来に向かって切り開いていく強烈な意思。生の持つ本質的な力。そんな作曲家の思いと演奏者の思いが音になって溢れてく。そしてなんてかっこいい。ダブル・ティンパニの乱れ打ちも凄かったけど、ヴィオラのトゥッティの突っ込みとか、チェロのソロとか(めちゃ上手かった)、フィナーレの荒波に揉まれながら突き進む船のような金管楽器(ってなんていうはちゃめちゃな喩えだ)、そして最後にようやく現れる勝利。最後の音のひと押し、金管楽器の人たちの「息がーーーっ」の心の叫びが聞こえたよう。オーケストラももちろん立派だったけど、オーケストラの能力をより以上に引き出した中田さんにもブラヴォー。アマチュアだからって妥協することなく、情け容赦なく音楽の要求をしてこれだけの演奏を為し得た力は素晴らしいです。指揮する姿が音楽の要求を的確にオーケストラに示していたのもステキでした。

このオーケストラますます好きになりました。次回も楽しみにしています。


♪♪
東京楽友協会管弦楽団の第99回定期演奏会は、10月4日、すみだトリフォニーホールです。
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by zerbinetta | 2015-04-05 14:15 | アマチュア | Comments(0)

掛川お茶大使は男前 長尾春花 アンサンブル・フォルツァ・ウ〜ノ第7回演奏会   

2015年4月4日 @杉並公会堂

モーツァルト:歌劇「魔笛」序曲
チャイコフスキー:ヴァイオリン協奏曲
ベートーヴェン:交響曲第5番

長尾春花(ヴァイオリン)
田尻真高/アンサンブル・フォルツァ・ウ〜ノ


ウ〜ノの伸ばしはなぜか波線。
というのは置いといて、オーケストラの名前がどういう由来なのかは分からないけど、ベートーヴェンの交響曲を指揮者なしで演奏できるくらいを目指す(実際に指揮者なしでするのではないけど)少人数のオーケストラだそうです。今日は交響曲第5番。指揮は田尻さん。

始まりは、モーツァルトのオペラ「魔笛」の序曲。むむむ。このオーケストラは、2007年結成だから8年目。年に1回の演奏会をしてるみたいで、今回が7回目の演奏会なんだけど、まだ、オーケストラの基礎体力ができていない感じ。特に弦楽器の弓圧が低くて音が痩せてるような気がするの。決してダメとか下手とかいうのではなくて、音楽はみんなひとつの方を向いているから、練習していくと上手くなると思う発展途上。オーケストラは1日で鳴らず、よね。

で、ヴァイオリン協奏曲は置いておいて(おいしいものは最後に残す主義)、ベートーヴェンの交響曲第5番は、やっぱり難しい。アンサンブルの微妙な乱れが音楽にもろに出ちゃうし、いきなり休符から始まる音楽は合わせづらい。ので、始めのうちは少し危なっかしかったんだけど、音楽が熱を帯びてくるにつれて勢いが出てきて、フィナーレでは、オーケストラものってきたと思う。ゴールまで走り切った爽快感の残る演奏になりました。

アンコールは、「エグモント」の序曲。最初の弦の音がずっしりと重くて、打って変わってやればできるじゃんって思いました。小編成で指揮者なしでも演奏できるくらいを目指す高い理想を持つオーケストラ。ぜひ、その明確な理想に向かって歩んでいって欲しいです。目標がはっきりしてると迷わないものね。コンサートマスターの人ちょっと引っ込み思案だった感じがしたので、ぐいぐいオーケストラを引っ張っていけるようになればいいな。

で、今日のハイライト。チャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲。ソロを弾いた長尾春花さんは初めて聴きます。お名前も初めて。プロフィールを見るとまだ若い、今藝大の博士課程にいらっしゃるのですね。そして、プログラムと一緒に配られたクリアファイル、何々、お茶?と訝しんでたら、春花さん、生まれ故郷の掛川のお茶大使でもあるんですね。お茶の宣伝。
ステージに現れた春花さんはとってもかわいらしい、小柄な方。速めのテンポでオーケストラの序曲が始まって、ドキドキしてたら、春花さんの最初の一音からカキーンときた。ちょっと緊張してらっしゃる感じだったけど、ヴァイオリンの音がソリストの音!艶やかではないけどとても豊かで、音楽が全てソロに集中する吸引力。そしてこの曲を何と、さくさくと叙情性を排して弾いていくの。漢(おとこ)だわ。男前。見た目と音(音楽)のギャップはもうひとりの漢、ピアニストのグリモーさんを思い出しちゃった。普通、夢見るように弾かれる高音のフラジオレットも、
凜とした豊かな音(すごい)で、しっかりと目を開けて前を見つめている感じ。このリアリスティックなチャイコフスキー好き♥オーケストラの方もなんか春花さんに巻き込まれてるみたいで、ばしばし弾いていくのだけど、オーケストラのみのトゥッティでヴァイオリンに先行するところ、田尻さんが切り込むようなアチェレランドをかけて、オーケストラもヴァイオリンもアグレッシヴ。でも決して春花さんのソロは、荒くならずに丁寧に音楽を進めていくの。
叙情的な第2楽章も同じ。でもね、歌が素っ気ないとかそういう感じが全くなくて、チャイコフスキーの音楽を蒸留して不純物を除いたらこんなに透明になったって感じ。この路線で行く第3楽章が悪かろうはずなく、冷静さと興奮を同時にまき散らしながら、跳ね回る、踊り回る。前進するエネルギー。久しぶりに見つけたって感じ。宝物にになる原石を。
アンコールにはバッハの無伴奏から、ソナタ第3番のラルゴ(ちょっと記憶が曖昧)。バッハの方も音楽をたゆまず推し進めるような流れの強い演奏。でもこちらは、少し立ち止まって路傍の花も見て欲しかった。小さな世界にも耳を凝らしてみると聞こえてくる精巧な美しさがあるから。

この人凄い!ファンになるぅ。日本に帰ってきてから追っかけようと思ったふたりめのヴァイオリニスト。ヒラリー、アリーナ、今は読響の瀧村さんに続いて通算4人目のプチ追っかけ。瀧村さんとは全く違うタイプ。瀧村さんがほんわかしていてソロよりもアンサンブル(オーケストラに入ったのは良い選択。室内楽もぜひ)の人なのに対して、春花さんは根っからのソリスト。これからどんな風に成長していくのでしょう。チャイコフスキーを一度聴いたきりなので、どんな音楽が向いているのかまだ分からないけど(ブラームスやシベリウスで聴いてみたい気がする)、なんかずっと聴いていきたい。わたし絶賛。長尾春花さん、ぜひ機会があれば聴いてみて下さい。素晴らしい(きっと、しくなる)ヴァイオリニストですよ。


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アンサンブル・フォルツァ・ウ〜ノの第8回演奏会は、来年2016年4月9日、杉並公会堂の予定です。
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by zerbinetta | 2015-04-04 10:13 | アマチュア | Comments(0)