カテゴリ:アマチュア( 108 )   

納豆はよく粘るまでかき混ぜるのがいいよ アウローラ管弦楽団第12回定期演奏会   

2015年1月10日 @すみだトリフォニー

スヴィリードフ:組曲「吹雪」〜プーシキンによる音楽的イラストレイション〜
ラフマニノフ:交響曲第2番

田部井剛/アウローラ管弦楽団


年明け、新年最初の音楽会は、去年に引き続いて、アウローラ管弦楽団です。毎年、お正月明けに音楽会してるのかな?こっそりと正直に言うと、今回は、聴きに行くの止めようかな、と思っていたんです。なぜかって、ラフマニノフの交響曲第2番ってあまり好きじゃないから。確かにすぎるくらいに甘美な旋律に溢れてるけど、退屈な音楽なので、この長い曲(といっても50分くらい)を聴き通せるか自信が無かったから。そんな退屈系の曲をアマチュアで聴くのに苦痛を感じてしまうんじゃないかと心配したんです。

今日は新年の華やかな雰囲気だからか(去年もそうでした)、女の人はドレス。ソリストが着るようなドレスで、華やかでいいといえばいいのだけど、男性は普通だし、もう少し抑えた感じのドレスの方がいいんじゃないかって思いました。余計なお世話だけど。

音楽会は、スヴィリードフという初めて名前を聞く人の「吹雪」という曲から。クラシックのと言うより、映画音楽で名を残した人のようで、今日演奏される曲も映画の音楽を組曲にまとめたもの。「吹雪」というので大嵐というか、八甲田山死の彷徨的なのを想像したんだけど、全然違ってメランコリックで暗く、雪はしんしんと降ってる感じ。映画のすじは知らないけど、わたしの頭にはチェーホフのお芝居、「3人姉妹」とか「オネーギン」、あっこれはプーシキンか。ロシアの物語に共通する哀しみを感じました。そうすると、バレエのシーンを想像しながら聴いてしまうんですけど、この音楽、バレエになりそう!ただ、映画に付けて作曲されているので1曲1曲が短くて、音楽的にも完結されていない曲がある感じなので、もう少し膨らませて補ったら、十分全幕もののバレエにできるんじゃないかしら。ほんとの物語がバレエ向きかどうかは分からないけど。
音楽は、とても親しみやすいというか、どこか聴いたことがある感じ、どこかで見たもの悲しい風景、を感じさせるものでした。ヴァイオリンのソロがあったり3階席からのトランペットのソロ(ロシアな感じの重い音ですごく上手かった)があったり曲も変化に富んでいて楽しめました。演奏もちょっとバタ臭い音楽をとても良く表現していてこの音楽の本質をしっかり突いていたと思います。照明の工夫も良かったです。

さて、問題のラフマニノフ。結論は、楽しめた、というか、長く感じなかった。居眠りしなかったし。これって飽きなかったってことですよね。
ラフマニノフの交響曲第2番って納豆みたいですよね(今日の発見!)。甘美な旋律に充ち満ちているとよく言われるけど、実は、旋律の間に何だかもやもやとした音が横たわっていて、ただ旋律をつなげてできている曲ではないみたい。そしてそのもやもや部分(経過句?)がドイツの交響曲みたいに論理的にかっちりしたものじゃなくてファジーで雰囲気的。それがロシアの音楽を分かりづらくしている気がするんだけど、特徴でもあるみたいな。納豆に例えると、豆の部分が美しい旋律で、ラフマニノフの音楽は豆だけ、もしくはドイツの音楽みたいに豆と豆を砕いたものを再構築してできてるんじゃなくて、豆の間には不定形のなが〜〜い糸が引いてる。
演奏は、先に書いたとおり、飽きの来ないものでとても良い演奏だと思うのだけど、欲を言えば、もう少し粘った方が良かったかな。納豆の糸の引き方が足りないというか、旋律と旋律をつなぐもやもやした部分の音楽にもっと粘着力と魅力があればとは思いました。雰囲気で鳴らしちゃうところなので、漠然としてどう演奏していいのか分かりづらいと思うんですけどね。あと、ヴィオラもっと来い!って思うところがときどきありました。

コンサートマスター推しでまとまってる(引っ張られてる?)このオーケストラ(いつもプログラムにコンサートマスターのことが書いてある)、でも、ひとりひとりが音楽を理解して弾いてる気持ちの良いオーケストラのひとつですよね。

アンコールは、「くるみ割り人形」から「松林の情景」。これは、もう少し情感をこめて、心の奥から熱いものがこみ上げてくる演奏の方が好み。バレエもクララと王子の感動的なパ・ド・ドゥだし。あっさり目の表情付けは指揮者の田部井さんの好みなのかな。


♪♪
アウローラ管弦楽団の次の公演は、第13回定期演奏会が5月2日、すみだトリフォニーです。
[PR]

by zerbinetta | 2015-01-10 21:29 | アマチュア | Comments(0)

ついにわたしも日本人。年末第九 都民交響楽団特別演奏会   

2014年12月23日 @東京文化会館

ワーグナー:歌劇「リエンチ」序曲
ベートーヴェン:交響曲第9番

清水知子(ソプラノ)、管有美子(アルト)
井上了史(テノール)、伊藤純(バス)
末廣誠/新都民合唱団(安部純)、都民交響楽団


今年最後の音楽会は、なんと年末第九。ああ、わたしも日本人になったんだなぁ。と深い感慨。たまたまなんですけどね。都民交響楽団の特別演奏会。今年は第九でした。都民交響楽団は、年2回の無料(往復はがきで抽選)の定期演奏会の他に、年末に有料の特別演奏会をやっているのです。

第九の前に「リエンチ」の序曲。始まりのトランペットのソロのロングトーン、緊張のあまりというか神経質に音色を取り過ぎて失敗しちゃうことがままあるんだけど、緊張しながら聴き始めたら、すうっとトランペットの音が伸びてきて良かった♥ひと安心。やっぱりこのオーケストラの良い点は抜群の安定感ですね。「リエンチ」序曲は、ワーグナーっぽさとワーグナーっぽくなさが混じり合っていて好きなんだけど、演奏にもう少しその対比があればいいなって思いました。ワーグナーっぽくないところをもう少し賑やかにしてよりワーグナーっぽくなくなれば面白いのにってね。

第九は、堂々とした小細工なしの正攻法の演奏。第3楽章前半の素晴らしかったこと!!やっぱりこのオーケストラの美質は、大船に乗った気持ちで聴ける安定感だわ。一朝一夕で生まれるものではなく、きっと、長く常任指揮者をやられていて、その任を降りた今も深い関係が続いている末廣さんとの信頼関係から作られてきたものなのでしょう。お互いに相手を知り尽くした関係にありながら、倦怠期の夫婦のようにはならずに常に新鮮な音楽が生み出されているのもステキ。ちゃんと予定調和的にならない緊張感がちょうど良い具合にあって。もちろん、プロの上手いオーケストラなら凄さというかもっと深い音楽的な充実があるのかもしれないけど(慣れから来るだれがあることもあるけど)、音楽に対する特別感というか思いがストレイトに伝わってくるのは嬉しいです。ベートーヴェンの音楽って特に第九は全ての人を巻き込む、ドラクロワの旗を持った自由の女神の絵のイメジがあるから、ルーティーンじゃなくて音楽を演奏するのが特別なことであるアマチュアの心根にピッタリなのかもしれませんね。
合唱もとても良かったです。わたしもなんか歌いたくなっちゃった。全世界よ、わたしのキスを受けなさーーい!
[PR]

by zerbinetta | 2014-12-23 01:03 | アマチュア | Comments(0)

スルメと若者 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 4日目   

2014年12月7日 @東京芸術劇場

ファンファーレ
服部伶香:suppression ~child town fanfare~
東京音楽大学

島崎智徳:quiet lights
東邦音楽大学

ブラームス:交響曲第4番

田中良和/東邦音楽大学管弦楽団

シュトラウス:交響詩「英雄の生涯」

川瀬賢太郎/東京音楽大学シンフォニーオーケストラ


さあ、いよいよ音楽大学オーケストラバトル最終日。これで準決勝に進む4校が決まるわけです(ウソ)。
今日のファンファーレは、ユニーク系のタイトル。服部さんの思わせぶりな解説の「子供の街」が面白かったけど、表したい内容にはちょっと足りてないかな。音楽の中に謎(暗喩)を喚起する要素が少なかった、というか、難しいこと考えないで音だけそのままでいいんじゃないかなぁ。ガチャガチャして楽しい作品だったけど。

今日のプログラムも重量。最初が、東邦音楽大学でブラームス。桐朋学園とは漢字違いですね。東邦音大は、女性のコンサートマスターをコンサートミストレスなんて変な英語で表記してなかったのでポイント高いです。
田中さんは初めて聴くんだけど、お名前は前から知っていました。それがどうしてかよく分からないんだけど、もしかして、日本の合唱曲たくさん指揮して録音してましたっけ?
そんな田中さんの指揮、始まってみるとあれれれ?って感じでした。何と言うか力が抜けていて、やる気みたいなものが感じられない。僕しらないもん、ってオーケストラに勝手にやらせてると感じたのです。この間聴いた、尾高さんの、思いっきりやれー、俺が責任とる!、とは正反対。責任逃れって、ちょっとむかつきながら聴いてました。ところが、音楽が進むにつれて、また、あれれれ?どうしてか分からないけど、音楽がいい。音楽に自然と引き込まれていくんです。田中さんはその中心には、いない。と言うか見えない。自分を消して音楽だけがある。でも確かに、オーケストラは見えない田中さんの重力の下、演奏してるんですね。ブラックホール?それが田中マジックなのかな。田中さんの音楽をオーケストラは奏でているんだけど、でもそれは、オーケストラの音楽と一緒。オーケストラ自身が有機体となって自律的に演奏してるみたい。噛めば噛むほど後を引くスルメのような音楽でした。後に引く演奏だったので、休憩のあともう1曲聴くなんて大変。ブラームスの精神的な密度って尋常じゃないもん。

大取は、東京音大で「英雄の生涯」。指揮は、ぜひ一度聴いてみたかった30歳(多分)、若手のホープ、川瀬さん。現在、神奈川フィルハーモニー管弦楽団の常任指揮者でもあります。舞台に出てきた川瀬さんは、シャツのボタンを外してるような(実際そうしていたわけではありませんが)ちょっと昔の不良っぽい(ツッパリ、死語だけど)ところがあって、古色蒼然なクラシック音楽会に風穴を開けちゃる、みたいなナナメに世の中を見ている、若さゆえの自信に溢れていてちょっといい感じ。と、音楽に関係ないことばかり書いてきたけど、音楽もまさしくそれ。川瀬さん、田中さんとは対照的にぐいぐいと引っ張る。先頭切って学生オーケストラと走りまくり。若い音楽。若さゆえの過剰。若者たちが火花を散らして、一緒になって音楽をがんがん鳴らしてる。若者ってときとしてとんでもないことを成し遂げてしまうけど、そんな一期一会の音楽。あとで興奮して俺凄かったぜーと言い合ってることでしょう。指揮者もオーケストラも今しかできない音楽。最後には引退までしちゃう自著伝のような音楽だけど、この曲を書いたシュトラウスは弱冠34歳。若者の熱は正しい!

それにしても音楽大学オーケストラフェスティバル、それぞれの大学のオーケストラや、指揮者の音楽が堪能できて本当にステキな体験でした。プログラムの解説も各大学の先生や学生さんが書いていて、それも個性があって面白かったです。バトルと思っていたけど、全員に一等賞を差し上げたい。現実には、この中から将来演奏家として活躍できる人はごく一部でしょう。でも、一瞬でも輝いた時があって音楽でつながっているなんて、なんてステキな大きな財産なんでしょう。音楽って素晴らしい。そして、音楽とは違う世界にいたわたしにはかなり羨ましい!皆さんに幸あれ!!
[PR]

by zerbinetta | 2014-12-07 23:28 | アマチュア | Comments(0)

ホルンとはズルイ 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 3日目   

2014年12月6日 @東京芸術劇場

柏木恒希:fanfare
桐朋学園オーケストラ

松尾賢志郎:ファンファーレ
国立音楽大学オーケストラ

ブルックナー:交響曲第7番

高関健/国立音楽大学オーケストラ

サンサーンス:ホルンと管弦楽のための演奏会用小品
ブラームス:交響曲第1番

ラデク・パボラーク(ホルン)/桐朋学園オーケストラ


音大オーケストラバトル、3日目は会場を池袋に移して桐朋学園と国立音大の戦い。
ファンファーレは、両者、ファンファーレという曲名(英語と日本語の違いはあるけど)。わたし的には、いわゆるファンファーレっぽいシンプルな柏木さんのが好みかな。

それにしても音楽会の前半が、ブルックナーの交響曲とは。。。超重量級のプログラムだわん。初めて見る高関さんもちびっ子。指揮台より先に音楽会が始まる前に会場でお見かけしたんだけど、声が、、、バリトンの凄く良い声。惚れちゃう。
ツイッターでフォローしてるんだけど、高関さんは楽譜マニア。できる限り自筆譜や異稿に当たってとても良く研究されてらっしゃる。というのが何となく分かる演奏でした。と言っても、神経質ではないんです。丁寧に楽譜を追って、内声とか絡み合う旋律をふんわりと浮かび上がらせて、ブルックナーの音楽を立体的に描くんですね。ひとつひとつの音符を温かく見つめている目。全ての音に神経が通ってる。でも、オーケストラを強制的にドライヴして自分の音楽を押しつけてるのではないんです。多分、練習の中でとても丁寧に音楽を説明して、理解しながら自発的に弾けるまでに持っていく。国立のオーケストラもとっても上手くて、ただ、でもまだ到達点ではなくて伸びしろが十分あるし、もっとこうしたらいいというのも聞こえる。彼らの音楽会もこのあと同じ曲を含むプログラムで予定されているから、それまでにもう少し完成度を上げていくんでしょう。っていうか、ブルックナーのこの曲って、多分、生涯をかけて求めたい高みなのでしょう。高関さんの演奏、本当に良かったな。プロのオーケストラでもじっくり聴いてみたいです。

後半は、ホルンの神さま、バボラークさんの吹き振りでサンサーンス。おおお!いきなりの反則技。バボラークさんの一吹きで会場の世界が変わった感じ。オーケストラもバボラークさんの魔法にかけられて上手に付けてるんだけど、それ以上にバボラークさん。世界の全てがバボラークさん。これにはやられた。今日のオーケストラバトル、桐朋学園の反則勝ちだよ。ホルンの吹き振りって初めて聴いたけど、まあもう言葉が出ない。完璧なテクニックに多彩な音色。金管楽器の輝かしい、でもちょっとふっくらしたばりばりと鳴る音に、木管楽器のようなフェルトのような柔らかな音。もうこのまま、バボちゃんのリサイタルでいいよぉ。ソリスト・アンコールにメシアンの「恒星の呼び声」やってーって思ったけど、もちろんやらず。一応(?!)オーケストラが主役ですものね。
後半の後半は、指揮者バボちゃんでブラームスの交響曲。2楽章のソロとか、4楽章でホルン吹いてくれないかなぁと念じつつ、さすがにそんなことはないです。指揮者としては、技術的には、残念ながらホルニストのレヴェルには達していないんだけど(ホルンなら間違いなく世界のトップ・レヴェル)、それでもオーソドックスに真っ直ぐ攻めてくるブラームスには好感。というか、学生を音楽の渦に引き込んでくる手腕はさすがカリスマ。そして、オーケストラも上手い。さすが、有名音楽家を多数輩出している桐朋学園って感じでした。

終わってみれば良くも悪くもバボラークさんに持って行かれちゃった音楽会でしたけど、ふたつの大学ともとっても上手くて良い音楽を聴かせてくれたので、満足度高かったです。はああ、疲れた(メイン曲2曲は結構キツイ)。
[PR]

by zerbinetta | 2014-12-06 22:26 | アマチュア | Comments(0)

初めての年末第九 プロースト交響楽団第20回定期演奏会   

2014年11月30日 @ミューザ川崎シンフォニーホール

ドヴォルザーク:交響詩「糸を紡ぐ娘」
ベートーヴェン:交響曲第9番

馬場裕子(ソプラノ)、富岡明子(メゾソプラノ)
小原啓楼(テノール)、浅井隆仁(バリトン)
大井剛史/日本フィルハーモニー協会合唱団、プロースト交響楽団


実はわたし、今まで生きてきた中で、年末第九って1度も聴いたことがなかったんです。紅白歌合戦ならチラ見したことあるのによ。なんか、斜に構えて、年末にわざわざ第九はないだろうとか(実はそもそも第九自体が苦手だった)、演末第九は日本の習慣で、海外で第九がある季節に集中的に演奏されるなんてことはないから(最近は日本の真似して年末は第九って宣伝して人を集めようってことをし始めたオーケストラあるけど(定着はしていない))、今まで機会を無視してきたの。でも今年のわたしは違う!まず、第九、大好きになったし、折角だもの。(正直に言うと招待状もらったから)
プローストは、また聴きたくなる上手いアマチュア・オーケストラです。若いメンバーの多いオーケストラですね。指揮はニューフィル千葉の大井さん。

まずは、ドヴォルザークの交響詩、「糸を紡ぐ娘」。プログラムの解説を読むと、マーラーの「嘆きの歌」を彷彿させるお話。その筋書に沿って音楽が進行するみたい。すると最近のわたしの悪い癖。バレエにできないかなぁと聴き始めました。確かに、物語をなぞるように(でも決して物語の伴奏ではなく)作曲されているんですけど、いかんせん、音楽が短い。20分くらいの交響詩だからしょうがないのだけど、バレエにするにはせわしないし、音楽(の長さ)不足。って、そりゃそうか、バレエの音楽じゃないんだから。
演奏は、安心して音楽に身を任せられるくらいの上手さ。上手いアマチュア・オーケストラの良いところは、みんなが献身的に音楽に向かって行くところよね。物語を追って行けたのは、大井さんが、わりと描写的に目で見るように音楽を作っていったからかもしれません。

メインはもちろん第九。演奏したことのある人、誰に聴いても難しい曲というくらいの難しい曲なんだそうですね。技術的に難しいのはもちろんのこと、精神的にも音楽が音楽を超えてあまりに偉大なものを表出しようと欲してるので大変なんでしょう。聴いて感じる音楽の大きさに恐れおののきます。プログラム冊子の載っていた、「音楽の力」と題されたエッセイは、そんなベートーヴェンの音楽の思想に仄かなリンクを感じました。

大井さんは、今、彼のオーケストラ、ニューフィル千葉とベートーヴェンの交響曲サイクルをやっています。その集大成の第九が、オーケストラの30周年イヤーの2015年の秋(まだ先ですが)に予定されています。今日は、ベートーヴェンに集中的に取り組んできた大井さんの第九のプレヴュウになりそうです。

わたしの重箱の隅をつつく姑ポイントその1は、最初の弦の刻み。霧のようなトレモロかきっちり6連符の刻みか、で印象が全く違うから。わたしの好みは(最近多い(?))6連符の方なんだけど、大井さんのはトレモロ気味。でも、これは、アマチュア・オーケストラだからかなぁ。ニューフィル千葉で答えを待ちましょ。緊張と不安と予感に満ちた5度のトレモロで始まった音楽。最初の盛り上がりは、さすがに高音の弦楽器だけでクライマックスに上り詰めていくのは(音量的に)アマチュアではやっぱりきついなぁと思いながらも、ベートーヴェンの書いた最高の音楽に向かって格闘しつつも献身的に奉仕していくのは、聴いていて気持ちがいい。多分、ベートーヴェンが初演したときは、音楽家はきっとこの音楽をちっとも分からずむちゃくちゃになっていたに違いない(この曲が、まともに受け入れられるようになったのって作曲家の死後何年もしてからだし、たくさんの人の努力が必要だった)。こうして、アマチュアのオーケストラでこんな素晴らしい音楽が聴けるなんてほんとにステキなこと。細かなとこは、いろいろ疵もあったけど、聞こえてくる音楽の力は凄い。こういう曲って、演奏者をマジにしちゃうよね。

第3楽章は、天国的な美しさと言うより、恋人たちが戯れる、ニューヨークのフリック・コレクションにあるフラゴナールの部屋のさざめくような音楽。特にテンポが速くなったところの付点音符のリズムが笑い声を運ぶ風のようで、この曲をそういう風に聴くの初めて、なのでステキな発見。べたべたするアダージョじゃなくてふわりと軽い感じの音楽の方がわたしは好きだな〜。(もしかするとこの音楽って恋人たちの愛の営みかなとも思った。だって、天国的と言われながら、神の楽器トロンボーン使ってないし、だとしたら現世的。そうすると、1楽章が権力欲で、2楽章が食欲?(テキトーすぎだけど)。で、3楽章が性欲で、4楽章で人の欲(性)を否定して神の下の友愛?なんちって)

大井さんの音楽は、基本的に楽譜通り。4楽章の冒頭の嵐も、トランペットの音は補完しないでそのまま。これは、さすがにバランスが難しそう。ちょっと歯の抜けたような音になってしまいました。それから、行進曲が一段落して合唱が盛大に入る前のつなぎの部分のホルンの伸ばし、新しい楽譜の不規則なタイの位置を採用していました。アバドさんのCDでは聴いたことあるけど、実演では初めて。大井さんは、最新の楽譜にこだわっているのね。
大井さんの指揮を見ようと舞台の後ろに座ったので(この位置好きなんです♥)、残念ながら歌はあまりちゃんとは聴き取れなかったのだけど、合唱とか上手かったです。日本フィルハーモニー協会合唱団ってプロのオーケストラともよく共演するんでしょうか。そんな余裕みたいものも感じました。独唱者も粒が揃っていて良かったです。

それにしてもやっぱりベートーヴェンは凄いな。音楽の力に圧倒されちゃう。いつまでも拍手していたかったけど、次があるのでそそくさと退場。でも心の中ではずっと拍手。
[PR]

by zerbinetta | 2014-11-30 15:21 | アマチュア | Comments(0)

指揮者の力 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 2日目   

2014年11月24日 @ミューザ川崎

音大オーケストラバトル、じゃなかったフェスティバル2日目。今日は3校。

ファンファーレ
近藤憲太:白のためのファンファーレ
洗足学園音楽大学管弦楽団

中山玲央:コールス
上野学園大学管弦楽団

小田実結子:ファンファーレ
武蔵野音楽大学管弦楽団


今日のファンファーレの中では、小田さんのがとても工夫して書かれていて良かったです。各パートに見せ場あり。こういうのって結構重要ですよね(確かヒンデミットが作曲の教科書で言ってたような)。


ウェーベルン:管弦楽のための5つの小品
モーツァルト:交響曲第35番

下野竜也/上野学園大学管弦楽団


上野学園は、意表を突いて(?)小編成。小さな学校なのかしら。しかもプログラムはウェーベルンとモーツァルトという挑戦的なもの。びっくりしました。意気込みを感じると同時に、モーツァルト大丈夫かしら、なんて心配も。だってモーツァルトって譜面面は簡単だけどちゃんと聴かせるのにはものすごく難しいんだもの。
下野さんは写真で見たことはあったけど、本物は初めて。小柄なのにびっくり。写真では分からないものね。わたしもちびっ子なので親近感。
正直、上野学園は、実力的にはまだまだな感じだけど(この大学だけではなく音楽大学を出てもプロの演奏家として独り立ちできる人なんてほんの一握りだものね)、音楽は素晴らしかったの。それは、ウェーベルンでもそう感じたけど、むしろ心配していたモーツァルトの方でびっくり。「ハフナー」交響曲のピチピチした元気の良い魚が跳ねまわるような演奏。素晴らしいモーツァルト。こんな音楽を学生さんから引き出せるなんて、下野さん、ただ者ではないわ。今度ぜひ、プロのオーケストラでも聴いてみたい。いつか聴けるかしら。


バルトーク:管弦楽のための協奏曲

時任康文/武蔵野音楽大学管弦楽団


武蔵野音大は、バルトーク。協奏曲というだけあってソロイスティックな楽器が随所に活躍する作品。だから、個々の奏者の力量が試される怖い曲。演奏する方は緊張するんだろうな。武蔵野音大のオーケストラは、きらりとした技量はまだないものの無難にソロをこなしていくのはさすが。とても丁寧でまとまりのある音楽でした。ただ、もう少しオーケストラの、指揮者の個性が前面に出たらいいんじゃないかなっては思いました。難しいことだけど、バルトークのこの曲がが持つ複雑な感情に迫っていくものが不足していたように感じました。わたし自身もこの曲からどんな感情を引きだしていいのか、もしくはあっけらかんとオーケストラの音を楽しむのがいいのかよく分からないんですが、演奏には、それに対するひとつの回答を求めたかったです。(ごめんなさい。プロの音楽家に言うべきことですね。でも学生でもそこを目指して欲しいから)


レスピーギ:交響詩「ローマの噴水」「ローマの松」

秋山和慶/洗足学園音楽大学管弦楽団


休憩2回の充実の音楽会、最後は洗足学園音大。指揮は大物というか重鎮(?)秋山さん。すごい昔、確か東京交響楽団を振っていたのを聴いたことがあります。曲は忘れた。
今日は、レスピーギのローマ3部作から、「噴水」と「松」。これがとても充実した素晴らしい演奏。この学校が今日一番上手かったと思うけど、それ以上に秋山さんの音楽が充実してました。変わったことをしているわけではないんだけど、学生から実力以上のものを引き出していたと思います。それにしても、改めて気がついたんだけど、「松」の「カタコンバ」での弦楽器の刻み。親しんでいたカラヤンの演奏では微妙にずらして雰囲気を出してたんだけど、秋山さんのは縦の線をきっちり揃えて、おお、ビート感のある迫力ぅ!って思いました。ひとつだけ、チンピラの言いがかりのような文句(?)を付けるとすれば、最後のバンダのトランペット、きっとトランペット科の学生さんもっといるんだろうから、ステージ後ろのオルガン席だけじゃなくて会場の四方にたくさん配置して立体的な音響を聴かせて欲しかった。わたしのデフォルトが、前にナショナル・シンフォニーで聴いた、突然後ろからもトランペットが聞こえてきた驚きなので。

終わってみると指揮者の差が出た今日の音楽会。アマチュアのオーケストラを聴いたとき、指揮者の音楽よりもオーケストラ自体の音楽に感想が向いてしまうけど(もちろんそれがアマチュアのオーケストラの意義だし聴く方もオーケストラが主体)、指揮者の意図する音楽をきちんと演奏できる音楽大学の学生のオーケストラでは、プロと同じように指揮者の音楽が表に出ますね。それが今日の発見。面白かった。
[PR]

by zerbinetta | 2014-11-24 23:02 | アマチュア | Comments(0)

ピチピチ! プティ・ヴィオロン誕生!   

2014年11月18日 @大田区民プラザ 小ホール

パーセル:ダイドーとエネアス

鈴木麻由(ダイドー)、平澤巧(エネアス)
清水理沙(ベリンダ、第一の魔女)、福島千尋(魔女)
岡崎陽香(第二の侍女、第二の魔女)、品村紗佑里(精霊)、野村京右(水夫)

佐藤駿太/プティ・ヴィオロン


古楽ブームがあって古楽が広く聴かれるようになっている昨今だけど、アマチュアで古楽器を操る人はまだまだ少ないようです。リコーダーを吹く人はいるような気がするけど、アマチュアの古楽器アンサンブルは、まだほとんどないようだし(オーケストラ・オン・ピリオド・トウキョウが2003年創立、日本で初の本格的アマチュア古楽オーケストラみたいです)。そんな中、新しくピチピチの古楽アンサンブルが誕生!アマチュアと言っても、指揮者を含めて全員音楽大学の学生さんで、音楽家の卵たち。セミプロと言っていいですね。

「ダイドーとエネアス」。イギリスの生んだ大音楽家。ロンドンに住んで初めてロイヤル・オペラ・ハウスで観たオペラがこれだったんだけど、バロック・オペラってなかなか観る機会がないから貴重。東京なんて、バロック・オペラ向きの中くらいのホール多いし、セミ・ステージドでやるのも素敵だからもっとたくさんいろんなのが上演されて欲しいんだけど、まだまだ古楽の裾野は狭いのが残念。

大田区民プラザは電車だと下丸子。昔の目蒲線っていうか目蒲線じゃなくなってたのでびっくり。初めて行きます。会場の大田区民プラザの小ホールは、ホールと言うよりステージのある宴会場と言った感じで、客席はパイプ椅子。オーケストラはもちろんピットではなくて、ステージに向かって右手の客席のスペースを仕切ってありました。こんな会場だけど、何だか熱気があって、若者達が準備している中、少し早めに着いていたのでプログラムを読んでいたんですが、これも想いが溢れていてピチピチ跳ねてる感じ。(多分)中心メンバーのひとり、上田朝子さん(アマチュアと言ってもすでにプロの中でも音楽活動をされている方なので名前を出しています)の書かれた解説+個々のメンバーの好きなシーンの紹介が、熱というか愛に溢れていて、しかも聴き所を的確に教えてくれて(聴いててとても役立ちました)優れもの。

音楽会の始まりを知らせる合図が生演奏というのも素敵。プチ贅沢。
「ダイドーとエネアス」。1時間強の短いオペラだけど、有名なアリアもあるし、物語も音楽もテキパキとまとまっていて飽きさせないというかむしろスリリング。そしてそれを見事に聴かせてくれる演奏。ステージも衣装もとてもシンプルでオペラを観る非日常な豪華さはないけれども、でも十分に目で見る物語と音楽の調和がありました。何よりも全員、変に擦れたところがなくて音楽に対して新鮮な喜びが感じられるの。一期一会の会心の音楽会じゃなかったのかと思います。音楽会を終えたときの満足感と言ったら。終わってホールの外で見送ってくれた出演者の満ち足りた顔も素敵だったけど、むしろわたし自身がめちゃ熱くなってた。

全員のアンサンブルのなせる業だと思うので、個々の人を挙げるのは少し気が引けるのだけど、最後、自分の胸で息を引き取っていくダイドーを見守るベリンダ、大粒の涙で泣いていたのがとっても印象的でした。もらい泣き。完全に世界に引き込まれました。
オーケストラもさすが古楽器を勉強している人たち。安心して音楽に身を任せられます。この人達が、学校を巣立って留学とかして、プロの古楽器奏者になっていくなら、古楽器界の未来は明るい。古楽って古い音楽じゃなくて、全身でワクワクドキドキする新しい音楽でもあるの。ひっちゃかめっちゃかで楽しくてアグレッシヴ。古楽のっていうか、古楽って言うの嫌だわ、楽器の形が整う前のカンブリア紀の生き物のようなアヴァンギャルドな楽器を使った、ルール無用の音楽をロックに演奏する人がたくさん増えて欲しい。古楽はおじいちゃんの盆栽じゃないよ。ってわたしまで熱くなってしまったわ。ちなみに全然関係ないけど、チェンバロを弾いてた方の横顔がユジャ・ワンさんに似てました。

ああ、このアンサンブル、これっきりだったらもったいないなぁと思っていたら、次回の音楽会のお知らせが。やったーー!次回は2015年2月27日、杉並公会堂小ホールです。ダンス付き!フランス。「太陽王の愛した舞踏と音楽」です。絶対、行かなくちゃーーー。

追伸
ぐぐぐぐ。その日、衝動で買ってた別の音楽会があったんだ〜。もちろん、これもものすごく楽しみにしてるんだけど。あああ、体がもうひとつ欲しい。プティ・ヴィオロンさん、3回目あるよね。楽しみにしてまーーーす。
[PR]

by zerbinetta | 2014-11-18 21:12 | アマチュア | Comments(0)

責任はオレがとる 第5回音楽大学オーケストラフェスティバル 1日目   

2014年11月16日 @ミューザ川崎

首都圏(東京でいいのかな?)の音楽大学9校が集まって、オーケストラバトルを繰り広げる(ウソ)音楽大学オーケストラフェスティバル。今年は聴きに行きました(去年は気がつかないうちに終わってたので)。だって、安いんですよ、4回の音楽会セットで2000円。おねーさんお買い得よん。しかも音楽会は、重量級。ブルックナーの交響曲第7番の後にブラームスの交響曲第1番なんて日もある!今日は、昭和音楽大学と東京藝大。

ファンファーレ
久保哲朗:palse polyphony: for fanfare
東京藝大シンフォニーオーケストラ

野呂望:No.5のためのファンファーレ
昭和音楽大学管弦楽団


音楽大学の交流の場ということもあって、それぞれの学校の演奏の前に相手校がエールを送るファンファーレの演奏。作曲も学生さん。始まりに、東京藝大組のファンファーレだったんですが、わたし、プログラムの解説を読んでいて、うっかり昭和音大組の「No.5のためのファンファーレ」だと勘違いして聴いていました(プログラムの解説は大学ごとだったので)。なので、チャイコフスキーの交響曲とどこに関連があるのかなぁと答えのない疑問。アホや〜。
久保さんの palse polyphonyの方は、指揮者ありで丁寧に演奏されたけど、ちょっと間延びした感じかな。音符と音符の間にときおりちょっともてあます間が。。。お見合いの席で会話が途切れて間が持たなくなった感じの。野呂さんの方は、コンパクトな感じ。うっかりしてたので、チャイコフスキーとの関連は気がつきませんでしたが。


ブラームス:交響曲第2番

大勝秀也/昭和音楽大学管弦楽団


東京藝大のファンファーレの後は、昭和音楽大学管弦楽団でブラームスの交響曲第2番。このフェスティヴァル、示し合わせたのかどうか分かりませんが、ブラームスの交響曲が第3番を除いて全て演奏されます。ブラームスの明るい寛いだ感じの交響曲第2番は、大好き。それにしても、学生オーケストラだからアマチュアだけど、さすが音大生だけあって上手いですね。もちろんプロとは比べるべくもないのですが、弦楽器のヴィブラートや弱音での響き、などは素人さんとは違います。大勝さんの指揮は、あまりきつく縛らないで、かと言って奏者の自由に任せるという感じではなく、大らかに音楽をまとめていきます。ここのところは先生という感じかな。ただ、音楽が少しゆるい感じを受けたので、もっと突っ込んでブラームスの音楽を表現してもいいのではないかと思いました。学生の方から突っ込んで指揮者に向かって行く感じで。ちょっとおとなしいかな。


チャイコフスキー:交響曲第5番

尾高忠明/東京藝大シンフォニーオーケストラ


昭和音大のファンファーレのあとは、東京藝大のチャイコフスキー。東京藝大は、言わずと知れた日本の音楽大学の雄。という色眼鏡なしに聴いてもむちゃ上手い。前の昭和音大がアマチュア・レヴェルを超えたオーケストラだとすると、こちらはプロの末席にいるような感じ。でもちょっとズルイのは、他のオーケストラは、このフェスティヴァルの後にそれぞれの音楽会があって途中とも言えるんですけど、藝大オーケストラは、同じ曲を昨日彼らの音楽会でやった後なんですね。
尾高さんの指揮が素晴らしかったんです。彼の音楽でぐいぐいと学生を引っ張る、というんではないんです。むしろ逆。「君たち、思いっきり自由にやりたまえ。音楽の最終責任はオレがとるから」って感じの思いっきりの良さ。大学院の上級生やポスドクみたいな自律してできる人には最高の指導者。わたし的には理想の上司。
その結果生まれてきた音楽は、各奏者の自発性に満ちたピチピチとした音楽。最初のクラリネットからその人の音楽が聞こえたし、ファゴットの人はちょっとやり過ぎちゃった感あるけど(ソロでの失敗(と見事なリカヴァリー)のことではなくて至る所で)でもそれも素晴らしいこと。オーボエのトップの人がわたしのツボでもうステキステキ。吹いてるときだけじゃなくて休んでるときも一緒に音楽しててめちゃ好感。大好きなシスモンディさんを思い出しちゃった。木管楽器ばかり書いたけど、金管楽器も打楽器も弦楽器もほんとみんな音楽に向かっていて、実はこれ、日本のプロのオーケストラであまり感じなくて物足りなく思っていたから、ここで溜飲を下げちゃった。この人たちが巣立ってプロのオーケストラに入ってくれば日本のオーケストラももっと良くなるかもね。出る釘は打たれても跳ね返してどんどん出て欲しい。みんながんばれ〜。
そして、学生たちの血気盛んな音楽を受け止めてひとつにまとめ上げる尾高さんの懐の深さ。何も足さない素晴らしいチャイコフスキーでした。ブラヴィッシモだよもう。
音大オケフェスティバル、初日からいいもの聴いたな。


♪♪
9つの音楽大学の選抜合同オーケストラの音楽会が、3月28日(ミューザ川崎)、29日(東京芸術劇場)であります。指揮は元東京交響楽団の音楽監督スダーンさん。
[PR]

by zerbinetta | 2014-11-16 23:20 | アマチュア | Comments(0)

時代遅れな昭和の香り オーケストラ・ニッポニカ第26回演奏会   

2014年11月9日 @紀尾井ホール

安部幸明:オーケストラのためのセレナーデ
     弦楽のためのピッコラシンフォオニア
     オーケストラのための交響的スケルツォ
     交響曲第2番

鈴木秀美/オーケストラ・ニッポニカ


近・現代日本のオーケストラ曲(とその周辺の外国作品)を専門にしているオーケストラ・ニッポニカになんと、古楽(チェロ)の専門家、はいどん楽遊会の楽長、鈴木秀美さんが指揮者として登場!秀美さんは自身の古楽器オーケストラ、リベラ・クラシカや名古屋や山形などいろんなオーケストラで指揮されてるけど、レパートリーは古典派からロマン派初期がメイン。現代音楽を振ることなんてめったにないんじゃないかしら。今日はその稀なチャンス。安部幸明の作品集。安部がチェロを弾く人だから?それにしても全く名前を存じ上げない作曲家。マーラーが亡くなった明治44年生まれ(平成18年没)。

安部さんの音楽は非常に平明。ヨーロッパの音楽で言ったら新古典派くらいな感じ。メロディアスなヒンデミットみたいな。そして、大きな特徴は、和を感じさせないところ(解説には日本的な要素で書かれていると書いてあったけど、わたしはそれをほとんど感じませんでした)。安易に日本的な旋律や和声、リズムを用いないところが潔い。民謡を単に西洋楽器に弾かせただけの音楽なんてウンザリですから。(今日演奏されなかった「シンフォニエッタ」には和を感じさせるところはありますね)
それでいて、音楽からなぜか記憶の中の日本の情景を呼び覚まされる感覚もあって、それは昭和。明るい昭和。住宅街(もちろん昭和の家)の坂道を下ると向こうに海が見えるとか、デパートの大食堂の心象風景とか、心の奥に焼き付いていた記憶がひらひらとはがれて浮かんでくる。そう考えるとやっぱり日本人の作品なんだ〜。

全ての曲が初耳なので(それはそうか。作曲家の名前も初めて知るんだもん)、どの曲がどうというほど個々の曲に記憶はないのだけど、どの曲も職人的によく書けていると思うし、楽しいし、センスの良い面白さはあるんだけど、知られざる佳曲という感じかな。メインストリームには来ない。CDがあったらクラヲタ的むふふコレクションとして持っていてもいいかなくらいな。偉そうにw

演奏は、やっぱりニッポニカの皆さん上手い。ただちょっと気になったのは、秀美さんの指揮のせいかリズムに甘いところが時折見られたこと。いや、秀美さんの指揮の仕方とかじゃなくて、リズムの複雑なこういう曲にちょっと慣れてないんじゃないかって思ったので。それとも敢えて目をつむって横の流れを重視したのかな。

プログラムはいつものように超充実。もしかして、このオーケストラの演奏会のライヴ・レコーディング(今日のも将来CD化されるのかな)とプログラム冊子さえあれば、貴重な日本のクラシック音楽の百科事典ができるんじゃないかな。今後もどしどし、めったに演奏されないのも含めてありとあらゆる日本のオーケストラ作品を演奏してライブラリーに加えて下さい。プロよりプロフェッショナルな仕事をするオーケストラだわ。


♪♪
オーケストラ・ニッポニカの次の公演は、第27回演奏会が5月17日、紀尾井ホールです。1958年の作品達。「エローラ交響曲」楽しみ〜〜。
[PR]

by zerbinetta | 2014-11-09 13:20 | アマチュア | Comments(0)

フランスっぽくプロコフィエフ 新交響楽団第227回演奏会   

2014年10月26日 @東京芸術劇場

ラヴェル:「道化師の朝の歌」、組曲「ラ・メール・ロア」、「ラ・ヴァルス」
プロコフィエフ:交響曲第5番

矢崎彦太郎/新交響楽団


老舗のアマチュア・オーケストラ、新交響楽団の音楽会。今日はフランス?って、プロコフィエフはロシアの人だし、外国を展転するも最後はロシアに戻っているのでどう考えてもロシアなんだけど、どういう訳かわたしの中でフランスの感じが強くて、なぜなんでしょ?それはともかく、今日はフランスもの得意(ということらしいです。わたしは初めて聴きます)の矢崎さんの指揮。新交響楽団は、常任の指揮者を置かずに、それぞれの音楽会ごとに別々の方に振ってもらってるのですね。

プログラムの前半はラヴェル。フランスの音楽って、わたしの刷り込みというか思い込みかもしれないけど、独特な感じがあると思うんですよ。個々の音色やスタンドプレイが大切にされて、アンサンブルはゆるい感じの方が’らしい’とか。例えばフランスの国民性とイギリスの国民性(日本人に多少近い)の違いやオーケストラの違いってステレオタイプじゃなくて空気として感じることがあるんだ。きっちりしてるイギリスといい加減なフランス(そんなこと言うと日本から直接イギリスに行った人はえええ〜って思うかもしれないけど、フランスから見ればイギリスってきちきちしてると思う。少なくともわたしはそう感じた)。日本のオーケストラってきっちりアンサンブルを整えていくタイプだと思うし、個々の技量ではプロに及ばないアマチュアでは尚更。アンサンブルの精度を高めることで良い音楽を作る、というやり方が多いし上手くいくと思うのだけど、それとは反対のフランス音楽、特にラヴェルの色彩感をどう表現するか楽しみにしてました。

さすが、トップ・レヴェルのアマチュア・オーケストラ、新交響楽団、安心の演奏でした。それぞれのソロも上手くて、プロにはさすがに及ばないものの聴かせてくれます。で、何より、指揮者の矢崎さんがかなり細部まで練習で鍛えてきているというのが分かる感じ。矢崎さん、得意のフランスものをプライドを持って、アマチュアだからと容赦せずに音楽を要求してますね。それについて行ってるオーケストラもさすが(この段落さすがが3回w)。欲を言えば、ひとりひとりの奏者がもう少しわがままに魅せるように(例えば、ビッグバンドなんかでソロの部分をスタンディングするように)なればもっといいな。これまで確か3回、新交響楽団を聴いたけど、このオーケストラ少しおとなしい感じがするんですよね。もっとやんちゃでもいい。それにしても、矢崎さんはフランスものをほんとに得意にしているというのがぷんぷんと分かって、矢崎さんもさすが(4回目w)。

後半は、プロコフィエフの交響曲第5番。これもフランス風?矢崎さんのプロコフィエフは、お洒落っぽくて、重々しさがあまりなくて、軽やか。とまで言ったら言い過ぎかもしれないけど、鉄や銅や銀や亜鉛なんかを溶鉱炉にぶっこんでどろどろと溶かし混ぜるような、おどろおどろしいどろどろ感があまりなくて、そろそろ怪獣が出てくるところね(1楽章の終わりの方)、とワクワクしながら聴いていたのに怪獣出てこなかった。これもプロコフィエフの一面を捉えた解釈だと思う。んだけど、わたし的には、プロコフィエフはありとあらゆる黒くて重いものを溶かした坩堝なんですよね。そしてプラス狂人さ。譜面の中では、狂った世界がぐるぐるしながら、作曲家は一緒に狂っていると演じつつ冷静にエネルギーをくべているみたいな。筒井康隆さん?なのでわたしも冷静に聴いちゃって、プロコフィエフの実像なのかもしれないし、かっこいい音楽ではあったけど、物足りなさも感じたのでした。最後のテープを切るようなかけっこは良かったですけど。


♪♪
新交響楽団の次の公演は、第228回演奏会が来年の1月25日、東京芸術劇場です。楽しみにしてます。
[PR]

by zerbinetta | 2014-10-26 03:54 | アマチュア | Comments(0)