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拍手はできなかった   

bartok: divertimento
mendelssohn: violin concerto
brahms: symphony no.1
daniel hope (vn), daniel harding / lso @barbican hall


ハーディングさんはもっと聴いておこうと思ってまた行きました。今日はブラームスの交響曲第1番。ベートーヴェンの運命のブラームス版っていうところでしょうか。苦悩から歓喜へ。自然における神の栄光。トロンボーンの使い方も似ているし。なんてことを考えていましたよ。
盛大にティンパニを叩かせて始まった音楽。やはり勢いのある音楽作りです。割としっかりテヌートを効かせて艶のある音量でオーケストラを鳴らしてるんだけど、かっこいいというか、もしかしてかっこつけてる? そんな思いが頭によぎってそれが最後までぬぐい取れなかったというか曲が進むごとに大きくなってしまって。かっこいいんだけど薄っぺらというか。確かにはっとする音(今まで聞こえたことのなかった音)や表現もあるんだけど(第2楽章のホルンの低音のゲシュトップとか)、なんだか音楽の本質が見えてこなくて、わたしはどんどん音楽から離れていく。なに?このもやもやした気持ち。若造がスポーツカーを乗り回してかっこつけてる(なんか古典的な表現)みたいな、昔のカラヤン批判みたいな(わたし自身はカラヤンをものすごく高く評価してます)、音楽はきちんと鳴ってるのに、彼の表現したいものは表現されてると思うのに、それに共感できない。。。音楽が終わったとき途方に暮れてしまいました。わたしと彼の音楽との間にはわたしにはまだ理解できない絶望的な淵があるのでしょうか。それとも彼の音楽に何かが不足しているのでしょうか。会場は大きな拍手です。でも。わたしと、わたしの隣に座ってた女の人も、拍手はしなかった。できなかった。彼女がどう感じたのかは分からないんだけどももしかしたら同じ気持ちだったのかもしれない。ハーディングさんは確かに才能のあるこれからどんどん伸びていく指揮者だと思います。自分の表現したいことを確実にオーケストラに伝えることができるし、オーケストラをものすごく良く鳴らせる類い希な指揮者のひとりです。いつかわたしも彼も成長して音楽を共有できるようになったらいいなと思います。幸い、彼はLSOの主席客演指揮者です。これからも彼の音楽を聴いていこうと思います。
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by zerbinetta | 2008-12-18 21:02 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

若いブラームス   

bartok: music for strings, percussion and celesta
augusta read thomas: helios choros II
brahms: piano concerto no.1
lars vogt (pf), daniel harding / lso @barbican hall


ダニエル・ハーディングさんは10年くらい前、ベートーヴェンの序曲集を指揮した確かデビューCDが溌剌としていてとっても良くて、二十歳そこそこの若者が自分の思うままにオーケストラを鳴らして凄いなぁと思って以来、聴きたいと思っていたんだけどついにそれが実現しました。10年近くたったとは言えまだ30そこそこなのね。指揮者の世界ではまだ若造。どんな音楽になるのでしょう。まず、バルトーク。わたしの苦手なバルトークの中では一番好きな弦チェレ。ヴィブラートを抑えた弦のゆっくりしたメロディから彼の世界に引き込まれました。厚みのある音楽です。あれっ?LSOってこんなに上手だったっけ?って思いました(今まで聴いた感じではLSOってグラモフォンの世界のトップオーケストラ10にイギリスのオーケストラとしてひとつだけ入っていたんだけど、本当かしらって思ってたから)。2番目のトーマスさん(女性です)のヘリオス・ショロスIIは賑やかだカラフルでやや忙しない感じでしたがなかなかステキ。どこかで聞いたことのあるお名前だと思ったら、ずうっと以前にUSでオーケストラのための協奏曲という作品を聴いたことがあったのね。小さなフラグメントはそれぞれ和声的だったり調性的だったりするんだけど、それらが集まるときらきら光る万華鏡みたい。音は混ざってもそれぞれに聞こえるのでカラフルになるのね。
メインはブラームスのピアノ協奏曲第1番。大好き。LSOは今シーズンの柱が3つあってそのうちのひとつが love brahmsと題したブラームス・シリーズなのね。ばーんとアグレッシヴなオーケストラの強奏。ハイテンポで、あっ若いブラームスだ。ブラームスはワグナーのロマンティシズムの対極にいるせいか渋いとか枯れてるとかそんなイメジだけど、若いときから枯れてたわけでもなくって(当たり前だけど)、恋もすれば(実らせなかったけど)けんかもする(これは歳をとってもしてたけど)。そんな溌剌な音楽。モノトーンではあるけれども(そう書かれてる)エネルギッシュな音楽をハーディングさんは全身で表現してました。ハーディングさんって指揮棒使わないんですね。ハーディングさんの音楽は力強い第1主題を速めのテンポ、叙情的な部分をゆっくり目のテンポでメリハリをつける感じです。テンポの動かし方が自然で上手い。そしてピアノのヴォグトさんはそんな音楽にはまってました。ただちょっと残念なのはフォルテが単純に大きな音で表現されてたことです(かなりピアノを叩いてましたよ)。大きさだけじゃない豊かさというかフォルテの奥にあるものまで表現して欲しかったです。でも音楽の勢いはものすごくて、第1楽章が終わった後思わず拍手したいと思ったくらい。クラシックのコンサートでは拍手は全曲が終わってからとか音が鳴り終わってちょっと間を置いてからとか無粋な習慣が浸透しちゃってるけど、この音楽には1楽章の終わりで拍手がある方が自然だなって思います。多分ブラームスの音楽は当時の習慣も考えるとそう書かれてると思うんだもん。拍手によって間もとれるし。この間のシューマンの交響曲第4番は、楽章の終わりの音と次の楽章の始まりの音を一緒にしてびっくりさせるけど、そういうのも当時の習慣に合わせた方が驚きも強くて効果があると思うのよ。(すべての交響曲や協奏曲の楽章間で拍手をすべしなんて言ってるのではないことは言わずもがなですよ)
ハーディングさんってイギリス人だったのね。ちゃっかりドイツ人だと思ってた。ラトルさんやアバドさんの下でアシスタントをしてたらしい。そのうちベルリンフィルの指揮者になるのかしら。今はスウェーデン放送響のシェフのようです。
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by zerbinetta | 2008-12-14 20:58 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

恋人たちのクリスマス前夜   

mahler: symphony no.10 adagio
wagner: tristan and isolde, act 2
anja kampe, robert dean smith, sarah connolly, laszlo polgar, stephen gadd,
vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


大好きな大好きなトリスタンとイゾルデ。その中でも第2幕の愛の場面。最後はマルケ王が出てきてすべてぶち壊しになることも、マルケの朗唱が辛気くさくて苦手だってことを知っていてもしょうがないですよね、出てきちゃうんですもの。わたしとしてはできたらマルケは出てこなくてそのまま愛の死の最後につなげて欲しいくらいだけど。というわけで、LPOの音楽会に行ってきました。最初はマーラーの交響曲第10番のアダージョ。クックによる全曲版はわたしにとってマーラーの交響曲の中でも特別な存在。今日は残念ながらマーラーの残したアダージョだけだけど期待むんむん。初めて聴くんです、多分。でもね、わたし的にはいまいちしっくりこなかったです。LPOってテンシュテットさんとマーラーはよく演奏してたはずなのに(そういう伝統ってオーケストラの大事な財産だと思うのよ)、あまりそれが感じられませんでした。もしかしてユロウスキさんはこういう曲苦手? 音楽が旋律中心にまとめられちゃった感じがして、マーラーが書いたいろんな仕掛けや主旋律の近くで絡まる対旋律の妙がよく聞こえてこなかったのが残念。そうなるとこの曲って妙に薄っぺらく聞こえるのよね。
でも、トリスタンの方は良かったです(演奏会形式)。イゾルデ役のカンペさんは前にワシントンオペラでジークリンデを歌ったのを聴いてとっても良かったのを覚えているので期待してたんだけど期待通り。ワグナーを歌うには軽めかなとも思うんだけど、イゾルデもジークリンデも女傑って言う訳じゃないし、力で押しつけるより軽やかさがあった方が好き。声量も十分というか、完全にトリスタンを圧倒してました。なので、主役の二人は完全にイゾルデペース。釣り合いがとれなかったのが残念です(これ難しいんですけどね)。一番良かったのはオーケストラ。引いては押し寄せる波のように実に上手に音楽を作っていました。さっきのマーラーが嘘のよう(マーラーの方は音楽が薄く書かれているのでかなり実力がないとぼろが出るんだけど)。トリスタンの音楽って2幕は特に押したり引いたりの出し入れが大事って思うのよね。だってエッチしてる場面なんですもの。押すだけのセックスじゃ味気ないでしょ。昼間の建前の仮面を脱ぎ捨てたあとの裸になった夜の情景の音楽は最高に官能的。何回かエクスタシーに達してそしてこれから。。。せっかくいいところなのにマルケが出てきて台無し。というか本来はトリスタンこそが間男なんだけどね。でも、マルケを歌ったポルガーさんは最後の方でちょっとよれったけどとても良かったです。わたしは空気読めよって心の中でぶつぶつ言いながら聴いていたんですけど。
それにしても今日はクリスマスパーティーの集中日だったのかな(クリスマスの前後はお休みになるので皆さん実家に帰ります(クリスマスは基本的に家族で過ごす日))。カップルいっぱい。前の席のカップルも二人でいちゃいちゃ、チューブの中もカップル多し。愛の場面を聴いて、ひとりで寂しかったぁ。マルケでいいから忍んでこないかなぁ。そしたら玉の輿っ。はあと
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by zerbinetta | 2008-12-13 20:56 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

わたしを好きにして〜   

berlioz: overture les francs-juges
schumann: symphonies no.1, no.3
simon rattle / oae @royal festival hall


昨日の音楽会がとっても良かったので慌ててチケットをとって行ってきました。今日もベルリオーズの序曲とシューマンの交響曲2曲。やっぱり昨日と同じ。珍しくも面白いベルリオーズの序曲とステキなシューマン。今日の曲目の方がよりポジティヴな面が大きいのですが。そして今日は楽器も少し違ってて、ホルンはナチュラルホルンではなくて弁の付いたものを使ってました。その分ロマンティシズム増強って感じです。ああでもやっぱり、ラトルさんに指揮されたい、自在に動かしてもらいたい、魔法にかけてもらいたいって妄想は膨らむばかり。ラトルさん好き。わたしと、、、(以下自粛)。
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by zerbinetta | 2008-12-09 20:37 | 啓蒙時代管弦楽団 | Comments(0)

眉毛で指揮する人   

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berlioz: overture king lear
schumann: symphonies no.4 (original version), no.2
simon rattle / oae @royal festival hall


好きになったですよ。ラトルさん。ひとめ指揮姿を見てから。この人の棒の元で音楽を奏でてみたい、踊りたいって思う人です。全身から音楽を感じます。眉毛でも指揮をします。今はベルリンのシェフですがもちろん、イギリス人。サーですよサー。啓蒙時代のオーケストラとは以前から親しい関係にあったのです。ラトルさんが古楽的な演奏方法を学んだのもここでじゃないでしょうか。そう、啓蒙時代のオーケストラ、orchestra of the age of enlightenmentは古楽器のオーケストラ。でもばりばりに新しい感覚なんです。何しろパンフレットがかっこいい!ロックな感じ。そのパンフレットでバイオリンを投げてる人がホントにコンサートマスターだなんて。古楽は百科事典の中の音楽じゃないんですね。今も新しく生きている音楽です。ラトルさんもいつも新しい感覚の音楽を創る人なので、このオーケストラとの相性はとても良いのではないでしょうか。そしてわたしもクラシック音楽は古典ではなくてわたしの今の音楽なので同じ感覚でいます。
音楽会は珍しい、ベルリオーズのリア王の序曲で始まりました。無名な曲だけあってかなり凡長なところもあるんだけど、さすがベルリオーズ。楽器の使い方が上手くて、それが当時の楽器の音にとてもぴったりなのです。当時は実際にこんな響きをしてたんでしょうか。わたし、古楽の響き好きだなぁ。
シューマンは珍しい交響曲第4番のオリジナル・ヴァージョンと第2番。わたしは第2番が一番好きなんですね。特に第3楽章がね。熱にうなされるような病的なロマンティックさがあって。ただ、この曲は古楽器よりもより艶やかな音色の現代楽器の方に分があるかなって思ってたんです。ヴィブラートを効かせて情感たっぷりに弾いた方がいいんじゃないかって。古楽器のいくぶん乾いた音色だとロマンティックが足りないかなぁと。でもそれは杞憂でした。ラトルさんのあのステキな指揮から生まれるステキな音楽は健在。あ〜わたしもラトルさんに指揮されたい、魔法にかけてもらいたい、と妄想は膨らむばかり。中でも一番良かったのは、第4番のスケルツォのトリオ。音楽が少しずつゆっくりと停滞していく表現がうとうとと夢の世界に入っていくみたいで。シューマンの儚い夢の世界と新しい音楽の希望の喜びがわたしを満たしてくれました。
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by zerbinetta | 2008-12-08 20:35 | 啓蒙時代管弦楽団 | Comments(0)

熟睡   

messiaen: couleurs de la cite celeste, sept haikai
boulez: sur incises
pierre-laurent aimard (pf), pierre boulez / ensemble intercontemporain


実は楽しみにしてたの。なぜって7つの俳諧が聴きたかったから。ウグイスがどういう風に鳴くのか聴きたかったの。CDでは持ってるんだけどね。ところが。当日は職場のみんなでクリスマスランチ。日本で言う忘年会みたいなものかな。酔っぱらってしまって、音楽会に行こうかどうかも悩んだくらいだったんだけど、ちょうど時間も良かったので行くことに。チューブの中でもすでに寝てたから絶対寝るぅっと思った通り、熟睡。最初の曲でピアニストが変わったのは覚えていて、きれいな演奏をするなぁと夢の中で感じたんだけど、エマールさんが弾いたのも覚えていない。もったいなかった〜。帰りにロビーでピアニストの内田光子さんを見かけました。
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by zerbinetta | 2008-12-07 20:39 | 海外オーケストラ | Comments(0)

大聖堂のオルガンでメシアン   

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messiaen: la nativite du seingneur
huw williams (org) @st paul's cathedral


今年はメシアンの記念年。サウスバンクセンターは峡谷から星たちへというタイトルでメシアンのコンサートシリーズを持っています。そしてカテドラルの待降節の行事のひとつとしてメシアンの主の降誕の9つの瞑想が演奏されました。教会の行事なので香が焚かれて、牧師?神父?どっちだろう?による聖書の朗読とオルガンの演奏が交互に行われました。めっちゃ雰囲気ある。メシアンのオルガン曲がまさにふさわしい場所でふさわしいときに聴かれるといこと。ステキですね。オルガンの響きは、メシアンは自分の教会のオルガンの響きを想定して書いてるんだと思うんだけど、教会とは切り離せないものがあると思う。わたしはこの曲が大好きでクリスマスが近くなると必ず聴いてるんだけど、生で聴くのは初めて。聖書を聞いてオルガンを聴いて、わたしも瞑想してみました。それにしても最後の曲で突然後ろからもトランペット管が鳴ったのにはびっくり。最後はしつこいほど盛り上がって高揚した気分のまま教会を後にしました。

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by zerbinetta | 2008-12-07 20:19 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

この曲ってティンパニいぢめよね   

wagner: overture the flying dutchman
schumann: piano concerto
dvorak: symphony no.6
jean louis steuerman (pf), roberto minczuk / lpo @royal festival hall


今日もチェコの指揮者。この人も40代始めなのでまだ若手。全身で音楽を表現していたのですがちょっと力み入ってるというか、動きが100%音になってない感じもしました。客演のオーケストラじゃ仕方ないのかしら。ジャンプまではしてなかったけど、のだめに出てくるカタイラさんが実際指揮したらこんな感じかなぁって思いましたよ。音楽は夢見心地っていう感じでした。音楽の夢に浸るってみたいな。でもドヴォルジャークは良かった。実は交響曲第6番、もっともドヴォルジャーク的な感じがして第8番や9番よりも好きだったりするのです。スケルツォがいいのよね〜。スラヴ舞曲みたいで。でも、このスケルツォのティンパニ。ちゃんと叩いてるのにリズムがずれて聞こえちゃうというのがかわいそう。間違ってないのに間違えてるみたいで。多分、4分の3拍子と8分の6拍子が混ざってるのよね。そして、トリオのピッコロの歌わせ方、空に向かって吸い込まれていくような抜き方が何とも言えず爽やかで夢見心地でステキでした。ここでも夢のよう。今日の音楽会のテーマは夢、ね。
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by zerbinetta | 2008-12-05 20:14 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)