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アンドリュー違い   

vic hoyland: phoenix
strauss: orchestral songs
strauss: ein heldenleben
soile isokoski (sp), andrew litton / bbc so @barbican hall


アンドリュー・デイヴィスさん前にも聴いたわ〜って思っていたら、リットンさんでした。でも、名前がどこかに引っかかっているのでよおく思い出したらCDを持っていたのです。マーラーの交響曲第10番。マッゼッティさんの補作第2版。小川のようにさらさら流れる演奏だったと記憶してます(CDは日本に置いてきてしまったので今は聴くことができません)。BBCシンフォニーは財政基盤がしっかりしてるせいか、いつも意欲的なプログラムを組んでくれるので大好きです。今回も初演となるイギリスの作曲家、ホイランドさんのフェニックスという曲がプログラムに含まれてます。いきなり大音量で始まった曲ですが、これを書いている1ヶ月後の時点では、ほとんど記憶に残っていません。わたしが最近新しい音楽に聞き慣れていないせいではないかと思います。何だか時間がなくて、新しい音楽をじっくり聴くことができないんです。これはわたしにとって好ましくない状況なので、なんとか音楽を受け入れる環境を整えなくちゃ。
シュトラウスの音楽は耳に馴染んでいるので(今日の歌曲は初耳でしたが)、音を今でもなぞることができます。シュトラウスのオーケストラ付きの歌曲は先日の最後の4つの歌も含めて声とオーケストラの融合がとってもステキでゴージャスです。今日はシュトラウスのそんな歌曲の中から個々に5つの歌が歌われたのですが、こうして並べられて歌われるとそれでひとつの作品集のようにすら聞こえます。イソコフスキさんの声はとっても艶やかで、バックのオーケストラのきらめきもあって夕日に染まる景色のよう。シュトラウスの音楽ってそんな落日の美しさがあると思うのよね。多分未来を単純に今よりステキだと信じられた19世紀の残照のような。そんな感じは英雄の生涯の最後にも聞こえます。リットンさんは快速テンポで壮快にこの音楽を演奏しました。CDと生の演奏で聞こえる音のギャップが一番あって、生の演奏を聴くのが一番面白いのはシュトラウスの音楽だと思ってるんだけど、やっぱりそう。CDではなかなか聞き取ることのできない音の動きがたくさん聞こえて面白かった。
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by zerbinetta | 2009-01-28 08:33 | BBCシンフォニー | Comments(0)

透明すぎる死   

mahler: adagio from symphony no.10
strauss: four last songs
strauss: death and transfiguration
christine brewer (sp), leif segerstam / lso @barbican hall


ロンドン・シンフォニーの今シーズンのシリーズのひとつはlast words。それにしても今日のプログラムはそれにふさわしい。マーラーの最後のアダージョに、シュトラウスの美しい最後の4つの歌、そして死と変容。もういつ死んでもいいわ。なぁんてウソ。今日はシュトラウスの死と変容が聴きたかったんです。わたし、この曲好きなのにまだ生で聴いたことなかったから。アナウンスされてた指揮者がキャンセルになって、代わりにセーゲルスタムさん。ちょっとラッキーかも。
さて、マーラーの交響曲第10番の第1楽章になるはずだったアダージョ。マーラーが書いたままの未完成の楽章。一応スコアになってるとは言え、オーケストレイションが完成されてるとは言えず、音的にすかすかという印象があります。最近いくつか出てる全曲版(第1楽章もマーラーが書いたものに補完が加えられています)をよく聴いてるので、ますますその思いが強いのです。ロマンティックにマーラーが書いた音楽を膨らませて演奏する様式の演奏だったらスコアの欠点も多少補えると思うのだけど、スコアに忠実に対抗旋律なんかも対等に聞こえるように演奏する最近の演奏をすると、その対抗旋律がまだスコアに書き込まれていない部分もある単楽章版では物足りないんです。セーゲルスタムさんの演奏を聴いてますますそんな感じがしました。
セーゲルスタムさんは、ゆったりしたテンポで巨大に音楽を創っていく指揮者だと思うのだけど、楽譜の音符をニュートラルに音にしていく、透明感のある音楽を作っていく行き方は、どうでしょう、黄昏時の混濁のある音で書かれたシュトラウスの音楽にはすっきり割り切りすぎのような気がします。シュトラウスにはよく分からない曖昧な部分が残っていた方が音楽が豊かに聞こえると思うんです。彼の死と変容はなんか明るい日差しの中、病院の白いベッドの上で若い娘が突然清楚なまま死んでいくという感じに聞こえて、老人が意識の混濁の中で人生を回想しつつ黄昏色に染まった畳の部屋の布団でいつの間にか息を引き取っている、というわたしの頭の中に刷り込まれてる音とはちょっと違っていて残念でした。わたしの死と変容は古いけど、フルトヴェングラーさんがウィーンフィルを指揮した録音の演奏なんです。この感じ分かってもらえるかしら。
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by zerbinetta | 2009-01-25 06:50 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

びっくりを口ずさみながら   

mendelssohn: the hebides overture
schumann: cello concerto
mendelssohn: symphony no.3
steven issarlis (vc), philippe herreweghe / orchestra des champselysees @barbican hall


うわわわん。遅刻しちゃったぢゃないの〜。仕事が終わらなかった〜。会場に着いたらフィンガルの洞窟が聞こえてきたよぉ。仕方がないのでロビーで聴きながら待った。今シーズンの音楽会ってなにげにメンデルスゾーンが多いのねって思ったら、今年は地味に記念イヤーなのね。今年の記念は地味目の人が多いな〜。
さてわたしが聴けたのはシューマンのチェロ協奏曲から。ちょっと煮え切らない感じの曲なんですけどね。というかわたしとは相性が悪いみたいで、あまりよく分からないうちに曲が済んでしまいました。あっでも、ほぼ初めて聴く曲なのでした。シューマンの音楽は聞き込むほどに魅力が出てくるので、わたしの経験不足なんでしょうね。最後の交響曲第3番、スコットランドは馴染みのある曲。スケルツォの朝ぼらけ朝ぼらけの霧の中から草競馬が浮き上がってくるようなところ(わたしの勝手なイメジ)が好きです。不思議なことにヘレヴェッヘさんは楽章をアタッカでつなげずに少し間を置いて区切って演奏してました。それ以外は、ステキな演奏で、そうそう、ティンパニが珍しく女の人だったんですけど、この人がとっても上手で、オーケストラのリズムを作るという叩き方じゃないんですが、ものすごく音楽的に叩いていてそれがとっても印象に残りました。オーケストラもピリオドスタイルなのに響きが柔らかくてメンデルスゾーンの音楽の音色にぴったり。お終いにアンコールがあって、ハイドンの交響曲、びっくり。あのかわいらしい旋律ですよ。会場のみんなも微笑みます。会場を後にするときびっくりを口ずさんでる人が何人もいらっしゃいましたよ。もちろんわたしもそのひとり。だって、愉しい気分なんですもの。
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by zerbinetta | 2009-01-24 06:49 | 海外オーケストラ | Comments(0)

森と共にある孤独感   

britten: peter grims - four sea interludes
sibelius: violin concerto
elgar: enigma variation
lisa batiashvili (vn), martyn brabbins / lpo @royal festival hall


テルミカーノフさんの指揮が聴きたかったんですよ。厳しい音楽をされる方なので。でも残念なことに、指揮者が替わってしまいました。ブラビンスさんはイギリスの指揮者だそうです。BBCスコティッシュオーケストラで副指揮者をされていて来シーズンからはベルギーのオーケストラの第1客演指揮者になるようです。彼の音楽は一言で言うと中庸。人の良さが表れているのかとても誠実に音楽を奏でます。尖ったところや驚きが好きなわたしにはちょっと物足りないんですけど、でも、ブリテンやエルガーのイギリスものの音楽は流石です。お客さんもとても喜んでいました。こういうのがイギリスの音楽なのかもしれません。リサをソリストに迎えたシベリウスの協奏曲は、リサさんに寄り添った音楽作りがなされてました。リサのシベリウスを聴くのはこれが2回目。前回はドホナーニさん指揮のフィルハーモニア・オーケストラでUSで聴きました。このときはカデンツァの途中で弦が切れたんですよね。リサはまだ20代のヴァイオリニスト。でも、知らない間に結婚してお子さんもいらっしゃるらしい。月日が経つのは早いなぁ。でも、以前と変わらず若々しくてきれいでした。リサの音楽の特徴はおおらかさ。シベリウスの冒頭も緊張した細い線のような音ではなくゆったりと歌うように弾いていきます。シベリウスのこの音楽からここまで歌を引きだしたのはすごいことじゃないかしら。シベリウスは歌うような音楽を書く人ではなかったので。全体的にゆったりとしたテンポで、冷たいシベリウスではないけれども、これもとてもステキなシベリウスです。緑の森の中を独りで散歩しているような感じ。その孤独感がたまらなくいいのです。孤独といっても寂しい孤独ではなくって、自然の中にとけ込んでいくような豊かな孤独です。その孤独感の表出という点で、5年前の演奏よりもずいぶんと成熟したような気がします。演奏会のあと、サインをいただきつつ(ふふっ、あまり並んでなかったからちゃっかりね)一言二言お話ししました。ワシントンDCでの音楽会のこと、覚えておられましたよ。

参考までに前に聴いた2003年の音楽会の感想を載せておきましょう。
「2つ目は、シベリウスのヴァイオリン協奏曲。そりゃもう大好きなのよ。この間もレーピンさんの演奏ですてきなの聴いたばかりだし。今日のソリストは、リサ(エリザベス・バティアシュヴィリさんだけど、プログラムもリサ・バティアシュヴィリさんになっていたので、お話ししたこともあるし、愛称のリサと呼ぶことにします)。仲良し好みの美人さん。日本音楽財団から貸与されてるヴァイオリンを弾いていて、今度、来年の初めに日本に行くみたい。春のリサイタルのときは、歌のある人だなって印象で、同年代のヴァイオリニスト、ヒラリーやサラとはまた違った個性の持ち主だなって感じてました。どんなシベリウスを弾くのかうんと楽しみ。そよそよと静かにオーケストラが揺れるのにのって彼女が歌い出したヴァイオリンはとっても大らか。ともするとここは神経質なまでの緊張感で弾かれる弱音(ムターさんのときはほんとにどきどきするような息を飲むくらいの鋭利な音だった)を、たっぷりと息をした歌い回しで弾き始めたのにはびっくり。でも、それがすごくすてき。そのあともゆっくりとしたテンポで大らかに歌っていたけど、彼女のヴァイオリンを聴いていると、音楽の向こうにシベリウスや彼女が見ている風景が目に浮かぶよう。ドホナーニさんとフィルハーモニアのオーケストラも実に上手く彼女をサポートしていて、とってもすてき。で、ハプニングは、長いヴァイオリンのカデンツァのお終いの近くで起こったの。リサが、突然弾くのを止めたの。そして小さな声でドホナーニさんに何か言ったのだけど、あれっ?どうしたんだろう?失敗したのかなって思ったら、ばしっと弦が切れて、あっと思った。彼女は袖に引っ込んで、その間ドホナーニさんはオーケストラの人と何か少し小声で話しながら待っていたのだけど、会場も静かに待っていました。この会場の雰囲気はまさしく彼女が作ったもので、みんなが音楽に集中していくの。決して緊張を強いる演奏をしているのではないのだけど、彼女の音楽に対する気持ちがそうさせるのね。びっくりする出来事なのにわたしたちは心静かにしていることができたの。彼女が戻ってきて、ドホナーニさんがオーケストラに指示して、カデンツァが終わったところから曲を再開して、大丈夫かな、彼女集中力切れてないかなって心配したけど、さすが。わたしの耳には全く問題なく聞こえる。1楽章が終わって、そこで、ドホナーニさんはリサに耳打ちして、楽器の音を合わせるようにさせたのだけど、わたしはこれを見てドホナーニさんに感動したわ。わたしの耳には感じ取れなかったけど、多分、リサのテンションは弦が切れたせいで変わっていたのだと思うし、それをさりげなく音合わせで間をとることによって戻したと思うの。若い音楽家をそうやってサポートする百戦錬磨の指揮者。ドホナーニさん大好き。第2楽章も第3楽章もやっぱりゆっくり目のテンポでたっぷり歌って、でもそれが、弛緩した歌ではなくて、北国の大らかな大地の香りがするの。リサはほんとにこの音楽をよく知ってるし好きなんだなって思えた。あとで見たら、リサは16歳の史上最年少でシベリウス・コンクールで入賞してるのね。彼女は2位だったけど、その年の3位にはズナイダーさんがなってる。なんかすっご~い。ここまで大らかに歌いきったシベリウスは、ちょっと異形だと思うけど、わたしにはとってもすてきで、今まで聴いたシベリウスの中でも最もすてきなひとつとなりました。」
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by zerbinetta | 2009-01-21 06:47 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

超かっこいい 超興奮  結婚式はハラナでね   

ginastera: dances from estancia
piazzlla: aconcagua -concerto for bandoneon
revueltas: la noche de los mayas
carel kraayenhof (bandoneon), kristjan jarvi / lso @barbican hall


ロンドンシンフォニーの音楽会は指揮者ヤルヴィさん。まさかあのヤルヴィ一家じゃないよね、顔似てないしって思っていたら、ヤルヴィ次男さんでした。パパヤルヴィは別名何でもやるびー。北欧ものを中心にまったく有名でない作品をたくさん録音されたのでした。シベリウスもオーケストラ曲は全部録音したんじゃないかしら。ヤルヴィさんによって認識された作曲家も多数。そして、そのひとつひとつの演奏がおざなりではなくて、高いレベルなんです。すごいっ。そういえばわたしの愛聴版にヤルヴィさんの指揮したフランツ・シュミットの交響曲第2番があるのでした。子ヤルヴィ、長男はパーヴォ。前にシンシナティ・オーケストラと聴いたけれど、まだそこにいらっしゃるのかしら。そして今日のヤルヴィは、次男のクリスチャン。中南米の音楽の音楽会なのです。北欧ものはパパがもうすでにやってるから息子は中南米を開拓なのかしらね。そうそう、クリスチャンさんは巷では顔が怖いと噂。でも髪を下ろしていてティルソン・トーマスさん風でステキでしたよ。うふふ、わたしは髪を下ろしてる人が好き〜。
それにしてもまったく期待してなかったのです。ただ、ピアソラのバンドネオン協奏曲は聴いてみたかったし、中南米の音楽って珍しいからやってきたの。で、始まりの曲がわたしの大好きなヒナステラさんの曲だったとは。わたし、曲のタイトルを知らなかったので(CD持っててしょっちゅう聴いているのに)気がつかなかったんです。始まったらもうホントにうれしくなっちゃって。わりと速めのテンポでダンサブルな感じ。もちろん演奏会用ダンス・ミュージックではあるんだけど。わたしもいつの間にかに頭を振っていました。そして、なんと言ってもクリスチャンさんの指揮なんです。もうノリノリ。まるでダンスを踊るよう。ってか踊ってるし。のだめにロックなオケ、これ最高。って台詞があるけど、これこそロックな指揮者、ロックなオケ。指揮者もオケも会場もノリノリです。楽しいんですよ。特にわたしのツボにぴったりはまったのが彼のリズムの切れ、リズム感の良さ。これがもう目の覚めるよう。ここまでリズムを決められる指揮者ってそういないです。元わたしのオケ、ナショナル・シンフォニーに欲しいな。ナショナル・シンフォニーもリズム感の良いオーケストラなんです。もちろん今のイヴォン・フィッシャーさんもすごくステキなんだけど、その次あたりに来てくださらないかなぁ。もちろん、ノリノリのリズムの良い音楽だけではないんですよ。音楽のとても良いところを引き出していたし、わたしはこの人の指揮するベートーヴェンをぜひ、聴いてみたいと思いました。絶対今までに聴いたことのなかったようなステキな音楽になる予感。そういうことを強く感じさせるのです。
バンドネオン協奏曲はしみじみと哀愁に満ちた感じ。バンドネオンの音はどこか寂しい。ピアソラの音楽もね。協奏曲が終わったあとに、独奏者のクラーイェンホフさんが、今日はオバマがUSの大統領になった特別な日ですね、とかおっしゃってアンコール。美しい曲、アディオス・ニョニーニョ。ロンドンシンフォニーのヴァイオリンを始めとした弦楽器のトップのソロがとっても上手かったです。さすが、世界トップ10オーケストラのひとつ。
そして最後がまったく聴いたことのないメキシコの作曲家、レヴゥールタス(発音合ってるかしら)のマヤの婚礼。何だかはちゃめちゃな音楽でした。おもしろ〜いっ。ハラナ(スケルツォ)が村娘の踊りみたいで、わたしの結婚式はこれがいいかなって思いましたよ。あっそれにしてもわたしって馬鹿ですね〜。今これを書いてる瞬間までla nocheって結婚のことだと思ってました。だって、le nozze di figaro。これはイタリア語だけど、こちらはスペイン語だから。プログラムを見たら夜って意味だって。うわ〜〜確かにね〜、結婚式にしてはいやにはっちゃけてると思った。最後の夜の魔力はテーマと変奏になっていたので変奏曲かなって思っていたのに、なんか変奏曲というより12人の打楽器大活躍の(多くの部分で打楽器のみのトゥッティ)大盛り上がり。最後は興奮のるつぼで音楽は終わったのでした。会場大拍手。でも、これで終わらないのが今日の音楽会。今日のステキはこれからです。会場の拍手に乗ってクリスチャンさんが合図を送ると打楽器が鳴り出しました。12人の打楽器です。そして低弦から順番にひとパートごとに入れていきます。大音量で打楽器が鳴ってるので何を引いているのか分からなかったけどリズムを刻んでるようです。そしてオーケストラが全部入ると、なんとエスタンシアの最後の曲のお終いの部分。うわあ〜〜っ超かっこいいっ。みんなノリノリ。指揮者もロック歌手のノリで会場に手拍子を求めてきます。わたしも一生懸命拍手しました。前のと違って拍手に合わせた遅めのテンポだけど、会場中音楽をする喜びに溢れてました。こんなステキな音楽会ってあり?ブラヴォー、クリスチャンさん。興奮冷めやらぬまま会場を後にしました。すでに今シーズン最高の音楽会に決定。彼の正当派クラシック音楽の演奏も聴いてみたいけど、あったかしらと思って見たら、ブラームスの交響曲第4番が。しぶ〜〜いっ。チケットとらなきゃと思って確認したらすでにとってありました。さすがわたし。用意周到。
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by zerbinetta | 2009-01-20 06:44 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)

真っ赤に染めた髪   

stockhausen: inori
alain louafi (mime), kathinka pasveer (mime), david robertson / bbcso @barbican hall


地下鉄のムーアゲートを降りたら、いた。髪を真っ赤に染めた女の人。ひときわ目立ってる。もしやと思ったら会場のバービカンホールに数人の赤い髪の女の人。前にメトでヴォツェクを観たときもだけどスタイリッシュなパンクの人を見かけたけど、新しい音楽に新しい聴衆っていい感じですよね。もちろん、ほとんどの人はいつもとそんなに変わらない人たちなんですけど、でもいろんな人に聴かれて受け入れられていくことが、今の音楽には大事なことなんじゃないかと思います。わたしも今日はちょっとスタイリッシュな格好で出かけようと思ったんだけど、寒かったのでいつもの着ぶくれぶよぶよのいけてないかっこ。わたしにはこれがお似合い。ちぇっ。
シュトックハウゼンはわたしには馴染みのない作曲家。聴いたことのあるのはクラヴィアースケッチX(これはポリーニさんの演奏がすごくて大興奮)とグルッペン、マントラくらい(あとのふたつはCDで)。とっても身勝手でアグレッシヴな人なんだそうですね。実はそういう人も好きなんです。本当は今日は朝からいくつか会場を変えてシュトックハウゼンの音楽会や映画、講演が行われてるんだけど、ひとりでそれらの間の時間をつぶすのはつらいので最後のオーケストラの音楽会だけ顔を出しました。いや実はこの後も同じ会場でhymnenという作品が演奏されたんだけど、それを聴いて帰ると夜遅くなっちゃうので先に失礼したのです。オーケストラにしたのは、祈りというタイトルが日本語だったから、それから指揮者のロバートソンさんを実は好きだったからなんです。うきゃ。音楽は大きなオーケストラとふたりのダンサー(マイム)によって奏でられます。マイムは能の影響もあるんでしょうか、簡単で象徴的な動きなんですけど、むしろ写真によるスライドショウのような静の連続といった感じです。音楽は、実はよく分からなかったんですけど、過去の偉大な作品と同じような力のある音楽であることは素直に感じられました。さすが現代音楽三羽がらすと称されただけあって凡百の作品にはないここにある意味が感じられるのです。それがなんなのかと言われると困るのですが。長い作品であるのに最後まで飽きずに聴き通させる力はさすがです。好きかと聞かれれば、好きと答えることにためらいはあるけれども、充実した思いで会場を後にしました。
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by zerbinetta | 2009-01-17 06:43 | BBCシンフォニー | Comments(0)

神が降りてきた   

mahler: symphony no.9
daniele gatti / rpo @royal festival hall


ダニエル・ガッティさんとロイヤルフィル。実はガッティさんって独特の間の区切り方をするのでちょびっと苦手だったりもします。ハイドンの交響曲第104番もアナウンスされていたので長い音楽会になるんだな〜って思っていたら、マーラーの第9番だけになっていました。わたしの中で番号最大交響曲ブームだったのでちょっと残念、ちょっとほっ。ただ、いきなりマーラーの交響曲だったので、早めに会場に着いて気持ちの準備はしていたつもりだったのに、第1楽章はなんだか分からないうちに進んでいきました。席がオーケストラの後ろだったので(ここで聴くのが好きなんです)、絶大に鳴らされた金管に隠れて弦楽器が聞こえづらかったのかもしれない。複雑に絡み合う音楽なので何が何だか分からなくなってたのかもしれない。ガッティさんの演奏はメロディ重視ではなく、スコアに書かれた音を対等に扱うタイプの演奏だというのも一因かもしれない。もしくはオーケストラに荒さがちょっとあって細かなことが気になってしまったからかもしれない。でも一番はあまりにも久しぶりにこの曲を耳にするわたしの準備不足でしょう。このままずるずる行っちゃうのかな、と思った矢先、第2楽章を始める前に見せたガッティさんの笑顔ですべてが変わった。あっこれは愉しい音楽かな、と思ったとおり、ガッティさんは第2楽章をとても愉しそうに奏でました。音楽がとても生き生きとして、さっきまでのもやもやが嘘のように晴れて、もしかしたらこの交響曲の白眉は第2楽章じゃないかなと思うぐらいにステキに。複雑な音の絡み合い、お互いに刺激しあって細かな対位法を作っていく。なんという豊かな音楽、演奏なんでしょう。わたしはこの音楽だけで十分幸せな気持ちにさせられました。客席の空気も音楽に吸い込まれていくのがよく分かる。会場がひとつのものになる。一度ついた勢いは止まるものではありません。次の第3楽章もオーケストラを見事に鳴らして、オーケストラをきっちりコントロールしながら複雑な音楽が明快に展開していく。ガッティさんの指揮は細かな表現まできっちり指示したり、途中で指揮を止めてオーケストラに自主性と緊張を誘起したりとそれは見事。そしてそれはフィナーレの大きな流れになって結実するのです。大河のようにゆっくりと自然に流れる音楽。中間の弦楽器で蕩々と盛り上がるところは一段とテンポを落としてクライマックスに向かっていく。そして最後は本当に消え入るように。。。これは音楽会ではない。何か宗教的な儀式のよう。わたしには最後に彼岸の扉が開いたのが確かに見えました。生と死は連続してつながっている。ゆっくりとした歩みの中いつの間にか神に手を取られるのが死なのかな。心が透明な何かに満たされた充実した清廉な死。もしくは終わり。しばらく放心して席から立ち上がることができませんでした。
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by zerbinetta | 2009-01-14 21:12 | ロイヤル・フィルハーモニック | Comments(0)

産めよ増やせよ   

haydn: the creation
thomas quasthoff, julia kleiter, donat havar, rene jakobs / freiburg baroque orchestra,
rias chamber choir @barbican hall


今年はなにげにハイドンイヤーなんですかね。ハイドンは大好きで、交響曲と弦楽四重奏曲を中心に聴いているのですが、天地創造はきちんと聴いたことがありませんでした。ハイドンがロンドン旅行をした折にヘンデルのメサイアを聴いてインスピレイションを得て作曲した曲らしいですね。創造の前のカオスから始まって、創世記の天地創造が音楽で表現されていきます。ハイドンの音楽はなかなかに雄弁です。それにしても第1部と第2部で天地ができちゃって、休憩を挟んで第3部でアダムとイヴのお話になるんだけど、ついに天国を追われて失楽園の悲惨な最後になるのかなぁって思っていたのに、音楽はいつまでたっても明るいまんま。アダムとイヴがいちゃついて産めよ増やせよとハッピーエンドになるのでした。ちょっと納得いかない。第1部と第2部がわりと厳粛で聖書に基づく天地創造の世界なのに第3部の脳天気さ加減っていったい。罪はないのかーーーって声を大にして叫びたーーーいいっ。
クァストホフさんのシリーズなんだけど、やっぱりさすがクァストホフさん。声に張りがあって相変わらずステキでした。ヤーコブスさんとフライブルク・バロック・オーケストラも古楽器の持つビビッドな表現がハイドンの音楽にぴったり。特に前半部分の音楽は古楽器でこそ味わえる音楽なんじゃないかと思います。後半のいちゃいちゃの音楽は現代楽器で艶めかしく演ってもいいかもしれないけど。
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by zerbinetta | 2009-01-10 21:10 | 海外オーケストラ | Comments(0)

交響曲第189番!   

sibelius: symphony no.7
sibelius: violin concerto
leif segerstam: symphony no.189
sibelius: finlandia
elina vahala (vn), leif segerstam / london schools symphony orchestra @barbican hall


今までで一番交響曲をたくさん書いた人、誰だか知ってる? ハ〜イドン。ブーーーっ。ええっ、じゃあミヤコフスキーだったけ?ホヴァネス?ブーーブーー。答えはセーゲルスタムさんなのです。指揮者として有名な。2001年の時点では63曲だったのに、この数年の間に100曲以上も書いてしまって、2008年の時点で205曲だそうです。うひょ〜〜。さて、その彼の今日は交響曲第189番。初演です。わたしの聴いた交響曲の中で最大の番号。ものすご〜〜く楽しみにしてました。だって189番ですよ。こんな大きな番号自慢できるじゃないですか。
音楽会はなんとシベリウスの交響曲第7番から始まりました。シベリウスの最後の交響曲にして清楚な精神性の高い音楽。演奏時間は短いけどプログラムの最後に持ってきても動じない崇高な音楽。休憩後(メイン曲)に奏されるセーゲルスタムさんの交響曲と釣り合うのかって心配になっちゃいます。LSSOはその名の通り学生のオーケストラ。高校生から大学生くらいの若者(多分全員ではないかもしれないけど多くは音楽家を目指していると思われます)の集まりです。若いエキスをたっぷり吸っちゃおうじゃないの。最近の若い人は技術的にはしっかりしているから破綻はないと思うけど、音楽の高さについて行けるのかなと思ったりもしましたが杞憂でした。セーゲルスタムさんの薫陶を受けたオーケストラはまさしく(多分すでに独自の音色を持ってるプロのオーケストラよりも)シベリウスの音を出していました。セーゲルスタムさんはゆっくりとした偉大なテンポで本物のシベリウスの音楽を鳴らしていたし、それに必死について行くオーケストラの姿勢には感動しました。セーゲルスタムさんは決してオーケストラに無理をさせず、若いオーケストラの良いところだけを上手に引き出していたと思います。その姿と相まってまさにフィンランドの森から降りてきた巨人。というか大きな魔法使い。お互いの共感はどんな演奏にも負けない奇跡的な音楽を生み出していました。それに演奏を聴いている会場の熱さ(家族や友達、身内関係が多かった)も音楽会にステキに作用してました。協奏曲のヴァイオリンを弾いたヴァハラさん(? なんて読むんでしょう。全部のaの上にアクサンあり)は、パンフレットの写真では10代かなぁって思ってましたが、20代半ばくらいのステキな女の人でした。何カ所か無意識に鳴ってしまった音があったけど、技術的にはお上手でこの難しい協奏曲を見事に弾ききりました。音もわたしのシベリウス好みの澄み切った凛とした音色で音楽にぴったり。ヴァイオリニストも指揮者もオーケストラも同じものを見つめてる。これほどまでに気持ちが直接伝わる演奏は若さゆえの特権だと思うし、この音楽会の経験は確実に彼らの礎のひとつになるんじゃないかしら。
そして休憩のあとはいよいよ交響曲第189番。音合わせのあと会場がざわざわしているうちに、オーケストラの後ろの方で音が。れれれ、指揮者なしで始まったのです。セッションごと、パートごとに音楽が奏でられる。フルートの人が立って合図をしたりして。200曲以上も交響曲を書く人だから、手抜きかななんて思っていたけど(たくさん作品を書く人は1作品あたりにかける時間が必然的に短くなるでしょ。どうしても作品を熟す時間が十分じゃないって思ってしまう。200曲の交響曲というのはそれほど莫大な数なんです)、どうしてどうしてきっちりと手の込んだ作品でした。現代音楽の常でメロディはないんだけど随所にきれいな透き通った響きが鳴って、紋切り型の言葉を使えば、フィンランドの森の透明な響きみたいな。ただ欲を言えば、限定的な偶然性によっていても作品全体を見通すひとつの構造が欲しかったかな。20分程度の作品だけど、音の美しい移ろいは感じられたけど、構成的な必然性が感じられなくて凡長に聞こえてしまった。と小言を言いつつ、初演という特別な機会を与えられた若いオーケストラにとっては得難い経験になるでしょう。最後のフィンランディアはセーゲルスタムさんらしい巨大なエネルギーの固まりのような演奏。セーゲルスタムさんがこの曲を演ると短いこの曲が壮大な大交響詩に聞こえるので不思議。今回の音楽会は熱い感動という意味では今シーズン一番の沸点の高いものになるでしょう。青春っていいね。わたしも音楽に打ち込むような熱い青春を送ってみたかったな。うらやましよ〜。
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by zerbinetta | 2009-01-07 21:10 | イギリスのオーケストラ | Comments(2)

ティンパニ協奏曲?   

beethoven: symphony no.8 & 9
katerina beranova (sp), lilli paasikivi (ms), robert dean smith (tn),
hanno muller-brachmann (bs), chorus of gewandhaus, mdr radio choir,
riccardo chailly / gewandhaus orchestra leipzig @barbican hall


年の始まりはベートーヴェンの第9交響曲。日本では年末の風物詩だけれども、それは日本だけでの習慣で、でも大きな意味を持った交響曲だから劇場のこけら落としとか記念碑的に演奏されることは多いのです。新年を盛大に祝う習慣のないヨーロッパなので、今回は普通の演奏会で普通に取り上げられただけという感じなんでしょうけど、でもわたしは新年の始まりに第9交響曲なんて縁起がいいわ〜とおめでたいのです。シャイーさんの音楽とは気が合うので、とても楽しみにしてました。
シャイーさんの気合いはすでに指揮棒の長さに表れていました。おっ、長い指揮棒。そしていきなり始まった第8番の交響曲は予想外に快速テンポ、情熱的な音楽です。シャイーさんも体全体で音楽を表現していて、こんな情熱的な演奏をする人だったかしらとびっくり。マーラーの演奏では冷静で美しい音楽を奏でてましたから。シャイーさんは独特の音色感覚を持った人だと思うけど、今日の演奏でも木管の混ぜ具合が独特で不思議な感じがしました。2楽章のアレグレットもてきぱきとしたまさに小アレグロのテンポ。緩徐楽章なしなんですね。それから特筆すべきはティンパニの上手さ。ばんばんとリズムを決めてくれます。トレモロも完璧に音の粒の数がコントロールされていて、これだけティンパニがオーケストラのリズムをピリッとさせれば聴いてるわたしたちだけじゃなくオーケストラの人も気持ちがいいんじゃないかしら。打楽器はリズムをとる楽器だけど、ここまでオーケストラのリズムをコントロールできる演奏はそうあるものじゃないんですよね。もうわたしの耳は興奮してティンパニに釘付け。そうなるとこの曲はいよいよティンパニ協奏曲の様相。もちろんその頂点は最終楽章です。久しぶりに興奮しました。わたし、ほんと打楽器の上手いオーケストラが好きなんだな〜って再認識。前に聴き続けていたUSのナショナル・シンフォニーも打楽器の上手いオーケストラで打楽器がリズムをびしびし決めまくるんですね。打楽器でオーケストラを評価する人も珍しいと思うけど、でもこれがわたしのツボだから。それにしてもシャイーさん、この”小さな”交響曲を第9番の前のベートーヴェンの交響曲の最高傑作という風に演奏しました(ベートーヴェン自身も確か、第8交響曲を作曲した時点でどれが一番傑作かと聞かれて第8と答えていましたよね)。ベートーヴェン侮り難し。
第9番もやっぱり快速テンポ。情熱的にぐんぐん推し進めていきます。わたしの好きな表現ではないけど、これはこれで納得できるし、わくわくします。ライヴだもん。そしてここでもティンパニに注目。ティンパニ最高。わたしもびしびし叩きたいっ。4楽章はシャイーさんの演劇的な運び方の上手さにどんどん盛り上がったけど、合唱がものすごく良かった。最後は歓喜の渦で会場も熱くなっていました。お客さんも合唱団に大喝采。1年の計は元旦にあり。今年1年が喜びの年でありますように。友よ、抱き合おう!キスをし合おう!
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by zerbinetta | 2009-01-01 21:04 | 海外オーケストラ | Comments(0)