<   2009年 04月 ( 12 )   > この月の画像一覧   

自由奔放   

berlioz: overture, le carnaval romain
sibelius: violin concerto
rachmaninov: symphonic dances
nicola benedetti (vn), hugh wolff / po @royal festival hall


わたしは若いヴァイオリン弾きを聴くのが大好きです。ヒラリーの世代が「若い」から大人の音楽家へと成長していくと同時にまた若い才能が芽生えてきて、それらを見つけて応援するのが嬉しいんです。この前聴いたアリーナもそのひとりだけど、今日聴くニキもその期待をしてました。実は直前まで気がつかないでいたんですが。指揮者のウォルフさんは、優しそうなおじさま。年よりずいぶん若く見える感じ。音楽もお姿に相似して優しい作り。安心して心地よく聴いてられます。反対に言えばうわっとびっくりするような快感がないのですが。それぞれのスタイルですからそれは望みすぎでしょう。
で、今日の音楽会のびっくりはニキです! 出だしからしっとりした感じで普段のシベリウスとは違うと思ったんですが、彼女の演奏、まさに自由奔放。シベリウスの協奏曲って清楚の極みだと思うんだけど、彼女の演奏はそんな思いこみをあっさり裏切って、独特のニュアンス、歌い方で弾かれていく。彼女の血筋のイタリア系の朗らかさと言ったらよいかしら。大御所のムターさんもデフォルメしていくタイプだけど、彼女のような精緻に計算されたデフォルメではなくて、若者が自分の感性の趣くまま弾きまくる感じ。それでむちゃくちゃな演奏かというと、そう感じる人もいるかもしれないけど、わたしにはかえって心地よい。音楽的には幼いところがあるかもしれない。これから成長していくにつれて、シベリウスの音楽の本質とは異にするやりすぎは取り除かれていくかもしれない。でも、今の彼女の演奏は今の彼女にしかできない彼女の真実があるし、それはもうすごくとっても大事なこと。ストレイトにそれが伝わってくる。それにしても、彼女にこんな演奏を許してしまう指導者ってなんてステキなんでしょう。小さくまとめようとせず、良いところを思いっきり解放する。それに十分に応える彼女の素直さ。また、新しい才能に出逢った嬉しさでいっぱい。あとで調べてみると、彼女の先生、アリーナと同じなんですね(後に変わってるけど)。ロンドンの同じ学校。ううむ。そして彼女を有名にしたのはBBCの若手音楽家のコンクールだけれども、セミファイナルの時にヴァイオリンの顎当てが取れちゃって3回も弾き直すというトラブルにもかかわらず通過、ファイナルでは滅多に弾かれないシマノフスキの協奏曲!(その様子は画像悪いけどここにあります) シマノフスキ好きのわたしはますます親近感です。あっそういえばアリーナの新しいCDもシマノフスキのアルバムだったわ。ますますこれからのふたりが楽しみ、目が離せません。
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by zerbinetta | 2009-04-30 19:47 | フィルハーモニア | Comments(0)

あっアニメの男の子の天使   

schoenberg: three pieces for chamber emsamble
stravinsky: eight instrumental miniatures, three japanese lyrics
mahler, arr. erwin stein: symphony no.4 for chamber orchestra
eri nakamura (sp), clement power / lpo foyle future first @purcell room, sbc


今日も楽しみにしていた音楽会。マーラーの交響曲第4番の室内合奏版を聴ける機会なんて滅多にないでしょ(といいつつ、来シーズンもひとつあるのを発見。うふっ)。チケットをとった時点では、あっ日本人の方が歌うんだって思っただけだったけど、彼女の歌をこの間、ロイヤルオペラで聴いてからわくわく度アップ。ものすごく楽しみに待ってました。実は、予備知識がなくて全然知らなかったんだけど、今日の音楽会はロンドンフィルがメンターになって若手を育てるプログラム。ステージに立つのはプロ未満の若者たち。パーセル・ルームはサウスバンク・センターのクイーン・エリザベス・ホールの建物にある講堂みたいな一室。客席は400席弱くらいかな、ステージもオケが20人ものったら満員になるくらいのこぢんまりした感じで、隣のクイーン・エリザベス・ホール同様インティメイトな(これ日本語でなんて言うんだろう?)雰囲気を楽しめます。
始まりはストラヴィンスキーの8つのミニチュアから。15人の奏者によって演奏される小さなかわいらしい、親しみやすい作品です。でもこういう作品の方がここの技量が出ちゃうので難しいんでしょうね。技術的にはできてるんだけど、ちょっと余裕というか音楽の芯まで踏み込む何かがなかったな〜。かえってアマチュアの方が一所懸命演奏するので、音楽する心は伝わるかもって思っちゃった。室内楽なので音を絞って演奏するところが管楽器の人には吹きづらいのもあるかもしれないけど。2番目に演奏されたシェーンベルクの3つの断片は、分かりづらい作品だったけど、こちらの演奏の方がいい感じでした。この曲はなぜか次のストラヴィンスキーの3つの日本の歌の次に一部、演奏者を替えて繰り返して演奏されました。3つの日本の歌はエリさんがとっても良かったです。多分、万葉歌や和歌ををフランス語に訳したんでしょう、1つ1つ短い曲はピエロリュネールに感銘を受けて作曲されただけに無調なんだけど、でもちょっぴり印象派ふうでせっかくエリさんが歌ってるのだから、日本語でと思ったけど、フランス語に作曲されてるので言葉と音が合わなくなりますね、ジャポニズムが感じられる音楽ではないのでこれは暴論。ストラヴィンスキー自身は日本の版画なんかの印象を音にしてるとおっしゃってるみたいなので、ごめんね、ストラヴィンスキーさん、日本人のわたしにはジャポニズムが感じられなくて。
メインになるマーラーの交響曲第4番の室内合奏版は、弦5部、ハーモニウム、ピアノ、フルート、オーボエ、クラリネット、打楽器3人の13人編成。オーボエはコールアングレ持ち替え、クラリネットはひとりで小クラリネット、普通の、バスクラリネットと大忙しです。これだけ小さな編成なのに打楽器3人というのは打楽器の重要性を感じさせますよね。オーケストラの原曲ではマーラーの他の作品に比べて打楽器の重要度が低そうにも感じるのですが。その打楽器は、鈴、グロッケン、大太鼓、銅鑼、シンバル、トライアングルでティンパニは入りません。マーラーの多彩なオーケストレイションの音楽を室内合奏に移すのは大変だと思うのだけど、ハーモニウムを上手く使って1つの作品としてしっかり聴かれるものになってました。ハーモニウムって、シェーンベルクの残したたくさんの室内合奏への編曲作品や敢えて小編成オーケストラを使ったシュトラウスのナクソス島のアリアドネでも大活躍ですよね。シンプルな編成にしたことで、マーラーが仕掛けたソロとトゥッティの間での対位法的な音楽が各要素間で均一なバランスになってかえって聴き取りやすくなってたり面白かったです。また、特に第3楽章は室内合奏版との相性が良くて違和感なく聴けました。そして鮮烈だったのは、エリさんの入った最終楽章。エリさんの声はアニメで冒険する真っ直ぐな男の子を感じさせる声質で、歌っている天使の性格付けがとてもステキでした。中性的な、でもちょっぴりやんちゃで茶目っ気のある天使です。パズーみたいな。ぜひぜひ彼女の歌で今度は原曲版を聴いてみたいです。オーケストラはフィルハーモニアがいいな。
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by zerbinetta | 2009-04-29 07:12 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

うわっ   

mendelssohn: a midsummer night's dream suite
shostakovich: piano concerto no.2
mahler: symphony no.1
martin helmchen (pf), vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


わたしは若い人たちが好きです。むやみに親近感を持ったり(あっわたし自身は最早若い人ではなくなっていますが。。)応援したくなったり。指揮者も若手の演奏を聴くのが好きです。ロンドンのオーケストラは、ロンドン・シンフォニーがハーディングさん、ロンドン・フィルハーモニックがネゼ・セガンさんという若手(どちらも75年生まれ)の有望株を主席客演指揮者に置いています。と思ったら、実はロンドンフィルの主席指揮者はヤロウスキさん、この人も72年生まれですからまさに若手じゃないですか。わたしより若いし。応援しなくっちゃ。といいつつもう何回も聴いているんですが。ユロフスキさん(今までヤロウスキさんと表記していたんですが日本語のサイトを見てユロフスキさんに改めました)、実は失礼ながらちょびっと苦手だったのです。どこがというと髪型が。長髪はあまり好きではないのですよ。でもでもちゃんと聴いて行かなきゃと思い直したのですよ。ロンドンフィルはロンドンのメジャーオーケストラの中では一番下手だと思うけど、良い演奏をするし、プログラムも魅力的なものが多いし、これから伸び代のある好きなオーケストラなんです。このブログのカテゴリーでロンドンフィルが一番上なのはそういう理由です。ですから今日は曲目じゃなくてユロフスキさんを楽しもうと。
始まりはメンデルスゾーンの真夏の夜の夢の組曲。それが、木管楽器の和音を終えると弦楽器の細かなパッセージがものすごく速くて、ありゃ、このテンポで大丈夫かしら、オーケストラ暴走しっちゃって収拾が付かなくなるんじゃないかしら、なんて余計な心配をしつつ、妖精がさわさわと飛び回る様がステキな感じねとドキドキ聴いたのでした。もちろんオーケストラはちゃんとコントロールの元にあるのでした。そしてお終いはご存じ、結婚行進曲。快速テンポでこれを結婚式でやると早歩きしなきゃいけないな(大袈裟)なんて思いつつ、この方が晴れ晴れした感じがいいな、でももし自分がこの行進曲で入場したら可笑しくて笑っちゃうだろうな、なんて妄想に耽ってました。でも、メンデルスゾーンの結婚行進曲を聴くとついつい微笑んでしまいますよね。会場のお客さんもみんなそんな感じでした。
タコのピアノ協奏曲は圧巻でした。ユロフスキさんとタコの相性ぴったり。さすがロシア人。特に第1楽章のヴァイオリンのソリッドな歌わせ方がタコらしくてステキ。とオーケストラを褒めたところで順番が反対になっちゃいましたが、ピアノがとっても良かったんですよ。ピアニストはヘルムヘェンさん。とっても透き通ったきれいな音色で軽々と弾いていくの。色つきガラスのかけらたちが空高くできらきら光ってる感じにうっとり。いろんな色の光を反射して見えるけど決して濁らない。この人上手い。とっても上手い。しかもめちゃ若。ただわたしの好みとしては全体的にもっと柔らかいというか、ほんわりとした幸せ感、アットホーム感があったらいいなと思いました。これは単なるわたしの好みで、ショスタコ感は薄らいでしまうと思いますが。
休憩のあとはマーラー。ついこの間、ハーディングさんのを聴いたばかりなので、お口直し。指揮者の人は曲への入り込み方にいろいろあるのだけれどもユロフスキさんは、オーケストラの人をひとりひとり見回して小さくうんうんとうなずきながら音楽に入り込んでいく。その儀式が終わるといよいよ指揮棒をあげて、すうっとA音。音楽の世界が広がります。ステージ外のトランペットの信号を左右に振り分けたり面白い工夫も。とってもステキな雰囲気です。第1楽章はこの間のハーディングさんや去年のデュトワさんと同様に抑え気味。最近の演奏のトレンドは第1楽章抑えなんでしょうか。確かにスコアを見ると盛り上がったあとにすぐデミュニエンドしてピアノになったり(若造だったわたしはもっと盛り上がっていればいいのにって思ったものです)って書かれ方してるんですけど、盛り上がるところはもっと盛り上がってもいいかなって思いました。ユロフスキさんはポルタメントを上手にかけたり、指揮もテンポや拍子はオーケストラに任せて、入りや表情を指示することに専念してました。さすが常任。オーケストラと指揮者の意思疎通がとても上手くいってて信頼関係を結んでいるということがはっきり分かります。オーケストラもこの曲をよく知ってる。それにしてもこの演奏、どこかで聴いたことあるような、って思いつつふと思い出した。そうだ、テンシュテットがシカゴ・シンフォニーを振ったCDだ。それで納得。テンシュテットの演奏がこのオーケストラにしみ込んでる。テンシュテットが主席指揮者だったのはもう20年も前だから当時の楽団員はもうあまりいないと思うけれども、当時の記憶は楽譜や人を伝わって残ってると思うし、そうやって培われてきたものはオーケストラの財産だと思うのよね。秘伝のたれみたいな。ユロフスキさんの演奏は、そういうオーケストラの持つ音楽を生かしながら、自分の表現をしてステキなマーラーを聴かせてくれました。最後はちょっとテンポを速めて歓喜と興奮の中に音楽を終わるというのも秀逸。ふふふ、第3楽章のお終いの方でトランペットが完全に落ちてしまうという事故があったのにはどっきりびっくり。血が引く思いでした。トランペットの人たち終演後、ミーティングをしてましたよ。
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by zerbinetta | 2009-04-25 07:43 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

曲目変更の訳   

mendelssohn: overture 'the hebrides'
brahms: piano concerto no.1
schumann: symphony no.2
helene grimaud (pf), philippe jordan / po @royal festival hall


今日の音楽会の前にフィルハーモニア・オーケストラから手紙が来ました。曲目変更のお知らせでした。なんと丁寧。プログラムのアナウンスメントは最初、ブラームスの2番のコンチェルトだったんです。あまり聴かないのでいいねって思っていたんですが第1番になってがっかり。この前聴いたばかりだし。というふうにはならなかったです。だって第1番の方が好きだから。グリモーさんと出会ったきっかけは、ラジオでグリモーさんの新しいCDを熱烈に勧めていたので買ったのが第1番のコンチェルトだったんですから。曲目変更の理由は、グリモーさんが同じ指揮者で公演して、そのとき弾いたこの曲がとっても良くて、また弾いておきたいということでした。ますますステキじゃないですか。どんな演奏になるのだろう。
音楽会はメンデルスゾーンのフィンガルの洞窟序曲から。指揮者のジョーダンさんは2度目。以前にメトデビューを聴いてます。実はそのときあまり好印象じゃなかったのね。オーケストラをつかみ損ねてるかなって。でも今日はそんなことなかったです。ぐいぐいとオーケストラを引っ張っていた感じ。ジョーダンさんの指揮ってなんだか不思議に見えるんです。とてもスムーズなのにコマ送りっぽく見えるとか(これ矛盾してるでしょ。でもどういう訳かそう見えたの)、肘の角度がよく分からないけど変かなとか、目の錯覚?
さて、グリモーさんを迎えたブラームス。グリモーさんはカチューシャをしてなんだか少女っぽい。音楽はゆっくり目のテンポ(わたしの持ってるグリモーさんの同曲のCD(指揮者はザンデルリンクさん)も同様のテンポだからグリモーさんのテンポなんでしょう)で始まりました。フィルハーモニアは上手なオーケストラでどんな音楽や指揮者にも対応できるっていう優れた面もあるけれども、それ故に重厚さや鄙びた感じが薄いのが渋い系のブラームスを聴くのには残念〜なんて最初思ってました。でも、グリモーさんのピアノが入ってからはそんな思いはすっかりどこかへ行ってしまいました。ジョーダンさんとオーケストラの創る音楽はピアノと絶妙のバランスで響きます。ピアノに覆い被さってしまうこともなく、かといって後ろに下がりすぎて控えめになってしまうことなく、強奏のときでもしっかりピアノも聞こえてるという絶妙のバランス。こんな伴奏されたらピアニストはさぞかし気持ちよく弾けるだろうって聴いてるわたしも感じるくらい、本当にジョーダンさんの伴奏はステキ。グリモーさんがもう一度ジョーダンさんとこの曲を演りたいって曲目変更したのも大納得。わたしだってこんなステキな経験何度でもしたいもん。最初は控えめに始まったグリモーさんのピアノもどんどん熱を帯びてくる。上体を大きく回すように揺れらしながら紡がれるピアノはとっても深くて大きい。じっくりと長編小説を噛みしめるような充実感。特にステキだったのが第2楽章。古寺の庭をゆっくりと散策するような心象風景を感じさせる落ち着いた音たち。ひとつひとつの和音がそこにあらねばならない場所に置かれていく。清閑だけど凛とした佇まい。なんと内省的で哲学的な音楽なんだろう。音楽を聴いたあと、しみじみと心に残る充実感の豊かさといったら。グリモーさんの音楽はわたしととっても波長が合うんだけど、ますます好きになってしまいました。
最後のシューマンの交響曲第2番は、雄大でどちらかというと健康的な表現。わたしとしては精神の危うさみたいなものが欲しいので、熱にうなされるような感じが好みなんだけど、これはこれで楽しめるな〜。でも今日の音楽会はやっぱりグリモーさん。音楽の大きさからいってもこちらがとりでも良かったな。
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by zerbinetta | 2009-04-23 07:42 | フィルハーモニア | Comments(0)

虚脱系音楽三昧   

kancheli: another step
yusupov: cello concerto
silvestrov: symphony no.5
mischa maisky (vc), vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


シルヴェストロフの交響曲が聴きたくてやってきました。って人、どのくらいいただろう?皆無?きっとお目当てはマイスキーさんのチェロよね。でも、協奏曲を含めて今日はすべて現代曲。挑戦的なプログラムです。さすがにお客さんは少なかったけど。カンチェリという作曲家はわたしも知ってたんだけど、静かな音楽を書く人のイメジ。ところがいきなりばんばんと打楽器の強打で始まってびっくり。油断禁物。音楽はネオロマンティシズム。不思議な音が聞こえるのはテープを使ってるからでしょうか。昔のラジオから聞こえてくるようなどこか懐かしいような音楽が聞こえて、現在と子供の頃の過去をつなぐ音楽なんだな〜、そして次のステップなのかなって思いました。わたしには過去への郷愁があまりないので、わたしのアナザ・ステップはきっともっと違った音楽になるんだろうな。

2曲目のチェロ協奏曲の作者、ユスポフさんは全く知らない作曲家さんです。1962年生まれなので中堅どころですかね。ロンドンフィル、イスラエルフィル、ルツェルン・シンフォニーの委嘱を受けて作曲され、昨年の1月にマイスキーさん60歳の誕生日にルツェルンで初演されてます。イギリスで演奏されるのは今日が初めて。音楽は大雑把に言えば、チェロが奏でる親しみやすい、時には民族的な旋律に、オーケストラが現代的な(言葉を換えて言えば、旋律に無関係に見えるような和声やリズム、ニュアンスの)合いの手を入れるという感じで進んでいきます。性格の違うチェロとオーケストラの掛け合い。なのでとっても聴きやすい。わたしには好きなタイプの音楽です。フォークソング的なところは結構盛り上がるし。大好きな怒りの日の旋律の引用なんかもあってちょっとうれしい。マイスキーさんってリリカルで柔らかいチェロを弾く人だなってイメジがあったのですが(シューベルトやショパンのイメジ)、熱い音楽も奏でる人なんですね。すてき〜。

休憩のあとはわたしが一番聴きたかったの、シルヴェストロフの交響曲第5番。CDを持っていて、この曲結構好きなんですよ。日曜日だらだらとお家にいて決して何もしたくない怠惰な午後、できたら空は曇り、にぴったりの虚脱系の音楽。何もかもやる気をなくして重力に縛り付けちゃうんですよ。現在を遠い未来から廃墟の遺跡を見るように俯瞰してるような音楽。こんな曲実演で聴けるなんて思ってみなかったからずうっとずうっと楽しみにしてたんです。でも、実はちょっと期待が外れた。というのはわたしにとってこの音楽は重力そのもの。そして、今日縛りつけられるところはホールの椅子。この音楽にはふかふかのソファが必須でしょう。そこで横になって思いっきりぼーっとする。耳では音楽を聴くけれども体は薬を飲まされたように弛緩してる。ということがホールの椅子ではできない。薄暗い部屋で見ているのか見ていないのか視覚は薄れてるのがいいのに、音楽会場ではしっかりと指揮者やオーケストラを見てしまう。そうすると当たり前だけど、彼らは一所懸命動きながら演奏してるんですね、虚脱音楽を。このイメジの不一致に覚めちゃうんです。誰のせいでもないわたしのせいだけど。音楽会よりもCDで家で聴くのがいいって初めて思える音楽でした。プロムスの天井席は寝ながら音楽を聴けるらしいのでプロムスで演奏されればいいのかな。あっでも誤解のないように付け加えておきますけど、演奏はとっても良かったのです。指揮者のユロフスキさん、絶対この曲が好きって思った。最後はお客さんの拍手に対してこの曲のスコアを高く掲げて応えてたし。虚脱系音楽(=ネオロマンティシズム)を3曲も聴いてもう何もする気もな〜〜いっ。
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by zerbinetta | 2009-04-22 07:41 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

ネット時代   

tan dun: internet symphony 'eroica', piano concerto 'the fire'
mahler: symphony no.1
lang lang (pf), tan dun / daniel harding / lso @barbican hall


ロンドン・シンフォニーも一枚絡んだ企画で、ユーチューブ・オーケストラを作ろうっていうのがありました。オーディションをユーチューブにアップされる動画で一般の人も審査に参加できる形で行うというもの。世界中からいろんな人が参加して、選ばれた音楽家たちはカーネギーホールに集まってコンサートを開きました。その様子は、ここにアップされていますが、なかなか熱気があります。ティルソン・トーマスさんと音楽演れるならわたしも参加すれば良かったな。ってまえに楽器できないけど。さてその企画のために、人気の作曲家のタン・ドゥンさんがオリジナルの曲を書いています。インターネット・シンフォニー「エロイカ」。これが聴けるというので行ってきました。ロンドン・シンフォニーの音楽会。なんの予備知識もなく来ちゃったわたし。エロイカって壮大な曲を想像していたんだけど、4楽章でたった5分ばかりの曲。手抜き?でも、ユーチューブ・オーケストラを紹介するピースとしては盛り上がっていいかな。タン・ドゥンさんお得意の打楽器の使い方もかっこいいし。エロイカはもちろんベートーヴェンの交響曲。英雄の主題が聞こえますが、交響曲と言うからには主題をきちんと展開して欲しかったな。ベートーヴェンが第1楽章の主題を最初の2つの和音に凝縮したように。でも、こういう企画面白いなぁ。今度は、ネットを通して集められた個々のパートの演奏をミキシングしてひとつの曲に創りあげるとか、でもそうすると合奏する悦びが失われちゃうか。
作曲者の指揮による2曲目はピアノ協奏曲。今日の独奏者ランランさんのために書かれてます。ランランさん、大人っぽくなったなぁ。髪も短髪から7、3分けみたくしてるし。今日はランランさんお目当てでしょうか、中国人の人がたくさん来ていました。フラッシュを焚いて写真を撮る人がたくさんいて、演奏中にも撮っちゃった方がいたのは残念でした。でも、音楽も演奏も良かったです。第2楽章なんかは叙情的で吉松隆さんを思い出させる感すらありましたよ。第1楽章でピアノに現れるとろけるような分散和音がちょびっとだけでもったいないなぁと思ってたら、最終楽章の最後(と思った)に回帰されてむふふと思ったら、ここからが長かった。いろいろ品を変えて盛り上がってくる。こうなるとピアノもスポーツね。がんがんと鳴らして、腕で弾いたり、もう大変。体育会系のピアノ協奏曲ってブゾーニのがナンバーワンだわと思っていたけど、ここに、タン・ドゥンさんの曲も体育会系に認定しましょう。きらりと光る汗のようにすがすがしく終わって爽快。
休憩のあとは、指揮者が替わってハーディングさん。ハーディングさんのマーラー、とても期待していました。クック版の交響曲第10番の録音の評価もとっても良かったし。静かに始まった音楽は木管楽器の4度の応答がとっても柔らかいのにびっくり。これは期待できそう。でも、音楽がなんとなく淡々と進んで春が来ないんですよ。春の美しさとか、悦びの爆発がやってこなくて、でも冷徹というわけでもなくて、なにか遠くで音楽が鳴ってる、音量が小さいとかではなくて、わたしの外で音楽が鳴っててわたしにはそれに触れることもできないっていう感じ。奇妙な疎外感。音楽に参加させてもらえない。聴いてるだけ、演奏に参加してるわけじゃないしって思われるかもしれないけれど、わたしは音楽会に行くのは一緒に音楽を創るためと考えています。音楽は常に創造されるものだから、会場の雰囲気によって演奏が変わるのは当たり前。会場全体が一体になって凄い音楽が生まれる瞬間をいくつも聴いてきましたから。もちろん今日の演奏も会場全体で生み出されたものに違いありません。ただその中にわたしがいれなかった。第2楽章の始めのリズムをゆっくり弾かせて急速なアッチェレランドで主部に持っていくとか、第3楽章の始まりのコントラバスをソロでなくてパートで弾かせるとか(でもどうやらこちらが国際マーラー教会が出している一番新しい見解みたいです)、いろいろ仕掛けてくるんですけど、わたしには空回りに聞こえた。ハーディングさんも一皮むけようと苦しんでるのかしら?わたしの邪推だけど。第2楽章のチャーミングなクラリネット(ロンドン・シンフォニーのクラリネット、本当に上手い)、第3楽章の中間部の出だし、第4楽章の情感たっぷりな第2主題、左右に振った2台のティンパニの掛け合い、などなどたくさんのステキな瞬間はありました。でも、どうして全体でわたしの心に響いてこないんでしょう。もしかするとわたしがもはやこの音楽に感受性を失ってしまったのかもしれません。そして今日の音楽会では、マーラーよりベートーヴェンの英雄を聴きたかった。ハーディングさんとわたしの波長が合わないのかもしれません。多分どちらにせよわたしのせい。
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by zerbinetta | 2009-04-21 07:39 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)

鼻歌ふんふん   

c0055376_4182160.jpg


rachmaninov: the isle of the dead, piano concerto no.2
stravinsky: the firebird suite (1945)
mikolai lugansky (pf), jukka-pekka saraste / philharmonia o @royal festival hall


サラステさんは初めて聴く指揮者。CDのジャケット写真とかのイメジだと無精ひげのような(失礼!) ひげを生やしてちょっと。。と思っていたのですが実物はさっぱりした感じでステキ。ちょっと髪の毛が薄くなっていたのですが。曲はラフマニノフの死の島から。この曲が鬱々とした感じで執拗にインテンポで進めていくので、なにか巨大なものにのしかかれたような重苦しさ。でもそういう曲なのですね。ラフマニノフが着想を得た死の島というのは、ベックリンの油絵を元にマックス・クリンガーが作った白黒の銅版画。上の絵です。後にラフマニノフはベックリンのオリジナルも見ていますが、色彩が明るいのでお気に召さなかった(この絵に対してこの曲は書かなかっただろうって)そうです。最後はラフマニノフお得意の怒りの日の旋律がさりげなく出てきます。きっと演奏が良ければ良いほど陰鬱とした気持ちになってしまうのでちょっと複雑な感じなんですが。。。
2曲目はルガンスキーさんをソロに迎えてラフマニノフのピアノ協奏曲第2番。ルガンスキーさんはラフマニノフの演奏に対してとっても評価の高い人みたいなんですけど、まさにその通り。水がきらきらと流れるのようなラフマニノフ。こんなスマートなラフマニノフもいいなぁ。来シーズンはラフマニノフの協奏曲の全曲チクルスもあるのでまた聴きに行かなくちゃ。アンコールはわたしの知らない小品。水に関わる曲だと思うんだけど。。。そういえばラフマニノフの協奏曲の第2楽章のメロディ、よく鼻歌で歌ってるみたいなんだけど、ら〜〜らりら らりらり ら〜〜りらりら〜っていうの(これじゃ分からない?)ってよく途中から火の鳥のメロディになっちゃんですね。火の鳥の方はら〜ら〜ら らりららりらりらんらんですけど。で、次は火の鳥。これが圧巻だったんですよ。わたし、この曲なんだか野暮ったい感じがしてあまり好きになれなかったんだけど、今回の演奏を聴いてすっかり考えが変わりました。版の問題もあるのかなぁ。一番新しく改訂された1945年版の組曲はあまり演奏される機会がないそうだけど、もっとも現代的な感じに近づいてるんじゃないかな。サラステさんの創った音楽は、ロシアのとか民謡的なものといった上着を脱がせて、クリアでスマートな音楽を実現する。響きはもう完全にドビュッシーに影響を受けた世界だし、楽器の響き方もロマンティックと言うより現代の音楽に近い感じ。それがわたしにはぴたりとはまる。火の鳥が飛翔する感じなんてとってもステキ。そして驚きは最後。普通(演奏される版では)はテヌートで演奏される音符がざっざっざっと短い音符で。この鋭いトゥッティがもはやクセナキスの音楽のように響くんですよ。あの音の固まりのように。こうなっちゃうと全然印象が違う。多分オリジナルの全曲版は普通演奏される組曲版のように長い音符だと思うけど、ストラヴィンスキーの最終的な気持ちはどうだったんだろう。ストラヴィンスキーはバレエの全曲版は改訂していないけど、もし改訂する機会があったら同じように変えてたんじゃないかしら。っていうか断然こっちの方がかっこいい〜。
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by zerbinetta | 2009-04-16 04:14 | フィルハーモニア | Comments(0)

のんびり宮廷人   

purcell: dido and aeneas
lucy crowe (belinda), sarah connolly (dido), lucas meachem (aeneas), sara fulgoni (sorceress)
handel: acis and galatea
danielle de niese / mara galeazzi (galantea), charles workman / rupert pennefather (acis)
wayne mcgregor (dir) / christopher hogwood / OAE @royal opera


こちらに住み始めてからは初めて、通算2回目のロイヤルオペラです。ロイヤルオペラ、雰囲気が好きです。コヴェントガーデンに立つ建物はガラスを多く採り入れた近代的なものなんですけど、トイレの重厚さや中の雰囲気はシックで落ち着いてます。実際外観は20年ほど前の改築、客席等は19世紀の半ばに造られたもののようですね。メトのように巨大ではないけど(客席数でメトの半分強)、ヨーロッパのオペラハウスという感じです。どこの座席からも比較的ステージが近いというのもいい感じ。但し、高いっ!わたしのロンドンでの音楽会のチケット代は10ポンド以下が基準で、外国のオーケストラなんかで高い席しか残ってなかったのは30ポンドもしかたなし(今シーズンは途中参加だったので、来シーズンは早めに安い席を取ります、高くても15ポンド)って感じなのですが、オペラやバレエは安い席は会員にさっさと売れちゃってなかなか取れないんです。当日券という奥の手があるのですが、仕事をしてるので朝並ぶのはできないし(最初に観たときは、ソールドアウトの日の公演を当日券の最後の一枚の立ち見でお安く観ました)。あっ今回はマイナーな演目だったせいか30ポンドの席ですけどね。
なんて前置きはここまでにして、オペラ。イギリスの偉大な作曲家ヘンリ・パーセルとヘンデル(ドイツ生まれですが後年イギリスに帰化)のバロックオペラです。モンテヴェルディは別にしてバロックオペラを観るのは今回が初めて。わくわくです。指揮は古楽のスペシャリスト、ホグウッドさん、なんとオケピにはOAEです。うれしいびっくり。
音楽はパーセルの方が聴き応えがあるかな。話がシリアスですし。歌手の中では日本人のeri nakamuraさんに注目してしまいました。身びいき。今回は小さな役でしたが(魔法使いの手下その1、でも出番はしっかりたくさん)、この方、既にロイヤルオペラで、ネトレブコさんの代役でカプレッティとモンテッキの主役を歌ってらっしゃるんですね。大好評だったそうです。日本では今をときめく森麻季さんもワシントンオペラでネトレブコさんの代役で主役デビューを飾ってるんですね(聴きました)。ネトレブコさんの代役ー>主役デビュー、スターの座。日本人歌手の出世コースかもしれません。eriさんは現在、若手音楽家養成プログラムの一員ですが、近い将来注目される歌手になるんじゃないかと期待しています。今回の役でもそれが感じられましたよ。
ヘンデルの方は牧歌劇。のんびりとしたほんわかさは土曜の午後にぴったり。昔の宮廷人になった気分で楽しみます。歌手と同じ役をバレリーナが踊るという一粒で2度おいしいスタイル。歌手もステージで演技するのですが、バレーは心模様?とか現代的なことを考えつつも、いいえ、そんなこと考えるのは野暮。歌とバレエを一緒に楽しんじゃえってことでしょう。難しいことは抜き抜き。最後殺された恋人もあっさりよみがえって、ほのぼの感最高潮。最近好調らしいデ・ニースさんを聴きに行ったのですが、なんだかみんな美男美女で良かったな。
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by zerbinetta | 2009-04-11 01:19 | オペラ | Comments(0)

これは傑作です   

maazel: monaco fanfare, music for cello and orchestra
shostakovich: symphony no.5
han-na chang (vc), lorin maazel / philharmonia o @royal festival hall


マゼールさんとフィルハーモニアの音楽会シリーズの3回目。わたしは2回目のは聴いてないので2回目です。今回のマゼールさんの曲はモナコ・ファンファーレとチェロ協奏曲。管楽器と打楽器によるモナコ・ファンファーレは楽しくてちょっとかっこよかった。なかなかやるじゃん、マゼールさん。でもびっくりしたのは次のチェロ協奏曲なんですよ。とても力の入った作品。雰囲気はこの間のフェアウェルに似ているんだけど、それがここではことごとく上手くいってる。ラジオから聞こえる古いワルツのような音楽や高音のトランペットのジャズふうの旋律。オーケストラに入れられたチェンバロやアコーディオン。チェロのパートも息もつかせぬ情熱を持って弾くように書かれてるの。この音楽は傑作です。とてもステキ。そして、故スラヴァ(ロストロポヴィッチさん)のために書かれたこの曲の独奏者を務めたハンナ・チャンさんが、暗譜でものすごい集中力で見事に弾ききっていました。この曲は良い独奏者を得たと思います。今日の成功はチャンさんの力が大きかったと思うし、チャンさんがこの曲をレパートリーに加えて、演奏される機会が多くなればいいなと思いました。チャンさんは休憩後、私服に着替えて会場で聴かれてました。気づいた韓国人のお客さんたちが写真を撮ったりしてたんですがにこやかに応えるチャンさんに好感度アップ。ステージではオーラを発しまくってた彼女もステージを降りるとかわいらしい女の子。まだ二十歳ちょっとですもんね。わたしもすっかりファンになりましたよ。
タコは大好きな作曲家。なぜか演奏される機会が少なくて今シーズンはこれが初めて。来シーズンはいくつかあるみたいですけどね。マゼールさん、何か仕掛けてくるんじゃないって思ったけど、意外に直球勝負。ソ連とか社会主義的リアリズムとか証言とか余計なことを考えずに楽譜に書かれたものを音にするというシンプルな演奏態度だったと思います。音楽の機能的な面を強調してたので、タコのタコたるゆえんでもある辛辣なアイロニーがあまり聴かれなかったのはちょっと残念だけど(この曲はその要素、少ないんですが)、オーケストラを鳴らす爽快感は気持ちよかった。最後も快速テンポでややあっけらかんと、大太鼓はちゃんとティンパニにかぶったんだけど、無色のまま終了。社会主義的リアリズムってなんだったんだろう?もはや死語?
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by zerbinetta | 2009-04-07 06:05 | フィルハーモニア | Comments(0)

本家本元(?)   

bach: st matthew passion
sibylla rubens (sp), marie-claude chappuis (ms), johannes chum (tn),
maximillian schmitt (tn), thomas quasthoff (bs), yorck felix speer (bs),
klaus hager (bs) / riccardo chailly / st thomas' boys choir, tolzer boys choir,
gewandhaus orchestra leipzig @barbican hall


もうすぐイースター。ということは今週は受難週。と言うわけでマタイです。やっぱり受難週にはバッハのマタイ受難曲がふさわしい。なぁんてね、今回はたまたま。ペンデレツキのルカ受難曲でもいいし、ペルトのヨハネ受難曲でもいい。でもやっぱりマタイは特別かな。わたしみたいなあまり音楽を知らない素人にもじ〜んと染みわたってくるから。生で聴けるのもステキ。マタイの地元(?)、ゲヴァントハウス・オーケストラと聖トマス教会少年合唱団、その他、指揮はシャイーさんです。
バービカンセンターには時間ぎりぎりで着いたわけではないけど、なぜかホールの入り口が込んでて席に着いたのはぎりぎり。すでにオーケストラの人が出てきてます。目の見えない方が席を迷ってらして、開演前にちゃんと席に着けたか心配で、最初の方はちょっともやもやした気持ちで聴いてました。わたしがチケットを見てあげれば良かった思いつつも、わたしじゃ役に立たないだろうなって気もするし、ホールの人がもっとちゃんと対応するべきなのだろうけど。心臓に直接響いてくるような低弦、アーノンクールさんのアナリーゼによるとかなり低い音を使ってるんですね、を伴う始まりからから音楽の引力を感じます。2重合唱、2重オーケストラも音だけではなく視覚的に迫ってきます。実は古楽器の演奏が好きなので現代楽器によるマタイはどうかなぁ〜なんて心配していたのですが、バッハの音楽の力は楽器を選ばないところがあるので全く問題なしでした。シャイーさんの演奏は奇をてらったところもなく、現代楽器だからといって重厚にすることもなく、音楽の流れに誠実に任せているっていう感じでした。歌手ではエヴァンゲリストのチュムさんが光ってました。クァストホフさんももちろん良かったんだけど、出番が少なかったのが残念。合唱やオーケストラはもうなんというか本家本元なので何もしなくても歴史に蓄積されてきたものが自然に生きてる、老舗の技みたいな。うわーっと激しく感動するんじゃなくてしみじみとじんわり感動する。これを受難週に教会で聴いたら眼前に受難の物語が広がるようで胸を締め付けられるでしょう。ホールで、しかもキリスト教とは訣別したわたしですら涙ぐむものがあるのですから。しばらくの間マタイが頭の中でずうっと鳴っていました。
今日の演奏者がどのくらい反映されるか分からないのですけれども(ソプラノを歌う予定だったランズハマーさんが病気のためキャンセルになってる)、シャイーさんとゲヴァントハウスはこのあとマタイを録音する予定だそうです。
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by zerbinetta | 2009-04-05 05:22 | 海外オーケストラ | Comments(2)