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言葉の力   

mendelssohn: symphony no.5
mahler: totenfeier
rasch: mein herz brennt
rene pape (bs), katharina thalbach (reciter), elisabeth meister (sp),
vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


珍しいマーラーの作品が聴ける音楽会。まずはメンデルスゾーンの交響曲第5番「宗教改革」から。メンデルスゾーンってバッハに次ぐ偉大なプロテスタントの作曲家だったんですね。プロテスタントの作曲家って珍しい、ぱっと思いつくのはこのふたりくらい。宗教改革は第5番となってるけど実際には第1番に次いで書かれた2作目の交響曲。なので完熟度は第2番や第3番「スコットランド」にはかなわないんだけど、プロテスタントの賛美歌の旋律が出てきてステキ。わたしもプロテスタントの教会に通ってたことがあるから。それにしてもロンドンのオーケストラってメンデルスゾーンを上手に弾く。とっても相性がいいみたい。ユロウスキさんのテンポはやっぱり速めなんだけど、弦がしっとりしてきれい。記念年なのでメンデルスゾーンがたくさん聴けるのが嬉しい。マーラーの葬礼は後に交響曲第2番の第1楽章の下敷きになった曲。ほとんど一緒だけど、ところどころおやっていう違いが聴かれるのが面白いのよね。こちらの方がちょっと間延びしてる感じ。CDでは聴いたことあるけど、生で聴くのはもちろん初めて。っていうかほとんど演奏されないよね。ユロウスキさんは主部は快速テンポだけど、ゆったりする部分はずんとテンポを落とすのでメリハリが付いてちょうどバランスがいい感じ。ユロウスキさんのマーラーは若々しい勢いがあって聴いていて気持ちがいい、なんて葬送の音楽で言っちゃ不謹慎ですかね。来シーズンのシーズン・オープニングがマーラーの復活なのでとっても楽しみです。ユロウスキさんはマーラーの交響曲を毎年ひとつずつ積み上げていくのでしょうか(今シーズンは第1番でした)。
ラッシュさんの「私の心は燃えている」は2002年に作曲され、イギリスでは今日が初演。大オーケストラとバス独唱(マイクを通して音を加工しています)、語り(女声)、ソプラノ独唱(出番はとっても少ないです)からなるソング・サイクル。大地の歌やツェムリンスキーの抒情交響曲(こちらの方に感じが似てる)を思わせます。1時間超の大作。ラッシュさんは東ドイツ出身で、でもなんと15年間も日本に住んでテレビや映画音楽の仕事をしていたそうです。ネオ・ロマンティシズムで書かれたこの音楽、ものすごく訴えかけてくるものがありました。特に言葉の力、直接に意味を持ち語られる言葉に圧倒されます(言葉はドイツ語、英語の字幕が出ました)。語りのタルバッハさんの表情豊かな声色の変化、叫び、ささやきによって発せられる単語たちの圧力(詩は文章というより、単語や短い文章が多くて言葉が直接意味を持って届いた)。実はパペさんが好きでパペさんを聴きに行ったんですけど、パペさんももちろん良かったんだけど、この語りにやられました。大オーケストラで鳴らされる音楽も、ロックのような勢いもあって言葉の力をしっかりと後押ししていました。とても分かりやすい音楽でしたが、でも、まさにテレビや映画から音楽が溢れてる現代を反映している現代音楽と言えるでしょう。少なくとも明らかに音楽には表現する力が宿っていました。
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by zerbinetta | 2009-05-31 07:38 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

天使と英雄 ふたつの死   

berg: violin concerto
mahler: symphony no.6
christian tetzlaff (vn), esa-pekka salonen / po @royal festival hall


夢の都市、ウィーンのコンサート・シリーズ、今回はベルクのヴァイオリン協奏曲とマーラーの交響曲第6番です。結構ハードプログラム。ヴァイオリン協奏曲の方はテツラフさんの独奏。テツラフさんもベルさんやシャハムさんたちと同じ世代ですね。前にリゲティの協奏曲を弾くのを聴いたことがあるし、この間リゲティを弾いた若いアリーナにリゲティの手ほどきをしたのもこの人。ベルクの協奏曲も大好きなのでとっても期待してました。でもびっくり。これ、わたしの知ってるベルクじゃない。といってもわたしの聴いてるベルクの演奏はムターさんの。その演奏もエキセントリックで、ベルクからどうやってこんなにロマンティックなものを引き出せるんだろうと思うくらいに甘美。で、今日の演奏はその対極というか、ロマンのかけらもない。というか、音楽ってこんなに難しかったのって感じた。音と音の関連性を極力廃した感じで、とっても無機質。表現も抑えまくって、太鼓が強く打つようなとこも決して強打せず、内に内に向かっていきます。バッハが出てくるところはああやっとと瞬間感動するんだけど、その音楽もどんどん解体されていって。もう、未来から見て解釈された音楽。こんなのもありなのね、とベルクに対して新しい目が開かれたのでした。
なので、マーラーの演奏も前に聴いた9番同様、20世紀の側から構築した演奏になるんじゃないかって期待してました。すっきりと透明で明晰な演奏。でもわたしの予想はあっさりと裏切られました。サロネンさんは最初から全身全霊を込めてすごい気迫で音楽を鳴らします。低弦のリズムの凶暴さ、荒れ狂うオーケストラ。始めから涙ぼろぼろ。第1楽章の途中で会場から逃げ出したい、この音楽を最後まで聴いたらいったいわたしはどうなるんだろうって心配でした。サロネンさんはわたしに聴いたことのない新しい世界を見せてくれました。それはリズムの強調。単に切れ味の良いリズムというだけではなくて、リズムがこの音楽の構成にどれくらい重要なのかをまざまざと教えてくれました。2つのリズム要素で全曲が統一されているんですね。今までリズム的要素でマーラーを意識したことがあまりなくてこれにはびっくりしました。特にスケルツォ(第2楽章として演奏されました)では、ずれるリズム、重いリズム、軽いリズム、引き摺るリズム、流れるリズム、ぎこちないリズム、などありとあらゆるリズムを奏でて、もうリズムの饗宴。とっても面白かった。第2楽章スケルツォ、第3楽章アンダンテは国際マーラー協会の最新版とは相容れませんが、サロネンさんは明確な意志を持ってこの曲を構成してました。第1楽章と第2楽章のリズミックな統一と対比。第2楽章と第3楽章の間に短い音合わせを挟んで気分を変えて、後半はリズミックな要素を少し控えて流れるように(でも重要なリズムはしっかり強調して)。アンダンテの透明な美しさから、フィナーレの荒れ狂うようなドラマと、瞬間現れる静寂の美しさの対比。ステージの後ろにカウベルやベル、金属板(!?)を配したり、シンバルを4人で叩かせたり(5人という説も)、肥大化した打楽器セクション。テンポを大胆に揺らしたり、特異的な音を強調したり、もうやりたい放題なのですがすべてが見事に決まって、一瞬の隙もなく集中したまま音楽が終わりました。燃える指揮者、燃えるオーケストラ。ぐったりと疲れました。この曲は軽々しく聴くものではありませんね。こっちの精神が参ってしまいます。
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by zerbinetta | 2009-05-28 09:18 | フィルハーモニア | Comments(2)

事前チェックしたのに〜   

giselle
leanne benjamin (giselle), edward watson (albrecht), laura morera (myrtha)
royal ballet @royal opera house


またまたバレエ。初めて観るジゼル。ロイヤルオペラ・ハウスは座席の料金設定が幅広くて細かいのでとおっても高い席から(わたしには夢のまた夢)から10ポンド以下の安い席まであって、わたしとしてはなるべく安い席で、でもできるだけ観やすい席でっていう庶民の希望があるので、実は前回、いろんな席を見て回って調査したのでした。それで、ここならばっていう席を見つけて今回はそれのお試し。ホントは立ち見で入ってちゃっかり空いてる席に座っちゃうという裏技もあるんだけど、立ち見はすぐ売り切れちゃうせいか、ウェブには出回らないのか、買えなかったんです。当日券では売り出すんですけど、これは確実でないし(朝早くから行けばいいのだけど、仕事あるからね〜)、観たいものは事前にチケットあった方が安心ですしね。で、一番上の方のサイドの長いす席だったんだけど、調査の時はまあまあよく見えるって感じでした。でも、がーーん。人が入ると前の席の人が乗り出したりして観てるので、見づら〜い。ちゃんと人が入ってる状態でチェックしなければいけませんでしたね。まぁでも安いから。。。そんなこんなで、観るのはちょっとストレス溜まったけど、バレエはステキでした。第1幕で主人公のジゼルがあっさり死んでしまったのはびっくりしたけど。実は座席は事前チェックしたのに(不十分だったけど)、肝心の物語の方は下調べをしてなかったので、細かいことはよく分かってなかったのでした。バレエ・ファン失格。ダンサーのこと、バレエのこともっと勉強しなくちゃだわ。
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by zerbinetta | 2009-05-26 09:17 | バレエ | Comments(0)

重戦車   

haydn: cello concerto in D
Mahler: symphony no.5
jean-guihen queyras (vc), jiei belohlavek / bbcso @barbican hall


BBCシンフォニーの今シーズン最後の演奏会。ハイドンのチェロ協奏曲と初めて聴くマーラーの交響曲第5番。チェリストはケラスさん。いや、ケラスさん、眉毛で語るっぽい雰囲気(眉毛が濃いとかつながってるとかいうんじゃなくてわたしの友達がそうだったから)がわたしの友達(日本人)に似ていてちょっぴりどきどき。ケラスさんをかぶり付きで見上げるような席に座ったので、友達にするように面白い顔をして笑わかせてみようかしらなどといたずらっぽい考えを抱いてしまいました。演奏はお姿通りとっても端正、とっても自然。付け足しも不足もなく純粋な音楽のみが聞こえてくる。ハイドンのこの曲ってまさにそんな曲よね。こんな演奏をさらりとやってしまうなんてものすごい実力者。
マーラーの交響曲第5番は始まりのトランペットから重い音色。BBCシンフォニーの金管って密度の高い重い音色が特徴なんですね。それはビエロフラーヴェクさんの創りたい音楽の方向性とも一致するものでした。遅めのテンポで引き摺るような重い足取りで音楽が進む葬送行進曲。第2楽章も重い表現(リズムがもたついてるというわけではありません)。どんよりとした暗い感じが結構ツボ。この曲ってずいぶんとごちゃごちゃと対旋律が出てきてすっきりしない感じがするのですが、それをすっきりしないまま聴かせる方がわたしは好きなんです。スマートに見通しが良すぎるとなんだかこの音楽の本質を失う感じがしちゃって。マーラーってわりと古風な人なんだと思うんですよ。少なくともこの曲では。だってブルックナーもやってるじゃない、だもん。次のスケルツォもずいぶんと素朴でしょ。なんか気持ちに直接訴えかけてくる時代遅れの流行歌みたいなメロディも裸でおおっぴらにチェロやホルンで歌われるし。でも、それがいいんだと思うんですよ。ビエロフラーヴェクさんの演奏はある意味、前時代的な音楽をきちんと表現したかったんじゃないかなぁ。例えそれが流行遅れでも。でも、細かい音符はマルカート気味にはっきりと、長い音符はテヌート気味にと対比をつける工夫をしたり、音楽の隅々にまで目を配って、とっても丁寧な演奏だったの。そして、重戦車で突き進むような重いエネルギーを持った音楽は、かえってこの曲の弱点かもしれないフィナーレへ至るドラマ性の弱さを感じさせませんでした。突進するフィナーレの開放感、とってつけたような古くさいコラールも壮大に演奏したもの勝ちよね。演奏後のオーケストラの人たちの満足げな様子(チェロの主席の人はパートの人たちに小さくグッドジョブのハンドサインを出していました)も音楽がとても良く鳴っていたことの証しのひとつかもしれません。
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by zerbinetta | 2009-05-23 07:56 | BBCシンフォニー | Comments(1)

弦の音色にうっとり   

grieg: peer gynt suite no.1
vaunghan williams: the lark ascending
ravel: tzigane
holst: the planets
vilde frang (vn), vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


日本人の指揮者、佐渡さんが振る予定だったのだけど、キャンセルになって音楽監督のユロウスキさんが振りました。曲目は予定されていたのと一緒。始まりはペールギュントの第一組曲。組曲版を通して聴くのは初めて(多分)で、ソルヴェイグの歌がないというのにも初めて気がつきました。ユロウスキさんのテンポは速め。第2曲のオーセの死がうっとりするほど美しかった。ロンドンフィルの弦楽器がこんなに美しいなんて今まで何回も聴いてたのに気がつかなかったなんていったい何を聴いてたんでしょう。ああ、でもペールギュントは全曲版の方が絶対いいな。音楽会これだけで終わっちゃうけど。次の曲は、プログラムをあとで買ったので聴いてるときはなんていう曲か分からなかったけど、あっこれは雲雀の音楽だって分かりました。だってヴァイオリンの独奏が雲雀の声を真似るんですもの。この曲と次のツィガーヌのソロを弾いたのはノルウェー出身の若いフラングさん。ムター財団の奨学生なんですね。どちらかというと線の細い音色で、雲雀はもっと空高く突き抜けるような表現が欲しかったなと思いました。昇ろうとしてるんだけどどうしても昇りきれてない感じ。まだまだこれからの若手なので、どんどん伸びて突き抜けていって欲しいな。
ホルストの惑星も快速テンポ。ユロウスキさんの基本テンポは速めなのかしら。火星や天王星なんかは速めのテンポが生きて音楽の推進力がぐいぐいとわたしを引き込んでいくみたいで良かったけど、金星や木星はもちょっとゆったりと落ち着いてくれた方が好み。特に木星はせかせかと感じちゃった。今日の演奏では土星が良かったな。老境っていう感じではなかったけど、緊張感を保ったまま飽きさずに聴かせてくれたのはさすがでした。老いをもたらすものが分かる歳になったってことかしらね〜。
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by zerbinetta | 2009-05-22 07:55 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

火の鳥はおきゃん   

Les sylphides, sensorium, the firebird
royal ballet @royal opera house


初めてのロイヤル・バレエ。実は中途半端のバレエ好きで、音楽のしっかりとしたフルレングスのバレエが好きなので、もともとバレエ用に書かれていたのではない音楽を元にした小品が組み合わされた今回の公演は好みではなかったんだけど、火の鳥はどうしても観たいと思ったので行ってきました。でも、大正解。バレエがますます好きになってしまいました。
ショパンのピアノ曲をオーケストラに編曲して構成したシルフィードではコールドの動きがとっても美しくてステキでした。白い衣装に、優雅な動き。静止のポーズの絵のような美しさ。どうしたらあんなにきれいなポーズをとれるんでしょう。静止の緊張が解かれたときのあたかも絵に命が吹き込まれ動き出すような静と動の対比。ソロを踊った日本生まれの韓国人、ユフイ・チェ(yuhui choe)さんもステキ。今シーズンからファースト・ソロイストだそうですが、将来はプリンシパルに駆け上がっていくのでしょう。将来が楽しみです。応援しなくっちゃ。センソリウムはドビュッシーの音楽につけられた少し近代的なバレエ。衣装もレオタードだし動きもモダン(ってあまりバレエのこと知らないんだけどね)。始めの部分でリフティングに失敗しちゃってどうなるかと思ったけど、何ともなくちゃんと終わりました。わたしだったら、絶対動揺して以降萎縮しちゃうなってドキドキしながら観てたけど。
そして観たかった火の鳥。演奏はショパンの時からとってもぬるいな〜って思って聴いていたので、ちっとも期待していなかったんだけど、その通り、ストラヴィンスキーの音楽がぬるくなっていたのは、音楽好きのわたしには減点1。序曲が始まってなかなか幕が開かないので(序曲だからかな)、じりじり。早くバレエが観たいのに〜。カスチュイの魔法の宮殿が始まって幕が開きました。わたしの予想と違ったのは火の鳥。ぱたぱたと活発で結構おきゃんな感じなのね。踊ったのはロベルタ・マルケス(roberta marquez)さん。小柄で軽やかな動き。火の鳥って鳥なのねって思った。神秘性のなさがかえって無垢な神性を表現してるように思う。ストーリーは単純でてきぱきと話が進んで、ハッピーエンドで物語的には感動するものではないけれども、なので最後が、音楽は結構感動的に盛り上がるのに、劇の方はありきたりなのでちょっと残念。あっでもバレエを堪能するのはいいのよ。これでストラヴィンスキーの3大バレエ残すところはペトルーシュカ。音楽は一番好きなので、やってくれないかなぁ。
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by zerbinetta | 2009-05-19 07:54 | バレエ | Comments(0)

ホルンもっと弱く   

dvorak: carnival overture
brahms: violin concerto
tchaikovski: symphony no.5
viktoria mullova (vn), paavo jarvi / po @royal festival hall


ヤルヴィ一家、最後は長男のパヴォヴィの登場です。パヴォヴィは実は既にUSで聴いたことあったんですけどね。ステキな指揮者さんです。プログラムを持っていなかったので(フィルハーモニアのプログラムは季刊で、もう持っていたのですが家に置いてきてます)、なんの曲がかかるのか分かりませんでした。聴きながらこれってドヴォルジャークかなぁって思っていたら、聞き覚えのあるメロディが出てきてやっぱりって。わたしの知ってるのは違う曲なんですけど、同じようなメロディが使われているんですね。パヴォヴィは自在にオーケストラをコントロールしてふくよかな音楽を創っていきます。音楽がのびのびとしてとっても心地よく響きます。ドヴォルジャークのあまり耳にしない音楽がとても魅力的に感じられました。2曲目はブラームスのヴァイオリン協奏曲。ムローヴァさんの独奏です。独奏者にも譜面台があっておやと思ったのです。覚えづらい現代曲ではないし、ムローヴァさんはこの曲を何回となく演奏しているので暗譜していると思うのですが、ちょっと違和感。演奏に関しては良かったと思う反面、実演ではわたしとムローヴァさんは相性が良くないのかなとまた思ってしまいました(ムローヴァさんを生で聴くのはこれで3回目くらいです)。何が足りないのかよく分からなくてもやもやしてるんですが。もちろんはっとするようなステキな表現もあったんです。低音で出る和声的なパッセージの弾き方とか。ソロが始まる直前、オーケストラのトゥッティ部分から弾き始めたのにびっくりさせられたり。でも、何か突き抜けた開放感がないんですね。どこかおどおどしてるような、影みたいなものがある感じ。
チャイコフスキーの交響曲第5番はどちらかというと抒情を廃しててきぱきと進める感じでしたが、表情の付け方がとてもステキなこともあってわくわくと聴けました。全体をひとつの大きな音楽として捉えた解釈で、各楽章はアタッカ気味に続けてました。第2楽章のホルンのソロはものすごく小さな音で吹かせていて、あっこれは練習の時、千秋先輩みたく「ホルン弱く」って言いまくったなって思いました。ただ、ホルンの音が弱すぎてかすれた感じになってしまったので、もう少したっぷりと吹かせてもいいかなとは思いました。最終楽章はどうやるのかなと思ったら、あっさり快速テンポで、どしどし音楽を進めていきます。なかなか勢いのある演奏。ティンパニの強打が印象的で、頭をはっきり強く叩かせたり、トレモロの音を正確な数だけ叩かせているせいか、ここ音2つだっけ、ここは3つ?とおやっとさせられるところも多くて、面白かったです。この演奏はティンパニ奏者に拍手を捧げたい。最後もそのままの勢いで爽やかに行進曲でしめたのも吉。ここまで素直に垢抜けてるチャイコフスキーもステキ。スキップして帰りそうな気持ち。
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by zerbinetta | 2009-05-16 07:53 | フィルハーモニア | Comments(0)

最近の弦楽四重奏の人は大変   

yuanlin chen: tribe among mountains
traditional chinese folksongs
tan dun: ghost opera
wu man (pipa), kronos quartet @barbican hall


実は秘かに親近感を持ってる作曲家、タン・ドゥンさんを聴きに行きました。ゴースト・オペラ。何が親近感かというと同じ東洋人のバックグラウンドの音。もちろん中国と日本じゃ違うけど、それでも何か親しみのようなものを感じてしまう。そして秘かに憧れ、反発するコスモポリタニズム。彼の音楽は彼が中国人でなければ決して生み出されないものであり、彼が中国を出てUSに行かなければ決して書けないもの。最良の意味での民族性と国際性を持っている。多様な様式がひとつのものに自然に取り込まれてる。わたしの理想。わたしも生まれた国の文化にしっかりとした根を持ち他の国々の文化を尊敬できるちゃんとした国際人になりたいなって思う。プログラムの前半はチェンさんの山々の部族って訳すんでしょうか、部族という言葉がぴったりの始原的な雰囲気もある音楽でした。それにしても、現代の弦楽四重奏曲ってなかなか本来の楽器を弾かせてくれないんですね。前に聴いた、ケージの四重曲も奏者は水の入ったホラ貝をくるくる回してちゃぷちゃぷ音を立ててるだけだったし(あっでもこれって弦楽四重奏の曲じゃないか)、この曲も打楽器を叩いたり、アルペンホルンみたいな長い角笛を吹かされたり、なかなか弦が鳴らせない。次の中国の民謡の編曲はちゃんと普段の楽器を弾かせてもらえたけど。中国のびわは初めて聴いたけど、日本のびわとは違うんですね、といっても日本のびわを生で聴いたことがなくて、平家琵琶の印象しかないんですけど、竪琴の仲間というのがふさわしい感じの楽器でした。ウー・マンさんはとってもステキで、お若い方かと思ったらわたしよりも年上でびっくり。ステージの袖ですれ違って目が合ってにっこり。いいないいな、わたしもあんなふうになりたい。
タン・ドゥンさんのゴーストオペラは予想通りタン・ドゥンカラーの汎人類的な音楽。バッハのプレリュードが非常に効果的に使われています。ここでも四重奏の人たちは打楽器を叩いたり、銅鑼を弾いたり、鉢のお水を鳴らしたり、また、ステージ上で位置を変えながら演奏していろんなことをさせられます。
それにしてもクロノス・カルテットって昔はとっても先鋭的で尖ってる感じがしたんだけど、今では丸くなった大人な感じなのですね。というか、音楽が彼らの時代に追いついたと言うべきかな。実際音楽もタン・ドゥンさんのように鋭角的な音楽も採り入れながらわりと聴きやすいものが創られるようになってきてる感じもするし。進歩的なのが唯一正しい道だとは信仰できなくなった現代の混沌があってある意味自分の道が信じられなくなってきているという逆説的な絶望感もあるのかもしれないけど。あっクロノス・カルテットって不思議なことに第2ヴァイオリンの人が引っ張って演奏するスタイルなんですね(普通は第1ヴァイオリン)。あとで調べて納得。第2ヴァイオリンの人だけが初代からいらっしゃる人なのです。世代も変わってきてるということ。女の人いなくなったし。
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by zerbinetta | 2009-05-10 07:51 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

ゲルギーやるじゃん   

stravinsky: symphony in three movements
korngold: violin concerto
rachmaninoff: symphonic dances
nikolaj znaider (vn), valery gergiev / lso @barbican hall


実はカロリー控えめのゲルギーを聴いて以来、ゲルギーは敬遠してました。エクトプラズムを出さないゲルギーなんてゲルギーじゃないっ。まぁでも全く聴かないのも悪いし、コルンゴルドのヴァイオリン協奏曲も聴きたかったので聴きに来ました。ところが、最初の3楽章の交響曲を聴いてすぐ改心。ゲルギーいいです。3楽章の交響曲は春の祭典の土俗的な部分を取り去って、リズムの大胆さはそのままに洗練された音楽になってるんだけど、ゲルギーの演奏はストラヴィンスキーの意図そのままに大胆かつ繊細。今まであまり親しみのわく曲ではなかったこの曲に対する見方をすっかり変えてくれました。面白い。コルンゴルドの協奏曲は、ゲルギーは伴奏に回ってソリストを引き立てていました。ゲルギー向きの曲じゃなさそうっても思ってたんですが、映画音楽的な雰囲気も漂う曲をうまくまとめてたと思います。独奏はズナイダーさん。ブログではいつも若い女性ヴァイオリニストの応援ばかり書いているように自分自身でも感じているのですが、別に男性奏者嫌いって訳ではないんですよ〜。若い人好きで、でも若い男性奏者がなかなか出てきてくれないんです。ズダイナーさんも若いじゃないって言われそうですが、わたしの中でズダイナーさんは応援してるヒラリーたちよりひと世代上。でもこの世代ってステキな男性奏者が多いんです。ベルさん、ツィマーマンさん、レーピンさん、シャハムさん、などきら星のごとく。ズダイナーさんの演奏はしっとりとした大人の男性の魅力を感じました。そこに立っているだけでとっても安定していて安心して身を任すことができる感じ。尖ったところがないのは余裕のある大人の、もしかして男の人の魅力なのかもしれません。そうそう、知らなかった(?)んだけど、この曲の第3楽章、わたしがときどき鼻歌で歌ってるメロディだった〜。すっかり原曲を忘れてた〜。
最後のラフマニノフのシンフォニック・ダンスもゲルギーの独断場。この曲はこの間聴いたばかりだったんだけど、ゲルギーのが圧倒的。やっぱりロシア人。重心が低いというか音楽を完全に自分のものとしているというか、説得力が違う。ロンドン・シンフォニーもうまいしね。大太鼓の2本ばち叩きもすごかった〜(あっこれは最初の曲か〜)。
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by zerbinetta | 2009-05-08 03:06 | ロンドン交響楽団 | Comments(2)

指揮者の人おもしろ〜い   

purcell: king arthur
susan gritton (sp), anders dahlin (tn), james gilchrist (tn), andrew foster-williams (br), deborah york (sp)
herve niquet / le concert spirituel @barbican hall


もしかして今年はパーセル・イヤー? 今年ってパーセルやヘンデル、メンデルスゾーンにマルティヌー、ヴィラ・ロボスと地味目だけど滋味深い作曲家の記念年なんですね。パーセルやヘンデルはイギリス人なので特に重要です。パーセルはイギリス最高の作曲家と言われてますしね。でもモーツァルトと同じ36年という短い生涯だったのですが。というわけで、パーセルのオペラ、アーサー王、演奏会形式です。演奏はフランスの古楽団体、ル・コンセール・スピリチェー。そういえばフランスでも聴きましたっけ。フランスで聴いたのは地元のラモーのモテット。地味な真面目な団体だと思ったのですよ。そして、アーサー王って悲劇かなって。でも、なんだか楽しそう。指揮者のニケさんの身振りも大きく、指揮台がないので結構広範囲に動いて指揮してました。そして、多分オペラのシーンに合わせて帽子をかぶったりぶるぶる震えたり(寒いシーンです)。ソロの歌手も合唱も同様に演じてました。音楽もステキで、パーセルは全然聴いたことがなくて、ブリテンのパーセルの主題・・・以外は、この間のオペラを観たくらいなんですけど、とってもいいなぁって発見しました。いろんな打楽器が使われてるのも面白い。歌手はテナーのジルクリストさんの声がバリトン寄りでとってもステキでした。楽しかったオペラですけど、あとで調べたら見当違いをしてたみたいです。今回の音楽会は演奏会形式ということで、語りや役者が演じる部分は省かれていたのです。で、劇のメインはそちら。主人公のアーサー王すら登場してなかったんです。劇が入ったらずいぶんと印象変わったのかな。でもでも、音楽はステキなのに変わらないからいいやっ。
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by zerbinetta | 2009-05-06 07:56 | 海外オーケストラ | Comments(0)