<   2009年 11月 ( 17 )   > この月の画像一覧   

クリスマスはやっぱり   

tchaikovsky: the nutcracker
william tuckett (drosselmeyer), leanne cope (clara), paul key (the nutcracker),
roberta marquez (the sugar plum fairy), steven mcrae (the prince),
yuhui choe (rose fairy)
peter wright after lev ivanov (choreography)
koen kessels / royal ballet @royal opera house


くるみ割りでしょう。日本では年末といったら第9(ベートーヴェンのね)、夏と言ったらキンチョーがあるように、ヨーロッパ(とその系統の北アメリカ)では12月にはヘンデルのメサイア、クリスマスのくるみ割り人形なんです。なのでわたしもロイヤル・バレエのくるみ割り人形を観に行ってきました。ほんとは吉田都さんのが観たかったんですけど(彼女のくるみ割りはシグニチャー・ロールなので)、その日は他の音楽会が重なっていて断念。違うキャストの日になりました。実は、ちっちゃな声で言うけど、くるみ割り人形、あまり好きではありません。ときどき書いてるように、わたしのバレエの好きは白鳥とかロミジュリとかみたいなしっかりした物語のもの。くるみ割りはクリスマスの夜の夢のお話で物語の部分はお菓子の国への導入の役割でしかないので、ちょっとつまらないんです。わたしがバレエの人だったら、後半はいろんなダンスが観られて面白いんでしょうけど。とかって思ってたんだけど、むちゃ感動した〜。ステージにとても近いところで観たので、目の前で踊ってるのが観られて超嬉しかった。ダンサーの人と視線があったりしてどきり。いつもは遠くから双眼鏡で観てるんだけど、バレエは近くがいいわ〜。なんて言ったらお金がいくらあっても足りませんね。今日はフンパツして30ポンドの席だったんです(正面の100ポンドの席じゃないのが悲しいけど)。
くるみ割り人形は以前、ボリショイ劇場やマリインスキー劇場のを観たことがあるんです。で、そのイメジがあったんだけど、ロイヤル・バレエのピーター・ライト版はちょっと違ってるんですね。クララ(ボリショイやマリインスキーではマリーまたはマーシャという名前でした)が主役じゃないんです。今回クララを踊った人もだから、ファースト・アーティスト(その上にソロイスト、ファースト・ソロイスト、プリンシパルと続きます)に上がったばかりの若いコープさん。でも、この人良かったの〜。踊りについてはわたしは素人なのでよく分からないんだけど、演技がとても良かった。表情がとってもステキで、クララの世界に連れ込まれちゃった。後半でお菓子の国の人と一緒に踊るのもとっても楽しそうだったし。わたしもできれば踊ってみたいな。運動音痴で、マイムマイムやオクラホマミキサーでさえ上手く踊れないんですけどね。生まれ変われるものなら、バレエを習ってみたい。せめて優雅な身のこなしができるように。
で、この舞台の主役は第2幕にしか出てこない金平糖の精と王子様なのですね。ストーリーには全く絡まないんだけど、ダンスの見せ場を作っています。金平糖の精(都さんの十八番ですね)を踊ったのはロベルタ・マルケスさん。ネットで見ると結構いろいろ言われている人みたいですが、わたしは良かったと思います。踊りは上手いと思いました。軸ぶれないし。ただとても小柄なのでかわいらしいんだけど、オーラみたいのがあまりみられなかったのが残念。でも、ロイヤル・バレエのくるみ割り人形とっても気に入りました。来年は2回は観に行こう。
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by zerbinetta | 2009-11-30 09:20 | バレエ | Comments(0)

プログラムを読んで驚いた   

schnittke: cello concerto no.2
haydn: the seven last words of our saviour on the cross
lisa milne (sp), ruxandra donose (ms), andrew kennedy (tn),
christopher maltman (br),
alexander ivashkin (vc), vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


シュニトケ・シリーズ、ラストはチェロ協奏曲。組み合わせはオラトリオ版、ハイドンの十字架上の救い主の最後の7つの言葉です。今日のテーマは何でしょう。全く見当がつきません。
さて、チェロ協奏曲。ロストロポヴィッチのために書かれたこの音楽は、っぽくない! シュニトケお得意の様式引用がなされてなくて、シュニトケ本体の音楽にのみによって書かれてるように思えました。でもシュニトケの音楽って現代的ではあるけれども訳が分からない感じじゃないし、チェロの独奏も常識的な奏法で旋律(?)を弾くのでどちらかというと聴きやすい音楽です。もちろん、ネオなんとかって感じじゃないんですけど。それにしても一点の隙もなくしっかり書かれた音楽。4楽章が切れ目なしに演奏されて、最後の楽章はゆっくりしたなんか苦悩を表しているような音楽。もしかして、これが次のハイドン繋がり?
イヴァシュキンさんのチェロは安定していて安心してシュニトケの音楽に浸ることができました。技術的なことは分からないけど、複雑で難しそうな音楽を余裕を持って弾いていたと思います。ユロフスキさんとロンドンフィルは上手にチェロをサポートしてました。ユロフスキさんはロシアの音楽をよく採り上げてるし(シュニトケの音楽がロシアと言えるかは難しいとこだけど)、ロシアの作家の現代音楽も何回か演っているので、オーケストラにも音楽に対する慣れがあるのかもしれませんね。

休憩の後はハイドンの十字架上の救い主の最後の7つの言葉です。わたし、この曲、弦楽四重奏のがオリジナルだと思ってました。でも違うんですね。オーケストラ版がオリジナルで、弦楽四重奏や今日のオラトリオ版が編曲なんだそうです。もともと教会で受難節にキリストが十字架で言った7つの言葉を朗読するときに付けられた音楽なので、瞑想的なゆっくりした7つのソナタと荘重な序奏、最後に地震と題された激しい音楽から構成されてます。ユロフスキさんって実はハイドン好きで得意なんじゃないでしょうか。ハイドンの音楽をとってもステキに表現していたと思います。現代楽器のオーケストラだけど、古楽器的な演奏をして、弦の音色も古楽器的。ヴィブラート控えめ。それにしても同じオーケストラでこんなにも音色を変えられるのかってびっくりしました。そうそう、譜面台にたくさんの金属のわっかがぶら下がってるのがあって、ちゃらら〜〜んて音がする打楽器が使われるのかなって思ってたら、ホルンの変え管でしたよ。今日も無弁のホルンが使われたんだけど、調によって音程を変えるのにまあるい管を付け替えるんですね。曲の合間に忙しそう。

さて今日のテーマは、プログラムを読んで知りました。「キリスト教的作品:信仰と死」です。シュニトケがカトリックの信者だったとは。前々回のオペラではキリスト教を茶化してたので宗教を持たない人だと思っていたんですが、びっくり。
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by zerbinetta | 2009-11-28 10:05 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

純粋な幸せ   

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desmarest: usquequo domine
campra: exaudiat te dominus
rameau deus noster refugium
lully: te deum
amel brahim-djelloul (sp), emmanuelle de negri (sp), toby spence (tn),
cyril auvity (tn), marc mauillon (br), alain buet (br),
william christie / les arts florissants @barbican hall


初プチボーンってはしゃいでたらあっさりキャストが変わってた。ぎゃぽーん。この間自己紹介書いたとき、応援している音楽家のところにパトリシア・プチボンさんのお名前も書いたけど、実は彼女だけ、まだ生で聴いたことがないのです。今日の演奏者、クリスティさんとレザール・フロリサンの演奏の優雅なインドの人々のDVDで歌っているのを観て、誰だれこの人?って叫んだのです。このDVDはデ・ニースさん見たさに買ったんですけど(他のCDですけどデ・ニースさんがネットで評判で、わたしも彼女のメトデビューを観ているので(フィガロの結婚のバルバリーナでした)応援してたんです)、すっかりプチボンさんに射止められてしまいました。そういうわけでとっても楽しみにしてたんですけどね。がっかり度抜群の音楽会だったんだけど、終わってみたらそんなことどーでも良くなっちゃってほんとに幸せでした。音楽が純粋で最も幸せだった時代の音楽。
今日の音楽会はレザール・フロリサンの30周年を記念する音楽会の一環です。タイトルはグラン・モテット。フランスの4人の作曲家によるアンリ・デマレ、アンドレ・カンプラ、ジョン=フィリップ・ラモー、ジョン=バプティスト・リュリのモテです。前二者は初めて名前を聞く人です。そんなバイアスがかかったわけではないのでしょうが、わたしには休憩後のお二人、特にラモーの曲が印象に残りました。ってか、ラモーって元我が町の音楽家なんです。わたし、熱狂的な地元主義なので我が町の音楽家は手放しで応援です。ま、わたしが応援するまでもなくラモーは素晴らしい作曲家として通ってるんですけどね。音楽の和声をハーモニーと呼んだのはこの人なんですよ。音楽理論家としても立派なんです。そんなラモーのモテは、強烈なクレッシェンドや、同音反復にびっくりするくらい革新的。ドキドキの連続。
6人のステキな独唱者と、クリスティさんとレザール・フロリサンの演奏は本当にステキ。まず音色がいいんです。古楽器の優しい音が耳に心地良く、それに古楽だけど枯れてなくとおっても瑞々しい。そしてクリスティさん。いつもとってもにこやかでDVDで観たようにサーヴィス精神抜群。アンコールを2曲演ってくれ、2曲目は演る前にちらっと腕時計を見たりして、そして拍手に応えてステージの横に控えていた独唱者たち(1曲目のアンコールは独唱者は歌わなかったのでステージの横の椅子に座っていた)になにやら嬉しそうに話しかけて、独唱者に合唱に参加するように促したり、にこやかな笑顔には人柄がにじみ出ていそう。きっと、音楽には厳しいんだけど、この人と一緒に仕事してみたいっていう感じの人でした。
今日の音楽って、音楽が最も純真で幸せに満ちていた時代の音楽だと思うんです。ベートーヴェンみたいに人の現実に汚されてない(今は敢えてネガティヴな調子で書いていますが、ベートーヴェンによってものすごく大いなるものを音楽は得ました。これは今のわたしたちにはかけがえのないものです)、純粋な音楽。神と人との距離がちょうど良かった時代の音楽のための音楽。まだバッハの束縛を免れている(今は敢えてネガティヴな調子で書いていますが、バッハによって得られたものは大きかったのです。バッハなくしてそれ以降の音楽は考えられません。でも、その陰で失われたものもあったはずです)、自然な音楽。純粋で自然な音楽を聴いてわたしは単純に理由もなく幸せです。得も言われぬ幸福感というのはそれ自体で完結している幸せなんだと思います。音楽がそれを教えてくれました。
レザール・フロリサンのシリーズ、次のも行きたいなって思ったら、今日が最後でした。ぎゃぽん。ちょっぴり不幸せ(?)
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by zerbinetta | 2009-11-26 07:53 | 海外オーケストラ | Comments(0)

やっぱ黒でしょう   

webern: passacaglia
lindberg: chorale
berg: violin concerto
schnittke: symphony no.3
leonidas kavakos (vn), vladimir jurowski / lpo @royal festival hall


ロンドンフィルのシュニトケ・シリーズ第2夜は交響曲第3番。現代音楽の演奏会だったら黒い服でしょうとステレオタイプ的に思っているので、黒い服で行きましたよ。エリとポッケに赤いワンポイントの入ってるの。でも当たりでした。オーケストラの人たちも黒服。男性は黒のジャケット(これは普通)に黒のシャツ。現代曲には黒が似合うのよ。
実は今日のプログラム、何が演奏されるのかシュニトケ以外は知りませんでした。プログラムは今手元になく(前回シュニトケ・シリーズのまとまったプログラムを買っているので、今日は買わないんです。なので、前後左右の人のを盗み見したりして。始まりはウェーベルンのパッサカリアです。この曲、生で聴くのは初めてかもしれない。ずいぶんロマンティックな曲だと思ったら作品1なのね。どうりで。でも、そういえばわたしの大好きな夏風の中ではもっともっとロマンティックだけど、この曲よりあとなのかしら、って奇妙に思ったら、夏風の中では作品番号がついてなく、パッサカリアより前に書かれているのね。納得。演奏ですが、実はどうしていいのかとっても困ってしまいました。というのはどこをつかんでいいのか捉えどころが最初よく分からなかったんです。ウェーベルンってもっと整理させてすっきりした音楽を書く人だと思っていたので。わたしの知ってる演奏がすっきり透明の大御所ブーレーズさんの演奏だってこともあるのですが。ユロフスキさんの演奏は混沌とした感じ。いろんな音の要素をどろっとしたスウプの中に放り込んでかき混ぜたような始原の混沌。でも聴き進んでいくうちにこれはワグナーにつながってるロマンティックな作品なんだと分かってきました。視界が悪い演奏だけれどもこんなのもアリなのかな、と。
2曲目はリンドベルイさんの曲。曲名は家に帰ってプログラムを開けて初めて知りました。コラール。始まりは、おおおっメシアンみたいってびっくりしたコラール。キリストの昇天ってコラールだったんだ。って今頃気がつく。後半はもう少し細かい音符も出てくるんだけど、聴きやすい音楽なんだけど、やっぱりわたしは不満。自分が保守的な性格なのを嫌っているわたしは、保守的なものはあまり好きでないんですね。自分を見てるようで。で、ここにきて今日の音楽会のテーマはバッハかなって考えるようになりました。この(シュニトケ)シリーズのプログラムは、それぞれ関連性があるように選ばれていて、というのは前回の音楽会では気づかなかったんですけど、家でプログラムを読んで気がついた、前回はハイドンの交響曲第22番がロシアに初めてドイツ移民がなされた年の作曲、ワグナーはシュニトケが尊敬していた音楽家という風に、今回の中心はバッハなのではと、クイズの回答者になったようにときめいたのです。リンドベルイさんの音楽は明確にバッハの音楽を引用しているわけではなさそうですが、雰囲気はありましたし。そして3曲目はベルクのヴァイオリン協奏曲。バッハのコラールが引用されているので有名ですよね。のだめにも出てきたし(あのシーン上手いなぁ、困ったことに自分に重ね合わせることもあってじんときちゃうんです)。
さてその協奏曲、ロンドンで聴くのはなんと3度目。頻度高し。ベートーヴェンやチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲はまだ聴いてないのですから。大好きだから嬉しいんですけどね。独奏者はカヴァコスさんという人。初めて見るお名前です。カヴァコスさんって有名な人なんですか? サウスバンク・センターに今シーズンは多数登場します。黒々とした髭がなんかステキでちょっとほ。あとでウェブで調べてみたら、ギリシャ人のヴァイオリニストでコンクールの優勝歴もあって、でもCDのジャケット写真なんかでは昔はちょび髭だったんですね。髪も上げていてこちらはタイプじゃない。今の髪を下ろした方が断然ステキ。眼鏡も今のの方が似合ってるし。ってなに言ってるんだ、わたし。音楽は、まず音色がきれい。美音系ではないんだけど、涼しげな、男性的って言うのかな(ちょっと語弊のある言い方だけど)、さっぱりしていて直線的で、でも余裕があって懐が深い。そしてメロディの捉え方がとっても上手いというかとってもステキな解釈。歌うのではないのだけど、この曲からこんなにもメロディの要素を取り出して見せたのはすごいと思う。ただ、全体をメロディアスに演っちゃうと、突然バッハが聞こえてきて安らぎに満たされるという落差が薄まってしまうのが残念。ヴァイオリンはバッハの旋律を弾かないのでオーケストラの責任が大なのかもしれないんだけどね。

休憩の後はいよいよシュニトケの交響曲第3番。もちろん初体験。たくさんの打楽器、ピアノ、シュニトケのシグニチュア・インストゥルメントと言っていいかものチェンバロ、オルガン、エレキ・ギターにエレキ・ベースを含む大オーケストラのための作品です。音楽が始まると、ふふふこれ指輪じゃないですかって思っちゃいました。低音のロングトーンの上にコントラバスから徐々に高音楽器に向かって付点のついた音型の断片が重ねられていきます。主題の全貌が現れたとき、もちろんちょっと違ってるけどやっぱり指輪って思いました。第2楽章は一転してモーツァルトっぽい明るい旋律がヴァイオリンに。これモーツァルト(のパロディ)かなぁ、違うかなぁと迷ってるうちにピアノのソロで出たとき、やっぱりモーツァルト!って思った。この楽章は基本的には晴れやかに野原を駈けるような気分。そして第3楽章はまた賑やかなカオスな感じ。最終楽章は静かな瞑想的な音楽。そして最後には冒頭の主題が戻ってきて、だからこれは指輪でラインの黄金ではないんです、幕を閉じます。ところどころちょっぴり散漫に感じるところはあったけど、なかなかいい曲でした。それにしてもシュニトケ、いろんな曲を書いてるんだわ。決してバロックばかりを引用しているのではないのね。全然知らなかった〜。結局バッハの音楽は聴き取れなかったので、ううむ、今日のテーマはバッハじゃなくて様式の引用かなって思ったのでした。家に帰ってプログラムを読んでみると、この曲、たくさんの作曲家のモノグラムを使ってるのね。もちろんバッハ(bach)も。モノグラムとは気がつかなかった。やっぱ今日のテーマはバッハだったのね。
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by zerbinetta | 2009-11-25 23:59 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

このブログのこと、わたしのことを少し その1   

ロンドンに住み始めて音楽会を聴きだして1年が過ぎました。聴いた音楽会で感じたことをへたくそな文章で綴り始めて1年、ブログとして公開し始めてからももうすぐ1年です。その間、このブログの書き手であるわたしについて自己紹介することもなく今日になってしまいました。わたしははじめましてのブログを読んだとき、必ず書いてる人はどんな人なんだろうとプロフィールを探します。そんなわたしなのに今まで自己紹介してこなかったのは、ちょっぴり言い訳があるんです。ブログを続けられるか自信がなかったので、ブログが続きそうになるまで仮ヴァージョンということにしていたのです。今日こうして出てきたのは、ブログを続ける自信がついたから、ではなくて1年も経ってそろそろ自己紹介なしじゃまずいんじゃないかと気になってきたからです。これからもときどき音楽会の合間にブログのことわたしと音楽のこと、書いていきますね。

わたしの名前はつるびねった。もちろん本名ではありません。本名はみゆうというんですけど、ブログを始めるとき他のウェブサイトに合わせてみゅうで書こうか悩みました。今更ハンドル・ネームがなんだか恥ずかしい感じもしていましたし。でも、以前書いていた音楽会日記、今ではウェブ上に残っていませんが、で慣れ親しんだ名前で通そうということでつるびねったのまま書き始めました。タイトルが miu'z journal *2 となってるのはもちろんわたしの名前とミューズを引っかけたものですし、*2は以前のが1番で今回は2番目だからです。おっと、つるびねったは、シュトラウスのナクソス島のアリアドネに出てくるコメディアデラルテの踊り子です。わたしの憧れの生き方。
わたしは今はロンドンの北の端っこにひっそりと住んでいる納豆と卵かけご飯が大好きなちびっ子日本人です。以前、USのワシントンDCの近くに住んでいて、DCとニューヨークの音楽会日記がこのブログの前身です。ロンドンは何でも高いけどお給料(涙)と音楽会だけは安いのでなるべくたくさんの音楽を聴くようにしています。1回のコンサートにかける金額はオペラやバレエも入れて平均すると1500円くらいでしょうか(1ポンド100円の現地感覚で)。音楽は聴くばかりの素人です。なので日記は、かっこい〜とか面白〜いっ、とかすてきー、とかきゃーきゃー騒いでるだけの内容のないものです。好きなのであまりけなしません。ほんとはたまには訳知り顔で、ちらっと冷静に批評というのをしてみたいのですが、わたしには一生無理です。だって、音楽会のあとはいつもステキだった〜って舞い上がってるんですもの。
クラシック(という分け方は現代音楽の扱いに困るのであまり好きでないのですが)は、オペラもオーケストラも室内楽もピアノもバレエもみんな好きです。でも行ってる音楽会はオーケストラが多いかな。あとはオペラとバレエ、それからときたま室内楽。オペラやバレエはもっと観たいのだけど高いのでなかなか。一番安いオーケストラが自然多くなります。大きなホールのコンサートは席によってはとても安いので、小さなホールでの室内楽よりも安かったりするんですよ。小さなホールではどの席も良く聞こえるので最低料金がかえって高かったりするんです。
一応はじめましてなので、大好きな作曲家をあげておきますね。モンテヴェルディ、モーツァルト!、メシアン。それからシマノフスキ。それからそれからハイドンにシューベルトにタコにリゲティになぁんて挙げ始めるときりがない。反対にわりと苦手な人は、バッハ、ブルックナー、ラヴェル、バルトークにストラヴィンスキー、クセナキスかな。苦手と言っても好きですけどね。なんかひとりに決められない優柔不断。
大好きな演奏者は、若い人。若い演奏家を応援するのが好きです。今は指揮者ではネゼ=セガンさん、クリヴィ(クリスティアン・ヤルヴィさん)、ピアニストではユジャ(・ワンさん)、ヴァイオリニストではヒラリー(・ハーンさん)、アリーナ(・イブラギモヴァさん)、ニキ(ベネデッティさん)、リサ(・バティアシュビリさん)。歌手だったら、フローレスさん!、ジョン・レリヤさん、リューボフ・ペトロヴァさん、ベンギ・マヨーネさん、イサベル・バイラクダリアンさん、パトリシア・プチボンさんかしら。バレエ・ダンサーはまだ、顔と名前が一致しません。マルセロ・ゴメスさんとかジリアン・マーフィーさんとかかな。まだまだ開拓中。

コメントもトラックバックも大歓迎です。古い記事でも気になるのがあったらどしどし下さい。メイルも大喜びです。

では1回目はこの辺で。またのちほどお目もじしましょう。
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by zerbinetta | 2009-11-25 08:47 | わたし・ブログ | Comments(2)

どうして音楽って一瞬で消えていってしまうんだろう   

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mendelssohn: violin concerto
mahler/cooke: symphony no.10
christian tetzlaff (vn), daniel harding / lso @barbican hall


音楽室にあったメンデルスゾーンの肖像画、なんだかなよっとした感じの優男ですよね。柔らかで甘美なメロディの彼の音楽を聴くと確かに肖像画の通りって感じもします。特にヴァイオリン協奏曲なんかはメロディのとっても美しい音楽として有名ですし、ロマンティックな音楽であることは間違いがないと思うんですね。一歩踏み外しちゃうと空っぽなムード音楽のようになってしまう危うさも併せ持つ。という勝手な印象を持って聴き始めたんですけど、これがなんと。熱く熱のこもった。わりとステージのそばに座ってみたんですけど、ハーディングさん、うなるうなる。この人こんなに声を出す系の人だとは今日初めて知りました。そしてオーケストラを煽りまくり。対してテツラフさん。彼は冷静な学級委員長タイプの人だと思っていたんですが、この人も熱い。といっても、お二人ともロマンティック協奏曲を歌いまくるわけではなく、もっと漢な感じ。なんと口で言って良いのか分からないんですけど(なんて書いたら音楽会ブログ失格ですね)、硬派なロマンティックというか、バンカラな青春というか、浪花節じゃないんだけど夕日に向かって叫ぶとか、好きな女の子なのに無視した風を決め込んで、でもあっちを向いて熱い魂を見せつけてるというか、なんだかわけ分からなくなってきましたがそんな感じ。正直、聴き終わったあとちょっと訳が分からなくなっていました。お二人とも実は体育会系だったんですか。ふたりの音楽の方向は完全に一致。ハーディングさんは音楽が終わったとたん、テツラフさんに向かって小声でブラヴォーと言っていました。テツラフさんはアンコールに応えてバッハの無伴奏からかわいらしいガヴォットをステキに弾いてくれました。

さあ、今日のメインはマーラー/クックの交響曲第10番。この曲、生で聴くのは初めてなので楽しみにしていたんです。この夏のプロムスで、シャイーさんとゲヴァントハウスが演奏しているんですけど、聴きに行かなかったし。それに、わたしは未聴なんですけど、ハーディングさんのCDとっても評判良いみたいです。さらになにより、わたしはこの曲がマーラーの中では一番好きかもっていうくらい大好き。そんな期待のかたまりすぎて、実は演奏聴いたあと、ぷしゅーと空気が抜けたような状態になってしまって良く覚えていないんです。とっても良かった、凄かったっていうのは間違いないんですけど。。。何だろううううやっぱり言葉が出てこない。
始まりのヴィオラは意外と深く暖かい音。そして遅めのテンポ。続くアダージョもたっぷりとふくよかな響きで、実は予想していた乾いた20世紀側から見た解釈ではないのでは、と気づきました。もっと第9番よりのむしろ19世紀寄りな感じ。皮肉っぽい無機質な感じの聞こえることの多いトリルを含んだ主題もアダージョの主部に取り込まれたように(と言ってテンポは速くなってますが)、柔らか。第1楽章全体がアダージョの気分に支配されていました。クック版はこの楽章にも改訂を加えているので、何回か聴いた全集版のアダージョよりも対旋律が多くて音楽も豊か。対向配置にしたヴァイオリン群が絡み合って面白い。やっぱりわたしはマーラーの残した不完全なスコアよりもこちらの方が好きだな。全体の柔らかな印象は例の不協和音の叫びでも変わらず、不協和音がなんと美しく響いたこと。そしてハーディングさん、相変わらず熱い。一瞬のゆるみもなし。かなりうなり声を上げながら両腕を大きく使って指揮していました。ハーディングさんって指揮棒使わない人なんですね。
第1楽章と第2楽章の間はほんの少し間をとって、オーケストラの人にちょっと声をかけたり、オーケストラの人も隣の人と話したりしてた。その第2楽章のスケルツォ、マーラーが書いた中では極端に変な拍子だと思うんだけど、それをぎこぎこと敢えてスマートにやらないところが新鮮。リズムの不安定感が落ち着かない雰囲気を醸し出して不思議な感じ。プルガトリオは三角形の動機をとっても鋭く強調して、それに弱音器付きのヴァイオリンの抑えたかすれた感じが印象的。プログラムノート、書いているのはなんとデヴィット・マシューズさん、弟のコリンさん、ゴルド・スミスさんと共にクックを助けてクック第3稿以降を手がけた人です、によるとこの楽章はその後の楽章への前奏曲みたいな役割を果たしていて、第4、5楽章で使われる主題の多くを提示しているそうです。続くふたつの楽章は切れ目なく演奏されました(第4楽章と第5楽章はもともとつながっていますけど)。わたしの方は興奮して何が何だか分からないうちに最後の楽章まできてしまった感じなんですけど、スケルツォのお終いの方でのテンポの落とし方、消音した大太鼓のくぐもった大きな音(決して鋭くない)がとても印象的。わたしはクックやマゼッティさんの業績をとっても高く評価していますが、それでも第4楽章と第5楽章は、あっこれはマーラーの音楽じゃないんだってはっとさせられる箇所がいくつかありました。CDではあまり感じたことないんだけどね。生で聴くと音の情報量が多いからでしょうか、たくさん考えさせられます。
ハーディングさんの演奏はこの曲を未完成のマーラーの作品の補筆完成版としてではなく、マーラー/クックによる完成された作品として演奏していたと思います。ハーディングさんの生まれる前に作られた音楽ですから、ハーディングさんにとってはそれが自然だと思うし、なにしろクック版を最も多く演奏している指揮者のひとりラトルさんの元でアシスタントをしていた人ですしね。それに、ハーディングさんはマーラーのレコーディングをこの曲から始めるくらい愛着もありそうです。なので、本当に演奏は音楽的というか、例えばわたしの好きな演奏のひとつギーレンさんのCDの演奏ですらディスクリプティヴなところがあると感じさせるくらい、音楽の精神の中にのめり込んだものだった思います。ロンドン・シンフォニーの音も個々の楽器の音色がとてもきれいで、今日は特にトランペットの音色にときめきました。音楽が刹那でもう2度と再び聴けないことをこれほど残念に感じさせる演奏も少ないでしょう。最後は消え入る音をぎりぎりまで伸ばして、長い沈黙の間を置いて演奏は終わりました。
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by zerbinetta | 2009-11-20 03:47 | ロンドン交響楽団 | Comments(6)

むちゃかっこいいの〜〜   

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haydn: symphony no.22
wagner: prelude and good friday spell from parsifal
schnittke: excerpts from the opera the history of d. johann faustus.
stephen richardson (dr. faustus), anna larsson (mephistophila),
andrew watts (mephistophiles), markus brutscher (narrator)
vladimir jurowski / moscow conservatory chamber choir, lpo @royal festival hall


なにげにシュニトケ好きなんですよ。いろんな様式を混合して作る人だけど、単なる、疑似バロックとかネオロマンじゃなくって、しっかりした自分の音楽の中に異なる様式の音楽を組み入れてるので、とっても斬新に響くのです。あの、金属的なチェンバロの音がぢゃーんと鳴ると、あっシュニトケだって嬉しくなっちゃう。なので、シュニトケの特集があると聞いたら行かなきゃでしょ。とか言いつつ軟弱者のわたしは、ロンドン・フィルハーモニックの3回のコンサートにしか行かないんだけどね。

さてと、始まりはこれもまた大好きなハイドンの交響曲第22番「哲学者」。ハイドンの交響曲は100曲以上あるので、どれがどの曲なんだか覚えられないんだけど、この曲は1回聴いたら忘れないくらいインパクトあり。飄々とした感じがもうほんとにユーモラスでユニーク。まさに簡単なことを難しく語る訳知り顔の哲学者。ホルンとイングリッシュホルンの掛け合い最高。今日の演奏では2本ずつのホルンとイングリッシュホルンが左右に分かれ、立って演奏していました。ホルンはなんと無弁の。
ユロフスキさんのハイドン、良かったです〜。ホルンを除く楽器は現代楽器だと思うけど、古楽的な演奏でヴィブラート控えめ。そういえばユロフスキさん、エイジ・オブ・エンライテンメントも振っているのよね。アリーナもそうだけど、今の若い人って音楽を始めた頃から古楽が普通に演奏されてる時代に育っているので、古楽といえども特別な音楽ではないんでしょうね。奇をてらった感じはなく、とっても自然。丁寧な音楽作りで、気むずかしそうな哲学者もちょっとスマート。もしかしてイケメンかも。ホルンは無弁のが使われていましたが、この曲のホルンは無弁じゃないと味が出ませんよね。ヴァルヴですらりと音が出ちゃったら哲学者のイメジなくなっちゃうもん。

2曲目はワグナーのパルシファルの前奏曲と聖金曜日の音楽。パルシファルは矢鱈目ったら長いので、これくらいでいいなぁ。どうも話について行けないのでオペラじゃなかった舞台神聖劇を観ても退屈なのよね。とか言いつつ3回も観てるんだ。ユロフスキさんの演奏は、やっぱり神聖を意識したのでしょう、とってもゆっくり。そして音に深みを持たせてる。なんだか知らない間に澄んだ世界に連れて行かれてしまった感じ。身体が透明になって重力から解放されたみたいな。静かに流れる水のような音楽。アクセントも極力付けない空間をただ満たす音。でも、ちょっとだけエロいなって感じる音があって、第2幕のエロいシーン、ユロフスキさんの指揮で聴いてみたくなっちゃった。

そしてお待ちかねメインはシュニトケのオペラ、ヨハン・ファウストゥスの物語から抜粋。といっても3幕のオペラの第1幕のほぼ全て、第2幕の重要な音楽、そして第3幕の全てが演奏されるそうです。実はこのオペラ、1995年にハンブルクで3分の1程縮小された形で初演されて以来、今日が2度目の演奏なんだそう。でもどうしてこんな素晴らしい作品が演奏されないんだろう!
実はファウストというのでゲーテのを思い浮かべてました。でも観たら全然違った。音楽に集中してたので字幕はほとんど見なかったのであらすじ程度しか分からないのですが。多分、第2幕が省略された結果、悪魔に魂を売ったあと、かなりあっさりとファウストゥスの生の期限が来てしまいます。音楽的には大きな損失ではないとは思いますが。あっ、演奏会形式での演奏です。でも、歌手はステージのオーケストラの前で演じてもいたので劇の要素も若干ありです。この曲、第3幕は以前に書かれていたカンタータからの転用でもあるので、こういうやり方でも十分なんじゃないかと思いました。それに、オーケストラの演奏会ならばもっと演奏回数が増えるんじゃないかと思うんです。
この曲、わたしの抱いていたシュニトケっぽくなくて(バロックが出てくるのがわたしのシュニトケなので。チェンバロは使われていたけど)、近現代の様式が取り込まれていました。ショスタコーヴィチばりのダンス音楽があったりして。そして最後の方は大オーケストラのタンゴ。これがもうむっちゃかっこいいの。音楽もかっこいいし演奏もかっこいい。で、もう思いっきりキリスト教を茶化してるし。ヨーロッパ文化を敵に回す覚悟があるのね。神は死んだ宣言がなされてからずいぶん久しいけど、やっぱり未だにキリスト教文化はしっかり根を張ってるし、音楽の分野で明確なアンチ・キリストってあんまりないじゃない(わたしが知らないだけ?)? なのでびっくりしちゃった。ファウストゥスの亡霊がワグナーに何か秘密を語るというプロットがあったのだけど、そこにちらりとトリスタンとイゾルデの音楽が被さって面白かった。多分、他にもいろんな引用がされてるんだと思うんだけど、1回聴いたくらいでは分かりませんでした。それにしても秘密って何だろう? やっぱりアンチ・キリスト関連かな。今日の2曲目がパルシファルなのはちょっと意味深かも。
歌手の中ではメフィストフェレスを歌ったカウンターテナーのワッツさん(この間、リゲティのオペラを歌っている人ね)とファウストゥスのリチャードソンさんが良かったです。
今日の演奏、例のBBCラジオ3で11月24日から(1週間)聴くことができます。ハンブルクでの演奏の(多分初演?)CDは出ているみたいだけど、滅多に聴くことのできない作品なのでぜひ。シュニトケ好きなら聞き逃すわけにはいきません(ってシュニトケ好きな人たくさんいるのかな)。
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by zerbinetta | 2009-11-18 10:02 | ロンドン・フィルハーモニック | Comments(0)

やっぱり合奏ってステキ   

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haydn: string quartet op.77/1, op.20/4
chiaroscuro quartet @kings place


キアロスクーロ・カルテット。この名前を知っている人は相当なクラヲタですね。2005年に結成された若い女性の古楽カルテット。CDはまだ出てなく、今月録音されるハイドンのカルテットが来年に発売される予定だそうです。じゃあ何でわたしがこの団体を知っているかというと、わたしがクラヲタだからっていうわけではなく(いや十分クラヲタだけどさ)、わたしの今一押しのヴァイオリニスト、アリーナ(イブラギモヴァさん)のアンサンブルだからなのです。この間のリサイタルはソールド・アウトで聴けなかったので、こちらはしっかりチケット取りました。キングス・プレイスの小さなホールでの短いコンサート。ハイドンの四重奏をふたつ。
キアロスクーロ・カルテットの紹介をしましょうね。ファースト・ヴァイオリンはもちろんアリーナ、ロシア生まれ。第2ヴァイオリンは、ドイツ生まれのサラ・デボラ・シュトゥルンツ(sara deborah struntz)さん。スウェーデン生まれのヴィオラ、エミリー・ヘルンルンド(emilie hörnlund)さん。チェロのクレア・ティリオン(claire thirion)さんはフランス生まれです。国籍はまちまちだけど、皆さんロンドンのロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックの卒業生で、それぞれソロをしたりオーケストラで弾いたりカルテット以外でも活躍中。なので、こうしてカルテットで演奏するって楽しいんでしょうね。そんな感じがありあり。お互いにアイコンタクトしてにっこりと微笑んだり、音楽することがほんとに楽しそう。確かに活躍の度合いからするとアリーナが群を抜いてるんでしょうが、このカルテット、ひとりひとりに自主性があってファースト・ヴァイオリンが音楽を引っ張るという感じではありません。ハイドンのカルテットは基本的にはファースト・ヴァイオリンが旋律を担当する感じだけど、大事な音がそれぞれの声部からも聞こえてきて、ハイドンも意外に旋律一辺倒でないんだなって発見できて嬉しかった。
演奏は若々しい喜びに満ちたもの。アクセントを大きく付けたり、ノンヴィブラートで乾いた音を出したり、幅の広い表現でワイルド。でも先鋭的ではなくてちゃんと角の取れた表現。各自が自信を持って大胆に演奏している感じ。こっちまで嬉しくなっちゃった。
アリーナ、黒のパンツドレス似合ってたな。細っこくてとってもスタイルいい。最後に見せてくれた笑顔がとってもかわいらしかった。
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by zerbinetta | 2009-11-14 09:13 | 室内楽・リサイタル | Comments(0)

あああ深みにはまってしまいそう   

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stravinsky: agon
melissa hamilton, mara galeazzi, carlos acosta, johan kobborg,
yuhui choe, hikaru kobayashi, johannes stepanek, brian maloney, etc
george balanchine (choreography)

martinů: sphinx
marianela nuñez (sphinx), rupert pennefather (oedipus), edward watson (anubis)
glen tetley (choreography)

saariaho: limen
leanne benjamin, yuhui choe, mara galeazzi, melissa hamilton,
sarah lamb, marianela nuñez, leticia stock, akane takada,
tristan dyer, paul kay, brian maloney, steven mcrae, ludovic ondiviela,
eric underwood, edward watson
wayne mcgregor (choreography), tatsuo miyajima (set & video design)

daniel capps (agon), barry wordsworth (sphinx & limen) / royal ballet @royal opera house


わたしはダンスにはあまり興味がないので、バレエはフル・レングスのストーリーもの、例えば白鳥の湖とかロミオとジュリエットとかを中心に観に行くことにしています。例外は春の祭典なんかの音楽のステキなもの。なので今回のは行こうか行くまいか迷ったんですけど、2曲目のは今年重点的に聴いているマルティヌーの作曲ではありませんか。ひとつ目はストラヴィンスキーだし、最後のはサーリアホだし、音楽良さそう。ってわけで観てきました。結果的にそれが良かった。
わたし、バレエは全然分からないのです。踊っているのを観ても型は分からないし、あっあの人かっこいいとか、あの人きれいとかそんなミーハーな見方しかできないんだけど、でも大好きなんです。下手の横好きって言うの? 今回は音楽を楽しみに来たんですけど。

ストラヴィンスキーのアゴンは怜悧で点描的な音作り。そして、初期のバーバリズム全開の音楽から、新古典的な音楽、12音技法に基づく音楽とストラヴィンスキーの作曲様式を全部網羅して作ってるって感じで面白かったです。
一転、マルティヌーは音楽が分厚く情熱的。最後のサーリアホのリメンは、最初の4つの音を核として音楽を構成する抽象的な作品。グリッサンドを多用して響きの面白さが感じられました。演奏もそれぞれの音楽の特徴を生かしたものでした。
なんて、これじゃバレエの感想になってない! アゴンとリメンは抽象的なモダンバレエ。ダンスの美しさそのものの表現です。ジョージ・バレンシンの演出作品はニューヨーク・シティ・バレエでよく上演されてたと思うけど、まだ観たことがなく今回のアゴンが初めてです。ダンスの動きそのものがきれいなので何とも言えないのですが、踊り手の中ではパ・ド・ドゥを踊ったメリッサ・ハミルトンさんとカルロス・アコスタさんが良かったです。ハミルトンさんってまだ21歳でファースト・アーティストなんですね。大抜擢なのかなぁ。とても良かったので、順調にステップアップして欲しいです(ソリスト、ファースト・ソリスト、そしてプリンシパルです)。
リネンは最初、舞台にカーテンが掛かっていてそこに数字が消えたり浮かんだりしながら動いていく奥で踊っていました。カーテンが上がってからは、ステージの照明とダンサーの衣装のヴィヴィッドな蛍光色が相まって不思議な雰囲気。こういう色遣いは初めて観たのでびっくりでした。ダンサーではサラ・ラムさんとエリック・アンダーウッドさんが良かったです。アンダーウッドさんは黒人の方でパンツ一丁のような衣装で踊っていましたが、肌のきれいなこと。筋肉の線もステキで肉体がそのまま絵になるのですね。あと、日本人のアカネ・タカダさんが踊ってました。ローザンヌの奨学金で勉強されている方です。これから伸びていって欲しいです。

今回の演目の中ではスフィンクスが唯一物語があります。やっぱりわたし、物語があるのが好きみたい。なんか感情移入できるのがいいのかな。それに、ここで踊ったダンサーたちが3人ともとっても良かったのです。うっとり。特に、マリアネラ・ヌニェスさん、切れがあってねちっとした表現力もステキで、またまた魅力的なバレリーナさん発見って感じです。ロイヤル・バレエのダンサーはまだ全員観ていないし、顔と名前も一致してないんですけど、もっとたくさん観て顔を覚えなきゃだわ。いやいやまずいまずい、深みにはまってしま〜う。自制しなくっちゃ。

写真は関係ないけどコヴェント・ガーデンのクリスマスツリー。寒くなってきました。年末に向けてお風邪なのお召しになりませぬよう。
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by zerbinetta | 2009-11-13 08:40 | バレエ | Comments(0)

音色へのこだわり   

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jörg widmann: violin concerto
mahler: symphony no.6
christian tetzlaff (vn), daniel harding / lso @barbican hall


しばらく前はブルックナーづいてたんだけど、最近はマーラーづいてきました。この間は歌曲や花の章でしたが、今日は大曲、交響曲第6番。マーラーの中で傑作中の傑作と言って誰も異論を唱えないでしょう。そんな作品。でも、若きスーパー・スター、ハーディングさんが振るロンドン・シンフォニーでも入りは悪くて6、7割方の入り。一番安いチケットで入って一番高い席に座って聴きました。へへへ。

最初はテツラフさんをソリストに迎えて、若いドイツの作曲家ウィドマンさんのヴァイオリン協奏曲。2007年の作品です。ヴァイオリンの独奏で音楽が始まった後、まあ粘る粘る。約30分間無限に続くメロディ。途中でゲネラルパウゼが2回あるんですけど、それ以外は音が途切れることなく旋律が続いていきます。そして、ヴァイオリンの独奏も弾きっつめ。これ絶対しんどそう。ヴァイオリン協奏曲のソリストに譜めくりの人が付いたのも珍しい。曲の感じはベルクの協奏曲をワグナー風に拡大したみたいで、調性感のある12音って感じで、わたしにとっては聴き安めな音楽でした。1回聴いただけでちゃんとは評価できないのですが、悪くないです。でも、今って何でもありなのかなぁ、ネオクラシックに、ネオロマン、ネオルネッサンスにネオ無調、そのうちネオ現代音楽。何でもありな分、何にもないような気がして、ちょっと複雑な気持ち。いったいわたしたちの音楽はどこに行くのでしょう。

休憩の後はマーラー。すごいすごい、人がたくさん。大編成のオーケストラ、壮観です。実はわたし、ハーディングさんとは実演を聴いて以来、あまりウマが合わないのです。なので、今日も心配していました。でも、これはわたしの感覚で彼の実力は世評の通りですよね。若い頃のラトルさんもわたしは苦手でしたし。でも、そんな迷いは始まりの瞬間から吹き飛んでしまいました。何という強烈な意志を持ったコントラバスのリズム。少し速めのテンポででも、重く激しくリズムを刻んでいく。今日の演奏はとってもリズム感が良かったのです。盛り上がりの部分のテンポももたつくほど落とすことなく、場合によっては反対に加速をかけたりして、煽るように。息をつかせぬ緊張感。これが最後まで持続して、ふうっと弛むことがないんです。オーケストラを完全に自分の楽器として鳴らしていました。第2楽章はアンダンテ。CDではよく聴いているアバドさんの演奏がそうなっているのですが、実演でこの順番で聴くのは初めてです。わたし自身は、スケルツォーアンダンテの順番の方がをどちらかというと聞き慣れているので、マーラーの判断がアンダンテースケルツォの順番だとしても(順番についてマーラーは悩んでいたという記述もまだ見られますが、彼はこの順番でしか演奏していないし、音にしてからは悩んでいる形跡は見られないのです)今まではちょっぴり違和感も残っていたのですが、今日の演奏はそれが全くなかった! それは多分、若いワーディングさんがこの曲をこの順番でしか演奏したことがないからなんだと思います。迷うことがないんですね。そして第1楽章の完全燃焼から、すうっと静寂の世界に入っていけた。アンダンテの最初はむしろ無表情と言えるくらいのトランクイロ。でもそれが幽玄感を醸し出していて、抑えに抑えた音楽を作っている。でもこちらが作者(もしくは音楽の中の主人公)の現実なんですね。第1楽章のカウベルが遠くで(ステージの外)で鳴っていたのに今はステージの上。もしくは反対で作者は夢の中を彷徨っている。そして第1楽章と第4楽章の現実の世界では、安らぎのある場所は夢の中。スケルツォは少し重め。リズムの出し入れを強調するとか、対位法の妙を強調すると言うより、楽譜に書かれていることを素直に表現した感じ。そして最終楽章は再び高い緊張感の中、ドラマを余すところなく表現。全く隙のない演奏。わたしは音楽の中にあるデモーニッシュな狂気、絶望をもっと聴きたいのですが、それは将来のハーディングさんに期待しましょう。30歳そこそこ(34歳)で、人生の絶望なんて表現されても困りますから。でも、ハーディングさんは音楽に磨きをかけることで、マーラーが表現したかった音の高みに達していたと思います。知的で発見に満ちたマーラー。
ハーディングさんの演奏で特筆したいのは、音色の表現。この曲はマーラーの交響曲の中では一番の完成度があるとも言われてるけれども、実はまだ実験途中ではなかったのかしら。第4交響曲で見せた対位法の実験、第5交響曲では形式の実験、そして第6交響曲でマーラーが行っていたのは、音色の実験。(多分、第7番ではそれらを総合させた到達点を書こうとしてたんじゃないかしら。) そんなことをハーディングさんの演奏を聴いて感じました。ものすごく音色を丁寧に扱っている。ヴィヴィットに鳴る打楽器群、フィナーレのシンバル3人は知ってたけど、第1楽章の最後の方ではトライアングル3人なんですね、めちゃくちゃ。ハンマーは普通の叩き方じゃなくて、ハンマーを横向きにして打ち下ろしてたし。そして、木管楽器の絶妙な配合、ミュートを付けた金管楽器の不思議な音色、低音弦楽器のコルレーニョ。普段CDでは全く聴いたことのないような音がいくつも聞こえてびっくり。それにこの曲、ひとつの旋律を違う楽器群に演奏させることが多くて、ウェーベルンの音色旋律の先駆けみたい。それにしても、いつも実演を聴くごとに新たな発見があります。まだまだ知らないこと、気がつかないことばかり。音楽って面白いですね。

そうそう、ハーディングさんがマーラーについて語る短いインタヴゥーがlsoのサイトで観られるんですけど、ハーディングさんって意外と口べたなんですね。ちょっと親しみを持ってしまいました。
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by zerbinetta | 2009-11-12 00:25 | ロンドン交響楽団 | Comments(0)